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第八章

レベル124

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 えっ、何コレ? 桁がちょっとおかしくね? えっ、あの魔道具、一個兆単位? うそだろおい……
 聖皇国の宝物庫の被害額、とんでもない桁の数字であった。

「こんなもの請求されてみなさいよ。ほんと私が間に合ってよかったわ」

 オネエ言葉になっているぞ骸骨。

「コホン。とにかく主も、多少は周りに気をつけてもらいたいものである」
「そうは言われてもなあ……」

 やらなきゃ、やられてたぞ?

「お坊ちゃま、私、何度も言いましたよね? 必ず護衛を付けろと」

 ああ、うん。聞いた気がする。

「気がする。じゃないでしょ!」
「はひっ!」

 カシュアはどうしたんですか。と言う
 いやアイツ、森ぐらいならボクは必要ないよね! なんて言いながらゴロゴロしてポテチ食ってた。
 あとで泣かす。って呟いている。合掌。

「ところであの子達三人はどうしました? 怪我でもしたのですか?」

 いや、説教聞かすのも悪いかなと思ってカードに戻した。
 オレは三人を召喚しなおす。

「ふむふむ、獣化に幻影ですか」

 ラピスがハーモアの奴に、獣化してみるように言っている。
 ちょっと待て、服脱いでからにしろよ。破れるだろ?
 えっ、召喚し直せばいいじゃないって? そりゃそのとおりですね。

「随分大きいですね。もっと小さくなれないのですか?」

 シュルシュルっと小さくなっていく獣人化娘。
 なにやらラピスが、ポンポンと体を叩いて調べ事をしている。

「お坊ちゃま、カードを見せてください」
「ふむ?」

 獣人化しているときのハーモアのカードの裏面。なにやらパラメーターゲージにプラスで赤いゲージが付け足されている。
 獣人化によるパラメーター増量が分かるのか?
 大きくなったらちょっと短くなった。

「体を大きくすればするほど威力が落ちる。小さければ各能力が上がりますが……スピードは歩幅も影響しますしね」

 体の大きさによって能力値が微妙に変化する訳か。

「元に戻っていいですよ」
「どうだったハーの獣人化!」
「ああ、なんか凛々しくてかっこよかったぞ」
「ほんとに!?」

 嬉しそうにしてオレの腕にしがみついて来る。
 うん、とりあえず召喚しなおそうか。大事なとこが丸見えだぞ。
 ラピスは次にサウの幻影について検証している。

 こちらはまんま立体映像だな。

「人間サイズが限界ですか」

 アリバイ作りにはよさそうだな!
 なんだかレリンが、そんな二人を羨ましそうに見ている。
 大丈夫さ、お前にもすぐスキルが生えてくる。

「でももうレリンは強くならないんでしょ?」
「なんでだよ?」
「だってあの透明なカード使っちゃったから」

 別にそのままでも十分強くなれるさ。ロリドラゴンを見てみろ、あんな成りでも十分強いだろ?

「お坊ちゃま、先ほどちょっと聞き捨てられない台詞があったのですが?」
「だから、小さいままでもレベルを上げれば強くなると」
「その前ですよ」

 ふむ。ああ、

「クリスタルカード使った事か? ゲッフゥウ!」

 おっ、おまっ、主人にボディーブローはないだろう?

「何使っているんですかお坊ちゃま!」

 いやだってピンチだったし?
 またこんなネタカード作って。って、いや意外と使えるかもしれないぞ?
 ちょっと備考欄が邪魔かもしれないが。

「仕方ありません、とりあえずカシュアで試してみますか」

 カシュアで試すのね。あいつも災難だなあ……
 そして呼び出したカシュアに鎧を着せたところ、鎧から黒い霧が現れ、それが全身を包み込み刺青のような紋様に変わる。
 なるほど、鎧部分は普通に防御役で、パワードスーツの本体は黒い刺青か。

 随分見た目が禍々しく成ったな。ブラックプリンセスナイトって感じか?
 おっ、これなんだが、オレの思う通りに動くな。
 なぜだかそのカシュア、オレが思い描いた通りに体を動かす。

 どうやら他人に着せれば遠隔操作が出来る模様。

「私の命令も聞くようですね」
「ちょっとやめてよ! ボクの体で遊ばないでよ! ハッ、さてはキミィ! それを使ってこのナイスバディな体を弄ぶつもりだね!」

 ウザッ。
 お前なんてこうしてくれる。
 ちょっ、ちょっと、ヒギィイイ! そっちには曲がらない、曲がらないからぁああ! と目に涙を溜めている。

「我輩も! 我輩にもやらしてくれたまえ!」
「いやっ! 骸骨はやめてぇええ!」

 骸骨には無理でした。
 どうやら、オレとカード統率を持っているラピスだけのようだ。

「使えそうで使えなさそうですね」
「そう言うなよ、ほらカードの裏面のゲージも伸びてるぞ」

 微増ではあるが。
 ハーモアの時と同じように、ゲージの先に赤い色で長さが増えている。

「微増ですねえ」
「レベルを上げれば増えていくんじゃね」
「ちょっとカシュア、モンスター倒して来なさい」
「ええっ!?」

 心は嫌がっているが体は正直だ。なんて、ラピスに操れているだけだけどね。
 ほら、お坊ちゃまを放置した罰ですよ。なんて蹴られて行ってる。頑張ってくれ。

「どうした骸骨」

 骸骨がジッとパワードスーツのカードを見つめている。

「主の世界には、魔法という物は存在しなかったのであるな」
「空想の産物だとされていたのは確かだな」

 なるほど、なるほど。と頷く。

「ならばあのダンジョンコアの魔封の能力、このパワードスーツの魔法無効、これらは主の影響で有る。と言えない事も無い訳か……」

 そしてさらに、今後、魔法を封じるスキルが多々現れる可能性も有るかもしれぬな。と呟くのであった。
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