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第三章
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『出でよ! ラピス・オブ・アイリスブラッド!』
召喚されたラピスは、瞬時に状況を把握しオレの事を抱きとめてくれる。
「助かったぜラピス!」
「お坊ちゃま! 血だらけじゃないですか!?」
「ああ、コレは全部あいつの血だ」
オレはドラゴンを指差す。
ラピスが差された先を見て首を傾げる。
「……随分スマートな岩竜ですね」
「分かってて言ってるだろ?」
ドラゴンの奴が、頭に刺さっている剣を取り払おうと手で頭を払う。
そしたら剣の柄に手が当たって、そのまま手の動きと一緒にサックリと頭を引き裂いていく。
しょせんはトカゲか……刺さった剣を横に払うとそりゃそうなるわな。
そして地面をのた打ち回るブラックドラゴン。バカな奴。
「すごい切れ味ですね~」
「伊達に竜種特効が付いてないな。それより急に呼んで大丈夫だったか? アポロ達はどうしている?」
「カシュアが今、一生懸命入り口の岩を削ってますよ」
アポロ含む冒険者達は、もう入り口まで付いているそうだ。
しかしながら入り口を阻む岩の除去に苦労しているらしい。
と、思っていたら、入り口の岩から剣が突きだす。
そしてバキバキッと岩にヒビが入っていく。
その直後、突如爆発した!
「ちょっ、ちょっとちょっと、まだボクが居るんだよ! 危ないじゃないか!」
「……邪魔」
「ええっ、みんなボクの扱いひどすぎない?」
もうもうと立ちこめる煙の中からアポロ達が飛び出してくる。
「……!? クイーズ!」
「血だらけじゃないッスか!」
「大丈夫だオレには傷一つ無い、コイツは全部ドラゴンの返り血だ」
続けて冒険者達が駆け込んでくる。
そして皆、目の前で暴れている黒竜を見て驚愕の表情を見せる。
「お、おい、ブラックドラゴンなんて聞いて無いぞ! 岩竜じゃなかったのかよ!」
「こんなの相手にするのかよ! 冗談じゃねえぜ!」
「おい、ギルド長、これ報酬倍は出せよ!」
「良く来てくれた冒険者達! 怪我人を頼む! お前達! すぐさま撤退の準備だ!」
冒険者達を見て、持ち直した姫様が撤退の号令を出す。
「え、結構弱っているみたいですが、倒さないんですかい?」
「見ての通り敵はブラックドラゴン。岩竜など足元にも及ばない強大な敵だ。悔しいが、今の私達の手には負えない……」
「そんな事も無いッスよ。なあみんな」
ああ、そうだな。と頷きあう冒険者達。
「手が……あるのか?」
「ええあれだけ弱ってりゃな、それに、ブラックドラゴンと言えばアレだろ」
「ああアレだよな。よっしゃ盾持ってる奴前並べ! んじゃ魔術師の先生方オナシャス!」
魔術師達から魔法が放たれる。
いや、魔法というより……放水?
ジャバジャバと黒竜に水を掛け始めた。何やってんのぉ?
「アポロちゃんは冷やすのたのまぁ」
「…………任された」
アポロから魔法が放たれる。するとだ! 徐々に黒竜に掛かっている水が凍り始める。
なるほど! 凍り付け作戦か!
ブラックドラゴンはブレスを持たない。魔法攻撃も出来ない。
即ち、体に纏わり付く氷を溶かす手段がない!
そしてトカゲは寒さに弱い。
飛んで逃げようとするが、うまく羽ばたく事が出来ず思ったように上昇しない。
魔術師達を、爪と尻尾で攻撃しようとするが、すかさず盾を持った冒険者達がそれを阻む。
さすがは冒険者! ドラゴンより悪知恵が働くな!
「そこに悪はつかねえだろ!?」
ヨロヨロと、すっかり覇気を無くしたドラゴンが後ずさりする。
するとだ、落ちちゃいました。えっ、どこにって? 後方の穴。
どこまでギャグを見せてくれるんだあのドラゴン。
「っと、チャンスだな! 姫様! 例の黒い奴でオレの剣を真下へ打ち出してください!」
「う、うむ! 任せろ!」
「あと、ねじれます? 回転とか付けた方が威力が上がりますんで」
「やってみよう!」
オレは急いでドラゴンが落ちた穴へ向かう。
『出でよ! ドラゴンスレイヤー!』
ドラゴンの真上にドラスレを召喚。
そのドラスレに、姫様の影が穴の底から延びてきてグルグルと巻き付いていく。
『シャドウスキル! メテオブレイカー!』
姫様がそう叫ぶ。
おっ、咄嗟に考えたにしてはいい名じゃないっすか。
高速回転しながら急スピードで落ちて行くドラスレ。
先端は空気の摩擦で赤く火花が散っている。
それはまるで、一筋の流星のようで、まさしくメテオブレイカー!
――ドゴンッ!
地面に衝突すると同時、すさまじい轟音をたてるドラスレ。
おっとやべえ、このままだとマグマまで掘ってしまうかもしれない。
『戻れ! ドラゴンスレイヤー!』
カードを見るとレベルが上がっていた。
どうやら見事、黒竜を討伐したもよう。
しかも6レベルもだ!
たった一匹で6レベル! さすが大ボス! ブラックドラゴン!
召喚されたラピスは、瞬時に状況を把握しオレの事を抱きとめてくれる。
「助かったぜラピス!」
「お坊ちゃま! 血だらけじゃないですか!?」
「ああ、コレは全部あいつの血だ」
オレはドラゴンを指差す。
ラピスが差された先を見て首を傾げる。
「……随分スマートな岩竜ですね」
「分かってて言ってるだろ?」
ドラゴンの奴が、頭に刺さっている剣を取り払おうと手で頭を払う。
そしたら剣の柄に手が当たって、そのまま手の動きと一緒にサックリと頭を引き裂いていく。
しょせんはトカゲか……刺さった剣を横に払うとそりゃそうなるわな。
そして地面をのた打ち回るブラックドラゴン。バカな奴。
「すごい切れ味ですね~」
「伊達に竜種特効が付いてないな。それより急に呼んで大丈夫だったか? アポロ達はどうしている?」
「カシュアが今、一生懸命入り口の岩を削ってますよ」
アポロ含む冒険者達は、もう入り口まで付いているそうだ。
しかしながら入り口を阻む岩の除去に苦労しているらしい。
と、思っていたら、入り口の岩から剣が突きだす。
そしてバキバキッと岩にヒビが入っていく。
その直後、突如爆発した!
「ちょっ、ちょっとちょっと、まだボクが居るんだよ! 危ないじゃないか!」
「……邪魔」
「ええっ、みんなボクの扱いひどすぎない?」
もうもうと立ちこめる煙の中からアポロ達が飛び出してくる。
「……!? クイーズ!」
「血だらけじゃないッスか!」
「大丈夫だオレには傷一つ無い、コイツは全部ドラゴンの返り血だ」
続けて冒険者達が駆け込んでくる。
そして皆、目の前で暴れている黒竜を見て驚愕の表情を見せる。
「お、おい、ブラックドラゴンなんて聞いて無いぞ! 岩竜じゃなかったのかよ!」
「こんなの相手にするのかよ! 冗談じゃねえぜ!」
「おい、ギルド長、これ報酬倍は出せよ!」
「良く来てくれた冒険者達! 怪我人を頼む! お前達! すぐさま撤退の準備だ!」
冒険者達を見て、持ち直した姫様が撤退の号令を出す。
「え、結構弱っているみたいですが、倒さないんですかい?」
「見ての通り敵はブラックドラゴン。岩竜など足元にも及ばない強大な敵だ。悔しいが、今の私達の手には負えない……」
「そんな事も無いッスよ。なあみんな」
ああ、そうだな。と頷きあう冒険者達。
「手が……あるのか?」
「ええあれだけ弱ってりゃな、それに、ブラックドラゴンと言えばアレだろ」
「ああアレだよな。よっしゃ盾持ってる奴前並べ! んじゃ魔術師の先生方オナシャス!」
魔術師達から魔法が放たれる。
いや、魔法というより……放水?
ジャバジャバと黒竜に水を掛け始めた。何やってんのぉ?
「アポロちゃんは冷やすのたのまぁ」
「…………任された」
アポロから魔法が放たれる。するとだ! 徐々に黒竜に掛かっている水が凍り始める。
なるほど! 凍り付け作戦か!
ブラックドラゴンはブレスを持たない。魔法攻撃も出来ない。
即ち、体に纏わり付く氷を溶かす手段がない!
そしてトカゲは寒さに弱い。
飛んで逃げようとするが、うまく羽ばたく事が出来ず思ったように上昇しない。
魔術師達を、爪と尻尾で攻撃しようとするが、すかさず盾を持った冒険者達がそれを阻む。
さすがは冒険者! ドラゴンより悪知恵が働くな!
「そこに悪はつかねえだろ!?」
ヨロヨロと、すっかり覇気を無くしたドラゴンが後ずさりする。
するとだ、落ちちゃいました。えっ、どこにって? 後方の穴。
どこまでギャグを見せてくれるんだあのドラゴン。
「っと、チャンスだな! 姫様! 例の黒い奴でオレの剣を真下へ打ち出してください!」
「う、うむ! 任せろ!」
「あと、ねじれます? 回転とか付けた方が威力が上がりますんで」
「やってみよう!」
オレは急いでドラゴンが落ちた穴へ向かう。
『出でよ! ドラゴンスレイヤー!』
ドラゴンの真上にドラスレを召喚。
そのドラスレに、姫様の影が穴の底から延びてきてグルグルと巻き付いていく。
『シャドウスキル! メテオブレイカー!』
姫様がそう叫ぶ。
おっ、咄嗟に考えたにしてはいい名じゃないっすか。
高速回転しながら急スピードで落ちて行くドラスレ。
先端は空気の摩擦で赤く火花が散っている。
それはまるで、一筋の流星のようで、まさしくメテオブレイカー!
――ドゴンッ!
地面に衝突すると同時、すさまじい轟音をたてるドラスレ。
おっとやべえ、このままだとマグマまで掘ってしまうかもしれない。
『戻れ! ドラゴンスレイヤー!』
カードを見るとレベルが上がっていた。
どうやら見事、黒竜を討伐したもよう。
しかも6レベルもだ!
たった一匹で6レベル! さすが大ボス! ブラックドラゴン!
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