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第十章
レベル164
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それからは、あっという間の出来事じゃった。
王宮の主要とする人物が次々と不死の肉体を手にいれていく。
気が付けばわらわの周りには、人、というものが居なくなっておった。
どんなに時が流れようとも変わらぬ人々。
その中で、わらわだけが年をとっていく。
「バルデス、私もねえ様達と同じように不死の体にしてはくれないのですか?」
「…………ローゼマリア様に相応しいアンデットが見つからないのです」
「それは私が何の力もない小娘だからですか? そうですよね、わたしなんて下級ゾンビでも、のっとられそうです」
アンデットとの合成では意思の強い方が優先される。
意思の力でアンデットに討ち勝たねば、逆にアンデットモンスターに乗っ取られてしまう。
分相応なアンデットモンスターと合成した者は……
「バルデス様! またしても城下町で人々を襲うアンデットの噂が流れています!」
夜な夜な人々を襲う本物のモンスターと化してしまう。
「マリア、貴方には人として生きていて欲しいの。やはり人は、人として生まれ、人として生を過ごすのが一番なのよ」
「でもねえ様、ずっと若いまま死なないなんて最高じゃないですか!」
「私はね、なんだか嫌な予感がするの。自然の摂理を捻じ曲げて、無事に済むとは思えない……」
悪い予感ほど良く当たると言うが、その、ねえ様の嫌な予感は的中してしまう。
「王よ、お考え直しください!」
「この世に生者はもはや不要。終わりのある生などなんの意味も無いものだ」
まず最初に狂って来たのはとう様じゃった。
やたらと不死者以外を憎むようになり、世界各地へ戦争をしかけるようになった。
自ら戦場に立ち、次々と人々を屠ったという。
その度に体が変貌し、どんどん人から外れた化け物の様になっていった。
まあ、それを知ったのは随分後の話じゃが。
「ねえ様、最近とう様の顔を見ていないのですが、どこにいらっしゃるのですか?」
「……ごめんなさい。とう様はね、今とっても忙しいの。だからね、とう様の近くには行っては駄目なの」
そう言って悲しげな顔をして、わらわを抱きしめるねえ様。
ねえ様は、とう様がわらわに害をなす恐れを抱いていたようで、とう様の目が届かない場所にわらわを隔離していたのじゃった。
じゃがそのねえ様も、
「ああ……ああぁ……私はなんて事を……」
◇◆◇◆◇◆◇◆
隣の小さな女王様が左手の手袋を外す。
そこには、手首の一部が食いちぎられ骨が覗いていた。
「こうして図らずしも、わらわもねえ様に齧られることによって、不死の肉体の手に入れる事ができたという訳じゃな」
そう言って手袋を履きなおす。
重たいな……聞くんじゃなかった。
しかし、話しているときも、今だって、なぜか笑顔を作り出している。
それでも、目だけは感情を映しておらず、この子もまた、どこか歪な感じになっているのが窺い知れる。
「そんなとう様も千年前に討たれた、ねえ様は人と争うつもりはない。バルデスがどんなに頑張ろうとも、とう様ですら成し遂げられなかった事が出来るはずが無い」
滅びるのは早いか遅いかの違いじゃ。と呟く。
オレはそれを聞きながら、ラピス達の隙間を縫ってきたアンデットを切り伏せる。
「ところでお主はいったい何者なのじゃ。ソレほどの力、いったい何処で手にいれた?」
「何者って程じゃないさ。ちょいとばかし、当たりスキルを引いただけだ」
「なるほどスキルか。一つのスキルが世界を変える、バルデスのスキル然り、千年前のあの娘のスキルも然り。わらわにも、そんなスキルが欲しかったものじゃのぉ」
そう言って戦場を見渡す。
カシュアが聖剣を振るうたびに、面白いようにアンデットモンスターが蒸発していく。
アンデット特攻に加え、聖剣の能力、担い手のスキルと盛りだくさんだ。
『ホーリーノヴァ!』
ホーリーノヴァの使い方も分かってきたのか、敵の集団に突っ込んで光の爆発を起こさせている。
いいなあ必殺技。しかも範囲攻撃。オレにもぜひ欲しい。
しかしラピスは苦戦しているようだ。
ラピスは敵の雑魚を蹴散らせながらバルデスに攻撃を加えているようだが、逆に押し込まれている。
魔術師風のバルデスが幅広の大剣を振るって、ラピスのスピードを封じている。
アイツ、剣も使えたのか?
ふと見ると、左手の騎士の人形がゆっくりと明滅している。
オレは隣の小さな女王様を見やる。
たしかさっきの回想で、人形にした者の力を使えるとかどうとか言ってたような……
「ラピス、左手の人形を狙え! たぶんそれが弱点だ!」
「っ! 了解しました!」
「しかしアレだね! 倒しても倒してもキリが無いぐらい沸いて来るよね!」
今尚、広間の入り口から続々とアンデットが入ってくる。
全部を殲滅しようとするなら、あの洞窟を崩壊させたぐらいの威力でホーリーノヴァを撃ち出さないと無理かもしれない。
おいちょっとそこのエロドラゴン、オレを連れてこの場を逃げてくれないか?
出来れば、そのエロいまんまでお願いします。
イダッ、やめっ! えっ、エクサリーに言いつける? やだなあ、冗談じゃないですか~。それだけは勘弁してください!
「なんとなくコツが掴めて来たから、次は大丈夫だと思うよ!」
ほんとか? その大丈夫は当てになるんだろうな?
カシュアが水平に構えた聖剣に両手を添える。
そしてゴルフスウィングのように下段から振り上げる。
『ホーリーノヴァ! エクストラバースト!』
聖剣から前方に向かって強い光の波が放たれた。
その光の波は巨大なウェーブと成って、前方にいるアンデット達を飲み込んでいく。
「あっ、ヤベッ!」
そう、鍔迫り合いをしていたラピスとバルデスを巻き込みながら。
王宮の主要とする人物が次々と不死の肉体を手にいれていく。
気が付けばわらわの周りには、人、というものが居なくなっておった。
どんなに時が流れようとも変わらぬ人々。
その中で、わらわだけが年をとっていく。
「バルデス、私もねえ様達と同じように不死の体にしてはくれないのですか?」
「…………ローゼマリア様に相応しいアンデットが見つからないのです」
「それは私が何の力もない小娘だからですか? そうですよね、わたしなんて下級ゾンビでも、のっとられそうです」
アンデットとの合成では意思の強い方が優先される。
意思の力でアンデットに討ち勝たねば、逆にアンデットモンスターに乗っ取られてしまう。
分相応なアンデットモンスターと合成した者は……
「バルデス様! またしても城下町で人々を襲うアンデットの噂が流れています!」
夜な夜な人々を襲う本物のモンスターと化してしまう。
「マリア、貴方には人として生きていて欲しいの。やはり人は、人として生まれ、人として生を過ごすのが一番なのよ」
「でもねえ様、ずっと若いまま死なないなんて最高じゃないですか!」
「私はね、なんだか嫌な予感がするの。自然の摂理を捻じ曲げて、無事に済むとは思えない……」
悪い予感ほど良く当たると言うが、その、ねえ様の嫌な予感は的中してしまう。
「王よ、お考え直しください!」
「この世に生者はもはや不要。終わりのある生などなんの意味も無いものだ」
まず最初に狂って来たのはとう様じゃった。
やたらと不死者以外を憎むようになり、世界各地へ戦争をしかけるようになった。
自ら戦場に立ち、次々と人々を屠ったという。
その度に体が変貌し、どんどん人から外れた化け物の様になっていった。
まあ、それを知ったのは随分後の話じゃが。
「ねえ様、最近とう様の顔を見ていないのですが、どこにいらっしゃるのですか?」
「……ごめんなさい。とう様はね、今とっても忙しいの。だからね、とう様の近くには行っては駄目なの」
そう言って悲しげな顔をして、わらわを抱きしめるねえ様。
ねえ様は、とう様がわらわに害をなす恐れを抱いていたようで、とう様の目が届かない場所にわらわを隔離していたのじゃった。
じゃがそのねえ様も、
「ああ……ああぁ……私はなんて事を……」
◇◆◇◆◇◆◇◆
隣の小さな女王様が左手の手袋を外す。
そこには、手首の一部が食いちぎられ骨が覗いていた。
「こうして図らずしも、わらわもねえ様に齧られることによって、不死の肉体の手に入れる事ができたという訳じゃな」
そう言って手袋を履きなおす。
重たいな……聞くんじゃなかった。
しかし、話しているときも、今だって、なぜか笑顔を作り出している。
それでも、目だけは感情を映しておらず、この子もまた、どこか歪な感じになっているのが窺い知れる。
「そんなとう様も千年前に討たれた、ねえ様は人と争うつもりはない。バルデスがどんなに頑張ろうとも、とう様ですら成し遂げられなかった事が出来るはずが無い」
滅びるのは早いか遅いかの違いじゃ。と呟く。
オレはそれを聞きながら、ラピス達の隙間を縫ってきたアンデットを切り伏せる。
「ところでお主はいったい何者なのじゃ。ソレほどの力、いったい何処で手にいれた?」
「何者って程じゃないさ。ちょいとばかし、当たりスキルを引いただけだ」
「なるほどスキルか。一つのスキルが世界を変える、バルデスのスキル然り、千年前のあの娘のスキルも然り。わらわにも、そんなスキルが欲しかったものじゃのぉ」
そう言って戦場を見渡す。
カシュアが聖剣を振るうたびに、面白いようにアンデットモンスターが蒸発していく。
アンデット特攻に加え、聖剣の能力、担い手のスキルと盛りだくさんだ。
『ホーリーノヴァ!』
ホーリーノヴァの使い方も分かってきたのか、敵の集団に突っ込んで光の爆発を起こさせている。
いいなあ必殺技。しかも範囲攻撃。オレにもぜひ欲しい。
しかしラピスは苦戦しているようだ。
ラピスは敵の雑魚を蹴散らせながらバルデスに攻撃を加えているようだが、逆に押し込まれている。
魔術師風のバルデスが幅広の大剣を振るって、ラピスのスピードを封じている。
アイツ、剣も使えたのか?
ふと見ると、左手の騎士の人形がゆっくりと明滅している。
オレは隣の小さな女王様を見やる。
たしかさっきの回想で、人形にした者の力を使えるとかどうとか言ってたような……
「ラピス、左手の人形を狙え! たぶんそれが弱点だ!」
「っ! 了解しました!」
「しかしアレだね! 倒しても倒してもキリが無いぐらい沸いて来るよね!」
今尚、広間の入り口から続々とアンデットが入ってくる。
全部を殲滅しようとするなら、あの洞窟を崩壊させたぐらいの威力でホーリーノヴァを撃ち出さないと無理かもしれない。
おいちょっとそこのエロドラゴン、オレを連れてこの場を逃げてくれないか?
出来れば、そのエロいまんまでお願いします。
イダッ、やめっ! えっ、エクサリーに言いつける? やだなあ、冗談じゃないですか~。それだけは勘弁してください!
「なんとなくコツが掴めて来たから、次は大丈夫だと思うよ!」
ほんとか? その大丈夫は当てになるんだろうな?
カシュアが水平に構えた聖剣に両手を添える。
そしてゴルフスウィングのように下段から振り上げる。
『ホーリーノヴァ! エクストラバースト!』
聖剣から前方に向かって強い光の波が放たれた。
その光の波は巨大なウェーブと成って、前方にいるアンデット達を飲み込んでいく。
「あっ、ヤベッ!」
そう、鍔迫り合いをしていたラピスとバルデスを巻き込みながら。
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