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第一章
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「いやいや待て待て、それってもしかして、オレの知らない事まで知ってたりしないよな?」
「どうしてそう思うのですか? お坊ちゃまの知識と私の知識はまったくの別物ですよ」
ラピスが言うには、レベルが上がって知能が増える度に知識が広まっていくらしい。
「それってお前……間接的に天啓のスキルじゃねえか」
ちなみに、ラピスのパラメータに振れるボーナスポイントは、昔と変わらず知能に全振りでござる。
こういうのは中途半端にばらけさすより、一部に特化させるほうが役に立つ場合が多い。
「モンスターカードのスキル自体が、異世界のシステムで出来てますからね。そういう事もあるんじゃないでしょうか」
「あるんじゃないでしょうかって……つーことはお前、レベル上げて知能上がったら、異世界の物が再現出来るって事か」
「どうでしょうかね。自動車やヘリコプターなんて、いったい、いくつレベルが必要になるか。カンストしても無理かもしれませんよ」
いや、そこまでいかなくてももっと簡単な物も有るだろ?
「洗剤、とかでしょうか?」
「石鹸じゃなく?」
「石鹸は意外に難しいのですよ。化学薬品が無いとなかなか綺麗に汚れがとれませんし、固形にするのも手間ですし」
でもそんな洗剤とか売りに出せば儲かるんじゃね?
「無理でしょうね。この世界では天啓のスキル持ちにより、お坊ちゃま以外の世界からも技術が入って来ています。石鹸とか洗剤にしても、値段は張るようですが、ずっといい性能の物もあります」
結局量を捌けられなければ、お坊ちゃまの世界の品物も高額品になるでしょうしね。と付け加える。
「そうだよな。仮に安く作れたとしても、それらの品も対抗して安くされたら投資分がまるまる損になる」
「自動車やヘリコプターぐらいのインパクトがあれば話は別でしょうがね」
それにはまず、ガソリンを作らないとなあ。
つーかガソリン出来たら、それだけで普通に武器になりそうな気もする。
「石油がこの世界にもあればいいんですけどねえ」
「とにかくお前、レベル上げて知能伸ばせよ」
「別に私じゃなくても、そろそろ3枚目のカードも使いましょうよ」
3枚目かあ……しかし、コレを使ってしまうと打ち止めになってしまうんだよなあ。
相変わらずカードの枚数は増えやしない。
「スライム、とかどうでしょうか」
「なんでまたスライムなんだよ?」
「スライムは意外と知能が高いのではないか、という学説もあります」
スライムには脳という器官が存在しない。
即ち、本能のみで生きている、はずなのだが。
この行動はどうみても知能がある、としか思えないものばかり。
ダンジョンの迷路を覚え、餌の豊富な場所、自分の住処などへの行き来は、道筋を記憶しているとしか思えない。
戦闘においても、戦場や敵の種類により攻撃法方を変える、などは、知能が有る存在の行動ではなかろうか。
人間に飼いならされたスライムは、人の言葉を理解しているかのように、ちゃんと言う事を聞いて行動したりもする。
そんなスライムに、実際に脳という器官が出来たなら……
「なるほどな、確かに前世でも、単細胞であるスライムのような菌の一種が、迷路を最短経路でクリアするなんてのがあったな」
確かなんだったっけアレ、細胞レベルで記憶して、尚且つ、別の細胞にまで情報伝達するとか?
「試してみる価値はあるな……しかし、武器や防具になってしまうと……」
スライム製の鎧、役に立つのだろうか?
あれか、装備した者を徐々に溶かすとか? 呪われてんジャン!
「スライムのレア種に、メタルスライムなんていう者が居ます」
ほうほう、メタルスライムであれば、万が一装備品になっても硬くて軽い素材となる。
スライムぐらいの重さって、ほぼないに等しい。
それなのに鉄なみの防御力を誇る。
なるほど、いいなソレ!
よし、さっそくメタルスライムゲットしに行くぞ!
などと、張り切ってダンジョンに向かったのだが……
「居やしねえ……」
影も形も見当たらない。
レアモンスターって、どうでもいい時は結構出るのに、いざ探すとなるとほんと見つからないよな。
これが所謂、物欲センサーって奴なんだろうか?
そもそもダンジョンにはスライム自体がそんなに多く居ない。
かといって草原ではレア種がほとんど見受けられない。
メタル種なんて草原では見かけた事すらない。
本日も収穫なくトボトボと店に戻るオレ。
「どこに行ってたの?」
そんなオレを目ざとく見つけたエクサリーが問いかけてくる。
「いや、ちょっとダンジョンに……」
「まだそんな危険な事しているの? もう冒険者なんてしなくていいのに」
そんな事言っても、ラピスのレベルも上げないといけないし。
「上げてどうするの? ねえ、私達とこのまま、この店で暮らしていくのは嫌なの?」
なんて事を聞いてくる。
「クイーズはいつか、ここから、出て行くの?」
そんなつもりはない。ないはずだ。
「どうしてそう思うのですか? お坊ちゃまの知識と私の知識はまったくの別物ですよ」
ラピスが言うには、レベルが上がって知能が増える度に知識が広まっていくらしい。
「それってお前……間接的に天啓のスキルじゃねえか」
ちなみに、ラピスのパラメータに振れるボーナスポイントは、昔と変わらず知能に全振りでござる。
こういうのは中途半端にばらけさすより、一部に特化させるほうが役に立つ場合が多い。
「モンスターカードのスキル自体が、異世界のシステムで出来てますからね。そういう事もあるんじゃないでしょうか」
「あるんじゃないでしょうかって……つーことはお前、レベル上げて知能上がったら、異世界の物が再現出来るって事か」
「どうでしょうかね。自動車やヘリコプターなんて、いったい、いくつレベルが必要になるか。カンストしても無理かもしれませんよ」
いや、そこまでいかなくてももっと簡単な物も有るだろ?
「洗剤、とかでしょうか?」
「石鹸じゃなく?」
「石鹸は意外に難しいのですよ。化学薬品が無いとなかなか綺麗に汚れがとれませんし、固形にするのも手間ですし」
でもそんな洗剤とか売りに出せば儲かるんじゃね?
「無理でしょうね。この世界では天啓のスキル持ちにより、お坊ちゃま以外の世界からも技術が入って来ています。石鹸とか洗剤にしても、値段は張るようですが、ずっといい性能の物もあります」
結局量を捌けられなければ、お坊ちゃまの世界の品物も高額品になるでしょうしね。と付け加える。
「そうだよな。仮に安く作れたとしても、それらの品も対抗して安くされたら投資分がまるまる損になる」
「自動車やヘリコプターぐらいのインパクトがあれば話は別でしょうがね」
それにはまず、ガソリンを作らないとなあ。
つーかガソリン出来たら、それだけで普通に武器になりそうな気もする。
「石油がこの世界にもあればいいんですけどねえ」
「とにかくお前、レベル上げて知能伸ばせよ」
「別に私じゃなくても、そろそろ3枚目のカードも使いましょうよ」
3枚目かあ……しかし、コレを使ってしまうと打ち止めになってしまうんだよなあ。
相変わらずカードの枚数は増えやしない。
「スライム、とかどうでしょうか」
「なんでまたスライムなんだよ?」
「スライムは意外と知能が高いのではないか、という学説もあります」
スライムには脳という器官が存在しない。
即ち、本能のみで生きている、はずなのだが。
この行動はどうみても知能がある、としか思えないものばかり。
ダンジョンの迷路を覚え、餌の豊富な場所、自分の住処などへの行き来は、道筋を記憶しているとしか思えない。
戦闘においても、戦場や敵の種類により攻撃法方を変える、などは、知能が有る存在の行動ではなかろうか。
人間に飼いならされたスライムは、人の言葉を理解しているかのように、ちゃんと言う事を聞いて行動したりもする。
そんなスライムに、実際に脳という器官が出来たなら……
「なるほどな、確かに前世でも、単細胞であるスライムのような菌の一種が、迷路を最短経路でクリアするなんてのがあったな」
確かなんだったっけアレ、細胞レベルで記憶して、尚且つ、別の細胞にまで情報伝達するとか?
「試してみる価値はあるな……しかし、武器や防具になってしまうと……」
スライム製の鎧、役に立つのだろうか?
あれか、装備した者を徐々に溶かすとか? 呪われてんジャン!
「スライムのレア種に、メタルスライムなんていう者が居ます」
ほうほう、メタルスライムであれば、万が一装備品になっても硬くて軽い素材となる。
スライムぐらいの重さって、ほぼないに等しい。
それなのに鉄なみの防御力を誇る。
なるほど、いいなソレ!
よし、さっそくメタルスライムゲットしに行くぞ!
などと、張り切ってダンジョンに向かったのだが……
「居やしねえ……」
影も形も見当たらない。
レアモンスターって、どうでもいい時は結構出るのに、いざ探すとなるとほんと見つからないよな。
これが所謂、物欲センサーって奴なんだろうか?
そもそもダンジョンにはスライム自体がそんなに多く居ない。
かといって草原ではレア種がほとんど見受けられない。
メタル種なんて草原では見かけた事すらない。
本日も収穫なくトボトボと店に戻るオレ。
「どこに行ってたの?」
そんなオレを目ざとく見つけたエクサリーが問いかけてくる。
「いや、ちょっとダンジョンに……」
「まだそんな危険な事しているの? もう冒険者なんてしなくていいのに」
そんな事言っても、ラピスのレベルも上げないといけないし。
「上げてどうするの? ねえ、私達とこのまま、この店で暮らしていくのは嫌なの?」
なんて事を聞いてくる。
「クイーズはいつか、ここから、出て行くの?」
そんなつもりはない。ないはずだ。
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