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第2章 駆け出し冒険者編

08.王都への旅の始まり

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 翌朝、魔素が残っていたので、魔法で二日酔いを取っ払い
 高速でルーティーンをこなして、食堂にいく。

 カウンターには、おじさんが二日酔いで突っ伏している。
 挨拶をすると「元気そうだな。今回は、悪酔いしなかったみてーだな」と苦しそうにいう。

「毒消しで酔覚ましのやり方を教えてもらったので、それでやってきましたよ。大丈夫ですか?」

 奥さんがコップに入った毒消しをおじさんに渡す。

「だらしないねぇ。まったく。タケシさん、ちょっとまっててね今朝食用意するから」

「ありがとうございます」
 

 さて、今日の朝食は、おや?珍しく麺だ。
 コシのある縮れ麺に、魚介ダシ効いた塩味のスープがからまってうまい。
 そして、上に乗ってるチャーシューのような肉もすごくうまい。

 あぁ、うまい・・・自然に涙がこぼれ出る。涙を流しながらラーメンを黙って食う。あっという間になくなった。
 これは塩ラーメンだ。
 器にもくるくるのあの模様が入ってる。なんだったかな、らいもんだったか。

 すぐにおじさんに聞いてみる。

「おじさん、この料理はなんという料理ですか?」

「それか?塩ラーメンだ。しらないのか?」

「田舎者でして、とても美味しかったです」

「そうか、それはよかった。塩ラーメンは、さっぱりしててうまいだろう。」

「はい、あまりに美味しくて涙がでてきました」

「大げさだなー。それなら王都にいってみたらどうだ?激戦区っていわれるぐらいラーメン屋が多いんだ。いろんな種類のラーメン屋があるから」

「王都にラーメン激戦区があるんですか!?わかりました行きます!絶対行きます。ありがとうございました」

 久しぶりにラーメンをくったな。
 あぁ、本当にうまかった。日本で食べてたのとなんらかわりない。

 王都にいけば、醤油ラーメンも味噌ラーメンもあるかもしれない。
 もしかしたら他にも日本の料理があるかもしれない。
 よし、王都に行こう。


 この街にきてまだ数日だが、王都に行きたくてしょうがなくなった。ラーメンが食べたくてしょうがない。あることがわかると、意識してしまう。
 しばらくは、ここで冒険者ってやつをやって暮らしてみようとおもったが、ラーメンのために旅人に戻る時がきたのかもしれない。
 そうだ。今がその時だ。よし!


 速攻で、ギルドに行く。
 そして、いつものお姉さんに、王都に行くことを告げ、何か手続きはあるかと聞く。

「急ですね。拠点を動かすということでしたら王都への拠点変更の手続きがありますが、数日で帰ってくる場合は、とくに手続きはいりませんよ。」

「そうですね、しばらく王都で食べ歩く予定ですので拠点を動かします。手続きお願いします」

「食べ・・・そ、そうですが、残念です。では、こちらの書類をお書きください。ランクと依頼達成などの情報は、全てのギルドと連携されておりますので、ご安心ください。変わるのは、拠点の設定だけです」

「ありがとうございます。書けました!」

「はい、手続き完了になります。王都のギルドですよね、紹介状を用意しますのでお待ちください」

 しばらく待つと、お姉さんが封筒をもってきた。

「こちらが、紹介状になります、王都のギルドにいって、受付にお渡しください。今まで当ギルドに貢献いただきありがとうございました。私たちはいつでも、あなたの帰りをお待ちしております」

「ありがとうございます!お姉さんもお元気で!」

「はい、タケシさんもお元気で」

 実に、あっさりしたものだった。


 その後、ガイさんと兄貴たち、荒くれどもにも王都に行くことを話すと、急だなと驚いていたが、大手を振って送り出してくれた。
 別れ際に、ガイさんは王都までの道のりを教えてくれて地図くれた。兄貴は、スキルの極意を教えてくれた。メンスさんは、旅の安全を祈ってくれた。ビターさんは、頑張れよと激励してくれた。
 荒くれどもは、泣きながら俺の門出を祈ってくれた。持ってけってみんなでお金をくれた。それで今日は俺のおごりだっていうと、みんな笑った。
 ありがとうみんな。


 月の満月亭にもどり、受付で途中退室の手続きをお願いした。
 ちょうど、受付におじさんがいたので、王都に行くことを伝えると、朝のやりとりで、そんな気がしてたよというおじさん。
 別れ際に、おじさんは釣竿をくれた。お前と釣りいくって約束してたけどいけなかったから、これやるよと。

 おじさんと一緒に、門のとこまでくると、ガイさんと兄貴たちと荒くれ者たちもきてくれてた。なんだよ、さっきさよならしたじゃねーか。
 メンスさんが身体強化の術をかけてくれた。

 みんな、いい人たちだ。


 みんなに送り出されて、俺は王都に向かう。
 ありがとうみんな、俺王都でラーメンいっぱい食ってくるから!
 
 そして、旅を再開した。
 全く旅の準備をしてなかったことに、だいぶ経ってから気がつくことになる。
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