14 / 16
そっと、口吻けを。
そっと、口吻けを。 14
しおりを挟む
美波はお茶を一口飲んで、何故か大きな溜息をつくと、珀英をしっかりと見つめて言った。
「パパとしばらく暮らしてみてわかったの。パパには珀英がいるけど、ママには私しかいない。だから私がママを守らなくちゃ。それに・・・パパってものすっごく・・・面倒くさい・・・」
「え?!なに、どういうこと?!」
「あー・・・わかります」
「わかるの?!」
ちょっといい話しでうるっときてたのに、急に話しの矛先(ほこさき)がオレに向けられたことにびっくりする。
美波は珀英を見上げると、一気にまくしたてた。
「だって、リモコンの位置は決められてるし、牛乳パックは飲み口をこっちに向けて冷蔵庫に入れなきゃいけないし、食器も決まった場所にしまわなきゃいけないし、カップラーメンのお湯は2センチ下までしか入れちゃいけないし、洗濯物だって・・・」
「・・・わかる・・・」
「何で脱いだ服をたたんで洗濯カゴに入れなきゃいけないの?!これから洗うのに?!意味あるの?!」
珀英は大きく頷(うなず)いて美波の話しを、愚痴(ぐち)を聞いている。二人で急にわかりあってる雰囲気を作り出す。
いやいやいやいや、待て待て。
オレは思わず、
「たたんどいたほうがカゴにいっぱい入るし、見た目も綺麗じゃん」
「あんなところしょっちゅう見るとこじゃないし、誰も見ないんだからいいじゃない!それにいっぱいに溜めないで。もう・・・そういう面倒くさいのがいっぱいで・・・無理・・・」
瞬殺で論破されるし。なんか、元嫁にも同じこと言われた気が・・・。
珀英はうんうん頷きながら、むっとしているオレの視線に気が付いて、しれーっと視線を外してお茶を一口飲んだ。
そんな話しをしていたら、頼んだお寿司が運ばれてきたので、3人でお寿司をいただく。
美波は隣に座るオレを無視して、共感してもらえる珀英に、お寿司を食べながら愚痴を言い続ける。
「他にも色々細かいこと言われて、面倒くさい・・・珀英はあれ全部やってるの?」
「あー・・・最初はわかんなくって大変だったけど、今は覚えたから。慣れちゃえば大丈夫」
「私は無理だった・・・ママと暮らしてるほうが楽。だから、パパのことは、珀英にお願いしたいです」
美波のその言葉に、珀英は大きく頷いている。
「しょうがないよ・・・わかった。緋音さんのことは、オレにまかせて」
よくわからないけど、珀英がめっちゃどや顔で美波に言う。美波は安心したように満足気になんか頷いてる。
いやいや、待って待って。
「ちょっと待って。え?オレが悪いの?」
「悪いんじゃなくて・・・」
「面倒くさいだけ・・・」
二人が普通に言うので、納得しかけたけど納得しちゃいけない。
恋人と娘に面倒くさいって言われてる。なんかおかしくない?
しかも美波なんかまだまだ小学生の子供なのに、妙に大人で・・・離婚したりなんだりで、環境に適応するために少し早く大人になっちゃったのかな。
それでも、父親の恋人と、父親の文句言いながらランチするって、10歳じゃあり得なくない?え、15歳くらいサバ読んでない?
二人はオレのことなんか気にせず、オレがいかに面倒くさいかを言い合って確認しあっている。
その間にもお寿司は順調に減っていっている。器用だな。
オレの目の前で普通に言ってるから、自分の悪口を聞いている感じだったけれども。
二人の話しを聞いていたら、オレたしかに面倒くさいなって思った。
「パパとしばらく暮らしてみてわかったの。パパには珀英がいるけど、ママには私しかいない。だから私がママを守らなくちゃ。それに・・・パパってものすっごく・・・面倒くさい・・・」
「え?!なに、どういうこと?!」
「あー・・・わかります」
「わかるの?!」
ちょっといい話しでうるっときてたのに、急に話しの矛先(ほこさき)がオレに向けられたことにびっくりする。
美波は珀英を見上げると、一気にまくしたてた。
「だって、リモコンの位置は決められてるし、牛乳パックは飲み口をこっちに向けて冷蔵庫に入れなきゃいけないし、食器も決まった場所にしまわなきゃいけないし、カップラーメンのお湯は2センチ下までしか入れちゃいけないし、洗濯物だって・・・」
「・・・わかる・・・」
「何で脱いだ服をたたんで洗濯カゴに入れなきゃいけないの?!これから洗うのに?!意味あるの?!」
珀英は大きく頷(うなず)いて美波の話しを、愚痴(ぐち)を聞いている。二人で急にわかりあってる雰囲気を作り出す。
いやいやいやいや、待て待て。
オレは思わず、
「たたんどいたほうがカゴにいっぱい入るし、見た目も綺麗じゃん」
「あんなところしょっちゅう見るとこじゃないし、誰も見ないんだからいいじゃない!それにいっぱいに溜めないで。もう・・・そういう面倒くさいのがいっぱいで・・・無理・・・」
瞬殺で論破されるし。なんか、元嫁にも同じこと言われた気が・・・。
珀英はうんうん頷きながら、むっとしているオレの視線に気が付いて、しれーっと視線を外してお茶を一口飲んだ。
そんな話しをしていたら、頼んだお寿司が運ばれてきたので、3人でお寿司をいただく。
美波は隣に座るオレを無視して、共感してもらえる珀英に、お寿司を食べながら愚痴を言い続ける。
「他にも色々細かいこと言われて、面倒くさい・・・珀英はあれ全部やってるの?」
「あー・・・最初はわかんなくって大変だったけど、今は覚えたから。慣れちゃえば大丈夫」
「私は無理だった・・・ママと暮らしてるほうが楽。だから、パパのことは、珀英にお願いしたいです」
美波のその言葉に、珀英は大きく頷いている。
「しょうがないよ・・・わかった。緋音さんのことは、オレにまかせて」
よくわからないけど、珀英がめっちゃどや顔で美波に言う。美波は安心したように満足気になんか頷いてる。
いやいや、待って待って。
「ちょっと待って。え?オレが悪いの?」
「悪いんじゃなくて・・・」
「面倒くさいだけ・・・」
二人が普通に言うので、納得しかけたけど納得しちゃいけない。
恋人と娘に面倒くさいって言われてる。なんかおかしくない?
しかも美波なんかまだまだ小学生の子供なのに、妙に大人で・・・離婚したりなんだりで、環境に適応するために少し早く大人になっちゃったのかな。
それでも、父親の恋人と、父親の文句言いながらランチするって、10歳じゃあり得なくない?え、15歳くらいサバ読んでない?
二人はオレのことなんか気にせず、オレがいかに面倒くさいかを言い合って確認しあっている。
その間にもお寿司は順調に減っていっている。器用だな。
オレの目の前で普通に言ってるから、自分の悪口を聞いている感じだったけれども。
二人の話しを聞いていたら、オレたしかに面倒くさいなって思った。
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。
寮生活のイジメ【社会人版】
ポコたん
BL
田舎から出てきた真面目な社会人が先輩社員に性的イジメされそのあと仕返しをする創作BL小説
【この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。】
全四話
毎週日曜日の正午に一話ずつ公開
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる