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戀する痛み
戀する痛み 18
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純粋な恐怖を感じた。
ボク以外の、感情が想いが流れ込んでくる。
ぬめぬめとしたものが喉の奥を通って胃の中に入って、そのまま胃壁を食い破って全身を蝕(むしば)んでいくような、気持ちの悪い感覚。
やめて・・・来ないで・・・嫌ぁぁぁっ!!
耳を塞ぎたいのに、異様な理事長の様子に恐怖して、ボクは1ミリも動けなくなっていた。
目を閉じてしまいたい、見たくない、知りたくない、聞きたくない・・・そう思っているのに、呪縛されたように動けない・・・。
「弁護士が連れてきた子供は、一目で彼女の子供だとわかった。幼いけれども彼女そっくりだった。心の底から愛おしいと思った。彼女が懸命に生み育てた私との子供。私と彼女の子供。彼女の遺伝子を引き継いでいる子供。愛さないわけがない。何よりも愛おしくて仕方ない。・・・・・・・・・けれども同時に酷く憎悪した」
ボクの気持ちなんかお構いなしに、理事長は語り続ける。
運転手さんは話しを知っているのだろう、何も言わずに運転だけをしている。
感情なんか感じない、無機質なその態度にも戦慄(せんりつ)した。
「この子供がいたから、彼女は私の前から消えた。この子供を育てるために彼女は体を壊して、死んでしまった。私から彼女を奪ったのはこの子供だ。彼女はこの子供を育てるために、医師の仕事を捨てて、慣れない仕事をして働いて働きつめて・・・死んだ。私が唯一愛した女を殺したのは、こいつだ」
理事長はボクの瞳を見つめながら、嬉しそうに、愉しそうに、微笑む。
恐い・・・恐い・・・。
誰も悪くない、誰にも責任なんかない、誰も幸せになれなかった、そんな話しをされて、ボクはあまりの恐怖に凍りついていた。
理事長の狂気じみた瞳から、その笑顔から目が離せなかった。
離した瞬間に、殺されるんじゃないかと、本気で思った。
知らず知らず、涙が出てきた。
恐怖なのか、哀しみなのか、憐れみなのか、後悔なのか、全然わからなかったけれども。
涙が溢れて頬を伝ってしまう。
理事長はそんなボクを見ながら、嬉しそうに微笑む。
「だからこそ、あれは償わなければいけない。私から彼女を奪った罪を、彼女を苦しめた、彼女の夢を壊した、彼女を殺した罪を、あれは償わなければならない。自由になんかさせるものか。私が彼女と一緒になれなかったのに、あれがお前と幸せになるだと?ふざけるな」
「あ・・・う・・・」
「彼女は、あれは、私のものだ。貴様ごときがどうこうできると思うな」
理事長の瞳が一際冷たく輝いて、細められる。
殺される、思った。
この人はきっとボクを殺すことなんか、屁とも思っていない。
自分が愛した女性が、産んでくれた大切な息子を、誘惑して惑わして誑(たぶら)かす、悪魔のような小僧。
理事長から見たら、ボクはそういう立ち位置なんだ。
家のこととか、病院のこととか、世間体とか、そんなこと、この人は本当の本心では。
どうでもいいんだ。
ただただただただ、『愛した女性が産んだ息子を独占したい』だけなんだ。
そうやって、心に空いた穴を埋めようとしている。
誰も代わりになんかなれないのに。
例え息子である悠貴さんでさえも、代わりにはなれないのに。
そんなことはわかっていても、それでも執着せざるを得ないくらい。
この人は、愛したんだ。
ここまで執着するほど。
理事長は愛した。いや、今でも愛している。
悠貴さんのお母様を、愛し続けている。
壊れるほどに、壊れてもいいほどに。
戀(こい)を、している。
ボクは?
ボクはそこまで愛せている?
悠貴さんのことを、ここまで恋焦がれている?
これからもずっと、ずっと、こんな風に愛せるの?
わからなくなってしまった。
全部、なにもかも。
何が正しいのか、何が間違っていたのか、わからない。
ボクがボロボロと泣きながら、何も言えずに理事長と向き合っていると、不意に車が止まった。
「到着しました」
運転手さんは事務的に、抑揚(よくよう)のない声でそう言うと、車を降りていく。
理事長はその瞬間にボクから視線を外して、また正面を見つめる。
そして、回り込んだ運転手さんがボクの横のドアを開けてくれたので、ボクは転がるように車を降りた。
いつの間にかボクはしっかりと鞄を抱きしめていて、全身で大きな呼吸を繰り返していた。
そんなボクを置いて、車は緩やかに出発して、走り去っていった。
完全に理事長の車が去ったことを認識して、ボクは周囲を見回した。
目の前に、ボクの家の門扉(もんぴ)と玄関が見えた。
ちゃんと家まで送り届けてくれていた。
帰ってきた・・・・・・!
ほっとしてしまったボクは、門扉に捕まって寄りかかって、何度も何度も深呼吸をした。
怖かった。本当に怖かった。
殺されるかと思った。
「ぜぇ・・・・・・ぜぇ・・・・・・」
でも。
それよりも。
本当に怖かったのは。
殺されるかもしれない恐怖よりも。
怖かったのは。
「・・・勝てない・・・・・・」
悠貴さんが好き。大好き。
誰よりもボクが一番、悠貴さんを愛してる。
ずっとずっと、そう思って、いた。
そんな根拠のない自負は、跡形もなく砕かれていた。
「あんなの・・・無理ゲーじゃん・・・」
あんな狂気。
ボクは持っていない。
あそこまでの憎悪。
ボクは持てない。
頭がおかしい執着。
ボクは感じてない。
勝てない・・・勝てないよ・・・。
あんなの反則だよ・・・。
ボクは門扉を握り締めながら、溢れ続ける涙を。
止めることができなかった。
ボク以外の、感情が想いが流れ込んでくる。
ぬめぬめとしたものが喉の奥を通って胃の中に入って、そのまま胃壁を食い破って全身を蝕(むしば)んでいくような、気持ちの悪い感覚。
やめて・・・来ないで・・・嫌ぁぁぁっ!!
耳を塞ぎたいのに、異様な理事長の様子に恐怖して、ボクは1ミリも動けなくなっていた。
目を閉じてしまいたい、見たくない、知りたくない、聞きたくない・・・そう思っているのに、呪縛されたように動けない・・・。
「弁護士が連れてきた子供は、一目で彼女の子供だとわかった。幼いけれども彼女そっくりだった。心の底から愛おしいと思った。彼女が懸命に生み育てた私との子供。私と彼女の子供。彼女の遺伝子を引き継いでいる子供。愛さないわけがない。何よりも愛おしくて仕方ない。・・・・・・・・・けれども同時に酷く憎悪した」
ボクの気持ちなんかお構いなしに、理事長は語り続ける。
運転手さんは話しを知っているのだろう、何も言わずに運転だけをしている。
感情なんか感じない、無機質なその態度にも戦慄(せんりつ)した。
「この子供がいたから、彼女は私の前から消えた。この子供を育てるために彼女は体を壊して、死んでしまった。私から彼女を奪ったのはこの子供だ。彼女はこの子供を育てるために、医師の仕事を捨てて、慣れない仕事をして働いて働きつめて・・・死んだ。私が唯一愛した女を殺したのは、こいつだ」
理事長はボクの瞳を見つめながら、嬉しそうに、愉しそうに、微笑む。
恐い・・・恐い・・・。
誰も悪くない、誰にも責任なんかない、誰も幸せになれなかった、そんな話しをされて、ボクはあまりの恐怖に凍りついていた。
理事長の狂気じみた瞳から、その笑顔から目が離せなかった。
離した瞬間に、殺されるんじゃないかと、本気で思った。
知らず知らず、涙が出てきた。
恐怖なのか、哀しみなのか、憐れみなのか、後悔なのか、全然わからなかったけれども。
涙が溢れて頬を伝ってしまう。
理事長はそんなボクを見ながら、嬉しそうに微笑む。
「だからこそ、あれは償わなければいけない。私から彼女を奪った罪を、彼女を苦しめた、彼女の夢を壊した、彼女を殺した罪を、あれは償わなければならない。自由になんかさせるものか。私が彼女と一緒になれなかったのに、あれがお前と幸せになるだと?ふざけるな」
「あ・・・う・・・」
「彼女は、あれは、私のものだ。貴様ごときがどうこうできると思うな」
理事長の瞳が一際冷たく輝いて、細められる。
殺される、思った。
この人はきっとボクを殺すことなんか、屁とも思っていない。
自分が愛した女性が、産んでくれた大切な息子を、誘惑して惑わして誑(たぶら)かす、悪魔のような小僧。
理事長から見たら、ボクはそういう立ち位置なんだ。
家のこととか、病院のこととか、世間体とか、そんなこと、この人は本当の本心では。
どうでもいいんだ。
ただただただただ、『愛した女性が産んだ息子を独占したい』だけなんだ。
そうやって、心に空いた穴を埋めようとしている。
誰も代わりになんかなれないのに。
例え息子である悠貴さんでさえも、代わりにはなれないのに。
そんなことはわかっていても、それでも執着せざるを得ないくらい。
この人は、愛したんだ。
ここまで執着するほど。
理事長は愛した。いや、今でも愛している。
悠貴さんのお母様を、愛し続けている。
壊れるほどに、壊れてもいいほどに。
戀(こい)を、している。
ボクは?
ボクはそこまで愛せている?
悠貴さんのことを、ここまで恋焦がれている?
これからもずっと、ずっと、こんな風に愛せるの?
わからなくなってしまった。
全部、なにもかも。
何が正しいのか、何が間違っていたのか、わからない。
ボクがボロボロと泣きながら、何も言えずに理事長と向き合っていると、不意に車が止まった。
「到着しました」
運転手さんは事務的に、抑揚(よくよう)のない声でそう言うと、車を降りていく。
理事長はその瞬間にボクから視線を外して、また正面を見つめる。
そして、回り込んだ運転手さんがボクの横のドアを開けてくれたので、ボクは転がるように車を降りた。
いつの間にかボクはしっかりと鞄を抱きしめていて、全身で大きな呼吸を繰り返していた。
そんなボクを置いて、車は緩やかに出発して、走り去っていった。
完全に理事長の車が去ったことを認識して、ボクは周囲を見回した。
目の前に、ボクの家の門扉(もんぴ)と玄関が見えた。
ちゃんと家まで送り届けてくれていた。
帰ってきた・・・・・・!
ほっとしてしまったボクは、門扉に捕まって寄りかかって、何度も何度も深呼吸をした。
怖かった。本当に怖かった。
殺されるかと思った。
「ぜぇ・・・・・・ぜぇ・・・・・・」
でも。
それよりも。
本当に怖かったのは。
殺されるかもしれない恐怖よりも。
怖かったのは。
「・・・勝てない・・・・・・」
悠貴さんが好き。大好き。
誰よりもボクが一番、悠貴さんを愛してる。
ずっとずっと、そう思って、いた。
そんな根拠のない自負は、跡形もなく砕かれていた。
「あんなの・・・無理ゲーじゃん・・・」
あんな狂気。
ボクは持っていない。
あそこまでの憎悪。
ボクは持てない。
頭がおかしい執着。
ボクは感じてない。
勝てない・・・勝てないよ・・・。
あんなの反則だよ・・・。
ボクは門扉を握り締めながら、溢れ続ける涙を。
止めることができなかった。
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