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第十一章
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「エクサリーさん、いつもの黒いヤツちょうだい」
ふぅ~……やっぱおいしいわね~、この黒い青汁。
クイーズちゃんに教わった方法で、お城のコックに作らせてはいるんだけど、なんだか味が違うのよね。
機材がいいのか腕がいいのか、最近はすっかりここに入り浸りになっている、私ことユーオリであります。
「…………にがい」
「だからお砂糖とミルク入れなさいよアポロ」
「無理して呑まなくてもいいんじゃないッスか?」
二人ともブラックなのに、なんか私だけ子供っぽいじゃない。って言ってるけど、それこそが子供っぽくて微笑ましいわね~。
私はそんな三人娘をよそにエクサリーさんにおかわりを頼む。
「ところでなんでエクサリーさんだけ、さんづけなんスか?」
「顔が怖いから」
「……それ、本人の前では言わないであげてくださいね」
そんな怖い顔のエクサリーさんがおかわりを持って戻ってくる。
しかし勿体無いわよね。
コレでも売りに出せば、こんな閑古鳥が泣いている様な状況にはならないと思うんだけど。
あっ、おばさん、いい事思いついた!
「ねえ、エクサリーさん、ここでついでにこのコーヒー? だっけ、コレを提供してはどうです?」
どうせ楽器を買いに来る人なんて滅多に来ないんだから、空いてる時間にこれ売ったらどう?
「あっ、実はそれ、ピクサスレーンでも同じような事やってたんスよね」
「ええ、でも結局食堂メインみたいになっちゃって……」
「…………最近はいつも多入り、ただし食べる方」
う~ん、いい案だとおもったんだけどね。
でもエクサリーさんはじっとコーヒーを見て考え込んでいる。
飲み物、だけなら、大丈夫かな? って呟いている。
あっ、それおばさん知ってる、フラグって言うのよね? クイーズちゃんが偶に言ってる。
「そういえば最近、クイーズちゃんの姿を見かけないわよね? いつもこの時間は、エクサリーさんとのいちゃいちゃタイムだったと思うんだけど」
「別にいちゃいちゃしてない」
よく言う、と言って口を尖らせているアポロちゃん。
ほんと二人とも無自覚なのかしらね?
周りが引くぐらいアツアツで、見てるこっちが照れちゃいそうなぐらいなのに。
そんな二人に食い込んでいくアポロちゃんも大概だけど。
「今は剣の特訓に凝っているらしいッスよ?」
「凝っているというより凝らされているって感じですけどね」
「そうなの? う~ん、やっぱアレかな? 南の国々を警戒しているのかな」
まさか本当に古代王国の跡地を解放してくるなんてね。
冗談で言ったのに本当にやらかしてくるなんて……
今、南の国々はそれで大騒ぎだ。
ドラゴンに乗ったクイーズちゃん達が、古代王国の墓地に入ったのは多くの国々が認識している。
その直後、真夜中だというのにまるで太陽が昇ったかのような輝きがその地から溢れだす。
翌日、調査に向かった国々が見たものは、無残に破壊されつくされた、古代王国王城アルバトリオンの残骸。
そして、普通ならそこに辿り付く事を拒んでいたアンデッドモンスター達が欠片も現れない。
何が起こったのか、今ではその話題で持ちきりである。
「クイーズさんが、またなんかやらかしたんスか?」
「ちょっとティニー、言い方……」
「まあねえ、さすがに今回のは目の前で行われた事だから、今までの噂程度の話じゃすまないわよね」
クイーズちゃんの過去の実績は話しても誰も信じない、とんでもないものばかり。
たった一人で上位ドラゴンを撃破、それも12歳という若さで。
たとえどんなに相性のいいスキルがあろうとも、いきなり実戦で使いこなす事は難しい。
それも相手は魔法耐性の高いホワイトドラゴンだ。
史上最年少のドラゴンスレイヤーなんて、どんなムキムキマンなのかとこっそり覗きに行ったところ、結構可愛い子だったのは意外でした。
それに、連れていた女の子の顔の傷を気に掛けている優しさもある。
思わずおばさん、おせっかいを焼いちゃいました。
当時はまだ史上最年少のドラゴンスレイヤーだなんて、どうせピクサスレーンが吹いてるぐらいしか周りは認識してませんでしたが、それから2年後、今度は竜種の中でも最悪と言われているブラックドラゴンの討伐報告があがる。
まあそれも、世界最高クラスの戦闘力を持つと噂されるエルメラダス姫様のおかげだと言われてたけど、クイーズちゃんの功績がもっとも高い。
というより、ほぼ一人で倒す寸前だったとカユサル様は言ってたわね。
そしてなにより驚かされたのは、たった数人で魔都サンムーンを攻略したこと。
あそこに居たスケルトンロードは、とても強大な力の持ち主で、神獣様も決して手はだしてはならないと言っていたほど。
それもまあ、聖剣があればとも思ってたんだけど、スケルトンロード自体はクイーズちゃんが倒してしまったって聞いてほんと驚いたわ。
いったいクイーズちゃんの実力はどれほどのものなの?
そして、いくら弱っていたと言っても、古竜である神獣様をも倒して見せた。
これはロゥリちゃんの力が大きかったらしいけど、それもまたクイーズ君が居たからこその出来事。
そしてクイーズちゃん達はその後も、白銀の獅子王、竜王ハイフレム、鋼の皮膚を持つオーガの集団、リビングメイルロードと次々と強敵を討ち倒してきている。
もしかしたらやれるんじゃないかなあと思った訳ですよ~。ほんとにやるとは思っても見ませんでした。
千年以上も、誰も討ち倒すことが敵わなかった、かの古代王国のアンデッド達を殲滅するなど。
しかも、今回戦闘に参加したのは、クイーズちゃん、ラピスちゃん、カシュアちゃん、ロゥリちゃんの四人のみ。
敵は数百万を超えるアンデッドの集団。ありえないわよね~。
クイーズちゃんの功績は、公開されているものだと、
『12歳でドラゴンを討伐し史上最年少のドラゴンスレイヤーになった』
『エルメラダス姫様の手助けをしてブラックドラゴンを討伐した』
『魔都サンムーンを聖剣の力を用いて攻略した』
の3つ。
正直最初のは眉唾ものだと揶揄されているし、二つ目のブラックドラゴンはエルメラダス姫様が倒した事になっているし、魔都サンムーンにおいては聖剣があれば誰でもいけるだろ、みたいな風にも言われている。
どの国も本気で相手にしてなった訳ですわ。
それがまあ、今回のは言い訳できないレベルで公開された訳なのよね。
となると、今までの眉唾物だった話も現実味を帯びてくる。
情報収集力の高い国だと、その他の事も噂程度で知っているはずで、そっちも方ももしかたら、という話になってくる。
こりゃクイーズちゃんは一躍時の人になる訳ですわ~。
「クイーズの身が危ない?」
「この国で居る限りは神獣様がついているから大丈夫よ~」
「ほんとに? あのじいさん、あんま役に立っているとこみないんだけど……」
まあそれに、南の国々は今それどころじゃないでしょうしね。
なにせ緩衝地帯であった古代王国跡地が解放された訳だ。
あの肥沃な大地、これから誰が納めるか、そりゃもう揉めるわ、揉めるわ。
遠くにある危険より、今は身近の利益を優先しなくちゃね!
えっ、おばさん楽しんで居るように見える? あらヤダ、そんなことはありませんわよ。ホホホのホ。
ふぅ~……やっぱおいしいわね~、この黒い青汁。
クイーズちゃんに教わった方法で、お城のコックに作らせてはいるんだけど、なんだか味が違うのよね。
機材がいいのか腕がいいのか、最近はすっかりここに入り浸りになっている、私ことユーオリであります。
「…………にがい」
「だからお砂糖とミルク入れなさいよアポロ」
「無理して呑まなくてもいいんじゃないッスか?」
二人ともブラックなのに、なんか私だけ子供っぽいじゃない。って言ってるけど、それこそが子供っぽくて微笑ましいわね~。
私はそんな三人娘をよそにエクサリーさんにおかわりを頼む。
「ところでなんでエクサリーさんだけ、さんづけなんスか?」
「顔が怖いから」
「……それ、本人の前では言わないであげてくださいね」
そんな怖い顔のエクサリーさんがおかわりを持って戻ってくる。
しかし勿体無いわよね。
コレでも売りに出せば、こんな閑古鳥が泣いている様な状況にはならないと思うんだけど。
あっ、おばさん、いい事思いついた!
「ねえ、エクサリーさん、ここでついでにこのコーヒー? だっけ、コレを提供してはどうです?」
どうせ楽器を買いに来る人なんて滅多に来ないんだから、空いてる時間にこれ売ったらどう?
「あっ、実はそれ、ピクサスレーンでも同じような事やってたんスよね」
「ええ、でも結局食堂メインみたいになっちゃって……」
「…………最近はいつも多入り、ただし食べる方」
う~ん、いい案だとおもったんだけどね。
でもエクサリーさんはじっとコーヒーを見て考え込んでいる。
飲み物、だけなら、大丈夫かな? って呟いている。
あっ、それおばさん知ってる、フラグって言うのよね? クイーズちゃんが偶に言ってる。
「そういえば最近、クイーズちゃんの姿を見かけないわよね? いつもこの時間は、エクサリーさんとのいちゃいちゃタイムだったと思うんだけど」
「別にいちゃいちゃしてない」
よく言う、と言って口を尖らせているアポロちゃん。
ほんと二人とも無自覚なのかしらね?
周りが引くぐらいアツアツで、見てるこっちが照れちゃいそうなぐらいなのに。
そんな二人に食い込んでいくアポロちゃんも大概だけど。
「今は剣の特訓に凝っているらしいッスよ?」
「凝っているというより凝らされているって感じですけどね」
「そうなの? う~ん、やっぱアレかな? 南の国々を警戒しているのかな」
まさか本当に古代王国の跡地を解放してくるなんてね。
冗談で言ったのに本当にやらかしてくるなんて……
今、南の国々はそれで大騒ぎだ。
ドラゴンに乗ったクイーズちゃん達が、古代王国の墓地に入ったのは多くの国々が認識している。
その直後、真夜中だというのにまるで太陽が昇ったかのような輝きがその地から溢れだす。
翌日、調査に向かった国々が見たものは、無残に破壊されつくされた、古代王国王城アルバトリオンの残骸。
そして、普通ならそこに辿り付く事を拒んでいたアンデッドモンスター達が欠片も現れない。
何が起こったのか、今ではその話題で持ちきりである。
「クイーズさんが、またなんかやらかしたんスか?」
「ちょっとティニー、言い方……」
「まあねえ、さすがに今回のは目の前で行われた事だから、今までの噂程度の話じゃすまないわよね」
クイーズちゃんの過去の実績は話しても誰も信じない、とんでもないものばかり。
たった一人で上位ドラゴンを撃破、それも12歳という若さで。
たとえどんなに相性のいいスキルがあろうとも、いきなり実戦で使いこなす事は難しい。
それも相手は魔法耐性の高いホワイトドラゴンだ。
史上最年少のドラゴンスレイヤーなんて、どんなムキムキマンなのかとこっそり覗きに行ったところ、結構可愛い子だったのは意外でした。
それに、連れていた女の子の顔の傷を気に掛けている優しさもある。
思わずおばさん、おせっかいを焼いちゃいました。
当時はまだ史上最年少のドラゴンスレイヤーだなんて、どうせピクサスレーンが吹いてるぐらいしか周りは認識してませんでしたが、それから2年後、今度は竜種の中でも最悪と言われているブラックドラゴンの討伐報告があがる。
まあそれも、世界最高クラスの戦闘力を持つと噂されるエルメラダス姫様のおかげだと言われてたけど、クイーズちゃんの功績がもっとも高い。
というより、ほぼ一人で倒す寸前だったとカユサル様は言ってたわね。
そしてなにより驚かされたのは、たった数人で魔都サンムーンを攻略したこと。
あそこに居たスケルトンロードは、とても強大な力の持ち主で、神獣様も決して手はだしてはならないと言っていたほど。
それもまあ、聖剣があればとも思ってたんだけど、スケルトンロード自体はクイーズちゃんが倒してしまったって聞いてほんと驚いたわ。
いったいクイーズちゃんの実力はどれほどのものなの?
そして、いくら弱っていたと言っても、古竜である神獣様をも倒して見せた。
これはロゥリちゃんの力が大きかったらしいけど、それもまたクイーズ君が居たからこその出来事。
そしてクイーズちゃん達はその後も、白銀の獅子王、竜王ハイフレム、鋼の皮膚を持つオーガの集団、リビングメイルロードと次々と強敵を討ち倒してきている。
もしかしたらやれるんじゃないかなあと思った訳ですよ~。ほんとにやるとは思っても見ませんでした。
千年以上も、誰も討ち倒すことが敵わなかった、かの古代王国のアンデッド達を殲滅するなど。
しかも、今回戦闘に参加したのは、クイーズちゃん、ラピスちゃん、カシュアちゃん、ロゥリちゃんの四人のみ。
敵は数百万を超えるアンデッドの集団。ありえないわよね~。
クイーズちゃんの功績は、公開されているものだと、
『12歳でドラゴンを討伐し史上最年少のドラゴンスレイヤーになった』
『エルメラダス姫様の手助けをしてブラックドラゴンを討伐した』
『魔都サンムーンを聖剣の力を用いて攻略した』
の3つ。
正直最初のは眉唾ものだと揶揄されているし、二つ目のブラックドラゴンはエルメラダス姫様が倒した事になっているし、魔都サンムーンにおいては聖剣があれば誰でもいけるだろ、みたいな風にも言われている。
どの国も本気で相手にしてなった訳ですわ。
それがまあ、今回のは言い訳できないレベルで公開された訳なのよね。
となると、今までの眉唾物だった話も現実味を帯びてくる。
情報収集力の高い国だと、その他の事も噂程度で知っているはずで、そっちも方ももしかたら、という話になってくる。
こりゃクイーズちゃんは一躍時の人になる訳ですわ~。
「クイーズの身が危ない?」
「この国で居る限りは神獣様がついているから大丈夫よ~」
「ほんとに? あのじいさん、あんま役に立っているとこみないんだけど……」
まあそれに、南の国々は今それどころじゃないでしょうしね。
なにせ緩衝地帯であった古代王国跡地が解放された訳だ。
あの肥沃な大地、これから誰が納めるか、そりゃもう揉めるわ、揉めるわ。
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