思い出の修理屋さん

みけねこ

文字の大きさ
上 下
4 / 50

4.お店始めました

しおりを挟む
 実は無事に国境を越えられてびっくりしている。
 リクが渡してくれたメモ通りに進んで行ったら大きな橋があって、そこが国境だった。国境に門番がいたけれどフェネクス国の兵士だと思われる人たちはにこやかに私を通してくれた。ちょっと警備ザルじゃない? と少し不安になったけれど、橋を渡り終えてまた驚いた。
 サブノック国はあちこち霧が発生していて、国全体が常に薄い霧で覆われている状態だった。それに比べてこのフェネクス国はどこを見ても晴れやかだ。霧なんて一つも見当たらない。橋を渡っただけでこんなにも変わるのだろうかと目を白黒させた。
 そして少し歩いたところで街が現れ、まずはリクの言っていた宿を探してみる。ここになかったらまた別の街かもしれないと思いつつ、あちこちきょろきょろしながら歩いていた。邪魔になっただろうに、すれ違う人たちは「この街に来るのは初めてかい?」ってとても親切に声を掛けてきてくれる。サブノック国でこんな扱いされなかった、とまた驚きながらも小さく頷きつつ足を進めた。
「あっ、ここかな?」
 紙に書かれていた宿屋『マオ』、その名前と同じ看板がぶら下がっている。ここかもしれない、とおずおずと扉を開けてみる。
「あの……ごめんください」
「おやいらっしゃい! 一名様かい?」
「私、リクという人からこの宿のことを教えてもらって、来たんですが……」
「……! 早くお入り、ここに来るまで大変だっただろう?」
 思ったより近かったとは言えそれなりの距離を歩いてきてる。あちこち砂だらけになっているにも関わらず、膨よかなおば様は私の腕を引いて中へと促した。
「リクから知らせが届いたんだ、アンタ『サヤ』だね?」
「は、はい」
「立ち話もなんだ、席に座りな。お腹も空いただろう?」
 タイミングよく「くぅぅぅ」と小さくお腹が鳴った。道中一応手軽に食べられるものを摘みながら歩いてきたけれど、言われた途端空腹を覚えた。少しの恥ずかしさに思わずお腹に手を当てれば女性はにっこりと笑って、私が椅子に座ったのを確認して部屋の奥に消えていく。
 ほんの少し待ってみれば目の前にホカホカと湯気の立っているスープが置かれた。その傍にはふっくらとした香ばしいかおりがするパン。パッと顔を上げれば「お食べ」と笑顔で勧めてくれた。
 城にいる間、一応聖女としての扱いは受けてきた。如何にも豪華なご飯はいつもメイドさんが持ってきてくれていた。けれど聖女の部屋で、一人ぽつんと食べる食事はなんだか味気ない。温かいはずなのに、なぜかぬくもりを感じなかった。でもそんなこと言うのもきっと贅沢なんだよね、と一度も文句を言うことはなかった。
 目の前にあるご飯はそんな豪華なものではなかったけれど、それでも口に入れたパンはふんわりとしていて喉を通って行ったスープは全身に作っれくれた人のぬくもりが広がるようだった。美味しい、この世界に来て初めて美味しいものを食べた。
「美味しい……とても、美味しいですっ……」
「そうかい、それはよかった。ゆっくりとお食べ、おかわりはあるからね」
「はい……!」
 ふと、背中にぬくもりが触れた。女性が私の傍に来てそっと背中を撫でてくれていた。そのぬくもりに、震えていた声がまた震えそうになってギュッと唇を噛みしめて堪える。
 それからぬくもりを求めるようにひたすら食べ物を口に運んだ。おかわりをすることはなかったけれど、パンもスープも美味しくてあっという間だった。最後にタイミングよく出された温かいお茶でホッと息を吐く。やっぱり食事は大切だ、生きている実感を湧かせてくれる。
「お腹は満たされたかい?」
「はい……あっ、すみません! お忙しいときに……!」
「いやいいんだよ! 丁度昼の客が途絶えたところで暇しているところだったんだ。さて、それじゃ改めて」
 女性は私の隣にある椅子を引くとそれに腰を下ろし、にこりと笑顔を向けた。
「あたしはこの宿屋『マオ』の店主、メリー・ペリドットだ。周りからはメリーおばさんって言われているよ」
「私はサヤと申します」
 苗字も名乗ろうと思ったけれど、セシルさんが発音しいくい響きだと言っていたから名前だけでもいいかもしれないと端折った。宿屋の店主、メリーさんはうんうんと私の言葉に頷きながら口を開く。
「大まかなことはリクから教えてもらってるよ。大変だったねぇ……向こうの王様も一体何を考えていることやら」
「あの、リクとは……」
 リクが知らせを届けるぐらいなのだろうけれど、隣国と交流を持つことなんて簡単なことなのだろうか。疑問に思いつつもそう口にすれば、メリーさんは「ああ」と溌剌とした笑みを浮かべる。
「あの子とは親しい仲だよ。おや……? そのペンダント……」
 メリーさんが目ざとく首から下げているものに気付いたらしい。特に聞かれて困るようなことではないと思って、落とさないよう服の下に隠していたそれを摘み上げた。
「リクがくれたんです。お守りだからって」
「へ~……あの子が。へぇ、そうかい」
「あ、あの……もしかして貰っちゃったら駄目なものでした……?」
「あっはは! 大丈夫気になさんな。あの子があげたんだったら大切に持っておきな。言っていた通り、それはちゃんとしたお守りだ」
「は、はぁ……」
 なんだか含みのある言い方だったような気もするけど。でも二人してこのネックレスを『お守り』というのであれば、そうなのだろう。リクがくれたものだし、これからもしっかりと大切に持っておこうと再び服の下に隠す。
「さてサヤ。アンタ住むところがないだろう? ここの空いている部屋に住みな」
「えっ、でも、突然失礼じゃ……」
 リクから連絡が行っていたと言っても私たちは初対面だ。流石に初対面の相手にそこまでしてもらうには気が引ける。でもそう言ったところで「他に行く宛ないだろう?」と正論を言われてしまって言葉が詰まった。
「ここはこう見えて商売繁盛してるんだ、アンタ一人ぐらいは養えるって!」
「え、えっ、でもっ」
「見知らぬ土地に来て苦労してきたんだからさ、ご褒美があってもいいと思うよ。あたしはね」
 国が違うだけで、こんなにも人柄も変わるのだろうか。異世界って本当に不思議だと思いつつ、メリーさんのありがたい申し出にしばらく悩んだ後結局頭を下げた。違う国に来て知っている人もいない、その中で住むところももちろん生きていくために仕事を探すのも一苦労するはずだ。
 お願いします、と頭を下げた私にメリーさんは「大袈裟だねぇ!」と豪快に笑った。

 カランとドアの方から軽い音が聞こえる。顔を上げてみるとそこには一人のおばあちゃんが不安げに中に入ってきていた。
「こんにちは」
「こんにちは、お嬢ちゃん。ここ……物を修理してくれるお店だって聞いて来てみたんだけど」
「はい、間違いないです」
 おばあちゃんはハッとして次に「よかった」と小さく安堵していた。そして大切そうに抱えていた布からとある物を取り出す。
「これ、修理できるかしら?」
 そこには古い懐中時計。ネジ部分が欠けてしまい他のお店で修理を頼もうとしても、部品を作るのが難しいと断れてしまったのだとおばあちゃんは残念そうに告げる。
 おばあちゃんが大切に持っていた懐中時計を落とさないよう、両手でしっかりと受け取る。カチカチという音も聞こえない、時間が完璧に止まってしまっている。あちこちサビやヒビも目立っていて、落としてしまったらあっという間に割れてしまいそうだった。
「大丈夫ですよ、ちゃんと直しますから」
 にこりと笑顔を浮かべても、おばあちゃんはまだどこか不安そう。それもそうだ、あちこちのお店から断られたのだから今回も駄目かもしれないという気持ちの方が大きいのかもしれない。
 テーブルの上に預かった懐中時計をゆっくりと置く。両手をかざすと淡い光が生まれて、徐々に懐中時計が姿を変えていく。
 やがて光が消えて懐中時計に手を伸ばす。サビもヒビもない、もう少しで壊れてしまいそうだったそれは今はしっかりと秒針が時を刻んでいた。
「これで大丈夫ですか?」
「あ、あっ……動いてる……! 動いているよ……!」
 私から懐中時計を受け取ったおばあちゃんは動いているのを確認して、目に涙を浮かべてギュッと懐中時計を握りしめていた。本当にこれとない大切な物だったのだろう、おばあちゃんのその姿を見て私はよかったと笑みを浮かべる。
「これはね、亡くなったじい様の形見だったのよ……もう随分と動かなくなって、壊れてしまうと思って」
「そうだったんですね」
「あぁ……これで、まだじい様の思い出と一緒に暮らせるよ……ありがとうね、お嬢ちゃん」
「お役に立ててよかったです」
 おばあちゃんからお代を受け取って、幸せそうに手を振るおばあちゃんに同じように手を振り返して見送った。
 メリーさんのところに置いてもらってからと言うものの、何もしないわけにはいかないと倉庫か何か空いているところがないかと尋ねてみた。すると前に食料の倉庫として使っていたけど今はもう使ってないからそこならどうだい、と言っていた場所がここだった。宿屋『マオ』のすぐ隣にある、他の建物の間に埋め込まれるように建っているこの小さな建物。中は決して広くはなかったけれど私には十分だった。
 聖女として碑石の修復に使っていたこの力、実は他の物にも使えた。とは言っても「壊れたところを綺麗にする」、というよりも「一番綺麗だった状態に戻す」という言い方の方が正しいのかもしれない。でもそれはすべて物に対してで、人に対しては使えない。人の傷を癒やすとなると「癒やしの魔法」という扱いになるようで、その細かい分別が未だにあまり理解できていない。
 だってこの世界、ファンタジーですし。
 そして修理屋として門を構えて、そこそこにお店は稼働している。お金の価値が円とあまり変わらないことに大いに助かった。ただし「円」ではなく「アゲート」だけれど。日本で銀色の硬化は百円だけれど、この国だと百アゲートとなる。
 お店に訪ねてくる人は、ほとんどが大切な思い出が詰まっている物の修復だった。例えばオルゴールだったり、例えば肖像画だったり。もう泣きそうな顔で藁にもすがる思いでやってくる人たちに、こっちも笑顔にしてあげたいと強く思う。思い出だけでもせめて少しでも長く一緒に居させてあげたいと。
 ただこの力は「一番綺麗だった状態に戻す」力、だから風化を止めることはできない。元に戻しても、物の時間も経っていく。それは碑石が風化することと一緒だ。前の聖女が碑石を修復しても元の状態に戻しただけで、次の聖女が来なければ風化していく一方。
 ちなみに普通に日常品で使っている物の修復は鍛冶屋さんにお願いしてくださいと伝えている。他のお店の邪魔をするつもりは毛頭ない。
「サヤ、お昼だから食べに来な!」
「エリーさん! いつもありがとうございます!」
「いいんだよ、働いたらたーっぷりご飯を食べなきゃね!」
「はい!」
 エリーさんは相変わらず私に良くしてくれている。宿屋兼食事処のお店らしく、昼になるとお客さんの書き入れ時になる。忙しい時間だからわざわざ私の分まで、と最初は断ったけれど「十も二十も作るにゃ変わらないよ!」と言われてしまい納得してしまった。確かに時間をずらしてわざわざ作ってもらうよりも、まとめて一気に作った方が手間も省ける。
 ということで忙しくなる少し前にエリーさんは私を呼びに来てくれる。エリーさん曰く、私は細く見えてしっかりと食べているのか不安になるらしい。彼女の好意を受け取り、私は今日も宿屋『マオ』へ温かいご飯を食べに行く。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

神のいとし子は追放された私でした〜異母妹を選んだ王太子様、今のお気持ちは如何ですか?〜

星河由乃(旧名:星里有乃)
恋愛
「アメリアお姉様は、私達の幸せを考えて、自ら身を引いてくださいました」 「オレは……王太子としてではなく、一人の男としてアメリアの妹、聖女レティアへの真実の愛に目覚めたのだ!」 (レティアったら、何を血迷っているの……だって貴女本当は、霊感なんてこれっぽっちも無いじゃない!)  美貌の聖女レティアとは対照的に、とにかく目立たない姉のアメリア。しかし、地味に装っているアメリアこそが、この国の神のいとし子なのだが、悪魔と契約した妹レティアはついに姉を追放してしまう。  やがて、神のいとし子の祈りが届かなくなった国は災いが増え、聖女の力を隠さなくなったアメリアに救いの手を求めるが……。 * 2023年01月15日、連載完結しました。 * ヒロインアメリアの相手役が第1章は精霊ラルド、第2章からは隣国の王子アッシュに切り替わります。最終章に該当する黄昏の章で、それぞれの関係性を決着させています。お読みくださった読者様、ありがとうございました! * 初期投稿ではショートショート作品の予定で始まった本作ですが、途中から長編版に路線を変更して完結させました。 * この作品は小説家になろうさんとアルファポリスさんに投稿しております。 * ブクマ、感想、ありがとうございます。

王命を忘れた恋

須木 水夏
恋愛
『君はあの子よりも強いから』  そう言って貴方は私を見ることなく、この関係性を終わらせた。  強くいなければ、貴方のそばにいれなかったのに?貴方のそばにいる為に強くいたのに?  そんな痛む心を隠し。ユリアーナはただ静かに微笑むと、承知を告げた。

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

【完結】聖女にはなりません。平凡に生きます!

暮田呉子
ファンタジー
この世界で、ただ平凡に、自由に、人生を謳歌したい! 政略結婚から三年──。夫に見向きもされず、屋敷の中で虐げられてきたマリアーナは夫の子を身籠ったという女性に水を掛けられて前世を思い出す。そうだ、前世は慎ましくも充実した人生を送った。それなら現世も平凡で幸せな人生を送ろう、と強く決意するのだった。

追放された聖女の悠々自適な側室ライフ

白雪の雫
ファンタジー
「聖女ともあろう者が、嫉妬に狂って我が愛しのジュリエッタを虐めるとは!貴様の所業は畜生以外の何者でもない!お前との婚約を破棄した上で国外追放とする!!」 平民でありながらゴーストやレイスだけではなくリッチを一瞬で倒したり、どんな重傷も完治してしまうマルガレーテは、幼い頃に両親と引き離され聖女として教会に引き取られていた。 そんな彼女の魔力に目を付けた女教皇と国王夫妻はマルガレーテを国に縛り付ける為、王太子であるレオナルドの婚約者に据えて、「お妃教育をこなせ」「愚民どもより我等の病を治療しろ」「瘴気を祓え」「不死王を倒せ」という風にマルガレーテをこき使っていた。 そんなある日、レオナルドは居並ぶ貴族達の前で公爵令嬢のジュリエッタ(バスト100cm以上の爆乳・KかLカップ)を妃に迎え、マルガレーテに国外追放という死刑に等しい宣言をしてしまう。 「王太子殿下の仰せに従います」 (やっと・・・アホ共から解放される。私がやっていた事が若作りのヒステリー婆・・・ではなく女教皇と何の力もない修道女共に出来る訳ないのにね~。まぁ、この国がどうなってしまっても私には関係ないからどうでもいいや) 表面は淑女の仮面を被ってレオナルドの宣言を受け入れたマルガレーテは、さっさと国を出て行く。 今までの鬱憤を晴らすかのように、着の身着のままの旅をしているマルガレーテは、故郷である幻惑の樹海へと戻っている途中で【宮女狩り】というものに遭遇してしまい、大国の後宮へと入れられてしまった。 マルガレーテが悠々自適な側室ライフを楽しんでいる頃 聖女がいなくなった王国と教会は滅亡への道を辿っていた。

【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です

葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。 王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。 孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。 王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。 働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。 何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。 隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。 そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。 ※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。 ※小説家になろう様でも掲載予定です。

旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます

結城芙由奈 
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】 ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。

処理中です...