28 / 36
括り紮げる
括り紮げる 28
しおりを挟む
*
ベットサイドの間接照明を点けて、着ていたTシャツを脱ぎ捨てて、いつものように上半身裸で下はパジャマを着て、珀英はベットに入ると、むくれて背中を向けて横向きに寝ている緋音を、片腕で上からそっと抱きしめる。
緋音がちょっとビクっとなって体を硬くした。
もう片方の腕を頭の上にそっと置くと、緋音が少し頭を持ち上げた。
珀英は緋音の首のところの腕を入れて、そのままぎゅっと抱きしめる。
緋音の甘い体臭と、汗の匂いが微(かす)かに混じった香りが、鼻腔(びくう)を刺激して、珀英は思わず生唾(なまつば)を飲み込む。
いつもだったらこのまま首筋や耳にキスをして、セックスに持ち込むけれど、珀英はそうしなかった。
「・・・お休みなさい」
耳元で小さく囁いて、ぎゅっと抱きしめたまま何もしないでいた。
緋音が体を硬直させたまま、無言でいるのをしばらく楽しむ。
不意に緋音が体を少し揺らすように動かす。
珀英はがっつり目を開いて緋音を凝視(ぎょうし)しながら、緋音の動きを見守っていた。
緋音は何度か体を左右に揺すってから、珀英の腕から逃げるようにベットの端の方に移動する。
思わず追いかけそうになった時、緋音がいきなり体を反転させて、珀英と向き合う体勢になる。
思いっきり目が合う。
少し怒っている緋音の瞳はきらきら輝いていて、どんな宝石も敵(かな)わないほど綺麗だった。
思わず抉(えぐ)って保管したくなるほど。
綺麗だった。
珀英が思わず息を飲んであまりの美しさに感動していると、緋音はゆっくり顔を近づけて、おずおずと珀英の口唇に。
口吻ける。
触れるだけの口吻けだったけど、珀英は媚薬を嗅(か)がされたような、眩暈(めまい)を覚えた。
そのまま緋音はにじにじと体を起こして、珀英の口唇を割って舌を搦(から)めながら、珀英の上に乗る格好になる。
積極的な緋音が珍しくて、珀英はしばらくは緋音のしたいようにさせてみようと、大人しく緋音の下になる。
でもちょっと意地悪したくて、珀英は上に乗った緋音のTシャツの下に手を這(は)わせて、肩甲骨(けんこうこつ)をそっと撫ぜて、背骨に沿って指先を滑らせる。
「・・・ふぁ・・んっ・・」
口唇の端から、緋音が声を漏らす。
快感に酔った嬌声(きょうせい)。
気持ちいい時に漏らす緋音のその声は、誰にも聞かせたくないけど、全人類に聞かせたいくらいの、いやらしい甘い声。
珀英は指を腰まで滑らせて、尾骨(びこつ)を強く押してみる。緋音の腰から背中にかけて強い快感が走り抜けた。
「ああっ・・・んんあっっん・・・!!」
ビクッと体を震わせて、緋音の口唇が舌が離れて、そのまま背中が反(そ)る形で顔が上に持ち上がる。
制御できない気持ちよさが脳味噌を揺さぶって、少しずつ、でも確実に緋音の理性をこそげ落としていく。
下から見る緋音の顎(あご)のラインも、首の細さも、鎖骨の滑らかさも、嫋や(たお)かで色っぽくて、珀英は噛みつきたい衝動を抑えていた。
珀英はそのまましつこく尾骨を刺激して、緋音の口唇から漏れる喘(あえ)ぎ声を堪能(たんのう)していた。
「あんっふあんっ・・・もう・・やめっ・・・!」
「なんで?気持ちいいんでしょ?」
「あっやあっ・・・この・・・っっ!」
緋音が顔を下に向けて、珀英をきつく睨(にら)みつける。
さっきと同じキラキラ輝いた瞳で、睨みつけてもらえて、珀英の背筋がゾクゾクと震える。
罵(ののし)られたいとも思うし、逆に虐(しいた)げて泣かせたいとも思うし、命令されたいし征服されたいとも思うし、めちゃくちゃに犯してその自尊心を砕きたいとも思う。
真逆の気持ちが珀英の中で溢れかえって、どうしようもなく緋音が欲しくなる。
珀英は、思わず溢れた唾液を飲み込んだ。
ベットサイドの間接照明を点けて、着ていたTシャツを脱ぎ捨てて、いつものように上半身裸で下はパジャマを着て、珀英はベットに入ると、むくれて背中を向けて横向きに寝ている緋音を、片腕で上からそっと抱きしめる。
緋音がちょっとビクっとなって体を硬くした。
もう片方の腕を頭の上にそっと置くと、緋音が少し頭を持ち上げた。
珀英は緋音の首のところの腕を入れて、そのままぎゅっと抱きしめる。
緋音の甘い体臭と、汗の匂いが微(かす)かに混じった香りが、鼻腔(びくう)を刺激して、珀英は思わず生唾(なまつば)を飲み込む。
いつもだったらこのまま首筋や耳にキスをして、セックスに持ち込むけれど、珀英はそうしなかった。
「・・・お休みなさい」
耳元で小さく囁いて、ぎゅっと抱きしめたまま何もしないでいた。
緋音が体を硬直させたまま、無言でいるのをしばらく楽しむ。
不意に緋音が体を少し揺らすように動かす。
珀英はがっつり目を開いて緋音を凝視(ぎょうし)しながら、緋音の動きを見守っていた。
緋音は何度か体を左右に揺すってから、珀英の腕から逃げるようにベットの端の方に移動する。
思わず追いかけそうになった時、緋音がいきなり体を反転させて、珀英と向き合う体勢になる。
思いっきり目が合う。
少し怒っている緋音の瞳はきらきら輝いていて、どんな宝石も敵(かな)わないほど綺麗だった。
思わず抉(えぐ)って保管したくなるほど。
綺麗だった。
珀英が思わず息を飲んであまりの美しさに感動していると、緋音はゆっくり顔を近づけて、おずおずと珀英の口唇に。
口吻ける。
触れるだけの口吻けだったけど、珀英は媚薬を嗅(か)がされたような、眩暈(めまい)を覚えた。
そのまま緋音はにじにじと体を起こして、珀英の口唇を割って舌を搦(から)めながら、珀英の上に乗る格好になる。
積極的な緋音が珍しくて、珀英はしばらくは緋音のしたいようにさせてみようと、大人しく緋音の下になる。
でもちょっと意地悪したくて、珀英は上に乗った緋音のTシャツの下に手を這(は)わせて、肩甲骨(けんこうこつ)をそっと撫ぜて、背骨に沿って指先を滑らせる。
「・・・ふぁ・・んっ・・」
口唇の端から、緋音が声を漏らす。
快感に酔った嬌声(きょうせい)。
気持ちいい時に漏らす緋音のその声は、誰にも聞かせたくないけど、全人類に聞かせたいくらいの、いやらしい甘い声。
珀英は指を腰まで滑らせて、尾骨(びこつ)を強く押してみる。緋音の腰から背中にかけて強い快感が走り抜けた。
「ああっ・・・んんあっっん・・・!!」
ビクッと体を震わせて、緋音の口唇が舌が離れて、そのまま背中が反(そ)る形で顔が上に持ち上がる。
制御できない気持ちよさが脳味噌を揺さぶって、少しずつ、でも確実に緋音の理性をこそげ落としていく。
下から見る緋音の顎(あご)のラインも、首の細さも、鎖骨の滑らかさも、嫋や(たお)かで色っぽくて、珀英は噛みつきたい衝動を抑えていた。
珀英はそのまましつこく尾骨を刺激して、緋音の口唇から漏れる喘(あえ)ぎ声を堪能(たんのう)していた。
「あんっふあんっ・・・もう・・やめっ・・・!」
「なんで?気持ちいいんでしょ?」
「あっやあっ・・・この・・・っっ!」
緋音が顔を下に向けて、珀英をきつく睨(にら)みつける。
さっきと同じキラキラ輝いた瞳で、睨みつけてもらえて、珀英の背筋がゾクゾクと震える。
罵(ののし)られたいとも思うし、逆に虐(しいた)げて泣かせたいとも思うし、命令されたいし征服されたいとも思うし、めちゃくちゃに犯してその自尊心を砕きたいとも思う。
真逆の気持ちが珀英の中で溢れかえって、どうしようもなく緋音が欲しくなる。
珀英は、思わず溢れた唾液を飲み込んだ。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
嗜虐と恍惚と、屈辱と
璃鵺〜RIYA〜
BL
シリーズ4作目です。
バンドマン同士のBL小説です。
後輩ヴォーカリスト×先輩ギタリストです。
後輩(攻め)くんがストーカー気質で、先輩(受け)が女王様です。
女王様を書きたかったんです。
今回は女王様をいじめてみました。
足を舐めるの好きです。大好物です。
すみません・・・
※性行為の描写あります。
※重複投稿です。
※オリジナルです。
※何かあればご一報下さい。
Take On Me
マン太
BL
親父の借金を返済するため、ヤクザの若頭、岳(たける)の元でハウスキーパーとして働く事になった大和(やまと)。
初めは乗り気でなかったが、持ち前の前向きな性格により、次第に力を発揮していく。
岳とも次第に打ち解ける様になり…。
軽いノリのお話しを目指しています。
※BLに分類していますが軽めです。
※他サイトへも掲載しています。
消えない思い
樹木緑
BL
オメガバース:僕には忘れられない夏がある。彼が好きだった。ただ、ただ、彼が好きだった。
高校3年生 矢野浩二 α
高校3年生 佐々木裕也 α
高校1年生 赤城要 Ω
赤城要は運命の番である両親に憧れ、両親が出会った高校に入学します。
自分も両親の様に運命の番が欲しいと思っています。
そして高校の入学式で出会った矢野浩二に、淡い感情を抱き始めるようになります。
でもあるきっかけを基に、佐々木裕也と出会います。
彼こそが要の探し続けた運命の番だったのです。
そして3人の運命が絡み合って、それぞれが、それぞれの選択をしていくと言うお話です。
そっと、口吻けを。
璃鵺〜RIYA〜
BL
シリーズ3作目です。
バンドマン同士のBL小説です。
もともと芸能で活動していたので、どうしても書きたくなりました!
後輩ヴォーカリスト×先輩ギタリストです。
後輩(攻め)くんがストーカー気質で、先輩(受け)が女王様です。
お互いを想う気持ちを再確認し合った話しです。
30代のおっさんの恋物語ですので、苦手なかたはご遠慮ください。
おっさん好きなかたのみ、よろしくお願いします(笑)
※性行為の描写あります。
※重複投稿です。
※オリジナルです。
※何かあればご一報下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる