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第九章

レベル141 サクラ、ゲットだぜ!

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 とりあえず、蠢いているモンスターに止めを刺していく。
 とはいえ、オレは気持ち悪くて途中でリタイアだ。
 ここに居た冒険者さんに代わって貰った。

 ラピスの奴は最初から避難済みでござる。
 お前、経験値ほしいんだろ? 手伝えよ!

「これほどの力がありながらAランク。やはりピクサスレーンは、とんでもない場所なんだな」
「俺は絶対ピクサスレーンなんかには行かないぞ」

 いやコレは、アクアが特別なだけですよ。
 アクア単体なら、SどころかSSSぐらい。
 お水、とっても怖いです。

 全ての生物は水によって作られ、やがて水によって滅ぼされるんだ。
 あながち間違いでもなさそうで怖い。

 えっ、自分凄かっただろって?
 ほんと夢にまで出そうなレベル。
 マジ勘弁してください。

 これ、風向きが変わったらコッチまで被害出そうで怖い。
 魔法使えるモンスターが居る場合は使っちゃ駄目な奴だな。

「うん、意識も戻ったようだし、もう大丈夫だよ!」
「凄い……あなたは回復魔法のスキル持ちなのですか?」
「ん? そんなものは持っていないね!」

 どうやら、瀕死の重傷を負っていた人も助かった模様。

 まあ、カシュアの聖剣の担い手には、回復魔法強化も入っているらしいし。
 竜王ニースの話では、聖剣の担い手のスキルは、聖剣を持つだけではなく、聖剣を持つにふさわしい資質を向上させるとか。
 回復魔法やら浄化魔法やら、色々おまけがあるそうだ。

「あなたは妹の命の恩人だ! ……もし、お金に困っているのなら、私が出来るだけ力をかそう」
「えっ、別に困ってないけど? なんで?」

 なにやらコッチを睨みながら、カシュアにそんな事を言っている女性がいる。
 なに? オレ何か悪い事したっけ?

「じゃあ何か脅迫でも受けているのか? なんでも言って欲しい、社会的に抹殺するぐらいなら私にでも出来る」

 なにやら恐ろしい事を言っている。
 あっ、これはあれだ。
 オレがラピスとカシュアを囮にして逃げようとしたと誤解しているっぽい。

「別に誤解じゃないですけどねえ」

 むむ、確かに誤解じゃないな。

「人でなし……」

 いやっ! 違うんスよ!
 ほらちょっと、カシュアもなんとか言ってよ。

「クイーズ君は、ボク達を捨てゴマとしか思ってないからね!」
「ほんとひどいお方……」

 お・ま・え・ら~

「いたい! 痛いよ! グリグリは勘弁してください!」

 ほんと誤解なんすよ。
 と言っても、モンスターカードの事を説明する訳にもいかないし……

「……カシュアとラピスは別格。たとえ二人だけでも切り抜ける」

 アポロさんがオレの代わりにそう説明してくれている。
 さすがアポロさん! あんたは天使やあ。

「まあ確かに、無理強いしている雰囲気は無さそうだけど……」

 ハリスと呼ばれていたリーダー役の人がそう答えてくる。

「しかも彼女は本当に強かった。あのボスアーマーがたった一人で瞬殺なんて、未だに夢じゃないかと思っている」
「ボクだって強いんだよ! 彼女の攻撃を受け止めることが出来るのは世界中でボクだけだと思うね!」

 唯一、ドラスレで斬れないものがカシュアの盾と剣だ。おっと鎧もか。
 さすが聖剣セット、ドラスレとタメを張っている。

「それは聞き捨てなりませんね。本当に受け止められるか試して見ましょうか」

 それを聞いてバッとオレの後ろに隠れるカシュア。

「も、ものの例えだよキミィ! 本気にしないでくれないかな!」
「私、先ほどので39レベルになったんですよ。カシュア倒したら40レベルになりませんかね?」
「ええっ! ちょっと目が本気じゃない!? キミ、助けてよ!」

 オレもラピスとカシュアが戦ったらどうなるか見てみたくはあるな。

「そ、そんなぁ!」
「まあ、冗談はそこまでにして、とにかくダンジョンを脱出するか。ほら、また団体さんがお見えになってるぞ」
「冗談じゃなかったんですけどね。ま、あっちを片付けてから考えるとしますか」
「やらないよ! やらないからねっ!」

 お前、そんな事言うと振りになるぞ?

「本当に謝礼はいらないのですか?」

 街のギルドまで帰りついた後、冒険者の人達が謝礼を出したいと言ってきた。
 とはいえ、オレ達は別にお金目的じゃないし、色々装備も壊れていそうだから貰うのは気が引ける。
 どっちにしろ、あのダンジョンのモンスター達は倒す予定だったしな。

「せめて何か受け取ってもらえないと、私達の立場がありません」
「う~ん、それじゃあ、サクラとかやってもらえないかな?」
「は? サクラ……ですか?」

◇◆◇◆◇◆◇◆

「おい、聞いたか、今度の祭りで教会の方でとんでもない催しをするらしいぞ」
「教会が? いや俺は説法には興味ないんだよ」
「そう言わないで! 今回のは説法なんかじゃなくて本当にいいものだから!」

 このお方達は、ここらじゃちょっと有名なSランクパーティ。
 なので、オレ達のバンドを宣伝してもらおうと。
 モノがどんなに良かろうとも、見に来てもらえない事には話にならない。

 この国の教会がある場所は辺鄙なとこで人通りは少ない。
 たった数日間じゃ口コミなんて期待は出来ない。
 全ての商売の原点は、知ってもらう事から始まる。

「ほら、あそこで練習している人達が、なんでもバンド? とか言うものをするらしいのよ」

 そこでオレがギターを取りだしギュィーーン! って掻き鳴らす。

「キャーー! ステキーー!」
「キャー、ステキーって、お前そんなキャラじゃねえだろ?」
「なに言ってんの、あんたらもすんのよ」

「「えっ、マジで?」」
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