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5章 冒険者初級編
外伝小話その1 受付嬢ユニの憂鬱
しおりを挟む「それではお預かりいたしますね」
私がこの倉庫で働き始めてどのくらいの年月が経っただろうか。
ギルドの受付嬢にあこがれてギルド職員になったのは良いものの、その中でも目立たない持ち場ナンバーワンの倉庫の受付に回されるとは運が無かった。
いつかきっと、ギルド受付への栄転を果たしてやる――!
その為にもこんな子供でも出来るような仕事であっても、笑顔を絶やさずに立派にこなしてみせるのだ。
『これも全て上司へのアピールの為っ!』
日頃の業務は意外と見られているものなのだから、一瞬足りとも気が抜けない。
たまたま気を抜いているところを上司に見られようものなら……考えただけでも恐ろしい。
だから布団を預けに来るよく分からない奴にも、笑顔を絶やさずに対応するのだ。
……本当になんでだろう。
◆◇◆◇
「ユニ君の日頃の仕事ぶりを評価して、ギルドの受付へ推薦しておいたよ。早速今日から頑張ってくれたまえ」
「はい! ありがとうございます!」
神は見ていた……いや、上司はちゃんと見てくれていたのだ!
私の日々の頑張りを……!
どうやら話を聞くに、あの女装で有名なルリア先輩が冒険者になるというので枠が空いたらしい。
しかも、そのきっかけを作ったのがそのパーティーのリーダーでもある『布団男』だというから驚きだ。
――人生とは分からないものである。
何はともあれ、私は夢の受付嬢へと栄転することができたのだ。
あの時は変なやつだと思っていたけれど、少しばかり感謝しておくことにする。
『受付に来た時は、少し優しくしておこう』
私の名前が刻まれたネームプレートをテーブルに置きながら、そっと心に留めておくのであった。
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