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第四章 Bay City Blues (ベイシティ ブルース)
6. 貨物船の仕事
しおりを挟む■ 4.6.1
「エイフェ・・・俺は、エイフェを守ってやれなかった。」
エイフェというのは、バディオイの一人娘の名前のようだった。
ブラソンが言うには、六歳前後。ブラソンがパイニエを飛び出した時にはまだ生まれて数ヶ月しか経っていなかったという事なので、現在の姿は良く分からない。
ただブラソン曰く、映像で見せて貰った限りではバディオイのカミさんは随分と美人であったので、その娘のエイフェも可愛いはずだ、との事。
勿論、前に話した種族的な美的感覚の差というものはある。
逮捕され、法で裁かれて奴隷落ちしたバディオイに対して、その薄情な美人嫁は三行半を突き付けたらしい。
ブラソンの質問に答えるバディオイに話の中にも、その美人嫁の話は余り出てこなかったし、バディオイの話し方からも、この男が自分の元妻の心配をあまりしていないという事が伝わってきた。
しかし、エイフェという名の娘は別だった。
勿論途中から、バディオイがあまり元妻の心配をしていない様だと気付いたプラソンが、娘の話ばかり振った事もその理由だろう。
バディオイは娘の話ばかりを語り続けた。
六年ほど前、ブラソンが仕事上のいざこざから軍警察に追い回される様になり、あわや捕縛される寸前でパイニエから飛び出した後、ブラソンが抜けた穴を埋めるかの様に次から次にバディオイに仕事の依頼が舞い込む様になった。
それはバディオイにとって、依頼達成報酬を得る金銭的な意味でも、また自分は様々な依頼が舞い込む超一流のハッカーになったのだと、自分の中にあるプライドを満足させるという意味でも、喜ばしい事だった。
ちょうど、子供が生まれ、これから何かと金が必要だと思っていた時期に重なった。バディオイは次々に成功報酬の大きな仕事を受ける様になった。
その頃には、バディオイの妻ハファルレアも、自分の夫の仕事がただのネットワークエンジニアでは無さそうだ、という事に気付いていた様だった。
その当時、パイニエ軌道ステーションの港湾管理局で働いていたハファルレアは夫に対して、所謂裏の仕事を止め、実質は無いが建前ばかりのために看板を掲げている正規ネットワークエンジニアの仕事の方に注力する様に何度もバディオイに言っていたという。
しかし高額の成功報酬という金銭的な理由だけで無く、純粋にハッキングの依頼をこなしている方が楽しい、面白いというバディオイ個人の理由もあって、彼はその妻からの要請に対してなかなか首を縦に振らなかった。
「ハファルレアは、真面目な女だった。当時彼女は、港湾管理局で密輸監視業務を担当していた。もともと正義とか、公正さとか、そういった所謂『正しい』ことが好きな女だった。
「だから元々、両手が薄汚れた俺なんかとは合わない女だというのは、気付いていたよ。だけどそんな彼女の真っ直ぐさというか、真っ白で汚れの無い尖塔の様な、そんな彼女に惚れたのも確かだ。眩しく見上げる様な女だったよ。
「お前も、分かるだろう?薄汚れてねじ曲がって、いつもこそこそと日陰ばかり選んで歩いている俺達にとってみれば、そんな真っ直ぐで真っ白く輝いている様な女なんて、鬱陶しいだけだ。だけど、妙に引かれるんだ。その真っ直ぐさが羨ましくて、憧れるんだろうな。」
バディオイは、目の前のテーブルに置かれた烏龍茶の湯飲みを両手で包みながら、ポツリポツリと、しかし途絶える事は無く自分の身の上を話し続けた。
烏龍茶は、パイニエで食事の時によく出される飲料に香りが似ているのだそうだ。バディオイの気を落ち着かせて話を聞き出すには丁度良い、とブラソンが選んだものだった。
「エイフェが生まれた。可愛くてしょうがなくてね。小さくて、柔らかくて、こんな俺にさえ、守らなくちゃならないものが出来た、って事自体が幸せでね。
「子供ってのは、こっちの眼を真っ直ぐ見てくるんだよ。大人達の様に先入観だとか、疑いだとか、軽蔑だとか、そんなものを全く含まない眼で。
「だから、守らなきゃいけない、というのと同時に、守り続けなければ、という事についても考え始める様になった。いつか捕まってしまう様なヤバイ仕事じゃ無くて、娘に胸を張って話せる様な仕事をしなきゃな、ってな。」
家庭を持って、子供が生まれて、そして人が変わるという話は良く聞く。
子供が生まれたのを契機に、船乗りをやめて陸に上がるという話はザラに転がっている。
長く家を空ける船乗りでは無く、朝家を出て仕事に行き、夜家族の待つ家に帰る。そんな仕事を求める、という理由だけでは無かった。いま、バディオイが語ったと似た様な理由だった。
守るものが出来た。守り続けなければならない。だから、例え実入りは良くとも常に危険と背中合わせの船乗りを止めて、地道に堅実に長く家庭を守り続けられる陸の仕事を選ぶ。
俺の守るべきものは、全てこの船の中にある。だから陸に上がろうなど云う考えを持つ事は無かったが、しかしバディオイが云っている事の本質は、理解出来た。
「抜けられなかった・・・いや、違うな。抜けさせてもらえなかった。
「新しい依頼をどんなに断ろうとしても、断れなかった。嵌められた。断らせてくれなかった。娘の事や、家庭の事を持ち出されて、脅された。これが最後だと、何度言った事か。でも、奴らは次の依頼を持ってくる。最後だと言ったはずだと断ろうとする。決まって奴らはニヤニヤと笑いながら言うんだ。『可愛い娘さんだよなあ。あの笑顔をいつまでも見ていたいと思わないか?』ってな。」
難しい顔をしたブラソンは、黙って男の話を聞いていた。
一歩間違えれば、ブラソンがはまり込んでいた話だった。ブラソンがはまり込まなかったから、ブラソンが上手くそこから抜け出したから、だから代わりにバディオイがそこにはまり込んだ、とも言える話だった。
「俺はもう色々知りすぎていたんだ。超一流になったとくだらないプライドを自慢にして。マヌケ面をぶら下げてホイホイと奴らの言う事を聞きすぎた。深いところにはまり込みすぎた。
「奴らにしてみれば、こんな便利な駒を失う訳にはいかない。こんな色々と知りすぎた奴を堅気に戻す訳にはいかない。そんなとこだろうさ。」
冷めて残り少なくなってしまった烏龍茶のお代わりをルナが持ってきた。俺達のコーヒーとゲッキの新しいカップも一緒だった。
コーヒーでは無く、強い酒を持ってきてくれと言いたくなるような話だった。
「最後の仕事を良く覚えている。いつも通り『これが最後だよ』とニヤニヤ笑うあいつらの云う事を聞きながら、どうにか本当にこれを最後に出来ないかと頭を巡らせながら、でも全然良い考えが浮かばないまま仕事に取りかかった。
「仕事自体は簡単だった。政府が敵性と見なしている多国籍企業の中に入り込んで、社内ネットワーク経由で他星系の情報を奪って持って帰ってくるだけだ。いつものパターンだよ。
「仕事はいつも通り無事に終わった。ネットワークからログアウトして、家の雰囲気がいつもと違う事に気付いた。俺が自分の部屋のドアを開けるのと、玄関や窓を破って軍警察が雪崩れ込んでくるのが同時だった。
「クソッタレな話だ。何も思い悩む事は無かった。確かにそれが最後の仕事だったよ。ただし、奴らの方にだけ分がある終わり方でな。使えるだけ使っておいて、潮時と思ったら軍警察に情報をリークして逮捕だ。
「やって来た軍警の小隊長が笑いながら俺の肩を叩いたよ。『お疲れさん』ってな。奴ら全て承知の上で俺を逮捕したんだ。」
そんなところだろうとは思いつつ、しかし気分のいい話では無い。
ブラソンはこめかみに皺を寄せ、奥歯をかみしめたままに目の前に置いてあるカップの中のコーヒーの液面をじっと睨み付けていた。もしかしたらブラソンには、コーヒーの液面を通して小隊長の顔が浮かんで見えているのかも知れなかった。
「ちょっと待ってください。ああ、口を挟んでしまって申し訳ない。でも、どうしても腑に落ちない点があります。バディオイ、あなたの口ぶりではその『やつら』というのはまるで・・・」
「そうだよ、『やつら』とは、パイニエの政府だ。俺に繋ぎを取ってきたのは軍の情報部だが、いずれにしても政府機関である事は変わりない。そういうものだよ、イベジュラハイさん。持ちつ持たれつなんだ。
「正式に政府に就職していれば、諜報員と呼ばれてプロフェッショナル扱いだ。金だけで契約すると、良い様に使われ要無しになったらポイで、犯罪者だ。」
「政府はあなたに保障するべきです。例え裏取引だとしても、少なくともあなたの家族は保護されるべきだ。」
「ありがとうよ、イベジュラハイさん。あんた良い人だな。だけど奴らにとってみりゃ、俺なんてただの消耗品だ。俺の家族を保護するというのは、自分たちの後ろ暗い企みの証拠をわざわざ作る様なもんだ。」
「しかしそれでも・・・」
イベジュラハイがさらに言い募る。口元の触覚がざわざわと動いている。感情が高ぶると触覚が活発に動く様になるのだろう。
「いいんだ、イベジュラハイさん。全ては俺の招いたことだ。そもそもが、こんなお天道様に顔向けできない様な仕事に手を染めたことだ。そして、そんな小悪党が普通の幸せな家庭を持とうなんて虫の良すぎる話だったのさ。」
バディオイが弱く、しかし優しく微笑む。
そしてその笑顔が、苦痛によじれる。
「俺は良いんだ。しかし、エイフェだけは・・・娘だけは何とかしてやりたい。あの子には何の罪も無い。俺の娘でなければ、犯罪者の娘でなければ、もっと幸せに生きられた筈なんだ。俺のことはどうでも良い。娘だけは、何とか。」
バディオイが両腕で頭を抱える。
うつむいた顔から、絞り出す様な声が聞こえる。
「こんな事を頼める義理じゃないことは分かっている。だけど、他に誰も頼れる奴がいない。ノバグ、娘を、エイフェを救ってやってくれ。頼む。他に誰にも頼めないんだ。」
顔を上げて訴えかける様にブラソンに助けを求めるバディオイの眼から涙が流れる。
どうも先ほどから、バディオイの口調に違和感を感じていた。その理由が分かった。
エイフェという名のバディオイの娘は今どうしているのか?
常識で考えれば、母親と一緒に暮らしているのではないのか。
しかし、バディオイの口ぶりからでは、より不幸な境遇に陥っている様にしか聞こえない。
それはブラソンも感じていた様だ。
「アネム・・・いや、バディオイ。なぜそんなに苦しむ?娘さんは今どうしているんだ?母親と一緒じゃないのか?」
ブラソンが訝しげに問う。
「娘は、重犯罪者の娘として矯正孤児院に入れられた。スペゼ市のアノドラ・ファデゴ矯正孤児院だ。」
「矯正孤児院、か。」
ブラソンが渋い顔をする。
俺は知識としてパイニエ語をロードしているが、パイニエの一般常識まではチップ内にロードしていない。矯正孤児院がどういうところなのか掴みかねた。
ただ二人の口調から、子供達が幸せに暮らす愛情に溢れた孤児院という訳では無さそうだ、という事だけは分かった。
「済まない。虫の良すぎる話だというのは分かっている。だが他に誰もいないんだ。頼む。この通りだ。」
バディオイがテーブルの上で両手を組んで握り、そこに額を押し付ける。
パイニエのジェスチャーで、最敬礼に属する所作だった。ジェスチャーは言語の一部と見なされているので、ロードした知識の中にある。
イベジュラハイがブラソンをじっと観察している。
今、ブラソンの目の前には地雷が置かれている状態なのだ。
犯罪奴隷から、何かを頼まれてはならない。これは犯罪奴隷という制度と共に、広く銀河に広まっている法だった。
その奴隷が、奴隷化する理由となった犯罪の最後の詰めを依頼したり、犯罪で得た金銭や情報などの利益を他者に供与したりすることを防止する為の法だった。
だから、ブラソンはバディオイの依頼を受けることは出来ない。
しかし、何事にも抜け道はある。
「バディオイ。お前の話は聞いた。しかし何も約束は出来ない。」
それは、定型句の様なものだった。
依頼を断るならば、「断る」とはっきり言えば良い。
依頼を受けるならば、「話は聞いた」と言えば良い。
話は聞いた。その後どうするかはこちらの勝手。何の依頼も受けていない。
ただ、「勝手に」依頼が遂行されたり、「勝手に」金品や情報が持ち逃げされたりする事になる訳だった。
イベジュラハイは何も言わずにブラソンを見ている。
奴隷監督者であるイベジュラハイも、「公式には」ブラソンは何も依頼されていないし、何も請け負っていないことを確認した、という訳だった。
「済まない。恩に着る。俺は何も礼をすることが出来ないが、エイフェに『メイエラ』の居場所を聞いてくれ。彼女は常にエイフェと共に居る。」
バディオイが悲痛な面持ちでなおも言う。
メイエラというのが誰かは分からないが、その人物から何らかの報酬を得ることが出来る、という事だろう。
本来ならイベジュラハイは、そのメイエラなる人物が何者なのか確認するべきなのだろうが、黙っていると云う事はこの点に関しては聞かなかった振りを決め込む様だ。
「さて、今日のところはこの辺りでよろしいでしょうか?そろそろ刻限も近づいて参りました。バディオイを思考制御下に戻します。」
奴隷の思考制御解除には時間制限があった。悪意を持って思考制御解除が行われた場合の対抗措置だった。
イベジュラハイがもう一度、テーブルの上に置かれた小さなデバイスをいじると、バディオイの眼から意思の光が消え、何も拒否しない代わりに自分からは何もしない、一つの生きる物体となった。
思考制御がかかり、意思を奪われるまでの間ずっと訴え縋る様にブラソンを見ていたバディオイの眼が忘れられなかった。
「監視者として宣言します。この会談にて特に問題のある発言は双方ともありませんでした。奴隷囚は、一度面会者に対して家族の保護を依頼しようとしましたが、面会者はこれを受諾しませんでした。以上。」
バディオイがブラソンに依頼したい事のあらましは分かり、これ以上会談が続くとブラソンが受諾の意思表示をせねばならなくなってしまう、もしくは誤って意思表示をしてしまう可能性がある事から、ここで会談を断ち切ったに違いなかった。若いのに、つくづく大した男だと思った。
必要とあれば、再度思考制御を解除した会談の場を設ける事も出来る、とイベジュラハイは言った。
しかしその機会を使う事は無いだろう。次にバディオイと話をする機会があれば、その時には依頼に対する返答を求められる。その返答をする訳にはいかなかった。
俺は自室に帰った。俺の後を追う様にして、ブラソンも俺の自室に入ってきた。
「奴の娘を探し出してやりたい。」
当然、そう言うだろうと思っていた。
「そのアノドラ・ファデゴ矯正孤児院というのは、どういう所なんだ?」
二人の表情と口ぶりから、碌でもない所なのだろうという想像は付いている。
「そもそも、矯正孤児院というところがダメだ。重犯罪などで親権能力に問題がある両親を持った子供が入所するんだが。基本的に両親が親権を回復する事は無いから、どこか余所に貰われていく事が殆どだと聞いている。
「しかし、重犯罪者の子供など欲しいと思う里親はいない。どうすると思う?」
ブラソンの口ぶりから、正解は余り聞きたいとは思えない内容のものなのだろうと予想が付いた。
「放置するか、リセットするか、殺すか、そんなところだ。」
公共の福祉に与する施設の割には、随分な単語が並んだ気がする。
「まるで処刑場のように聞こえるが。公共の施設なんだろう?」
俺の問いに、ブラソンは渋い表情で顔を歪めて嗤った。
「公共の施設だ。だがそこに収容された子供で、まともな扱いを受けている者は少ない。里親がいつまでも決まらなくて放置されるか、外見が良くて気に入られれば中身をリセットして里親に渡すか、どうにも手に負えないクソガキは不審死するか、だいたいそんな結末だ。本来の矯正孤児院の仕事通りに、優しい里親に迎えられて第二の人生をスタートできる子供など、ごく一握りだ。」
ブラソンは吐き捨てるように言った。
「で、アノドラ・ファデゴ矯正孤児院というのは?」
「その孤児院については詳しくは知らない。ただ、アノドラ・ファデゴ矯正孤児院が設置されているスペゼ市というのが、ろくでもない街なのさ。俺達みたいな無法者やろくでなしの中でも、特に暴力に特化した連中が溜まっているような街だ。要するに、ヤクザの溜まり場みたいな街と思っていればいい。」
します
なるほど。状況は良く分かった。
「バディオイが奴隷落ちしたのが約半年前。もうだめかも知れんし、まだ間に合うかも知れん。
「世間一般の常識と照らし合わせて、友と呼べるような関係だったかどうか怪しいものだが、数少ない腹を割って話が出来る奴だった。奴の望みを叶えてやりたい。」
渋い表情に顔を歪めたまま、嗤いだけが消え去った顔でブラソンが続ける。
ブラソンは気付いていないようだが、数少ない腹を割って話せる知り合い、窮地にあるときに見返りなど求めずに救ってやりたいと思わせる奴。そのような相手のことを、世間一般では友と呼ぶ。
たぶん、ブラソンは故郷にいた頃に友人と呼べる相手が殆ど居なかったのだろう。誰を友と呼ぶかさえ理解できていない中で得られた、バディオイはブラソンの貴重な親友だった。
「マサシ、金は俺が出す。だから・・・」
「ブラソン。この船は貨物船で、俺は貨物船の船長だ。貨物船の仕事は人探しなどではないし、そしてそれは船乗りの仕事でもない。金を積まれても、その仕事を受ける気は無い。
「お前は親友の家族を助ける。そして俺は、相棒であるお前を手伝う。これは仕事じゃない。金など要らん。水くさいこと言うな。デピシャナイト届けたらすぐにでも取りかかるぞ。バディオイの娘をどこに届けるか考えておけよ。この船にこれ以上幼女は要らんぞ。」
俺は右の拳をブラソンの右肩に打ち付けながら自室を出てコクピットに向かった。
自室のドアを開けたところに、ルナが立っていた。
ルナは何も言わなかったし、そしていつもの通り表情を変えることもなかった。
ブラソンがコクピットの航海士席に戻ってきたのは、俺が自分の席に座ってからたっぷり十分以上経ってからだった。
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