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52.成り立ち①
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突然知らない人間が目の前に現れた。真ん中に立っている人間は他二人に比べて随分と老けている。俺を見て、何か言葉にしていたがその意味が全然わからない。そもそも俺は人の言葉がわからなかったし字すら読めない。
ただ両サイドに立っていた男たちが俺の腕を掴んだ。ろくに飯を食えていなかったせいで男たちの力で簡単に立たされる。引き摺られる。訳が分からないがされるがままの俺に、後ろから必死に呼び止める声だけは聞こえた。
『だめ』
『ダメ』
『行っては駄目』
『連れて行かないで』
知らない場所に連れて行かれて知らない部屋に閉じ込められた。椅子に座らされ机を挟んで知らない男が一人やってくる。目の前に広げられたのは知らない文字の羅列。まずはそれを覚えろ、その時そう言われていたのだと気付いたのは文字の意味と言葉を知ってからだった。
やっと机を挟んで座っている男が喋っている意味を理解した。どうやら男は俺に言葉と文字を教えるように命令されたらしい。一応一通りは教えていたものの、俺がまだ言葉を理解する前に男はよく「なんで俺が」とボヤいていた。流石に俺が言葉を理解するようになってから言うことは少なくなったが、未だに嫌そうな顔をしてるということはそういう意味だろう。
喋れるようになればまた別の場所に移動させられた。来た時と同じように相変わらず訳の分からない場所だと思いつつ次に入った部屋は、随分と広い場所だった。その中央にあの時俺のところに来た男が随分と偉そうに座っている。その男の前までやってくると、俺をこの場に連れてきた男から無理やり頭を押さえつけられ下げさせられた。
「ようやく野生動物からまともな人間になったか」
その男が喋っている意味が今ならわかる。そしてそいつが俺をどういう目で見ていたかも。頭を押さえつけられたまま視線だけを向けてみれば、まるで品定めをするかのように俺を見下している目と合った。
「良いか。お前は今から我の命令だけを耳に入れそして実行しろ。そうすればもう草や虫を食っていかずとも済む。野ざらしの場所で寝る必要もない。着るものも用意してやろう」
確かにここに連れてこられてから初めてパンとかいうやつを食った。屋根のある部屋は雨風を防いでくれる。服だって一枚を川で洗って乾かして、その間裸でいる必要もなくなる。
コイツの言うことを聞いていればそれが全部解消されるんなら、まぁ悪い話じゃないかと思った。気付いたからあの場所にいた。一人でいた。親の顔なんて知らない。なんでああいう状況になっていたのかまったくわからない。ただあそこであのまま過ごすよりもこっちのほうがマシだと思った。
「わかった」
「聞き分けのいい子どもだ。部屋に連れて行け」
「はっ」
無理やり俺の頭を押さえつけていた手はようやく離された。力任せにする必要があったのかと思ったが、多分あの男の前だと頭を下げる必要でもあったんだろう。ここまで案内してきた男が今度は別の部屋を案内するってことで俺は黙ってその背中を追いかける。最後に少しだけ振り返ってみたが、男は俺だけじゃなくその場にいる人間すべてを見下しているような気がした。
部屋を移動するとまた色々と教えられた。言葉を学ばせた男とはまた違う男がやってきて、今度はこの国のことを覚えろと言ってくる。王の考えは絶対で、決して歯向かうなと。特に俺は忠実であれと何度も言われた。
『赤』はめずらしいからと。
その時の『赤』の意味をまったく知らなかったし男も教えなかった。俺に知られると都合の悪いことでもあったんだろうと気付いたのは随分あとになってからだ。俺は何も知らされず、俺はただ教わったことだけを受け止めた。
それからすぐだった。戦場に立たされたのは。戦場に立つ前にあの男、この国の王からこう教わった。
剣を向けてくる者はすべて殺せ。逃げる人間は後に復讐しにやってくる、逃がすことなく仕留めろ。女、子どもは決して無力ではない。己に怯えている人間は消せ。
お前にはそれができる力がある。
その通りだった。俺にはそれができた。まず国に近い村を燃やせと言われたから燃やした。どうやらこの世界には精霊という力の源があるらしい。今俺が使っているこれも元はその精霊の力らしい。精霊は人間のために存在し、人間はその精霊の力を消費することを許されている。ただ、すべての人間のものであるはずの精霊を他の国は独り占めしようとしている。自分たちだけが得をしようとしている。そうされる前に精霊を解放してやるのだと、そう教えられた。
正直俺にとってはどうでもいい話だ。俺はただ食い物があって寝る場所があって着る服がある、生きていければそれでいい。精霊の力が使えなくなるとかだったら困るが、今のところなんの問題もなかった。
「ギャーッ!」
「やめてー!」
その言葉の意味を知りながらも、理解はできないまま言われた通りのことを実行する。そうすれば俺は生きていけるから。剣を向けてくるヤツは殺せ、逃げるヤツは逃がすな、女と子どもは無力じゃない、怯えているヤツは消せ。それを忠実に守っていく。
「お、お願い、この子だけは……!」
そう言っていた女は小さい人間を抱えていた。俺は知らないが親子とか言うやつなんだろう。自分はいいが子どもは助けろ、意味がわからない。一緒に消してやればその場はすっきりと片付いた。
『もうやめて』
『殺さないで』
『穢さないで』
『いなくなってしまう』
言葉を理解するようになってから、時折聞こえてきたその声が耳障りでしょうがなかった。
「うるせぇな……」
何をどうしようとも何も感じなかったが、それだけがただ俺を苛つかせた。ただその声の消し方がわからないし、しかもどうやら俺にしか聞こえない。部屋にいた時にその声に「あ?」と言葉を返すと、国の成り立ちを教えに来た男に怪訝な顔をされた。
ただその耳障りな声も、王の命令を聞いていくうちに段々と小さくなり次第に聞こえなくなる。ようやく苛立ちから開放されたと命令通りに動いている時だった。相変わらず人間はこっちを怯えた目で見てくる。何がそんなに怖いんだと理解ができずにその人間を消す。
だがおかしなことに、それを見ていたはずの子どもはなぜかこっちをジッと見てきた。まったく怯えていない目で、怖がる素振りも一切見せず。こういう人間はどういう扱いをすればいいのか聞いていない。消せとも言われなかったし逃がせとも言われていない。ならこのまま放置していていいのか? と展開していた術式を止めれば魔術の光りも消え失せた。子どもは目を丸くしていたものの俺は気にすることなく別のところに向かって歩き出せば、後ろからバタバタという音が聞こえた。
「すげぇ~! なぁなぁ、どうやったらオレもそうなれる?」
「なんだこの子どもは」
「たまにいるんだよな、頭のネジが外れているヤツ。子どもは初めて見たけどな」
「どうする? 殺しておくか」
「あ~……このまま連れて行くか? 肉壁ぐらいにはなるだろ」
「オレ連れてってくれんの~? ラッキー!」
「あのな、アレに憧れたところでお前はああはならねぇよ」
「えぇ~⁈ マジで~⁈」
俺にしか聞こえない声も耳障りだと思ったが、後ろから聞こえてきたヤツらの声はそれ以上に耳障りで目障りだった。ただ国の甲冑を着ている人間は極力殺すなと言われている。そこにいる子ども含め三人ぐらいどうってことないだろ、と思ったが他にも同じような甲冑がゴロゴロいた。これだけ目撃されて同じように消せば三人どころの話じゃなくなっちまうとその時は諦めた。
命令通りに動いていればパンが食える。雨風しのげる場所で寝れる。服を洗っている間裸でいる必要もない。特に不便はなかった。あの場所に戻されるよりもマシだった。
ただ気付けば『人間兵器』と呼ばれていた。言葉の意味を深く考えたこともない。考える必要もないと言われた。だが、いつからだろうか。
「随分と使える『物』を王も拾ったな」
「そりゃ王直々に拾いに行ったぐらいだからな」
「あんな惨たらしいこと顔色一つ変えることもしねぇでやるんだぜ。やっぱ『道具』じゃなきゃ無理な話だってな」
「使えなくなったら捨てればいいだけの話だしな。例のあのガキも後で使えそうだしな」
兵士から聞こえてくる言葉に、段々と不快感を覚える。俺は飯を食わなきゃ腹が減るし動き続ければ眠たくなる。裸のままでいたくない。ただの『道具』だったらそう思うことだってねぇだろって。
「なぁ。『赤』ってなんだ」
俺に色々と知識を植え付けた男にそう問いただしてみた。相変わらず目の色に関しては何も言わない。ただ俺だって流石に気付く。これだけ人がいるのに俺と同じ目の色を持っている人間がいない。黄か緑か青かほとんどでたまに紫が二人か三人いる程度だ。
それに俺以上に魔術を扱える人間もいない。紫色の目を持っている人間はそこそこに使えるみたいだが俺みたいに何でもできるってわけじゃなさそうだ。その辺り俺は一切教えられていない。でも流石に気付き始める。
「なぁ。アンタ本当は、ずっと俺に怯えていたんだな」
男の顔色がサッと悪くなった。どうやら『赤』は怖いらしい。試しに手を向けてやれば男は悲鳴を上げて逃げていった。
「……へぇ」
食い物があって寝る場所があって服があれば十分だと思った。王の命令を聞いていればそれに困ることなく生きていける。
けど段々と、腹が立ってきた。俺はヤツらにいいように利用されてるんじゃないかって。兵士たちが言ってた言葉が本当だったら、もし俺が大怪我したとしたらヤツらは簡単に俺を捨てるんじゃないか。ヤツらの意思一つで俺はまたあの場所に戻される。
戻されるだけならまだいいけどな、と表情を歪めながら笑った。
ただ両サイドに立っていた男たちが俺の腕を掴んだ。ろくに飯を食えていなかったせいで男たちの力で簡単に立たされる。引き摺られる。訳が分からないがされるがままの俺に、後ろから必死に呼び止める声だけは聞こえた。
『だめ』
『ダメ』
『行っては駄目』
『連れて行かないで』
知らない場所に連れて行かれて知らない部屋に閉じ込められた。椅子に座らされ机を挟んで知らない男が一人やってくる。目の前に広げられたのは知らない文字の羅列。まずはそれを覚えろ、その時そう言われていたのだと気付いたのは文字の意味と言葉を知ってからだった。
やっと机を挟んで座っている男が喋っている意味を理解した。どうやら男は俺に言葉と文字を教えるように命令されたらしい。一応一通りは教えていたものの、俺がまだ言葉を理解する前に男はよく「なんで俺が」とボヤいていた。流石に俺が言葉を理解するようになってから言うことは少なくなったが、未だに嫌そうな顔をしてるということはそういう意味だろう。
喋れるようになればまた別の場所に移動させられた。来た時と同じように相変わらず訳の分からない場所だと思いつつ次に入った部屋は、随分と広い場所だった。その中央にあの時俺のところに来た男が随分と偉そうに座っている。その男の前までやってくると、俺をこの場に連れてきた男から無理やり頭を押さえつけられ下げさせられた。
「ようやく野生動物からまともな人間になったか」
その男が喋っている意味が今ならわかる。そしてそいつが俺をどういう目で見ていたかも。頭を押さえつけられたまま視線だけを向けてみれば、まるで品定めをするかのように俺を見下している目と合った。
「良いか。お前は今から我の命令だけを耳に入れそして実行しろ。そうすればもう草や虫を食っていかずとも済む。野ざらしの場所で寝る必要もない。着るものも用意してやろう」
確かにここに連れてこられてから初めてパンとかいうやつを食った。屋根のある部屋は雨風を防いでくれる。服だって一枚を川で洗って乾かして、その間裸でいる必要もなくなる。
コイツの言うことを聞いていればそれが全部解消されるんなら、まぁ悪い話じゃないかと思った。気付いたからあの場所にいた。一人でいた。親の顔なんて知らない。なんでああいう状況になっていたのかまったくわからない。ただあそこであのまま過ごすよりもこっちのほうがマシだと思った。
「わかった」
「聞き分けのいい子どもだ。部屋に連れて行け」
「はっ」
無理やり俺の頭を押さえつけていた手はようやく離された。力任せにする必要があったのかと思ったが、多分あの男の前だと頭を下げる必要でもあったんだろう。ここまで案内してきた男が今度は別の部屋を案内するってことで俺は黙ってその背中を追いかける。最後に少しだけ振り返ってみたが、男は俺だけじゃなくその場にいる人間すべてを見下しているような気がした。
部屋を移動するとまた色々と教えられた。言葉を学ばせた男とはまた違う男がやってきて、今度はこの国のことを覚えろと言ってくる。王の考えは絶対で、決して歯向かうなと。特に俺は忠実であれと何度も言われた。
『赤』はめずらしいからと。
その時の『赤』の意味をまったく知らなかったし男も教えなかった。俺に知られると都合の悪いことでもあったんだろうと気付いたのは随分あとになってからだ。俺は何も知らされず、俺はただ教わったことだけを受け止めた。
それからすぐだった。戦場に立たされたのは。戦場に立つ前にあの男、この国の王からこう教わった。
剣を向けてくる者はすべて殺せ。逃げる人間は後に復讐しにやってくる、逃がすことなく仕留めろ。女、子どもは決して無力ではない。己に怯えている人間は消せ。
お前にはそれができる力がある。
その通りだった。俺にはそれができた。まず国に近い村を燃やせと言われたから燃やした。どうやらこの世界には精霊という力の源があるらしい。今俺が使っているこれも元はその精霊の力らしい。精霊は人間のために存在し、人間はその精霊の力を消費することを許されている。ただ、すべての人間のものであるはずの精霊を他の国は独り占めしようとしている。自分たちだけが得をしようとしている。そうされる前に精霊を解放してやるのだと、そう教えられた。
正直俺にとってはどうでもいい話だ。俺はただ食い物があって寝る場所があって着る服がある、生きていければそれでいい。精霊の力が使えなくなるとかだったら困るが、今のところなんの問題もなかった。
「ギャーッ!」
「やめてー!」
その言葉の意味を知りながらも、理解はできないまま言われた通りのことを実行する。そうすれば俺は生きていけるから。剣を向けてくるヤツは殺せ、逃げるヤツは逃がすな、女と子どもは無力じゃない、怯えているヤツは消せ。それを忠実に守っていく。
「お、お願い、この子だけは……!」
そう言っていた女は小さい人間を抱えていた。俺は知らないが親子とか言うやつなんだろう。自分はいいが子どもは助けろ、意味がわからない。一緒に消してやればその場はすっきりと片付いた。
『もうやめて』
『殺さないで』
『穢さないで』
『いなくなってしまう』
言葉を理解するようになってから、時折聞こえてきたその声が耳障りでしょうがなかった。
「うるせぇな……」
何をどうしようとも何も感じなかったが、それだけがただ俺を苛つかせた。ただその声の消し方がわからないし、しかもどうやら俺にしか聞こえない。部屋にいた時にその声に「あ?」と言葉を返すと、国の成り立ちを教えに来た男に怪訝な顔をされた。
ただその耳障りな声も、王の命令を聞いていくうちに段々と小さくなり次第に聞こえなくなる。ようやく苛立ちから開放されたと命令通りに動いている時だった。相変わらず人間はこっちを怯えた目で見てくる。何がそんなに怖いんだと理解ができずにその人間を消す。
だがおかしなことに、それを見ていたはずの子どもはなぜかこっちをジッと見てきた。まったく怯えていない目で、怖がる素振りも一切見せず。こういう人間はどういう扱いをすればいいのか聞いていない。消せとも言われなかったし逃がせとも言われていない。ならこのまま放置していていいのか? と展開していた術式を止めれば魔術の光りも消え失せた。子どもは目を丸くしていたものの俺は気にすることなく別のところに向かって歩き出せば、後ろからバタバタという音が聞こえた。
「すげぇ~! なぁなぁ、どうやったらオレもそうなれる?」
「なんだこの子どもは」
「たまにいるんだよな、頭のネジが外れているヤツ。子どもは初めて見たけどな」
「どうする? 殺しておくか」
「あ~……このまま連れて行くか? 肉壁ぐらいにはなるだろ」
「オレ連れてってくれんの~? ラッキー!」
「あのな、アレに憧れたところでお前はああはならねぇよ」
「えぇ~⁈ マジで~⁈」
俺にしか聞こえない声も耳障りだと思ったが、後ろから聞こえてきたヤツらの声はそれ以上に耳障りで目障りだった。ただ国の甲冑を着ている人間は極力殺すなと言われている。そこにいる子ども含め三人ぐらいどうってことないだろ、と思ったが他にも同じような甲冑がゴロゴロいた。これだけ目撃されて同じように消せば三人どころの話じゃなくなっちまうとその時は諦めた。
命令通りに動いていればパンが食える。雨風しのげる場所で寝れる。服を洗っている間裸でいる必要もない。特に不便はなかった。あの場所に戻されるよりもマシだった。
ただ気付けば『人間兵器』と呼ばれていた。言葉の意味を深く考えたこともない。考える必要もないと言われた。だが、いつからだろうか。
「随分と使える『物』を王も拾ったな」
「そりゃ王直々に拾いに行ったぐらいだからな」
「あんな惨たらしいこと顔色一つ変えることもしねぇでやるんだぜ。やっぱ『道具』じゃなきゃ無理な話だってな」
「使えなくなったら捨てればいいだけの話だしな。例のあのガキも後で使えそうだしな」
兵士から聞こえてくる言葉に、段々と不快感を覚える。俺は飯を食わなきゃ腹が減るし動き続ければ眠たくなる。裸のままでいたくない。ただの『道具』だったらそう思うことだってねぇだろって。
「なぁ。『赤』ってなんだ」
俺に色々と知識を植え付けた男にそう問いただしてみた。相変わらず目の色に関しては何も言わない。ただ俺だって流石に気付く。これだけ人がいるのに俺と同じ目の色を持っている人間がいない。黄か緑か青かほとんどでたまに紫が二人か三人いる程度だ。
それに俺以上に魔術を扱える人間もいない。紫色の目を持っている人間はそこそこに使えるみたいだが俺みたいに何でもできるってわけじゃなさそうだ。その辺り俺は一切教えられていない。でも流石に気付き始める。
「なぁ。アンタ本当は、ずっと俺に怯えていたんだな」
男の顔色がサッと悪くなった。どうやら『赤』は怖いらしい。試しに手を向けてやれば男は悲鳴を上げて逃げていった。
「……へぇ」
食い物があって寝る場所があって服があれば十分だと思った。王の命令を聞いていればそれに困ることなく生きていける。
けど段々と、腹が立ってきた。俺はヤツらにいいように利用されてるんじゃないかって。兵士たちが言ってた言葉が本当だったら、もし俺が大怪我したとしたらヤツらは簡単に俺を捨てるんじゃないか。ヤツらの意思一つで俺はまたあの場所に戻される。
戻されるだけならまだいいけどな、と表情を歪めながら笑った。
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