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第四章

レベル59 ドラスレ軽量化!

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「出でよ! ドラゴンスレイヤー! と、もいっちょ、ドラゴンスレイヤー! どんどんいくぜ、ドラゴンスレイヤー!」

 こないだブラックドラゴンが暴れた洞窟、非常に硬いが、トロくさいモンスターばかりだった。
 と、いうことはだ。いいドラスレの的でござる。
 こないだの骸骨王戦でも経験値が入って8レベル。残り2レベルを稼ぐべく、モンスター退治をしているところだった。

「しかし、目ぼしいモンスターは見つかりませんね」

 それと、合計レベルが80に達しカードも一枚増えた。
 良さそうなのがいればゲットしようかとも思っている。

 ちなみに、ダチョウの奴にモンスターカードを掲げたが反応しなかった。
 殴ってヒットポイント減らすのも気が引けたので、とりあえず後回しにした。
 暫くは遠出をする予定もないしな。

「骸骨王がハズレだったからな。もっとよく考えてゲットしたほうがいいかも知れない」
「アレはアレで当たりだった気もしますがね」

 まあ、骸骨王のおかげで攻めてきた隣国を撃退出来たのは確かか。
 ちょっとやりすぎた気もしない事もないが。
 とりあえず、何はともあれ今はドラスレだ。

 スキルを持たないドラスレ。
 同じく、スキルを持っていなかったメタルスライムが、10レベルでスキルを会得したという事は、ドラスレも10レベルでスキルが生える可能性大!
 ぜひとも重量軽減、おねシャス!

 格闘家のお姉さんは、とにかくスラミィたんとお話がしたい、と、願っていてああなったので、オレもひたすら、減らせよ体重! の思いでドラスレを落としている。
 早々に9レベルになったので、今か今かとカードのレベルを確認していたところ、ついに来ました! 10レベル!
 裏をひっくり返すと、うっすらと文字が浮かび上がってきている。

 おおっ! キタ! キタキタキタァアア!

 そこにはスキル・重量軽減の文字が!
 ヨッシャアァアア!

『出でよ! ドラゴンスレイヤー!』アンド『重量軽減発動!』

 ――ドスンッ!

「うぉぉおおおお、腕がぁ! 肩がぁああ! いでででで!」

 えっ、なんで? どうして? 確かに重量軽減発動させたよな?
 いや待てよ……総重量が仮に100トンだとしよう。
 重量軽減でどれくらい減るかしらないが、90%軽減したとして10トン。うん、普通に無理だな。

 たとえ、99.9%ダウンだとしても100キロ、なんとか希望が持てるレベル。

 このスキル、使えねえぇええジャン!
 な、なんてこった……
 オレは地面をジーザスと言って殴りつける。

「お坊ちゃま、なんかおまけがあるようですよ」
「ん?」

 ラピスがカードの裏面を見せてくる。そこには――――擬態、の文字が。どうやら二つ同時にスキルが生えた模様。
 えっ、擬態? メタルスライムと同じ奴? えっ、こいつも人間化するの?
 ふと見ると、ドラスレが光ってござる。

 徐々に形を変えていき、そこには――――小さな、まっぱの女の子が立っていた。
 おおっ! ここにきて定番のロリドラゴンですか!
 ちょっと、ドラスレの大きさが足りなかったのか背の高さはオレの半分ぐらい。

 ちっちゃくてチャーミングな美少女である。

 と、その少女の目がオレを捕らえたかと思うと、徐に駆け寄って来る。
 そうだぞ、オレが君のご主人様だ。さあおいで、この腕の中へ。
 ん? その拳なに?

『止まれ!』

 オレの目の前には少女の拳が! ヒィッ!
 えっ、もしかして今、殴られそうに?
 このドラスレ、ボーナスポイントは全部、攻撃力に振ってんだよね。なにせ他の部分に振っても全然意味ないから。 

 そしてそんな攻撃力で殴られでもしたら……オレの頭がはじけちゃうよ!

「コロス、オマエダケハ、ゼッタイニ!」

 歯をむき出しにして、威嚇しながらオレの事を睨んでくる。
 えっ、ラピスたん、これどういう事?

「随分恨まれて居ますねぇ……」
「えっ、なんで?」

 やっぱアレかな? ドラゴンはプライドが高いから、カードにされて使役されるってのが我慢出来ないとか。

「それについては、まあ、ない事もありませんが……問題は剣にした後の話ですかねえ」

 ふむふむ。
 このドラスレを見世物の様に扱って腕自慢大会を開催した。
 そして岩に差したまま外に野ざらし。
 鍛冶屋さん達と一緒に、溶けた鉄にぶっこんだり、金槌でぶっ叩いたり……

 おや? 恨まれるような事しかしてないな。

「コロシテヤルゥウウウ!」
「どっどっど、どうしたらいい。助けてラピえも~ん!」
「誰がラピえも~んですか。これはまずいですね、リアルに殺意が溢れています」

 まあまあ、落ち着きたまえ。
 万が一オレが死ぬと、君も死んじゃうんだよ。
 オレ達は一心同体! 過去の事は水に流して、未来志向でいこうではないか!

 ――ガチンッ!

「ヒィイイ!」

 握手を求めようとしたオレの手を噛み千切ろうとする。
 オレは泣きそうな目でラピスを見つめる。

「ハァ……お坊ちゃまは暫く、その子には近づかないほうがいいですね」
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