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第一章

レベル20

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「……随分な自信だね、このカードがあれば、もしかしてそこを脱出が可能だと思っているのかい?」
「どうでしょうかね。無いよりは有ったほうが可能性が上がるのは確かですね」
「ならば、尚の事、これは渡せないね」

 まあ別に、くれなくてもいいけど。普通に取り戻せるし。

「それではせめて、武器と防具ぐらいは頂けませんかね」
「どうしても私の部下になる気はないと?」
「信頼関係が築けない上司はちょっと……」

 不機嫌そうになったその人物は、そうなればこれは用済みだな、と言って、手に持った輪っかを投げつけてくる。

「そいつは使い捨てでな。一つにつき一人だけしか設定できん。おい、その鎧と剣をくれてやれ、餞別だ」
「えっ、コレ結構な掘り出しモンなんですが」
「ずべこべ言うな。私の命令が聞けないのか?」

 隣の兵士さんが、シブシブといった表情で鎧と剣を投げつけてくる。
 よしっ、結構な掘り出し物の装備をゲットだぜ!
 オレはその武器と防具を身に付ける。
 その後すぐに、飛んできた輪っかとチョーカーを剣で斬りつけて壊してやった。

「さてと、それじゃあ、それも返してもらいますか」

『モンスターカード!』

 オレがそう言った瞬間、兵士がもっていたカードが消滅し、オレの目前に3枚のカードが浮かび上がる。

「なにぃ! 貴様!」
「あれ、言ってませんでしたっけ? このカードはどこでも自由に出し入りが可能だって」

 ふふっ、慌てている、慌てているな。
 一泡ふかしてやったぜ!
 とはいえ、これでどうにかなるとは思えないのだが。

「く、クイーズ君とかいったか、そ、そのカードがあれば、ここを脱出する事が可能なのかね?」
「……言おう言おうとしていたのですが、実はこのカード、すべて埋まってしまっているんですよね。なので、これ以上モンスターをゲットする事が出来ません」

 ガビーンって表情を向けてくる王子様。
 面白いんでやめてもらえませんかね?

「フッ、驚かせおって。まあ精々頑張るんだな。おい、魔方陣を止めろ」

 魔方陣の輝きが止まり、その上に居た兵士も消えて居なくなる。
 とたん薄暗くなる部屋の中。

「ど、どどど、どうしたら……」

 慌てふためいた王子様が縋り付いてくる。

「ききき、きみぃ、なんとか、出来ないのかね?」

 なんとかと言われましてもね。
 幸い部屋の中まではモンスターは居ない模様。
 しかし、扉を開けると雪崩れ込んでくる事請け合い。

「とりあえず、明かりとかなんとかなりませんかね?」
「ど、道具は全部、兵士達が持っていたんだ。ボクにはこの剣ぐらいしか……」

 とりあえず王子様、働けないんで、その剣貰っていいですか?

「えっ、いや、この剣は由緒正しい物でね。ボクが王子である証にもなるもので……」
「命あっての物種でしょ?」

 剣を抱いたままイヤイヤって後ずさる。

「きっ、君には、すでに剣があるじゃないか」
「ああ、今から一人召喚しますので、その者に持たせようと思いましてね」

 なんせ呼び出した時は――――レオタード一枚ぽっきりだからな。

『出でよ! ラピス・オブ・アイリスブラッド!』

 オレ達の前に光が集まり、そこにポンと一人の女性が現れた。
 その女性はオレを目にすると、突然抱き付いてきた。

「お坊ちゃま! 心配しました! ご無事で何よりです!」
「いや、そんな大げさな」
「なにが大げさですか! どんだけ心配したと思っているんですか! エクサリーなんて形相がもう人間のソレじゃなくなって居たんですよ!」

 アレはもうオーガか怨霊かってレベルでした。って力説する。
 いや、今そんな力説されてもな。

「いや、あれは怖かったです。まあ、私も表のドラスレ(笑)も無事だったので、命に別状はないと思っていましたが……」

 (笑)って入れてやるなよ。
 アレはアレですごく役に立っているだろ? 武器としてじゃないけど。

「それでも心配で心配で。とにかく何かあれば私を召喚するだろうと、部屋で全裸待機していた次第」

 なぜに全裸?

「だってカードになったら全部脱げちゃうでしょ?」

 いやまあそうだけどさ。
 おやっさんとか入ってきたらどうするんだよ?

 と、そこへ震える指をオレ達の方へ向けて来る王子様。
 コラコラ、人を指差しちゃダメですよ?

「な、な、な、なんて破廉恥なカッコをさせているんだ、君はっ!」

 えっ、そっちですか?
 いやまあこれ、自動的にこうなっちゃうんでしょうがないんですよ。
 とりあえず剣、頂けますかね?

 動揺しているのか素直に剣を差し出してくる王子様。

「鎧は頂けないのでしょうか?」
「お前、そんな成りでもオレより防御力高いだろ?」
「いやまあそうですけど」

 レオタード一枚で戦うのはどうなんですかねって言ってくるラピス。
 いや、オレの前世では、女戦士は基本レオタードだった記憶があるぞ。なぜか。
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