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第一章
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「なんかさあ、おいちゃんの知らないうちにさあ、娘にさあ、男が出来たって噂がさあ、……お前、なんか知らねえか?」
ウスッ、自分、何も知らないッス!
「嘘付けや! だったらなんでそんなに近いんだよっ!」
ここ最近、エクサリーさんとオレは、椅子をピッタリとくっつけて食事をとっていたりする。
偶にあ~んとかしてくれたりも。
甘々な日々を暮らして居たのでござる。
「おいちゃんだって、おいちゃんだって……娘の手作り弁当が食べたいです……」
最近のオレは、とりあえずラピスを20レベルに上げようと頑張っている。
お店の方は、高名な冒険者さんが護衛をしてくれるって言うんで、ラピスもシブシブ付いて来ている。
で、お昼は当然外なのだが、なんと、エクサリーさんがお弁当を作ってくれているのだった。
「言えばいいのに、一個ぐらい増えても手間は一緒」
「ほんとに? ほんとに作ってくれるの!? いやぁうちの娘はまるで女神様だ!」
「大げさ」
最近、神様呼ばわりが流行っているのだろうか。
「で、孫の顔はいつ見れるんだ?」
「「ブッ!」」
オレとエクサリーが同時に拭き出す。
ちょっとおやっさん、急に何言い出すんスか!
オレまだ14歳、結婚どころか成人すらしてないッスよ!
「いや別に、結婚前に子供が出来てるってのはよくある事だろ?」
えっ、そうなの!?
オレは思わずエクサリーをガン見してしまう。
あっ、エクサリーさんの顔から表情が抜け落ちている。コレはヤバイ奴だ。
「うぉっ、相変わらず迫力のある顔だなぁ。よくそんなのでクイーズを落とせたもんだ」
おやっさんヤメテ! もうエクサリーさんの怒りゲージはマックスよ!
ラピスがこっそりと食事を手にして抜け出そうとしている。
オレはそんなラピスの尻尾を思わずムンズと掴む。
「キャッ、なんて事するんですか! いくらお坊ちゃまでも……」
おっ、なんかコレいいな。触り心地がなんというか……フカフカのモフモフやぁ。
「アッ、ンッ、やめっ、……やめろっつってんだろ!」
「いでぇ!」
いやあついつい悪乗りしちゃいましたわぁ。って、アレ?
なんかオレを見るエクサリーの目が……コワイ、怖いよその目。見慣れているはずのオレでも震えが止まらない。
「なに、しているの、」
「えっ、いやっ、そのっ」
「おっ、浮気か? 浮気なのか!?」
やめておやっさん、エクサリーを焚き付けないで!
うっ、私、汚されちゃいましたって、ヨヨヨと泣き崩れるフリをするラピス。お前も悪乗りするな!
「ウサギのしっぽって性感帯だって知っている?」
えっ、マジですか!?
ラピスは尻尾を隠すかのようにお尻に手をやってウンウンと頷いている。
だったら隠しとけよなその尻尾。
「知って、やったの?」
「知らない! 知らなかったッス!」
「今度やったら……」
ウスッ、二度としません!
「そんな事言って、私のフカフカでモフモフな尻尾の虜になったお坊ちゃまは、夜な夜な……」
ええい、だから焚き付けるなって!
やりません! やりませんともぉ!
あっ、でもあの感触は良かったな。ヒィイイ!
などと、そんな騒ぎがあった夜、あまりの寝苦しさに思わず目が覚めた。
つーかイタッ! 何? なにが起きてるのぉ!?
何やら見慣れぬ天井の場所で、猿轡に、手足をロープで縛られているオレが転がっていた。
えっ、もしかして誘拐?
ラピスや護衛の冒険者さん達を掻い潜って?
一生懸命、縄から抜け出そうとするがビクともしない。
ラピスを召喚してみるか?
いや、とりあえず様子を見たほうがいいか。
オレが自由にラピスを召喚出来るのは、いざという時まで隠しておいたほうがいい。
ここに捕らえているって事は、いきなりブスッといく事も無いだろうし。
そんなこんなで夜が明けたようで、何者かに蹴り起こされるオレ。
「夜中に一度目が覚めていたようだったが、この状況で2度寝とは……ずいぶん肝がすわっているな坊主」
「おい、起きろ。確かモンスターカードだったか? モンスターを吸収したり、吸収したモンスターを呼び出したり出来るんだったな」
随分お詳しいようで。
「さっさとそのカードを出せ、全部だ」
その前に、この猿轡はずしてくれませんでしょうか?
「まあいいだろう、どうせ騒いでもどこにも声は聞こえないだろうしな」
だったらしなくていいじゃない?
「あん? ここで騒がれたら、俺らが眠れないだろ?」
なるほど。理に適っていると言えない事もない。
やられたほうは堪らないがな。
とりあえずオレは言われた通り、モンスターカードを出して男達に渡す。
「これで全部だろうな? 隠していると為にならんぞ」
ええ全部ですよ。ただしそのカード、こっちで自由に再召喚できますがね。
まあもちろん、そんな事は言わないが。
「これがアレか、どんなモンスターですら一撃で屠ると言う」
「まさしく切り札(カード)って奴か」
なんか勘違いしてございませんか? カードは普通にカードでございますよ?
ウスッ、自分、何も知らないッス!
「嘘付けや! だったらなんでそんなに近いんだよっ!」
ここ最近、エクサリーさんとオレは、椅子をピッタリとくっつけて食事をとっていたりする。
偶にあ~んとかしてくれたりも。
甘々な日々を暮らして居たのでござる。
「おいちゃんだって、おいちゃんだって……娘の手作り弁当が食べたいです……」
最近のオレは、とりあえずラピスを20レベルに上げようと頑張っている。
お店の方は、高名な冒険者さんが護衛をしてくれるって言うんで、ラピスもシブシブ付いて来ている。
で、お昼は当然外なのだが、なんと、エクサリーさんがお弁当を作ってくれているのだった。
「言えばいいのに、一個ぐらい増えても手間は一緒」
「ほんとに? ほんとに作ってくれるの!? いやぁうちの娘はまるで女神様だ!」
「大げさ」
最近、神様呼ばわりが流行っているのだろうか。
「で、孫の顔はいつ見れるんだ?」
「「ブッ!」」
オレとエクサリーが同時に拭き出す。
ちょっとおやっさん、急に何言い出すんスか!
オレまだ14歳、結婚どころか成人すらしてないッスよ!
「いや別に、結婚前に子供が出来てるってのはよくある事だろ?」
えっ、そうなの!?
オレは思わずエクサリーをガン見してしまう。
あっ、エクサリーさんの顔から表情が抜け落ちている。コレはヤバイ奴だ。
「うぉっ、相変わらず迫力のある顔だなぁ。よくそんなのでクイーズを落とせたもんだ」
おやっさんヤメテ! もうエクサリーさんの怒りゲージはマックスよ!
ラピスがこっそりと食事を手にして抜け出そうとしている。
オレはそんなラピスの尻尾を思わずムンズと掴む。
「キャッ、なんて事するんですか! いくらお坊ちゃまでも……」
おっ、なんかコレいいな。触り心地がなんというか……フカフカのモフモフやぁ。
「アッ、ンッ、やめっ、……やめろっつってんだろ!」
「いでぇ!」
いやあついつい悪乗りしちゃいましたわぁ。って、アレ?
なんかオレを見るエクサリーの目が……コワイ、怖いよその目。見慣れているはずのオレでも震えが止まらない。
「なに、しているの、」
「えっ、いやっ、そのっ」
「おっ、浮気か? 浮気なのか!?」
やめておやっさん、エクサリーを焚き付けないで!
うっ、私、汚されちゃいましたって、ヨヨヨと泣き崩れるフリをするラピス。お前も悪乗りするな!
「ウサギのしっぽって性感帯だって知っている?」
えっ、マジですか!?
ラピスは尻尾を隠すかのようにお尻に手をやってウンウンと頷いている。
だったら隠しとけよなその尻尾。
「知って、やったの?」
「知らない! 知らなかったッス!」
「今度やったら……」
ウスッ、二度としません!
「そんな事言って、私のフカフカでモフモフな尻尾の虜になったお坊ちゃまは、夜な夜な……」
ええい、だから焚き付けるなって!
やりません! やりませんともぉ!
あっ、でもあの感触は良かったな。ヒィイイ!
などと、そんな騒ぎがあった夜、あまりの寝苦しさに思わず目が覚めた。
つーかイタッ! 何? なにが起きてるのぉ!?
何やら見慣れぬ天井の場所で、猿轡に、手足をロープで縛られているオレが転がっていた。
えっ、もしかして誘拐?
ラピスや護衛の冒険者さん達を掻い潜って?
一生懸命、縄から抜け出そうとするがビクともしない。
ラピスを召喚してみるか?
いや、とりあえず様子を見たほうがいいか。
オレが自由にラピスを召喚出来るのは、いざという時まで隠しておいたほうがいい。
ここに捕らえているって事は、いきなりブスッといく事も無いだろうし。
そんなこんなで夜が明けたようで、何者かに蹴り起こされるオレ。
「夜中に一度目が覚めていたようだったが、この状況で2度寝とは……ずいぶん肝がすわっているな坊主」
「おい、起きろ。確かモンスターカードだったか? モンスターを吸収したり、吸収したモンスターを呼び出したり出来るんだったな」
随分お詳しいようで。
「さっさとそのカードを出せ、全部だ」
その前に、この猿轡はずしてくれませんでしょうか?
「まあいいだろう、どうせ騒いでもどこにも声は聞こえないだろうしな」
だったらしなくていいじゃない?
「あん? ここで騒がれたら、俺らが眠れないだろ?」
なるほど。理に適っていると言えない事もない。
やられたほうは堪らないがな。
とりあえずオレは言われた通り、モンスターカードを出して男達に渡す。
「これで全部だろうな? 隠していると為にならんぞ」
ええ全部ですよ。ただしそのカード、こっちで自由に再召喚できますがね。
まあもちろん、そんな事は言わないが。
「これがアレか、どんなモンスターですら一撃で屠ると言う」
「まさしく切り札(カード)って奴か」
なんか勘違いしてございませんか? カードは普通にカードでございますよ?
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