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括り紮げる
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オレだけを欲して、愛してくれる珀英のメールは、心底嬉しかったし、安心した。
素っ気ない返事を返しながらも、本当は珀英が来てくれるのを、待ちに待っていた。
とは言え、仕事はしなくてはならないので。
いつもの通り、夕方からスタジオに入って、夜中ずーーっとこもって、メンバーと曲のアレンジを話し合ったり、楽器の演奏録って細かい部分を詰めて変更したり。
歌詞に口は出さないけど歌い方に要望を出したり、曲と曲の繋ぎ目を詰めたり、やることが満載(まんさい)で気づくと朝になっている。
そろそろ帰ろうと話しになり、ギターを片付けてスマホを見ると、珀英からメールが入っていた。
珀英が来ることも忘れて作業に没頭(ぼっとう)していたせいで、珀英からのメールに気づかなかった。
どうやら空港に着いたようで、真っ直ぐオレの泊まっているアパートメントに来るらしい。
時間的にもうすぐ到着してしまう。
オレはメンバーに挨拶もそこそこに、慌ててスタジオを飛び出すと、アパートメントに走って向かった。
背中に背負っているギターが揺れて痛いけど、そんなことを言ってる場合じゃない。
スタジオとアパートメントは歩いて15分くらいの距離にあるので、運動不足解消もかねて毎日歩いて往復している。
本日もロンドンは曇り空で、早朝の気温は低い。
いつもなら少し肌寒く感じるが、今日は走っているのでちょうどいいくらいだった。
早朝のジョギングをしている若い女性とすれ違ったり、散歩している犬に吠えられたりしながら、ロンドンの街を駆け抜けた。
アパートメントに到着して、外階段を駆け上がる。
2階の奥の部屋を借りているので、毎日階段を使っている。エレベーターがない建物なので仕方ない。
珀英は鍵を持っていないので、到着する前に部屋に戻っていたかった。
階段を上りきって、廊下を走りながら奥を見ると、珀英の後ろ姿が目に入った。
金髪の長い髪を1つに結んで、大きなスーツケースを携(たずさ)えて、黒いロングのトレンチコートを着て、オレの部屋の前に佇(たたず)んでいる。
オレの足音が聞こえたらしく、珀英がこっちを振り返った。
大きな漆黒の瞳に、高く通った鼻筋、少し厚めの口唇が嬉しそうに微笑んだ。
真面目な顔をしていたら、男らしい精悍(せいかん)な印象なのに、オレに対してはどこまでも優しい甘い顔をする。
「緋音さん!」
珀英がオレに駆け寄るよりも早く、オレは珀英の前に辿り着いた。走ってきたことを悟られたくなくて、浅い呼吸を繰り返して、ぶっきらぼうに言った。
「早かったな・・・」
「さっき着いたばかりです。緋音さんレコーディング帰りですよね?」
「ああ・・・」
珀英はにこにこ微笑んでそっと、いきなりオレの髪を、そっと優しく撫(な)ぜてきた。
優しい触れ方に少しドキドキしていると、そのまま顔を近づけてきたので、オレは慌てて珀英の胸を押し返した。
「・・・とりあえず中入れ」
ポケットから鍵を取り出して、玄関のドアを開けた。外でキスなんか、誰に見られてるかわからないからダメだって。
全く危機感が足りない。
素っ気ない返事を返しながらも、本当は珀英が来てくれるのを、待ちに待っていた。
とは言え、仕事はしなくてはならないので。
いつもの通り、夕方からスタジオに入って、夜中ずーーっとこもって、メンバーと曲のアレンジを話し合ったり、楽器の演奏録って細かい部分を詰めて変更したり。
歌詞に口は出さないけど歌い方に要望を出したり、曲と曲の繋ぎ目を詰めたり、やることが満載(まんさい)で気づくと朝になっている。
そろそろ帰ろうと話しになり、ギターを片付けてスマホを見ると、珀英からメールが入っていた。
珀英が来ることも忘れて作業に没頭(ぼっとう)していたせいで、珀英からのメールに気づかなかった。
どうやら空港に着いたようで、真っ直ぐオレの泊まっているアパートメントに来るらしい。
時間的にもうすぐ到着してしまう。
オレはメンバーに挨拶もそこそこに、慌ててスタジオを飛び出すと、アパートメントに走って向かった。
背中に背負っているギターが揺れて痛いけど、そんなことを言ってる場合じゃない。
スタジオとアパートメントは歩いて15分くらいの距離にあるので、運動不足解消もかねて毎日歩いて往復している。
本日もロンドンは曇り空で、早朝の気温は低い。
いつもなら少し肌寒く感じるが、今日は走っているのでちょうどいいくらいだった。
早朝のジョギングをしている若い女性とすれ違ったり、散歩している犬に吠えられたりしながら、ロンドンの街を駆け抜けた。
アパートメントに到着して、外階段を駆け上がる。
2階の奥の部屋を借りているので、毎日階段を使っている。エレベーターがない建物なので仕方ない。
珀英は鍵を持っていないので、到着する前に部屋に戻っていたかった。
階段を上りきって、廊下を走りながら奥を見ると、珀英の後ろ姿が目に入った。
金髪の長い髪を1つに結んで、大きなスーツケースを携(たずさ)えて、黒いロングのトレンチコートを着て、オレの部屋の前に佇(たたず)んでいる。
オレの足音が聞こえたらしく、珀英がこっちを振り返った。
大きな漆黒の瞳に、高く通った鼻筋、少し厚めの口唇が嬉しそうに微笑んだ。
真面目な顔をしていたら、男らしい精悍(せいかん)な印象なのに、オレに対してはどこまでも優しい甘い顔をする。
「緋音さん!」
珀英がオレに駆け寄るよりも早く、オレは珀英の前に辿り着いた。走ってきたことを悟られたくなくて、浅い呼吸を繰り返して、ぶっきらぼうに言った。
「早かったな・・・」
「さっき着いたばかりです。緋音さんレコーディング帰りですよね?」
「ああ・・・」
珀英はにこにこ微笑んでそっと、いきなりオレの髪を、そっと優しく撫(な)ぜてきた。
優しい触れ方に少しドキドキしていると、そのまま顔を近づけてきたので、オレは慌てて珀英の胸を押し返した。
「・・・とりあえず中入れ」
ポケットから鍵を取り出して、玄関のドアを開けた。外でキスなんか、誰に見られてるかわからないからダメだって。
全く危機感が足りない。
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