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もっと捕らえて.裏
もっと捕らえて.裏 1
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「お前、今夜あいてる?」
いつものように珀英が淹(い)れてくれた熱いコーヒーを飲みながら、オレは珀英に訊いた。
時刻は朝の11時すぎ。
いつものように珀英に起こされて、珀英がご飯作ってくれている間に軽くシャワーを浴びて、ダイニングの定位置の椅子に座って、コーヒーに息を吹きかけて冷ましながら飲む。
珀英はキッチンでフライパンで何かを焼きながら、オレの言葉に反応して振り返った。
束ねられた長い茶髪が揺れて、珀英の漆黒の瞳にオレが映る。
「いえ、今日は特に仕事もないですけど・・・」
真冬の12月なので珀英は黒い厚手のセーターに、いつものジーパン、金髪から明るめの茶色に変わった髪は少し短くなって、広い背中の中程の長さで一つに結(ゆわ)えられている。
ここより短いのを見たことがないから、珀英の中でここが一番短い状態で、あとは伸びたら切るを繰り返しているんだろう。
オレも珀英の長髪に見慣れてるから、いきなり短くされても珀英って認識できるかわからないから、別にいいけど。
暖房の効いた部屋で、珀英の用意したタートルネックの黒いカットソーに、少し長めのグレーのカーディガンを羽織って、厚手の黒いパンツを履いて、美味しそうな匂いを嗅ぎながら、ご飯を作ってくれている珀英を見つめていた。
なので、振り返った珀英と目が合う。
あまりにがっつりと目が合ってしまい、何だか気恥ずかしくなって、オレは思わず少し視線を反らして、コーヒーを啜(すす)りながら、そのまま言いたいことだけ言う。
「あー・・・じゃあ夕飯は外で食べないか?」
「え?デートですか?!」
珀英がいつものように軽口を叩く。
反射的にオレもいつものように、珀英を睨(にら)んで口を開いた。
「デっ・・・?!・・・ちがっ・・・・・・・・・ちが・・・く・・・ない」
「ええええっっっっ?!!!」
てっきりいつものように『違う!』って言われると思っていた珀英が、本気で驚いで体ごとオレを振り返って、フライパンそっちのけになっていた。
放ったらかしにされたフライパンは、容赦なくジュージューと何かを焼いている。
フライ返しを持ったまま、アーモンド形の目を見開いて、オレを凝視(ぎょうし)する珀英と目を合わせて。
オレは口唇を尖らせて、コーヒーの入ったマグカップを口に運びながら、拗(す)ねてみせた。
「な・・・何だよ?たまにはいいだろ!」
「いや、その、はい」
「店は後でLINEする」
「あ、はい」
オレは言いたいことだけ言って、ぷいっと、珀英から顔を反らしてしまった。
頬が熱い。きっと顔が赤くなってる。
珀英と付き合うようになってから、珀英がオレが照れるようなことを平気で言うから、顔がすぐに赤くなるようになってしまった。
たまに雪に揶揄(からか)われたりするから、嫌なんだけど、制御できるもんでもないし。
珀英は何が何だかわからないなりにも、オレが拗ねて会話を打ち切ってしまったので、軽く首を傾(かし)げながら、再びフライパンと向き合って、ご飯を作る。
オレはその気配を感じて、ちらっと珀英に視線を送った。
広くて逞(たくま)しい背中が、なんだか少し嬉しそうに楽しそうに揺れている。
気のせいなのかもしれないし、オレの気分がそう見せているだけかもしれない。
こんな風にデートに誘うことなんかめったにしないから、なんか本当に恥ずかしい。
たかがご飯に誘っただけなのに、それなのに恥ずかしくて仕方ない。
それでも、珀英が今夜の外食を楽しみにしてくれているなら、嬉しい。
頬が熱いのを感じながら、オレはコーヒーを一口飲んだ。
「お前、今夜あいてる?」
いつものように珀英が淹(い)れてくれた熱いコーヒーを飲みながら、オレは珀英に訊いた。
時刻は朝の11時すぎ。
いつものように珀英に起こされて、珀英がご飯作ってくれている間に軽くシャワーを浴びて、ダイニングの定位置の椅子に座って、コーヒーに息を吹きかけて冷ましながら飲む。
珀英はキッチンでフライパンで何かを焼きながら、オレの言葉に反応して振り返った。
束ねられた長い茶髪が揺れて、珀英の漆黒の瞳にオレが映る。
「いえ、今日は特に仕事もないですけど・・・」
真冬の12月なので珀英は黒い厚手のセーターに、いつものジーパン、金髪から明るめの茶色に変わった髪は少し短くなって、広い背中の中程の長さで一つに結(ゆわ)えられている。
ここより短いのを見たことがないから、珀英の中でここが一番短い状態で、あとは伸びたら切るを繰り返しているんだろう。
オレも珀英の長髪に見慣れてるから、いきなり短くされても珀英って認識できるかわからないから、別にいいけど。
暖房の効いた部屋で、珀英の用意したタートルネックの黒いカットソーに、少し長めのグレーのカーディガンを羽織って、厚手の黒いパンツを履いて、美味しそうな匂いを嗅ぎながら、ご飯を作ってくれている珀英を見つめていた。
なので、振り返った珀英と目が合う。
あまりにがっつりと目が合ってしまい、何だか気恥ずかしくなって、オレは思わず少し視線を反らして、コーヒーを啜(すす)りながら、そのまま言いたいことだけ言う。
「あー・・・じゃあ夕飯は外で食べないか?」
「え?デートですか?!」
珀英がいつものように軽口を叩く。
反射的にオレもいつものように、珀英を睨(にら)んで口を開いた。
「デっ・・・?!・・・ちがっ・・・・・・・・・ちが・・・く・・・ない」
「ええええっっっっ?!!!」
てっきりいつものように『違う!』って言われると思っていた珀英が、本気で驚いで体ごとオレを振り返って、フライパンそっちのけになっていた。
放ったらかしにされたフライパンは、容赦なくジュージューと何かを焼いている。
フライ返しを持ったまま、アーモンド形の目を見開いて、オレを凝視(ぎょうし)する珀英と目を合わせて。
オレは口唇を尖らせて、コーヒーの入ったマグカップを口に運びながら、拗(す)ねてみせた。
「な・・・何だよ?たまにはいいだろ!」
「いや、その、はい」
「店は後でLINEする」
「あ、はい」
オレは言いたいことだけ言って、ぷいっと、珀英から顔を反らしてしまった。
頬が熱い。きっと顔が赤くなってる。
珀英と付き合うようになってから、珀英がオレが照れるようなことを平気で言うから、顔がすぐに赤くなるようになってしまった。
たまに雪に揶揄(からか)われたりするから、嫌なんだけど、制御できるもんでもないし。
珀英は何が何だかわからないなりにも、オレが拗ねて会話を打ち切ってしまったので、軽く首を傾(かし)げながら、再びフライパンと向き合って、ご飯を作る。
オレはその気配を感じて、ちらっと珀英に視線を送った。
広くて逞(たくま)しい背中が、なんだか少し嬉しそうに楽しそうに揺れている。
気のせいなのかもしれないし、オレの気分がそう見せているだけかもしれない。
こんな風にデートに誘うことなんかめったにしないから、なんか本当に恥ずかしい。
たかがご飯に誘っただけなのに、それなのに恥ずかしくて仕方ない。
それでも、珀英が今夜の外食を楽しみにしてくれているなら、嬉しい。
頬が熱いのを感じながら、オレはコーヒーを一口飲んだ。
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