お布団から始まる異世界転生 ~寝ればたちまちスキルアップ、しかも回復機能付き!?~

雨杜屋敷

文字の大きさ
上 下
28 / 80
3章 異世界技能編

第28話 スキル

しおりを挟む
 猫耳の女の子が渡してくれた本はとても読みやすく、イラストも書かれていたりして分かりやすかった。
 しばらく読み進めていくと、おおまかな説明と、一般的なスキルの種類が紹介されていた。

 スキルは、まず大まかな分類として『戦闘系』・『魔法系』・『職人系』・『耐性系』の"四大技能"に分けられ、その中でさらに細かく枝分かれし、派生スキルが多数存在するようだ。

 まず分かりやすいのが『戦闘系』で、戦いに特化したスキルがここに分類される。例えばキリーカが持っていた弓術や、剣術・槍術・斧術・格闘術などがこれに当たる。

 次に、『魔法系』は『戦闘系』と異なり、『マナ』を操る力を持つモノに限定されるスキルらしく、各スキルを使用するためには『マナ』を代価とする必要があるようだ。感覚的には、ゲームで良くあるMPのようなものとだろうと認識した。その魔法の中で、も、火魔法・水魔法・回復や強化魔法等、細かく枝分かれしているようだ。

 続いて、『職人系』スキルは、エリスさんの『演算』や『調理』、その『調理』から更に派生した『菓子職人』など、戦闘に関わらない且つ、技能を必要とするものが該当するらしい。

 最後に、『耐性系』と呼ばれるスキル郡だが、例として上げられていたのは、『火属性耐性』・『毒耐性』・『精神耐性』といったものだ。生まれ持った"バフ"、又は"抗体"といったところだろうか。

 スキルの種類については、大まかにだが理解出来た。次に、スキルの習得と、レベルアップについての項目を読み進める。

 まず、基本的にはスキルは先天性のものであるらしい。この世界では、5歳の誕生日にスキルチェックを行い、自身のスキルを確認する習慣があるようだ。

 スキルチェックは、『魔法系』スキルに該当する『分析』というスキルの能力の一部の事で、『分析』スキルのレベルが、5以上でなければ使用出来ないらしい。その為、この魔法を使用出来る者は、将来仕事には困らないそうだ。

 さらに、『添付』というスキルを持っていると、スクロールに自身の『添付』レベルと同じ数値までのレベルの魔法を1回分封じ込める事ができるらしく、『分析』と『添付』スキル両方を持つ者は非常に貴重で、重宝されるらしい。

 その為、貴重なスクロールであればあるだけ、高額取引がなされ、またその危険性から、レベルの高いスクロールについては、国が管理して売買を取り仕切っているらしい。

 次に、後天的なスキルの習得条件だが、今のところ詳細は理解わかっていないらしい。

 スキルに関連する行為、または鍛錬を積むことで、習得することが出来るらしいが、人によって必要な時間は大きく異なり、場合によってはいくら時間をかけても習得が出来ないモノもあったとか。

 そのため、スキル習得には、そもそもそのスキルに対しての"才"が無ければならない、といった結論に至ったのだという。

 そしてスキルのレベルアップについても同様に、人によっては限界値があり、更にレベルアップにかかる時間も労力も異なるという結果が出たらしい。

 ちなみにレベルは、一から二あたりが平凡以上、五まで到達すればそれだけでお金を稼げる所謂プロの域。
 それ以上になると達人の域という扱いになり、九以上となると、スキルにもよるようたが国宝級クラスになるようだ。

 また、種族ごとにスキル習得の差があるかどうかの実験も行われたが、結局のところ個人差の方が大きかったようで、つまるところ持って生まれた『才』が最も重要だということが分かった。
 この項目は、そう締めくくられている。

 実際に使ってみないと、どんなものかまでは分からないが、大まかな仕組みは理解できたと感じる。俺は本を閉じて、ぐーっと背伸びをした。集中して読んでいたからか、体が少しかたくなってしまっていた。脱力し、体の緊張を緩めると、椅子から立ち上がり、本を元あった場所へと返却する為、先程の本棚へと向かった。

 ついでに、先程の女の子に礼を言ってから去ろうと思ったが、いつの間にか先に退館していたようで、女の子の姿は無かった。まぁまたいずれ会うこともあるだろう、と思い切り替える。
 そもそもあまり時間に余裕も無い為、俺は首からかけていた入館証を掴んで、出入り口へと急いだ。





 食堂、もとい仕事場に帰る際、南の市場へ遠回りをして帰る事にする。キリーカへのお土産選びの為だ。

 図書館へと行く際に、何やら落ち込ませてしまったので、罪滅ぼしのつもりでもあるが、折角なら今よりも仲良くなりたいから、という気持ちも半々だった。

 左右に広がる市場をしばらくゆらりと見て回っていると、特別装飾が施されている訳ではないが、黒い小さなヘアピンが二つセットで売られていた。

 それを見て、キリーカの長い前髪の事を思い出す。
 近づいて良く見てみれば、価格も今の自分にとって問題ない範疇である。

 喜んでもらえるか確証は無かったが、最初の直感を信じてこのヘアピンセットを購入することにした。そして全ての用事を済ませ、足早に食堂へと向かった。
 今ならまだ、十八時頃には着けるだろう。

 そう思っていたのだが、ご飯時前の市場はなかなか混雑しており、食堂に着く頃には十八時を過ぎてしまっていた。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

転生した元社畜ですがタッチの差で勇者の座を奪われたので紆余曲折あって魔王代理になりました ~魔王城の雑用係の立身出世術~

きのと
ファンタジー
社畜だった俺が転生したのは、大人気RPG『ワイバーン・クエスト』。これからは勇者としてがんがんチートする予定が、なぜか偽勇者として追われる羽目に。行く場をなくした俺は魔王城で見習い雑用係として働くことになったが、これが超絶ホワイトな職場環境!元気すぎるウサ耳の相棒、頼りがいある上司、セクシーなお姉さまモンスターに囲まれて充実した毎日を送っていた。ところがある日、魔王様に呼び出されて魔王城の秘密を打ち明けられる。さらに魔王代理を仰せつかってしまった。そんな大役、無理だから!どうなる、俺の見習いライフ⁉

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

せっかく異世界に転生できたんだから、急いで生きる必要なんてないよね?ー明日も俺はスローなライフを謳歌したいー

ジミー凌我
ファンタジー
 日夜仕事に追われ続ける日常を毎日毎日繰り返していた。  仕事仕事の毎日、明日も明後日も仕事を積みたくないと生き急いでいた。  そんな俺はいつしか過労で倒れてしまった。  そのまま死んだ俺は、異世界に転生していた。  忙しすぎてうわさでしか聞いたことがないが、これが異世界転生というものなのだろう。  生き急いで死んでしまったんだ。俺はこの世界ではゆっくりと生きていきたいと思った。  ただ、この世界にはモンスターも魔王もいるみたい。 この世界で最初に出会ったクレハという女の子は、細かいことは気にしない自由奔放な可愛らしい子で、俺を助けてくれた。 冒険者としてゆったり生計を立てていこうと思ったら、以外と儲かる仕事だったからこれは楽な人生が始まると思った矢先。 なぜか2日目にして魔王軍の侵略に遭遇し…。

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~

青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。 彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。 ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。 彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。 これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。 ※カクヨムにも投稿しています

内気な僕は異世界でチートな存在になれるか?@異世界現代群像のパラグラフ

木木 上入
ファンタジー
 日々の日常に悩み、ついつい色々な事を思い詰めしまう高校生、桃井瑞輝(ももいみずき)。  異世界の小さな村で日々を過ごしている少女、エミナ。  瑞輝がふとしたきっかけで異世界の少女に転生したことで、二人は出会うことになる。  そして、運命は動き出した――。 ------------------------------------ よりよい小説を書くために、Webカンパも受け付けています。 こちらのページからhttp://www.yggdore.com/ https://twitter.com/kikifunnelへお送りください

大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います

町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。

路地裏生活をしていた私ですが、実は騎士様の実の娘でした

上野佐栁
ファンタジー
 主人公がとある漫画の世界に転生してしまう話し。転生した先はまさかの死確定のキャラクター。死を回避するために本当の父親と再会しなければならない。もしできなければ死が待っている。

異世界に召喚されたおっさん、実は最強の癒しキャラでした

鈴木竜一
ファンタジー
 健康マニアのサラリーマン宮原優志は行きつけの健康ランドにあるサウナで汗を流している最中、勇者召喚の儀に巻き込まれて異世界へと飛ばされてしまう。飛ばされた先の世界で勇者になるのかと思いきや、スキルなしの上に最底辺のステータスだったという理由で、優志は自身を召喚したポンコツ女性神官リウィルと共に城を追い出されてしまった。  しかし、実はこっそり持っていた《癒しの極意》というスキルが真の力を発揮する時、世界は大きな変革の炎に包まれる……はず。  魔王? ドラゴン? そんなことよりサウナ入ってフルーツ牛乳飲んで健康になろうぜ! 【「おっさん、異世界でドラゴンを育てる。」1巻発売中です! こちらもよろしく!】  ※作者の他作品ですが、「おっさん、異世界でドラゴンを育てる。」がこのたび書籍化いたします。発売は3月下旬予定。そちらもよろしくお願いします。

処理中です...