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もっと捕らえて.裏
もっと捕らえて.裏 5
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ほわほわした感覚のまま、珀英のその様子をじーーっと眺めて、オレは口を開いていた。
「はくえい・・・」
「はい?」
「これ・・・あげる・・・」
消え入りそうな小さな声で言って、オレは手にしていた小さな箱を、テーブルにそっと置いた。
オレにはこれが限界。
珀英はきょとんとした表情をした後、一気に嬉しそうに驚いたような笑顔になる。
「え?!プレゼントですか?!」
「あぅ・・・まあ・・・そんなもん・・・」
「嬉しい!!ありがとうございます!」
まだ中を見てもいないのに、珀英は本当に心底嬉しそうに、嬉しそうに笑ってくれる。
たぶん珀英はオレがあげる物なら何でも喜ぶだろう。
それがわかっているから、わかっているからこそ、適当な物をあげるわけにはいかなくて、色々考えて考えすぎて、プレゼントを決めたはいいけど、珀英が喜んでくれるかわからなくなってしまった。
オレがそんな状態で選んだことなんか知らない珀英は、差し出した小さな箱を受け取ると、壊れ物を扱うように繊細(せんさい)に、愛おしそうに箱を撫ぜて、おずおずと言った。
「あの・・・開けてもいいですか?」
「・・・いいよ」
「はい!」
珀英の太い長い指が、器用に箱にかけられたリボンを解(ほど)く。
オレに触れている時のような、優しい丁寧なその指使いに一瞬、心臓が跳ね上がる。
熱くて、狂おしいほど優しくて、オレの体を隅(すみずみ)々まで舐めて、知り尽くしている、何よりも危険で甘美な、その指で、手で、腕で、触れて欲しいと。
思った。
珀英はオレのそんな醜い欲情なんか知らずに、リボンを全部解いて、厚紙でできた箱の蓋(ふた)を開くと、嬉しそうに微笑んだ。
「ピアスだ!ありがとうございます」
「・・・お前が何欲しいか全然わかんなかったから・・・そんなんでごめん」
「何言ってるんですか?嬉しいですよ」
「なら・・・いいけど・・・」
箱の中から珀英はそっとピアスを取り出す。
プラチナでできた、少し太めのシンプルなリングピアス。
珀英がわりとごついアクセサリーを好んでつけるから、ごてごて装飾されたものよりも、シンプルなほうが他のと合わせやすくていいかなって、思って選んだものだった。
珀英は嬉しそうに愛おしそうにピアスを眺めて、不意に顔を上げてオレを正面から見つめる。
少し厚くて、甘くて、狂おしいほど愛おしい口唇に、目がいく。
その口唇に触れたい、触れて欲しい。
オレの体の隅々まで、口吻けて欲しい。
そんなことを考えていたら、珀英が想定外のことを言い出した。
「緋音さん、これ、付けてもらいたいです」
「え?オレが?」
「ダメですか?」
「ダメ、じゃないけど・・・」
珀英は丁寧に、今しているピアスを外す。
左に3穴と右に2穴開けてある内の、左右一番下のピアスを外して、オレを嬉しそうに見ている。
オレはしょうがないから、渋々腰を上げると、珀英の前に立ってオレが贈ったピアスを取ると、体を屈(かが)めて顔を近づけた。
ゆっくりと、ゆっくりと。
珀英の正面ではなく、耳たぶを見るために、少し横にずらして、顔を近づける。
オレの息が珀英の耳にかかっているのが、わかる距離。
珀英が一瞬息を飲むのがわかる。
「はくえい・・・」
「はい?」
「これ・・・あげる・・・」
消え入りそうな小さな声で言って、オレは手にしていた小さな箱を、テーブルにそっと置いた。
オレにはこれが限界。
珀英はきょとんとした表情をした後、一気に嬉しそうに驚いたような笑顔になる。
「え?!プレゼントですか?!」
「あぅ・・・まあ・・・そんなもん・・・」
「嬉しい!!ありがとうございます!」
まだ中を見てもいないのに、珀英は本当に心底嬉しそうに、嬉しそうに笑ってくれる。
たぶん珀英はオレがあげる物なら何でも喜ぶだろう。
それがわかっているから、わかっているからこそ、適当な物をあげるわけにはいかなくて、色々考えて考えすぎて、プレゼントを決めたはいいけど、珀英が喜んでくれるかわからなくなってしまった。
オレがそんな状態で選んだことなんか知らない珀英は、差し出した小さな箱を受け取ると、壊れ物を扱うように繊細(せんさい)に、愛おしそうに箱を撫ぜて、おずおずと言った。
「あの・・・開けてもいいですか?」
「・・・いいよ」
「はい!」
珀英の太い長い指が、器用に箱にかけられたリボンを解(ほど)く。
オレに触れている時のような、優しい丁寧なその指使いに一瞬、心臓が跳ね上がる。
熱くて、狂おしいほど優しくて、オレの体を隅(すみずみ)々まで舐めて、知り尽くしている、何よりも危険で甘美な、その指で、手で、腕で、触れて欲しいと。
思った。
珀英はオレのそんな醜い欲情なんか知らずに、リボンを全部解いて、厚紙でできた箱の蓋(ふた)を開くと、嬉しそうに微笑んだ。
「ピアスだ!ありがとうございます」
「・・・お前が何欲しいか全然わかんなかったから・・・そんなんでごめん」
「何言ってるんですか?嬉しいですよ」
「なら・・・いいけど・・・」
箱の中から珀英はそっとピアスを取り出す。
プラチナでできた、少し太めのシンプルなリングピアス。
珀英がわりとごついアクセサリーを好んでつけるから、ごてごて装飾されたものよりも、シンプルなほうが他のと合わせやすくていいかなって、思って選んだものだった。
珀英は嬉しそうに愛おしそうにピアスを眺めて、不意に顔を上げてオレを正面から見つめる。
少し厚くて、甘くて、狂おしいほど愛おしい口唇に、目がいく。
その口唇に触れたい、触れて欲しい。
オレの体の隅々まで、口吻けて欲しい。
そんなことを考えていたら、珀英が想定外のことを言い出した。
「緋音さん、これ、付けてもらいたいです」
「え?オレが?」
「ダメですか?」
「ダメ、じゃないけど・・・」
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ゆっくりと、ゆっくりと。
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オレの息が珀英の耳にかかっているのが、わかる距離。
珀英が一瞬息を飲むのがわかる。
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