147 / 279
第九章
レベル147
しおりを挟む
しかし三人共、学園生活を満喫出来ているようでなによりだ。
学校に通わせた甲斐があったな。
三人はそのうち、教会の子供達に混じって遊び始めた。
「パセアラもオレ達の歌を聞いていくか? 特等席を用意するぞ」
「ふっ、貴方の下手な歌なんて聞きたくないわ。私は私の好きなようにやらせてもらうから」
相変わらずだなあ。
そんな事を言いながら広場の隅からオレ達の曲を聞くパセアラ。
隠れて居てもバレバレですよ?
「ツンデレさんですねえ」
「まったくだ」
そして本日一回目のライブが終わった後、意外な人物が尋ねてきた。
「いやあ素晴らしいステージだったよ! ほんとに僕のスキルは当てにならない事がつくづく痛感したよ」
その人物とは、こないだアポロにスカウトをかけていた、英雄の導き手のスキルを持った例の優男だった。
なんでも、オレに導き手のスキルを指摘されて以来、各地の成功を納めた人物を、己の目で見極めようと色々な場所を渡り歩いているそうだ。
その結果分かった事は、英雄の導き手のスキルは、個人の才能を測る標にはなるが、それが実際に人生として成功するとは限らないとのことだ。
才能に溢れている人物でも落ちぶれていたり、逆にまったく才能が無いのに大成功していたり、特にピクサスレーンの大店主は、才能の欠片も無いのに都市一番の売り上げをあげているとか。
それ、おやっさんの事じゃ……確かに、おやっさんの商才の無さは折り紙付だからなあ。
こないだも、訳の分からないものを大量に仕入れてきて、大損害を被るところだった。
ラピスが工房で使い道を見つけたから良かったものを……もしかしてあの人、運だけで生きているんじゃ……
「僕のスキルは、まさしく導き手なんだ。才能のある人物を探す事が目的じゃない、才能がある人物を見つけ出し英雄として導いて行かなければならない」
そしてふとエクサリーの方へ熱い視線を投げかける。
「彼女の名は?」
「シャラップ! アレは駄目だぞ! 絶対に駄目だぞっ!」
エクサリーさんはオレのもんだ!
指一本触れさせやしねえ!
「なんだね君は、アポロ君という人が居ながら別の女性にまで懸想しているのかね! まったく、男の風上にも置けないな!」
「ちょっ! おまっ! なんて事言うの!」
「アポロがどうしたの?」
オレ達の騒ぎを聞きつけたエクサリーさんが近寄ってくる。
いやっ! なんでもないんスよ! ほんとに、なんでもないですから!
「君は彼とアポロ君との仲を知らないのかね?」
「おまっ! ちょっと黙ってろ!」
「そういう訳にはいかない、英雄となり得たる人物を、みすみす悪鬼の毒牙に掛ける訳にはいかない。僕には彼女を正しい道へ導いて行く使命がある!」
ねえよそんなもん!
誰が悪鬼だコラ。お前あの時の事、根に持ってるだろ?
「アポロと何かあったの?」
「いやっ、ほらっ、こないだアポロを狙ってたストーカーっすよコイツ!」
「誰がストーカーだね!」
その内アポロ達までやってきて、やれ一緒に寝ただの、ボクは胸を触られただの、有ること無いことエクサリーにチクリ回る。
「胸、触ったの……?」
いやっ、違うんスよ!
アレは、こいつがふざけて抱き付いてくるから、つい。
「つい……?」
うおっ! コワッ!
おい、腰が引けてるぞ導き手。
「美人なのに、なぜか凄い迫力があるね」
ほらスマイル、スマイル。
最近なんか怖い部分が抜けて、いい感じになって来てるじゃないですかぁ。
怒っちゃイヤン。
「クイーズぅううう」
「ヒィイイ!」
◇◆◇◆◇◆◇◆
「ほんと止めてくれよ、うちのエクサリーさん怒らすと怖いんだから」
「いやあ、フロワースより迫力がある女性は始めて見たよ」
あんの腹黒姫と、うちのエクサリーを一緒にしないで貰いたい。
エクサリーはちゃんと可愛いところもあるんだからな。
「いや、フロワースだって可愛いところはある。と信じたい」
願望かよ!
「というかお前、英雄探しに来たんだろ? さっさとどっか行け」
「いや、ここに来た目的は君に会うためだったんだよ」
なんの用だよ?
「僕の国では毎年一度、世界最強を決める大会を開いている。それに君にも是非参加してもらいたくてね」
僕を打ち倒した力を、その場でぜひとも披露して欲しいと言ってくる。
「……それは例の腹黒姫様の提案か?」
「違うよ、これは僕が思いついたんだ。フロワースは何も言っていない」
おめえ、分かってねえな。
腹の黒い奴ってのはな、人を動かすのがとにかくうまい。
決して動かされていると察知されないように事を運ぶ。
そういう奴に動かされている奴は皆言う。俺は自分の意思で行動しているのだとな。
「そんだけ腹の黒い奴が、そんなおいしそうな話をした事無いって事は、お前、動かされているぞ」
学校に通わせた甲斐があったな。
三人はそのうち、教会の子供達に混じって遊び始めた。
「パセアラもオレ達の歌を聞いていくか? 特等席を用意するぞ」
「ふっ、貴方の下手な歌なんて聞きたくないわ。私は私の好きなようにやらせてもらうから」
相変わらずだなあ。
そんな事を言いながら広場の隅からオレ達の曲を聞くパセアラ。
隠れて居てもバレバレですよ?
「ツンデレさんですねえ」
「まったくだ」
そして本日一回目のライブが終わった後、意外な人物が尋ねてきた。
「いやあ素晴らしいステージだったよ! ほんとに僕のスキルは当てにならない事がつくづく痛感したよ」
その人物とは、こないだアポロにスカウトをかけていた、英雄の導き手のスキルを持った例の優男だった。
なんでも、オレに導き手のスキルを指摘されて以来、各地の成功を納めた人物を、己の目で見極めようと色々な場所を渡り歩いているそうだ。
その結果分かった事は、英雄の導き手のスキルは、個人の才能を測る標にはなるが、それが実際に人生として成功するとは限らないとのことだ。
才能に溢れている人物でも落ちぶれていたり、逆にまったく才能が無いのに大成功していたり、特にピクサスレーンの大店主は、才能の欠片も無いのに都市一番の売り上げをあげているとか。
それ、おやっさんの事じゃ……確かに、おやっさんの商才の無さは折り紙付だからなあ。
こないだも、訳の分からないものを大量に仕入れてきて、大損害を被るところだった。
ラピスが工房で使い道を見つけたから良かったものを……もしかしてあの人、運だけで生きているんじゃ……
「僕のスキルは、まさしく導き手なんだ。才能のある人物を探す事が目的じゃない、才能がある人物を見つけ出し英雄として導いて行かなければならない」
そしてふとエクサリーの方へ熱い視線を投げかける。
「彼女の名は?」
「シャラップ! アレは駄目だぞ! 絶対に駄目だぞっ!」
エクサリーさんはオレのもんだ!
指一本触れさせやしねえ!
「なんだね君は、アポロ君という人が居ながら別の女性にまで懸想しているのかね! まったく、男の風上にも置けないな!」
「ちょっ! おまっ! なんて事言うの!」
「アポロがどうしたの?」
オレ達の騒ぎを聞きつけたエクサリーさんが近寄ってくる。
いやっ! なんでもないんスよ! ほんとに、なんでもないですから!
「君は彼とアポロ君との仲を知らないのかね?」
「おまっ! ちょっと黙ってろ!」
「そういう訳にはいかない、英雄となり得たる人物を、みすみす悪鬼の毒牙に掛ける訳にはいかない。僕には彼女を正しい道へ導いて行く使命がある!」
ねえよそんなもん!
誰が悪鬼だコラ。お前あの時の事、根に持ってるだろ?
「アポロと何かあったの?」
「いやっ、ほらっ、こないだアポロを狙ってたストーカーっすよコイツ!」
「誰がストーカーだね!」
その内アポロ達までやってきて、やれ一緒に寝ただの、ボクは胸を触られただの、有ること無いことエクサリーにチクリ回る。
「胸、触ったの……?」
いやっ、違うんスよ!
アレは、こいつがふざけて抱き付いてくるから、つい。
「つい……?」
うおっ! コワッ!
おい、腰が引けてるぞ導き手。
「美人なのに、なぜか凄い迫力があるね」
ほらスマイル、スマイル。
最近なんか怖い部分が抜けて、いい感じになって来てるじゃないですかぁ。
怒っちゃイヤン。
「クイーズぅううう」
「ヒィイイ!」
◇◆◇◆◇◆◇◆
「ほんと止めてくれよ、うちのエクサリーさん怒らすと怖いんだから」
「いやあ、フロワースより迫力がある女性は始めて見たよ」
あんの腹黒姫と、うちのエクサリーを一緒にしないで貰いたい。
エクサリーはちゃんと可愛いところもあるんだからな。
「いや、フロワースだって可愛いところはある。と信じたい」
願望かよ!
「というかお前、英雄探しに来たんだろ? さっさとどっか行け」
「いや、ここに来た目的は君に会うためだったんだよ」
なんの用だよ?
「僕の国では毎年一度、世界最強を決める大会を開いている。それに君にも是非参加してもらいたくてね」
僕を打ち倒した力を、その場でぜひとも披露して欲しいと言ってくる。
「……それは例の腹黒姫様の提案か?」
「違うよ、これは僕が思いついたんだ。フロワースは何も言っていない」
おめえ、分かってねえな。
腹の黒い奴ってのはな、人を動かすのがとにかくうまい。
決して動かされていると察知されないように事を運ぶ。
そういう奴に動かされている奴は皆言う。俺は自分の意思で行動しているのだとな。
「そんだけ腹の黒い奴が、そんなおいしそうな話をした事無いって事は、お前、動かされているぞ」
0
お気に入りに追加
388
あなたにおすすめの小説
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
【完結】伝説の悪役令嬢らしいので本編には出ないことにしました~執着も溺愛も婚約破棄も全部お断りします!~
イトカワジンカイ
恋愛
「目には目をおおおお!歯には歯をおおおお!」
どごおおおぉっ!!
5歳の時、イリア・トリステンは虐められていた少年をかばい、いじめっ子をぶっ飛ばした結果、少年からとある書物を渡され(以下、悪役令嬢テンプレなので略)
ということで、自分は伝説の悪役令嬢であり、攻略対象の王太子と婚約すると断罪→死刑となることを知ったイリアは、「なら本編にでなやきゃいいじゃん!」的思考で、王家と関わらないことを決意する。
…だが何故か突然王家から婚約の決定通知がきてしまい、イリアは侯爵家からとんずらして辺境の魔術師ディボに押しかけて弟子になることにした。
それから12年…チートの魔力を持つイリアはその魔法と、トリステン家に伝わる気功を駆使して診療所を開き、平穏に暮らしていた。そこに王家からの使いが来て「不治の病に倒れた王太子の病気を治せ」との命令が下る。
泣く泣く王都へ戻ることになったイリアと旅に出たのは、幼馴染で兄弟子のカインと、王の使いで来たアイザック、女騎士のミレーヌ、そして以前イリアを助けてくれた騎士のリオ…
旅の途中では色々なトラブルに見舞われるがイリアはそれを拳で解決していく。一方で何故かリオから熱烈な求愛を受けて困惑するイリアだったが、果たしてリオの思惑とは?
更には何故か第一王子から執着され、なぜか溺愛され、さらには婚約破棄まで!?
ジェットコースター人生のイリアは持ち前のチート魔力と前世での知識を用いてこの苦境から立ち直り、自分を断罪した人間に逆襲できるのか?
困難を力でねじ伏せるパワフル悪役令嬢の物語!
※地学の知識を織り交ぜますが若干正確ではなかったりもしますが多めに見てください…
※ゆるゆる設定ですがファンタジーということでご了承ください…
※小説家になろう様でも掲載しております
※イラストは湶リク様に描いていただきました
婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
ヤケになってドレスを脱いだら、なんだかえらい事になりました
杜野秋人
恋愛
「そなたとの婚約、今この場をもって破棄してくれる!」
王族専用の壇上から、立太子間近と言われる第一王子が、声高にそう叫んだ。それを、第一王子の婚約者アレクシアは黙って聞いていた。
第一王子は次々と、アレクシアの不行跡や不品行をあげつらい、容姿をけなし、彼女を責める。傍らに呼び寄せたアレクシアの異母妹が訴えるままに、鵜呑みにして信じ込んだのだろう。
確かに婚約してからの5年間、第一王子とは一度も会わなかったし手紙や贈り物のやり取りもしなかった。だがそれは「させてもらえなかった」が正しい。全ては母が死んだ後に乗り込んできた後妻と、その娘である異母妹の仕組んだことで、父がそれを許可したからこそそんな事がまかり通ったのだということに、第一王子は気付かないらしい。
唯一の味方だと信じていた第一王子までも、アレクシアの味方ではなくなった。
もう味方はいない。
誰への義理もない。
ならば、もうどうにでもなればいい。
アレクシアはスッと背筋を伸ばした。
そうして彼女が次に取った行動に、第一王子は驚愕することになる⸺!
◆虐げられてるドアマットヒロインって、見たら分かるじゃんね?って作品が最近多いので便乗してみました(笑)。
◆虐待を窺わせる描写が少しだけあるのでR15で。
◆ざまぁは二段階。いわゆるおまいう系のざまぁを含みます。
◆全8話、最終話だけ少し長めです。
恋愛は後半で、メインディッシュはざまぁでどうぞ。
◆片手間で書いたんで、主要人物以外の固有名詞はありません。どこの国とも設定してないんで悪しからず。
◆この作品はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆過去作のヒロインと本作主人公の名前が丸被りしてたので、名前を変更しています。(2024/09/03)
◆9/2、HOTランキング11→7位!ありがとうございます!
9/3、HOTランキング5位→3位!ありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる