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2章 異世界就活編
第15話 日雇いの仕事
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俺が出来そうな仕事が貼られている掲示板は、ギルドの一番奥にある。
冒険者とは違う、一般庶民っぽい人が数人掲示板とにらめっこしている。
俺もそこに混ざって、掲示板に貼られている紙を眺める。
内容を見てみると、日雇いの仕事から月単位の仕事、工数指定のある仕事など多岐に渡る仕事が貼り出されていた。
まだ異世界に来て間もない俺は、まずは異世界の仕事がどんなものか確かめたくもあり、ひとまず日雇いの仕事を探す事にした。
日雇いの仕事の中には、掃除の仕事や、老人の世話、木々の手入れなど色々なものがあったが、その中でも目を引くものがあった。
『ランチ・ディナータイム限定 食堂の配膳・清掃係 一時間七ペリン』
そう書かれた貼り紙をよく見れば、依頼者の欄には、キリ―カ食堂と書かれている。
あぁ、あそこか…と思い返す。
あの場所であれば、今の拠点からもかなり近く、場所も分かる。
それに仕事内容も、配膳と清掃だけなら、なんとかなりそうな気もする。
あのいつも逃げられる少女の事が少し気がかりではあったが、せっかくのご近所さんの子と仲良くなる良い機会とも取れた。
俺は、キリーカ食堂の求人をピッと取り外し、受付へと提出した。
仕事の受理はすぐに通り、場所の説明を受ける必要も無かった為、俺はそのままの足で食堂へと向かった。
食堂の前まで来ると、あの少女はいなかったが、既に店内には数組のお客が入っているようだった。
改めて店の様子を観察してみると、大きさはちょっとしたカフェぐらいのサイズ感で、入り口扉には大きなベルがついている。扉を開けると鳴る仕組みになっているようだ。
壁の窓越しに店内に目をやると、四人が座れる程度のテーブル席と二人がけの小さなテーブル席が六つずつ並んでおり、奥の方には、カウンター席も五~六席あるようだ。カウンターの奥には、頭に黒いバンダナキャップを巻いた白髪長髪の女性が手を動かしている。恐らく料理を作っているのだろう。
しばらくその様子を眺めていると、その店主らしき女性と目があってしまったので、流れでそのまま店内へと入ることにした。
カランカランという景気の良い音が、調理音に混ざって店内に響く。
「いらっしゃい。空いてる席に座っておくれよ」
想像していたよりも快活な声で少し驚いた。見た目だけで言えば、もっと清楚な感じのイメージがあったが、よくよく考えてみれば食堂といえばこんな雰囲気かなと、勝手に納得する。俺は席には座らずに、そのまま店主らしき女性のいるカウンターの前まで歩いていく。
「すみません、ギルドで募集していた日雇いの応募で来た者ですが」
そういって、ギルドの会員証を見せる。
受付の人曰く、依頼を受ける時は、必ず会員証を見せるのが常識らしく、俺ももれなく実践してみる。
「あぁ、そうだったのかい。なら、ここの裏に入って座って待っといとくれよ。これ作ったら仕事の説明したげるからさ」
「分かりました。では失礼します」
カウンター横の隙間から調理場に入ると、親指で指された先の部屋へと向かった。
そこには簡易的な小さく古びたテーブルと丸椅子があった。
俺はバッグを抱えて丸椅子に腰掛けて待つことにする。座ると、足が歪んでいるのか、少しガタガタした。
ぼんやりとしていると、調理場の方から中華系のような香りがしてくるのを感じた。
そうしていると後ろから、待たせたねと声がかかる。
振り返ると、店主らしき女性が、部屋の入口に寄り掛かりながら腕を組んでいた。
「あたいはエイル。エイル=トルセン。あんたは?」
「俺はレイジ=クライといいます。今日はよろしくお願いします」
そういって、椅子から立ち上がり頭を下げると、
「あーいいっていいって。そんなかしこまんないでくれよ。気楽にいこうや、な?」
エイルさんは、ニカッと口角を上げて笑顔になる。そして肩をパシパシと叩かれる。少し痛かったが、その気遣いはありがたく感じた。
「んじゃ、まずはその棚にあるバンダナとエプロンをつけとくれ。準備が出来たら仕事の説明をするからさ。荷物は、そーだな。そこの端んとこにあるカゴん中に入れとけばいいよ」
棚を開けると、エイルさんが付けているものと同じものが出てくる。
素早くそれらを装着すると、エイルさんに続いて調理場へと向かった。
「ランチタイムまで一時間しかないからね。それまでに基本は覚えてもらうよ。最初は少し大変かもしんないけど、頑張っておくれよ?」
エイルさんは腰に両手を当てて、白い歯を見せた。
冒険者とは違う、一般庶民っぽい人が数人掲示板とにらめっこしている。
俺もそこに混ざって、掲示板に貼られている紙を眺める。
内容を見てみると、日雇いの仕事から月単位の仕事、工数指定のある仕事など多岐に渡る仕事が貼り出されていた。
まだ異世界に来て間もない俺は、まずは異世界の仕事がどんなものか確かめたくもあり、ひとまず日雇いの仕事を探す事にした。
日雇いの仕事の中には、掃除の仕事や、老人の世話、木々の手入れなど色々なものがあったが、その中でも目を引くものがあった。
『ランチ・ディナータイム限定 食堂の配膳・清掃係 一時間七ペリン』
そう書かれた貼り紙をよく見れば、依頼者の欄には、キリ―カ食堂と書かれている。
あぁ、あそこか…と思い返す。
あの場所であれば、今の拠点からもかなり近く、場所も分かる。
それに仕事内容も、配膳と清掃だけなら、なんとかなりそうな気もする。
あのいつも逃げられる少女の事が少し気がかりではあったが、せっかくのご近所さんの子と仲良くなる良い機会とも取れた。
俺は、キリーカ食堂の求人をピッと取り外し、受付へと提出した。
仕事の受理はすぐに通り、場所の説明を受ける必要も無かった為、俺はそのままの足で食堂へと向かった。
食堂の前まで来ると、あの少女はいなかったが、既に店内には数組のお客が入っているようだった。
改めて店の様子を観察してみると、大きさはちょっとしたカフェぐらいのサイズ感で、入り口扉には大きなベルがついている。扉を開けると鳴る仕組みになっているようだ。
壁の窓越しに店内に目をやると、四人が座れる程度のテーブル席と二人がけの小さなテーブル席が六つずつ並んでおり、奥の方には、カウンター席も五~六席あるようだ。カウンターの奥には、頭に黒いバンダナキャップを巻いた白髪長髪の女性が手を動かしている。恐らく料理を作っているのだろう。
しばらくその様子を眺めていると、その店主らしき女性と目があってしまったので、流れでそのまま店内へと入ることにした。
カランカランという景気の良い音が、調理音に混ざって店内に響く。
「いらっしゃい。空いてる席に座っておくれよ」
想像していたよりも快活な声で少し驚いた。見た目だけで言えば、もっと清楚な感じのイメージがあったが、よくよく考えてみれば食堂といえばこんな雰囲気かなと、勝手に納得する。俺は席には座らずに、そのまま店主らしき女性のいるカウンターの前まで歩いていく。
「すみません、ギルドで募集していた日雇いの応募で来た者ですが」
そういって、ギルドの会員証を見せる。
受付の人曰く、依頼を受ける時は、必ず会員証を見せるのが常識らしく、俺ももれなく実践してみる。
「あぁ、そうだったのかい。なら、ここの裏に入って座って待っといとくれよ。これ作ったら仕事の説明したげるからさ」
「分かりました。では失礼します」
カウンター横の隙間から調理場に入ると、親指で指された先の部屋へと向かった。
そこには簡易的な小さく古びたテーブルと丸椅子があった。
俺はバッグを抱えて丸椅子に腰掛けて待つことにする。座ると、足が歪んでいるのか、少しガタガタした。
ぼんやりとしていると、調理場の方から中華系のような香りがしてくるのを感じた。
そうしていると後ろから、待たせたねと声がかかる。
振り返ると、店主らしき女性が、部屋の入口に寄り掛かりながら腕を組んでいた。
「あたいはエイル。エイル=トルセン。あんたは?」
「俺はレイジ=クライといいます。今日はよろしくお願いします」
そういって、椅子から立ち上がり頭を下げると、
「あーいいっていいって。そんなかしこまんないでくれよ。気楽にいこうや、な?」
エイルさんは、ニカッと口角を上げて笑顔になる。そして肩をパシパシと叩かれる。少し痛かったが、その気遣いはありがたく感じた。
「んじゃ、まずはその棚にあるバンダナとエプロンをつけとくれ。準備が出来たら仕事の説明をするからさ。荷物は、そーだな。そこの端んとこにあるカゴん中に入れとけばいいよ」
棚を開けると、エイルさんが付けているものと同じものが出てくる。
素早くそれらを装着すると、エイルさんに続いて調理場へと向かった。
「ランチタイムまで一時間しかないからね。それまでに基本は覚えてもらうよ。最初は少し大変かもしんないけど、頑張っておくれよ?」
エイルさんは腰に両手を当てて、白い歯を見せた。
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