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第九章
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しかし三人共、学園生活を満喫出来ているようでなによりだ。
学校に通わせた甲斐があったな。
三人はそのうち、教会の子供達に混じって遊び始めた。
「パセアラもオレ達の歌を聞いていくか? 特等席を用意するぞ」
「ふっ、貴方の下手な歌なんて聞きたくないわ。私は私の好きなようにやらせてもらうから」
相変わらずだなあ。
そんな事を言いながら広場の隅からオレ達の曲を聞くパセアラ。
隠れて居てもバレバレですよ?
「ツンデレさんですねえ」
「まったくだ」
そして本日一回目のライブが終わった後、意外な人物が尋ねてきた。
「いやあ素晴らしいステージだったよ! ほんとに僕のスキルは当てにならない事がつくづく痛感したよ」
その人物とは、こないだアポロにスカウトをかけていた、英雄の導き手のスキルを持った例の優男だった。
なんでも、オレに導き手のスキルを指摘されて以来、各地の成功を納めた人物を、己の目で見極めようと色々な場所を渡り歩いているそうだ。
その結果分かった事は、英雄の導き手のスキルは、個人の才能を測る標にはなるが、それが実際に人生として成功するとは限らないとのことだ。
才能に溢れている人物でも落ちぶれていたり、逆にまったく才能が無いのに大成功していたり、特にピクサスレーンの大店主は、才能の欠片も無いのに都市一番の売り上げをあげているとか。
それ、おやっさんの事じゃ……確かに、おやっさんの商才の無さは折り紙付だからなあ。
こないだも、訳の分からないものを大量に仕入れてきて、大損害を被るところだった。
ラピスが工房で使い道を見つけたから良かったものを……もしかしてあの人、運だけで生きているんじゃ……
「僕のスキルは、まさしく導き手なんだ。才能のある人物を探す事が目的じゃない、才能がある人物を見つけ出し英雄として導いて行かなければならない」
そしてふとエクサリーの方へ熱い視線を投げかける。
「彼女の名は?」
「シャラップ! アレは駄目だぞ! 絶対に駄目だぞっ!」
エクサリーさんはオレのもんだ!
指一本触れさせやしねえ!
「なんだね君は、アポロ君という人が居ながら別の女性にまで懸想しているのかね! まったく、男の風上にも置けないな!」
「ちょっ! おまっ! なんて事言うの!」
「アポロがどうしたの?」
オレ達の騒ぎを聞きつけたエクサリーさんが近寄ってくる。
いやっ! なんでもないんスよ! ほんとに、なんでもないですから!
「君は彼とアポロ君との仲を知らないのかね?」
「おまっ! ちょっと黙ってろ!」
「そういう訳にはいかない、英雄となり得たる人物を、みすみす悪鬼の毒牙に掛ける訳にはいかない。僕には彼女を正しい道へ導いて行く使命がある!」
ねえよそんなもん!
誰が悪鬼だコラ。お前あの時の事、根に持ってるだろ?
「アポロと何かあったの?」
「いやっ、ほらっ、こないだアポロを狙ってたストーカーっすよコイツ!」
「誰がストーカーだね!」
その内アポロ達までやってきて、やれ一緒に寝ただの、ボクは胸を触られただの、有ること無いことエクサリーにチクリ回る。
「胸、触ったの……?」
いやっ、違うんスよ!
アレは、こいつがふざけて抱き付いてくるから、つい。
「つい……?」
うおっ! コワッ!
おい、腰が引けてるぞ導き手。
「美人なのに、なぜか凄い迫力があるね」
ほらスマイル、スマイル。
最近なんか怖い部分が抜けて、いい感じになって来てるじゃないですかぁ。
怒っちゃイヤン。
「クイーズぅううう」
「ヒィイイ!」
◇◆◇◆◇◆◇◆
「ほんと止めてくれよ、うちのエクサリーさん怒らすと怖いんだから」
「いやあ、フロワースより迫力がある女性は始めて見たよ」
あんの腹黒姫と、うちのエクサリーを一緒にしないで貰いたい。
エクサリーはちゃんと可愛いところもあるんだからな。
「いや、フロワースだって可愛いところはある。と信じたい」
願望かよ!
「というかお前、英雄探しに来たんだろ? さっさとどっか行け」
「いや、ここに来た目的は君に会うためだったんだよ」
なんの用だよ?
「僕の国では毎年一度、世界最強を決める大会を開いている。それに君にも是非参加してもらいたくてね」
僕を打ち倒した力を、その場でぜひとも披露して欲しいと言ってくる。
「……それは例の腹黒姫様の提案か?」
「違うよ、これは僕が思いついたんだ。フロワースは何も言っていない」
おめえ、分かってねえな。
腹の黒い奴ってのはな、人を動かすのがとにかくうまい。
決して動かされていると察知されないように事を運ぶ。
そういう奴に動かされている奴は皆言う。俺は自分の意思で行動しているのだとな。
「そんだけ腹の黒い奴が、そんなおいしそうな話をした事無いって事は、お前、動かされているぞ」
学校に通わせた甲斐があったな。
三人はそのうち、教会の子供達に混じって遊び始めた。
「パセアラもオレ達の歌を聞いていくか? 特等席を用意するぞ」
「ふっ、貴方の下手な歌なんて聞きたくないわ。私は私の好きなようにやらせてもらうから」
相変わらずだなあ。
そんな事を言いながら広場の隅からオレ達の曲を聞くパセアラ。
隠れて居てもバレバレですよ?
「ツンデレさんですねえ」
「まったくだ」
そして本日一回目のライブが終わった後、意外な人物が尋ねてきた。
「いやあ素晴らしいステージだったよ! ほんとに僕のスキルは当てにならない事がつくづく痛感したよ」
その人物とは、こないだアポロにスカウトをかけていた、英雄の導き手のスキルを持った例の優男だった。
なんでも、オレに導き手のスキルを指摘されて以来、各地の成功を納めた人物を、己の目で見極めようと色々な場所を渡り歩いているそうだ。
その結果分かった事は、英雄の導き手のスキルは、個人の才能を測る標にはなるが、それが実際に人生として成功するとは限らないとのことだ。
才能に溢れている人物でも落ちぶれていたり、逆にまったく才能が無いのに大成功していたり、特にピクサスレーンの大店主は、才能の欠片も無いのに都市一番の売り上げをあげているとか。
それ、おやっさんの事じゃ……確かに、おやっさんの商才の無さは折り紙付だからなあ。
こないだも、訳の分からないものを大量に仕入れてきて、大損害を被るところだった。
ラピスが工房で使い道を見つけたから良かったものを……もしかしてあの人、運だけで生きているんじゃ……
「僕のスキルは、まさしく導き手なんだ。才能のある人物を探す事が目的じゃない、才能がある人物を見つけ出し英雄として導いて行かなければならない」
そしてふとエクサリーの方へ熱い視線を投げかける。
「彼女の名は?」
「シャラップ! アレは駄目だぞ! 絶対に駄目だぞっ!」
エクサリーさんはオレのもんだ!
指一本触れさせやしねえ!
「なんだね君は、アポロ君という人が居ながら別の女性にまで懸想しているのかね! まったく、男の風上にも置けないな!」
「ちょっ! おまっ! なんて事言うの!」
「アポロがどうしたの?」
オレ達の騒ぎを聞きつけたエクサリーさんが近寄ってくる。
いやっ! なんでもないんスよ! ほんとに、なんでもないですから!
「君は彼とアポロ君との仲を知らないのかね?」
「おまっ! ちょっと黙ってろ!」
「そういう訳にはいかない、英雄となり得たる人物を、みすみす悪鬼の毒牙に掛ける訳にはいかない。僕には彼女を正しい道へ導いて行く使命がある!」
ねえよそんなもん!
誰が悪鬼だコラ。お前あの時の事、根に持ってるだろ?
「アポロと何かあったの?」
「いやっ、ほらっ、こないだアポロを狙ってたストーカーっすよコイツ!」
「誰がストーカーだね!」
その内アポロ達までやってきて、やれ一緒に寝ただの、ボクは胸を触られただの、有ること無いことエクサリーにチクリ回る。
「胸、触ったの……?」
いやっ、違うんスよ!
アレは、こいつがふざけて抱き付いてくるから、つい。
「つい……?」
うおっ! コワッ!
おい、腰が引けてるぞ導き手。
「美人なのに、なぜか凄い迫力があるね」
ほらスマイル、スマイル。
最近なんか怖い部分が抜けて、いい感じになって来てるじゃないですかぁ。
怒っちゃイヤン。
「クイーズぅううう」
「ヒィイイ!」
◇◆◇◆◇◆◇◆
「ほんと止めてくれよ、うちのエクサリーさん怒らすと怖いんだから」
「いやあ、フロワースより迫力がある女性は始めて見たよ」
あんの腹黒姫と、うちのエクサリーを一緒にしないで貰いたい。
エクサリーはちゃんと可愛いところもあるんだからな。
「いや、フロワースだって可愛いところはある。と信じたい」
願望かよ!
「というかお前、英雄探しに来たんだろ? さっさとどっか行け」
「いや、ここに来た目的は君に会うためだったんだよ」
なんの用だよ?
「僕の国では毎年一度、世界最強を決める大会を開いている。それに君にも是非参加してもらいたくてね」
僕を打ち倒した力を、その場でぜひとも披露して欲しいと言ってくる。
「……それは例の腹黒姫様の提案か?」
「違うよ、これは僕が思いついたんだ。フロワースは何も言っていない」
おめえ、分かってねえな。
腹の黒い奴ってのはな、人を動かすのがとにかくうまい。
決して動かされていると察知されないように事を運ぶ。
そういう奴に動かされている奴は皆言う。俺は自分の意思で行動しているのだとな。
「そんだけ腹の黒い奴が、そんなおいしそうな話をした事無いって事は、お前、動かされているぞ」
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