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第75話 対キャッスルゴーレム戦
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それは随分深い螺旋階段を下った先にあった。
「こんな地下に……城?」
まるで地下帝国がごとき様で、天井は淡く輝き目の前にある古城を照らしだしている。
ここに来る前、2階層の突き抜けの広間に、変幻自在に姿を変える巨大な精霊らしきものと戦闘を行った。
オレ達はてっきりこいつがラスボスかと思って全力を持って戦いに挑んだ。
オレとフォルテが後方から支援するのにあわせ、神器組みが一斉に襲い掛かる。
それ以外の人はひたすら防衛に徹した結果、1時間もせずに決着がついた。
その部屋にはボス部屋らしく金銀財宝が大量にあり、みなこれでダンジョン攻略達成だと喜んでいた。
しかしながら、だ。いつもあるダンジョン攻略おめでとうのウインドウが立ち上がらない。
レベルアップしたばっかだから経験値が足りないとか? いやでも神器はくれないとおかしいよな? って赤外線スコープで辺りを散策していたところ、地面の一部が光っている。
そこでオレは、その光ってる部分に向かって成型炸薬弾をぶっぱなしてみた。
すると、だ。煙が晴れた先には階段がみえるじゃぁありませんか。
言ってからやれよっ! って拳骨を貰いながらオレはその階段を降りていく。
そして最下層まで降りた後、扉を開くとそこには、広大な空間に巨大な古城が建っている場所に辿り着いたのだった。
城の中には無数のモンスターが見える。魔王でも居るんかいな?
そう思いながら望遠スコープであちこちを見て回る。
「どうしますか王子?」
「先があるということは、まだダンジョン攻略ではないのだろう……」
「あ、あの~、戻りません? また魔王とか居たらひとたまりもありませんよ?」
姫様の侍女のモルスさんがそう提案してくる。
確かに、あの魔王とはいわずとも魔界の住人が1人でもいたら全滅は必至。
ここは退去した方がいいかもしれない。
「魔王が居る、とは限りません」
と、シュマお嬢様が指を挿す。
「セイジ、あそこを狙って先ほどの爆裂魔法をお願いします」
指差す先は王城の天辺、一本の旗が立っている場所だ。
攻撃していいんスか? 魔王なお方がすっとんで来ませんか?
えっ、そのときはひたすら逃げる?
でもこの螺旋階段、下から狙われ放題じゃないっすか?
「ずべこべ言わずにやっちゃいなさい!」
「ウスッ!」
『装填・成型炸薬弾!』
あっ、しまった。成型炸薬弾だと、旗じゃ爆発しないんじゃ。
撃った瞬間そう思ったが、それは杞憂だった。なにせその旗、超硬かった。
着弾と同時、爆発が広がる。煙が収まった後は……ちょっと旗に穴が空いただけだった。
「やはりそうよ、アレは……キャッスルゴーレム。城のゴーレムよ!」
「おおっ! あの、幻のっ!」
なんかシュマお嬢様とライラックが随分興奮されて候。
「キャッスルゴーレム? 聞いたことありやすかい?」
「ありませんわね」
シュマお嬢様のお話では、なんかマイナーな冒険譚に出てくるお話で、城の姿をしたゴーレムが居るんだと。
で、そのゴーレム、弱点は城の中心にあるコアなんだが、それとは別に旗もまた弱点の一部とか。
なんでもその旗が目の機能を持っているらしい。
その為、一件普通の布に見えて鋼鉄より硬いとか。普通の魔法ではびくともしないんだと。
「さあセイジ、どんどんやっちゃいなさい」
でもねお嬢様、お城の目を潰したとして、そのお城に住んでいるモンスターはどうするんすか。
なんかすげ~数がこっちに向かって来てるんですが。
「あれは……数千はいるぞ!」
「マジかよっ!?」
「セイジ! チョコバー!」
「ウスッ!」
オレはチョコバーとバナナをシュマお嬢様や王子様に預ける。
それを口に銜えながら魔法を連発するおふた方。
「魔法だけではキリがねえぞ!」
そうだ!
「ん? これを投げろって?」
オレは屈強な前衛の方々に手榴弾を手渡す。
前衛の人が投げた手榴弾がモンスターどもを吹き飛ばす。
「こりゃすげ~ぜ! 投げるだけだから剣士だろうがタンクだろうがかんけ~ねえやな」
なんせ手榴弾は、もっとも手軽で危険な爆発ブツ。女性であろうとも、子供であろうとも、手さえあれば十分な殺傷力を備える事が出来る。
しかも、投げればいいだけだから熟練度も必要ない。
筋肉マンに手渡せば、そこんじょそこらの魔法より使えたりするのではないか。
「俺、魔法って憧れてたんだよな……でもほら、適正なかったし」
タンクさんがしんみりと呟いてござる。
手榴弾を魔法といっていいものだろうか? いや、魔法で手榴弾が出来てるからいいのか?
「あっしにも、やらせてもらってよろしくて?」
スカウトさんまでそう言ってくる。
防衛・補助役の皆さんは大層欲求不満が溜まっていたご様子。嬉々として投げてござる。
えっ、お嬢様もやる? 魔法があるじゃ? ああ、魔力尽きましたか。はいどうぞ。
固まってこっちに向かって来るので面白いようにバタバタ倒れていくモンスター達。
げぷっ、そろそろオレのお腹もいっぱいっす。
もう魔力の回復が出来ないな。えっ、なんスかその指? えっ、突っ込むの!? いやぁあ、らめぇえええ!
「こんな地下に……城?」
まるで地下帝国がごとき様で、天井は淡く輝き目の前にある古城を照らしだしている。
ここに来る前、2階層の突き抜けの広間に、変幻自在に姿を変える巨大な精霊らしきものと戦闘を行った。
オレ達はてっきりこいつがラスボスかと思って全力を持って戦いに挑んだ。
オレとフォルテが後方から支援するのにあわせ、神器組みが一斉に襲い掛かる。
それ以外の人はひたすら防衛に徹した結果、1時間もせずに決着がついた。
その部屋にはボス部屋らしく金銀財宝が大量にあり、みなこれでダンジョン攻略達成だと喜んでいた。
しかしながら、だ。いつもあるダンジョン攻略おめでとうのウインドウが立ち上がらない。
レベルアップしたばっかだから経験値が足りないとか? いやでも神器はくれないとおかしいよな? って赤外線スコープで辺りを散策していたところ、地面の一部が光っている。
そこでオレは、その光ってる部分に向かって成型炸薬弾をぶっぱなしてみた。
すると、だ。煙が晴れた先には階段がみえるじゃぁありませんか。
言ってからやれよっ! って拳骨を貰いながらオレはその階段を降りていく。
そして最下層まで降りた後、扉を開くとそこには、広大な空間に巨大な古城が建っている場所に辿り着いたのだった。
城の中には無数のモンスターが見える。魔王でも居るんかいな?
そう思いながら望遠スコープであちこちを見て回る。
「どうしますか王子?」
「先があるということは、まだダンジョン攻略ではないのだろう……」
「あ、あの~、戻りません? また魔王とか居たらひとたまりもありませんよ?」
姫様の侍女のモルスさんがそう提案してくる。
確かに、あの魔王とはいわずとも魔界の住人が1人でもいたら全滅は必至。
ここは退去した方がいいかもしれない。
「魔王が居る、とは限りません」
と、シュマお嬢様が指を挿す。
「セイジ、あそこを狙って先ほどの爆裂魔法をお願いします」
指差す先は王城の天辺、一本の旗が立っている場所だ。
攻撃していいんスか? 魔王なお方がすっとんで来ませんか?
えっ、そのときはひたすら逃げる?
でもこの螺旋階段、下から狙われ放題じゃないっすか?
「ずべこべ言わずにやっちゃいなさい!」
「ウスッ!」
『装填・成型炸薬弾!』
あっ、しまった。成型炸薬弾だと、旗じゃ爆発しないんじゃ。
撃った瞬間そう思ったが、それは杞憂だった。なにせその旗、超硬かった。
着弾と同時、爆発が広がる。煙が収まった後は……ちょっと旗に穴が空いただけだった。
「やはりそうよ、アレは……キャッスルゴーレム。城のゴーレムよ!」
「おおっ! あの、幻のっ!」
なんかシュマお嬢様とライラックが随分興奮されて候。
「キャッスルゴーレム? 聞いたことありやすかい?」
「ありませんわね」
シュマお嬢様のお話では、なんかマイナーな冒険譚に出てくるお話で、城の姿をしたゴーレムが居るんだと。
で、そのゴーレム、弱点は城の中心にあるコアなんだが、それとは別に旗もまた弱点の一部とか。
なんでもその旗が目の機能を持っているらしい。
その為、一件普通の布に見えて鋼鉄より硬いとか。普通の魔法ではびくともしないんだと。
「さあセイジ、どんどんやっちゃいなさい」
でもねお嬢様、お城の目を潰したとして、そのお城に住んでいるモンスターはどうするんすか。
なんかすげ~数がこっちに向かって来てるんですが。
「あれは……数千はいるぞ!」
「マジかよっ!?」
「セイジ! チョコバー!」
「ウスッ!」
オレはチョコバーとバナナをシュマお嬢様や王子様に預ける。
それを口に銜えながら魔法を連発するおふた方。
「魔法だけではキリがねえぞ!」
そうだ!
「ん? これを投げろって?」
オレは屈強な前衛の方々に手榴弾を手渡す。
前衛の人が投げた手榴弾がモンスターどもを吹き飛ばす。
「こりゃすげ~ぜ! 投げるだけだから剣士だろうがタンクだろうがかんけ~ねえやな」
なんせ手榴弾は、もっとも手軽で危険な爆発ブツ。女性であろうとも、子供であろうとも、手さえあれば十分な殺傷力を備える事が出来る。
しかも、投げればいいだけだから熟練度も必要ない。
筋肉マンに手渡せば、そこんじょそこらの魔法より使えたりするのではないか。
「俺、魔法って憧れてたんだよな……でもほら、適正なかったし」
タンクさんがしんみりと呟いてござる。
手榴弾を魔法といっていいものだろうか? いや、魔法で手榴弾が出来てるからいいのか?
「あっしにも、やらせてもらってよろしくて?」
スカウトさんまでそう言ってくる。
防衛・補助役の皆さんは大層欲求不満が溜まっていたご様子。嬉々として投げてござる。
えっ、お嬢様もやる? 魔法があるじゃ? ああ、魔力尽きましたか。はいどうぞ。
固まってこっちに向かって来るので面白いようにバタバタ倒れていくモンスター達。
げぷっ、そろそろオレのお腹もいっぱいっす。
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