お布団から始まる異世界転生 ~寝ればたちまちスキルアップ、しかも回復機能付き!?~

雨杜屋敷

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5章 冒険者初級編

第64話 パーティ結成!

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 それぞれの料理が運ばれてきて、ひとまずは料理を楽しむことにする。

 俺の前に運ばれてきたのは、肉汁溢れんばかりのステーキとライスのセットだった。

 料理に詳しくないので、あっているかは分からないが黒胡椒のようなものが効いていて、好きな味付けだった。

 ライスの上に肉をドロップして肉汁をライスに吸わせてから肉を口に放りこみ、その後すぐにそのライスもかきこんで一緒に食す。

 テーブルマナー的には良くないのかもしれないが、こんな場所で指摘してくる人もいないだろうという事で、気にせず食事を楽しんだ。

 スーの元には川魚の塩焼きのようなものが二串、フレイシーの元には肉団子付きのミートソーススパゲティが届けられていた。

 ルリアの元には注文通りのパフェが届いたが、二リットルのペットボトルくらいの高さのあるグラスに盛りに盛られている。
 これを一人で食べるのか……と少し引く。

 キリーカの元にはピラフのようなものが届いた。
 最初は不安そうに一口目を食べていたが、美味しそうに続けて食べていたのでこちらとしても安心した。

 それぞれが食事を楽しんだ後、俺たちは本題へと移った。

「んで、それぞれの冒険者感というか……どういった活動をしていきたいかってのを擦り合わせしておきたいんだけど」

「じゃあまずは俺様からだな。冒険者としての活動としては、戦闘がある仕事ならやりがいはあるが……そうだな、俺様の美しさに磨きがかかるものなら何でも良い。それが依頼者へと伝わるのであれば尚良い」

「……いまいち分からない部分もあったけど、つまるところ大きくこだわりがあるという訳ではないってことです?」

「そうだな。しかしながら、長期の旅ばかりをするというのはご遠慮願いたい。定期的に街でメンテナンスや美の手入れを行いたいからね」

 メンテナンスとは、きっと武具の事だけでないのだろう。

「それなら俺も、この街を拠点として活動していくっていう方向性が良いと思っているので、ちょうどいいと思いますよ」

「そうか、それならば俺様にはもってこいのパーティーというわけだ」

 フレイシーは両肘をテーブルについて、手に顎を乗せ口角を少し上げながら言う。
 いちいちポーズをキメてくるが、きっと本人なりのこだわりがあるのだろう。
 迷惑には感じない範囲なので、もう気にしない事にした。

「そうですね。他のみんなはどうかな?」

 みんなの方を見渡すと、スーが真っ先に口を開いた。

「スーはたまに冒険が出来ればそれでいいにゃ。あとはそれなりに生きていけるだけの仕事が出来てればいいかな? 何にせよ、楽しくやれるのが一番!」

 続けて、甘いデザートを食べ終わってご満悦そうなルリアが口を開く。

「ボクは、この街を拠点にしてくれるのなら方針はお任せするよ。それに、レイちゃんが一緒なら――」
「キリーカはどうだ?」
「レイちゃん⁉」

 おふざけモードに入りそうになるルリアの話を遮り、キリーカの意見を聞こうと声をかける。

「わ、わたしも……この街を拠点としてもらえたほうが嬉しい、です。ただ、外の世界を見てみたい……気はします」

 水の入ったグラスを両手で包み込み親指をもじもじとさせながら、キリーカが発現する。

「まとめると、この街を拠点に長期の冒険は控えめにして、冒険者の仕事だけで生きていけるくらいには仕事はする。こんな感じで大丈夫かな?」

「OKだ」
「問題無いにゃ」
「だいじょぶだよー」
「だ、大丈夫……です」

 全員から了承を得て、無事話し合いが終わる。
 思いの外すぐにまとまって良かったと感じる。

「それじゃあ改めて、パーティー結成ということで、みんなこれからよろしく」
「ついに俺様の美しい冒険譚が幕を開けるのだな」
「よろしくにゃー、えへへ」
「改めてよろしくねー」
「よ、よろしくお願いしまひゅ……あぅ」

 こうして、なんとも個性的な面々が揃った冒険者パーティーが結成されたのだった。

「ところで、リーダーは誰がやるにゃ?」
「え、レイちゃんでしょ?」
「え゛」
「お兄様がやると思ってました……」
「俺様は面倒なことはしない主義だ、任せたぞ」
「ちなみにスーはまとめ役とか無理だからパスするよー」

 ……え?
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