夜空に瞬く星に向かって

松由 実行

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第四章 Bay City Blues (ベイシティ ブルース)

28. 貨物室

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■ 4.28.1
 
 
「こっちも配置についている。いつでも大丈夫だ。」
 
 マサシ達の準備完了報告に続いて、アデールも音声通信で準備完了を報告する。
 身体を押し込んでいる作業用の通路の中で少しだけ動いて、痺れそうになっていた脚の位置を変えた。
 
 例え隠密行動をしていても、今使っているのはニュクスから与えられた量子通信ユニットであり、レジーナの増設量子通信局に向けて通信しているため、傍受されることはまずあり得ない。
 ニュクスが要求して増設した幾つかの量子通信回線は、ニュクスが機械達の集合知性に常時接続するためにも用いられているが、この様にレジーナの乗員の間で秘匿性の高い通信を行うためにも用いられる。
 
 ふざけた態度でマサシに装備増設を要求するニュクスだが、マサシに次々と却下されつつもニュクスが設置を強く主張して引かない装備に関しては、実際に有用な設備増設の提案である事が多い。
 マサシもそこの所は理解しているらしく、ニュクスがしつこく食い下がる設備に関しては大概の場合なんのかんのと増設を認めている。
 マサシ、ブラソン、ニュクスと云った、ふざけた態度と斜に構えた発言だらけの貨物船レジーナ・メンシスⅡの乗員達だが、実は思いの外押さえるべき場所はしっかりと押さえている、というのがここ半年ほど行動を共にしてみてのアデールの感想だった。
 
 マサシの判断力は、本人が言っていた様に、異国の貨物船での雑役下働きからの叩き上げで船長にまで成り上がった本人の経験を基にするものだろう。
 大概は慎重に物事を進めるのだが、時に驚くほど過激で大胆な行動に出ることがある。その大胆な行動を取ったところばかりが目立ってしまい、「荒事専門の運び屋」等と云う異名を取ってはいるが、普段は慎重であるところにマサシの軸足があるものと思っていた。
 いずれにしても、これまでも何度も訪れていた色々な困難を乗り越えてきたその判断力は、伊達では無いだろうと彼女は判断していた。
 
「カウントダウン。5秒前、4、3、2、1、ゼロ。作戦開始。終了まで900秒。カウントダウン開始します。」
 
 物思いにふけっているアデールの思考に、レジーナの作戦開始の号令が割り込んできた。
 カウントダウンがゼロとなったのを聞き、作業用通路の中でおもむろに身体を起こして、軽い伸びをする。
 慌てることはなかった。
 まずはマサシ達の正面部隊が、目標である貨物船レベドレアに突入し、その後頃合いを見て貨物デッキに侵入する事になっている。侵入が早すぎて、こちらに乗員の注意が向いてしまっては元も子もないのだ。
 
 アデールは貨物船レベドレアが係留されているピアの先端に向けて作業用通路を進む。
 少しヒールのあるAEXSSのブーツの踵が、金属のグレーチングの床を踏んで、鈍く甲高い音を発してそれが通路全体に響いている。
 この通路には誰もいないことは確認済みで、集音センサなどは全てノバグが無力化したことは知っているのだが、それでもやはり音が響くのを聞くのは落ち着かないものだった。余り意味の無いことと知りつつ、しかしどうしても音を立てない様に忍び足になって歩く。
 
 しばらく歩き、アデールは目的の管理保守用エアロックにたどり着いた。
 本来ならばパスコードが必要であるエアロック内壁を開ボタンひとつで開け、狭いメンテナンス用エアロックに身体を押し込む。パスコードはすでにノバグが解除している。このピアは、全体がすでにノバグのコントロール下にある。
 ちょうど目の前に来る外壁開のボタンを押すと、自動的に内壁が閉まり、続けて減圧が始まった。
 減圧が完了したところで、それを示す黄色の明かりが灯り、外壁が自動で開く。身体がふわりと軽くなり、エアロック内の重力が切れたことを感じる。
 アデールはエアロック壁に取り付けてある突起を順に掴みながら、身体をエアロックの外に押しだした。
 
 ちょうど目の前に漂って視野を塞いでいた外壁材の破片と思われるデブリを蹴り飛ばす。
 AEXSSの力で蹴り飛ばされたデブリは、勢いよく回転しながら深宇宙に向けて旅立っていった。
 視界を塞ぐデブリが消えた後には、どこまでも続く漆黒の宇宙と、数え切れない数の色とりどりの光を纏った星の海が広がる。
 見慣れた宇宙空間の筈が、アデールはその美しさと深さに一瞬心を奪われて息を呑んだ。
 すぐに我に返り、貨物船レベドレアに狙いを定めてステーションの外壁を蹴る。
 レジーナに乗る様になってから、マサシのロマンチストを伝染(うつ)されたかも知れない。
 金にシビアなフリーの運び屋を生業とし、そして命を削る様な経験を何度もしてなおまだ、船で星の大海を渡る夢を説くあのロマンチストに。
 
「侵入箇所のエアロック位置特定しました。マップにマーカー表示します。レベドレア船殻上をマーカー位置まで移動してください。」
 
 ノバグの声が響く。
 それと同時に視野の左側に貨物船レベドレアと思しき船の外観図が開き、船底部分に赤色のマーカーが表示されている。
 
 船体に接触した時に大きな音を出さないよう、使い捨てのガスガンで減速した後にアデールはレベドレアの船体側面に降り立った。
 靴底を吸着質にし、船体の表面をゆっくりと歩いて船体下面にたどり着く。
 ノバグの予想によれば、独立量子通信局が設置してあるのは、乗務員区画の部屋の中か、貨物室のどちらかだという。
 アデールの予想では、貨物室だった。
 船体表面をまるで普通に惑星上の道路でも歩いているかのような気軽さで歩くアデールは、貨物用ハッチの脇に赤い枠でペイントされた、目標の人間用エアロックにたどり着いた。
 
「貨物室内に三名の乗員がいます。無力化してください。エアロックの開閉の信号は乗員には通知されません。」
 
 ノバグが船内の状況を伝えて寄越した。
 三名の乗員を一度に無力化しろと言うのも、骨の折れる話だ。もっとも相手側が大口径砲で狙いを付けて待ちかまえでもしていない限り、無力化に失敗することはないが。
 アデールはエアロックのペイント枠上にあるパネルを開き、エアロック外壁開のボタンを押した。
 
 
■ 4.28.2
 
 
 ルナに与えられた目標は貨物室までの経路と、貨物室の探索だった。
 ネットワーク上でノバグと連携して作業を行っているレジーナからの同期情報で、アデールが船外から直接貨物室に侵入することは知っている。
 AEXSSを着ているとは言え、全身を強化したニュクスに比べれば瞬発力や攻撃力に劣り、その方面のプロフェッショナルであるアデールに比べれば、絶対的に実戦経験が足りていなかった。
 
 アデールから貰った地球軍陸戦隊の新兵教育用プログラムは非常に有用で、少々改良を行った上で船内ネットワーク空間に展開して数えられぬほどの訓練を行った。
 それでもアデールは、不十分だと言った。
 どれほどリアルな仮想空間で訓練を重ねようとも、例えルナが生義体であり仮想空間と現実との間のギャップが少なかろうと、実戦での経験はそれとは全く別物だとアデールは言った。
 
 事実、ジャキョシティで絡んできたチンピラを撃退したとき、仮想空間での訓練に比べて僅かな違和感を感じていた。
 重力や空気抵抗、肉体の重量や柔らかさによる慣性の残留、果ては骨格のしなりや内臓の重心移動まで計算された仮想空間でも、やはり現実での格闘とは僅かな差があることを知った。
 そしてその僅かな差が大きな問題を引き起こすのだ、とアデールは言う。
 今回の貨物船レベドレア襲撃は、乗組員はただの民間貨物船の乗員であり軍隊ではない。そのため非戦闘用のAIであり、非戦闘用の義体を持つルナにとってちょうど釣り合いが取れる。
 そしてノバグ達ネットワークチームの全面的なバックアップを受けられるという点でも、レベドレアへの突入は絶好の実戦訓練だと考えていた。
 
 最初は、生義体という実体を持った船内管理用の機械知性体として存在すれば、それで良いと思っていた。
 生義体を失ったレジーナでは、料理の配膳や、物品の移動など、物理的な作業をこなすことは出来ない。
 元々レジーナの生義体端末として、船内の物理的な作業をこなしていたので、その仕事をそのまま引き継げば良いと思っていた。
 しかし、マサシが船長として率いるこの船は、運び屋の業界では荒事が得意なチームとして名が売れており、事実次から次へと宇宙空間での実力行使や、地上やステーション内での格闘戦などの「荒事」が発生した。
 
 生義体を持つ独立した一個の機械知性体として、そして貨物船レジーナ・メンシスⅡの乗員として、そのままでは不十分だと思った。
 船内管理を完璧にこなすのは当然の事であって、プラスアルファの何かが必要だと思った。
 機械知性体としての処理能力を生かした操船や船体管理はレジーナがそのまま行っている。
 それ以外の何かで、自分の存在する意義を見いださねばならないと考え抜いた結果、荒事が得意なこのチームの中で、生義体という自分の特長を生かす事が出来るのが白兵戦、格闘戦の分野であった。
 
 ニュクスのように身体を改造するのはマサシが嫌がるだろう。何よりも、マサシから与えて貰ったこの身体を変えてしまうことは自分自身が嫌だった。
 身体を改造せずに格闘戦や白兵戦の能力を上げること。
 ヒトの陸戦隊兵士が出来るのだから、生義体の自分に出来ない筈はなかった。
 そしてルナの目標は決定された。
 完璧な船内管理と、白兵戦格闘戦能力の獲得。
 船内管理の仕事の合間を縫って、仮想空間での猛特訓が始まった。
 
 辺りを警戒しながら船内通路を進むと、ノバグがマーキングした貨物室へのリフトにたどり着いた。
 リフトに飛び込もうとしたところで、ノバグから警告が出る。
 
「貨物室からリフトを上がってくる乗員がいます。対応願います。」
 
 とっさにリフト脇の壁に張り付く。
 果たして数秒後、リフトの中から長身の男が歩み出てきた。
 男は、リフト脇に潜んでいるルナに気付かず、船内通路を進んでいく。
 AEXSSで強化された脚力を使って、一瞬で男の背後に迫り、首筋に手刀を叩き込む。
 男は床に崩れ落ちる。
 気絶した男を船内通路のど真ん中に放置して置くわけにも行かず、襟首を掴み、半ば引きずる様にしてそのままリフトに乗り込む。
 貨物室でリフトを出て、男の身体をリフト脇の適当な場所に投げた。
 
「ザバージ? まだ下に居たのか。だったらついでにこいつをコクピットに持って行ってくれねえか?」
 
 ルナが適当に投げた男の身体が床に転がった音を聞きつけたのだろう。別の船員がコンテナの陰から姿を現した。
 先に床に投げた男の身体を片づけるべきか、とにかく自分が身を隠すべきか、ルナは一瞬迷ってしまった。そしてその迷いが致命的な遅れとなってしまい、乗員の前に姿をさらすこととなってしまった。
 その男の身長は165cm程度、痩せ形で、作業着と思われる白い上下を着ている。
 白い作業着の男は、ルナの姿を見てぎょっとした表情を見せて足を止めた。
 
「誰だ、お前ぇ?」
 
 男はそう言いながら右手を後ろに回した。
 腰のホルスタから銃を取り出すつもりだろう。
 結果として、それは上手く行かなかった。
 
 さすがにここに来て迷いを捨てたルナは、数mの距離を跳躍して一気に縮め、作業着の男の腹に蹴りを叩き込んだ。
 二つに身体を折って吹っ飛ぶ男は、痛みに耐えるためか、ただ単に驚いただけの反射運動か、ホルスタから抜き出した火薬式のハンドガンのトリガーを引いた。
 鋭い破裂音が立て続けに発生する。
 発射された実弾体がルナに当たることは無く、また他の何かを大きく破壊することもなかった。
 
「まずいですね。」
 
 データとして飛んできたノバグの意識のつぶやきをルナは聞いた。
 
「まずいですか?」
 
「はい。ネットワーク上の情報は幾らでも欺瞞情報を流せますが、物質的に発生した火薬の煙は消せません。この船は随分古く、エアコンディショナーの性能がかなり落ちています。煙の匂いが船内に広がると思われます。」
 
「バレますね。」
 
「多分バレます。エアコンの性能からみて、三分後には船内に広がります。」
 
「せめて貨物室は制圧しましょう。
 
「はい。貨物室を拠点にして船内の制圧が可能になります。」
 
「同意する。良い判断だ。貨物室の残り乗員数は?」
 
 アデールが話に入ってきた。ちょうど今、計画通り外部から貨物室に入り込んだのだった。
 元の計画では、船内通路でマサシやルナ達が乗員と鉢合わせして白兵戦になった場合、貨物室から侵入したアデールが敵の背後を襲う計画だった。
 ノバグの情報管制が完璧すぎて、乗員のほとんどが侵入に気付かなかったため背後を襲撃するという計画は無駄になってしまったが、貨物室を占拠して乗員達を迎え撃つ為にはアデールはまたとない戦力になる。
 貨物室で騒ぎを起こしている間に、マサシとニュクスが他の場所を捜索し、最終的に敵の背後を襲ってくれればいい。計画とは逆になるが、挟撃する事が出来る。
 そうアデールは説明し、マサシとニュクスもそれに同意した。
 
「こちらで把握している貨物室の乗員はあと一人です。チップを与えられていない奴隷がいる可能性があります。エアコンデータから取得した酸素/二酸化炭素収支が全然合いません。
「気をつけてください。カメラが多数故障していて、死角になる部分が多く把握し切れていません。申し訳ありません。」
 
 ノバグが謝罪するが、それはノバグが悪いわけではない。ろくに手入れもされていない旧式の船にはよくある話だった。
 
 すでにルナは行動に移っている。
 貨物室に所狭しと並んでいるコンテナの間を、辺りの気配を探りながら足音を立てないようにゆっくりと歩く。
 ルナの鋭敏な聴覚と嗅覚が、コンテナの陰をゆっくりと接近してくる人間の気配を察知する。
 今、張り付いている右側のコンテナの角を曲がったすぐ右側、距離にして多分数m。
 敵に気取られないように、ゆっくりと一歩下がる。角から3m。
 手頃なものが無く、スカートの中からハンドグレネードを一個取り出し、ロックがかかっていることを確認する。
 ゆっくりと腰を沈め、いつでも飛び出せる態勢を整える。
 
 角の向こう側で床を踏み切る音がし、コンテナの角から男が一人飛び出してきた。
 やはり白い作業着のようなものを着た中背の男だった。
 こちらに曲がってきて、ルナがいない事に一瞬たじろいだ後に、少し離れたところにしゃがみ込むルナを認めて再度突進しようとした。
 が、遅すぎた。
 元々、銀河種族と地球人の間には約1.5倍ほどの反応速度の差が存在する。
 しかもルナは、その身体能力を原生地球人よりも一段高めた生義体だった。
 
 ルナが右手の肘から先の動きだけで投げつけた黒いハンドグレネードは、見事男の顔面に命中した。
 軽く投げたとは言え、AEXSSの力で投げつけたそのグレネードの速度は、時速200kmを軽く越えていた。
 弾性を自由自在に変化させることが出来るハンドグレネードは、ルナの指示で金属並の硬度を持っており、それをまともに顔面に食らった男はそれだけで軽く意識を飛ばされている。
 のけぞる男の腹にルナの右足の蹴りが入り、二つに折れた男の身体は、一つ向こうのコンテナにぶつかって止まった。
 
「OK。ルナ、こっちに来てくれ。ノバグが言うO2/CO2収支のズレの原因を見つけた。」
 
 戦闘音が収束したことを確認して、アデールがルナに声をかける。
 ルナは現実世界でアデールの声がした方に近づいていく。
 アデールは案外近くに居た。
 
「たぶん、こいつだ。」
 
 アデールが肘で寄りかかり、拳でその表面をコツコツと叩いた小型コンテナを確認するルナ。
 電子的には「天然食材;保存環境要注意」としか表示されなかった。
 しかし、現実のそのコンテナの表面には、赤いペイントのマジット語で「販売用生体材料;存命」と書き殴られていた。
 
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