夜空に瞬く星に向かって

松由 実行

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第一章 危険に見合った報酬

11. ホテル屋内戦

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■ 1.11.1
 
 
 「五階の窓にビークルを横付けできる?」

 五階の踊り場に身を隠し、低い声でミリがブラソンに聞いた。
 
「いや・・・無理だな。このあたりのノードはパワーを落とされてる。それにお前さっきEMP使っただろう?」
 
 ブラソンはまるで耳を澄ませて何か小さな音を聞いているかのような仕草をした後に答えた。
 
「これを使って。量子通信が使える。」
 
 ミリが自分の携帯端末をブラソンに押しつけた。
 受け取ったブラソンは、端末を上着のポケットの中に入れた。
 今、この真っ暗な非常階段の中で、光が漏れて自分達の居場所を敵に知られるのは致命的だろう。
 端末をポケットに入れても、右手は端末を握ったままだ。物理的接触があれば、EMPからの影響は相当低減できる。
 
 ブラソンはミリから手渡された携帯端末にアクセスし、そこを踏み台にして量子通信のデータ転送ポートを探り始めた。
 
 下の方からまた鋭い破裂音が響いた。
 先ほどとは違って、光は見えなかった。
 ミリがゴソゴソと動く。
 暗闇で何をしているのか分からない。銃を構えているようだが・・・?
 下の方からくぐもった悲鳴が聞こえる。
 そして何かが折れるような音。
 
「五階に飛び出す準備をして。」
 
 ミリが低い声で話しながら、またジャンパーの中をゴソゴソやっている。
 何かを取り出し、階段の下に投げた。
 突然、下の方からとんでもなく明るい光が差す。
 
「今よ。」
 
 ミリがブラソンの背中を押す。
 ブラソンはドアを開けて五階の廊下に転げ出る。
 ミリはさらに下に何かを投げつけ、廊下に出てきてドアを閉める。
 ドアの前にうずくまっていたブラソンの背中を蹴り飛ばし、自身はドアのすぐ脇の壁に張り付く。
 蹴り飛ばされたブラソンは、無様に床に転がった。
 
 爆発音がして床が揺れ、非常階段のドアが吹っ飛んだ。
 爆音と急激な気圧の変化で耳鳴りがする。
 ミリはまだジャンパーの中をゴソゴソやっている。
 緑色の球状のものを取り出した。
 先ほど使ったものと同じなので、ブラソンにはそれが何か分かった。
 屋内戦用に特化した、柔らかく撥ね回るグレネードなのだろうと理解している。
 ミリが壁当ての要領でそれを階段に投げ込んだ。
 緑の球は、ポンポンと階段の上を撥ねながら下に落ちていき、三階辺りで爆発した。
 
「まだなの?」
 
 ミリが振り返りブラソンに尋ねる。ビークルのことを言っているのだろう。
 
「あのなあ。エサ撒いて鳥集めるのとはワケが違うんだ。こんな制限された環境でそうポンポン出来るかっての。ちなみに裏口のビークルはもうダメだぞ。」
 
「どうして?」
 
「奴らがブロックしている可能性が高い。ついでに誰かさんがEMP使ったおかげでたぶん回路がバーストしてる。」
 
 電磁波通信に対して、妨害の殆ど無い量子通信も遙か昔から一般化された通信技術だが、いかんせんコストが高かった。
 アンテナとなる電線一本で通信が可能である電磁波通信は、主に非軍事分野で多用されていた。
 都市型ビークルの制御も電磁波通信による。
 量子化通信技術は主に軍事方面と、惑星間通信などの基幹的なシステムで使用されていた。
 もちろん惑星間通信などに使用されるのは、どんなに遠距離であろうとタイムラグ無しで通信できる、という利点もその理由だが。
 
 ブラソンはミリの携帯端末を使用して、先ほどまでハッキングに使っていた量子通信のアクセスポイントに接続する。
 ネットワーク接続プロトコルや交通制御システムへの進入プロトコルは、自身のチップに記憶させているので、どこからでも使える。
 都市交通制御システムに接続し、近くの大通りを回遊しているビークルを一台乗っ取り、ホテルの五階の窓に横付けするように指示した。
 五階の窓に横付けしろなどというコマンドは通常の運用ではあり得ないので、停止位置を特別に座標で指示する必要があった。
 きちんと計測しているわけではないので停止位置に少々の誤差がでるだろうが、これは仕方がない。
 窓から飛べば何とかなるだろう。
 それよりもスピードが勝負だった。
 
「三分で来る。こっちの窓の外に着く。」
 
「分かったわ。」
 
 そう言ったミリは、暗い非常階段の中にまた緑色のボールを投げ込んだ。
 あのジャンパーの中には一体何がどれくらい収納されているのだろう? と半ば呆れながらブラソンは思った。
 
 そして爆発音。
 今度はドアの取れた非常階段の入り口からいろいろな破片を巻き込んだ爆風が吹き出してくる。
 ミリは非常階段の五階の踊り場に一つ、廊下に出たところにまた別のトラップをそれぞれ設置した。
 さらに出入り口に単分子ワイヤを三本設置する。
 
 すぐにブラソンが指した方の窓に走って近づく。
 窓は廊下の両端に一個ずつしかない。
 ミリは窓から顔を外に突き出し、上下を確認した。
 まだ今のところ外壁に敵の姿はない。
 何とか逃げきれそうだ、とミリは思った。
 もちろん、予定通りブラソンが呼んだビークルがやってくるとして、だ。
 
 ブラソンに窓の近くにいるように言って、ミリは再び非常階段の入り口近くで姿勢を低くする。
 左の手のひらの中には屋内用グレネードの緑色の球が握られている。
 右手だけで支えているアサルトライフルが妙に重く感じる。
 グローブをしていない手で握るライフルのグリップが、汗でぬるりと滑る。
 
 敵は真っ暗な非常階段の中だ。
 三階辺りのドアが壊れて吹き飛んでいるらしく、僅かな明かりがあるのが分かる。
 しかし暗がりであるのには変わりはない。
 それに対してこちらは明るい出入り口近くにいる。
 こちらから向こうは見えないが、向こうからこちらは見える。
 そもそも、軽装甲スーツのヘルメットには、赤外線シーカーや高感度なカメラを含めて、いろいろな種類のセンサーが装備されている。
 非常階段という狭い一本道で上位を取れたのでここまでは何とか優位に状況を進められたが、敵が四階まで上がってきた後は徐々に状況が悪化する。
 形勢を仕切り直すために、敵が屋上から再突入してくることもあり得る。
 たった三分が永遠のように長く思える。
 
 先ほどの爆発でまだ調子のおかしい耳に、階段の下の階から何かを踏みつける音が聞こえた様な気がした。
 非常階段の中の薄明かりが少しだけ陰ったように思えた。
 
 来た。
 左手のグレネードを階段に放り込むと同時に、壁の陰に隠れる。
 爆発と爆風。
 至近距離で爆発すれば、軽装甲スーツといえどもただではすまない。と
 はいえ、こんな状況では敵方があと何人残っているか分からない。
 
 銃を遠焦点モードにして一階下の踊り場辺りをなめる。
 弾体加速用の重力焦点を遠距離に形成し、高重力で固体構造物を破壊することができる。
 情報軍のエージェントが使う銃だけが隠し持っている機能だ。
 焦点が人体を通過すれば、内臓破裂や複雑骨折で確実に無力化できる。
 あまり使い過ぎるとジェネレータがオーバーヒートするのと、敵との距離が正確に判っていなければほとんど効果がないのが欠点だ。
 しかし今のように、床という遮蔽体の向こうを攻撃できるのはこの方法しかない。
 そして敵の銃ははこの機能を絶対に持っていない。
 
 ジャンパーの中から動体探知センサーを取り出し、これも壁に跳ねさせて投げる。
 うまく行けば四階の踊り場で止まるはずだ。
 センサーが床を転がるカラカラという音が静まったとたん、センサーが甲高い電子音を発した。
 
 つまり、敵は四階踊り場付近にまで到達しているということだ。
 
 ビークルはまだ来ないのか。
 銃のグリップを握り直す。
 僅かでも何かが動けば発砲できる。
 階段の端に何か動いた気がした。
 迷わずトリガーを引く。弾種徹甲。
 高速で撃ち出された実弾体は、階段や壁を削って跳弾する。
 下の階から何かが投擲され、壁にぶつかって踊り場の数段下に止まった。
 
 しまった。マズい。
 
 とっさに壁の後ろに身を隠すのと、金属板を金槌で殴った様な音がしたのは同時だった。
 腕が痺れる。
 銃の金属部分に直接触れている手の皮膚が煙を上げる。
 スタングレネード。
 効果範囲は数メートルしかないが、範囲内に電磁波をまき散らし金属製品を帯電させる。
 
 痺れる手でトリガーを引き、試しに銃を一発撃つ。
 銃の機能は死んでいない。
 未だ煙を上げる左手で追加のグレネードを二つ取り出し、どちらも階段の中に放り込む。
 
 足下で軽い音がした。
 それが床に転がる赤い玉が立てた音だと気づくと同時に、その赤い玉を階段に向けて蹴り飛ばしていた。ガスグレネード。
 
「来たぞ!」
 
 後ろからブラソンの声が聞こえる。
 階段の中から気体が断熱膨張した白い煙が上がる。
 ガス種が分からない。
 速効致死性ガスか、ただの麻痺ガスか。
 いずれにしてもこの場所にはもういられない。
 
 ジャンパーの中からスモークグレネードを取り出して軽く階段に投げ込む。
 電離性で爆発性の白煙を発生する。
 運が良ければ敵の視界を遮った上で何人かまとめて始末してくれる。
 ブラソンの方へ廊下を走る。
 ブラソンはまだ窓の近くでもたもたしていて、こっちを見ている。
 
「何をしている! 早く乗れ!」
 
 走りながら怒鳴る。
 変装のキャラクターになどなっている場合じゃない。
 素人がプロの心配なんてする必要はない。
 とっととこの場から脱出してくれた方がありがたいのに、所詮は素人か。
 
「位置をミスった!」
 
 ブラソンが顔をしかめながら言うところにちょうど到着する。
 外を見ると、窓から数メートルの距離をおいて白いビークルが空中に静止しているのが見えた。
 飛べない距離じゃないだろう。
 
「飛べ!」
 
「バカ言え。自慢じゃないが運動は苦手だ。」
 
 何をこんな時にこのバカ野郎が、と思いながらミリはジャンパーの中から黒い吸着グローブを取り出してブラソンに渡す。
 
「これを着けろ。平面でも何でも張り付く。とにかく飛べ!」
 
 窓から銃を突き出し、ビークルの側面キャノピーを撃つ。
 透明な高張力ガラスに無数のひびが入り、何発目かでガラスが砕け散る。
 キラキラと輝く破片が地上に降り注ぐ。
 
「それともここで撃ち殺されたいか。」
 
 そう言って、そのままブラソンに銃口を向ける。
 
「分かった! 分かったよ畜生! 飛ぶよ! だから撃つな!」
 
「どけ。」
 
 ブラソンを押しのけ、徹甲高速で窓の下の壁を撃つ。
 十発程度で壁がほとんど消し飛ぶ。
 
 ブラソンは何歩か下がり、助走をつけて空中に躍り出た。
 かなり無様な体勢だったが、ビークルのドアの下の方に何とか取り付いた。
 もがきながら砕けた窓まで這い上がろうとする。
 廊下の方を向き直り、非常階段の入り口に何発か打ち込む。
 当たるなどと思っていない。
 牽制して時間さえ稼げればいい。
 
 さらにスモークグレネードを取り出し、ちょうど階段の辺りで止まるように投げる。
 破壊された窓から吹き込む風が、スモークを流してしまうが、流れ込む先はどうやら階段のようだった。運がいい。
 弾種徹甲でさらに階段に制圧斉射する。
 
 突然、階段の窪みが火を噴き、炎がすさまじい勢いでこちらに向かってきた。
 五階の踊り場に設置したトラップを敵が踏みつけ、発生した高圧放電でスモークに着火したのだと気づいたときには炎は目の前に迫っていた。
 
 炎に背を向け、破れた壁から外に飛び出す。
 マズい、勢いが足りない。ビークルに届かない。
 次の瞬間、ミリの身体は爆圧に背中を押され、逆にビークルに叩き付けられた。
 頭をしたたかに打ち付けたが、左手が何かに触った。意識が遠のきながらも、触ったそれを必死で握りしめようとする。
 うまくいかない。
 ずるり、と手が滑る。
 
「バカヤロウ!放すんじゃねえ!」
 
 強い力で左腕を掴まれ、乱暴にビークルの中に引き込まれたことをミリは感じた。
 熱風で頬が熱い。
 
 したたかに打ち付けた左胸が激しく痛み、息ができない。頭が割れそうに痛み、世界が回る。
 咳き込みながらそれでもひじを突いて身体を回し、シートに寄りかかってブラソンを見る。
 ブラソンはコンソールに向き合ってしかめ面をしている。
 たぶん、マニュアル操縦の回線をつなごうとしているのだろう、とまだ混濁する意識の中でミリは思った。
 
「上に、上がれ。一度、ホテルを飛び越え・・・て、南、に逃げろ。高く、飛ぶな。」
 
 まともに息を吸い込むことができない肺を絞るようにして、それだけ何とか口にする。
 ブラソンは、分かった、と言うように左手を上げた。
 
 ビークルが動き始める。
 ホテルの上に出たところで、ミリは目を見開いた。
 ホテルの屋上に止まった兵員輸送車の脇に、二人の男が立っている。
 いかにも軍人らしい男が一人と、もう一人はマサシだった。
 
「マサシ、だ。突っ込め。マサ・・・シを、拾う。」
 
「はあ!? お前、正気か? 相手は軍用車だぞ。」
 
「男・・・を、撥ね殺せ。マサシだけ、拾う。」
 
「分かった、分かったよ!何かに捕まってろよ!」
 
 普段の商用運行からは考えられない角度でビークルはバンクし、ホテルの屋上に向けて急降下した。
 男がこちらに向けて発砲する。
 ガン、ガン、と実体弾が車体に当たる音がする。
 
 ビークルはそのままホテルの屋上に手荒く着地して滑り、兵員輸送車にぶつかって止まった。
 男は撥ね飛ばされる直前で飛び退き逃げていた。
 
 激痛でまだまともに動かない身体を無理矢理動かし、ミリはビークルのドアを開けて屋上に降り立つ。
 数歩歩いて、情けない格好で尻餅をついているLAS姿のマサシの襟の部分にあるホルダ穴を掴み、力任せに引きずってビークルに乗り込む。
 
「出せ!」
 
 マサシの半身がまだ車内に入りきっていない状態で、ビークルは急上昇した。
 マサシの体重が腕にかかり、ミリは思わずうめき声を上げる。
 すぐに急降下して、ビークルは地上道路に近い低空を疾走する。
 屋上から男が撃った弾が何発か着弾し、屋根を突き抜けてシートに当たって中の緩衝材が跳ねる。
 
「お前ら、むちゃくちゃやるな。無事か?」
 
 マサシの間抜けな質問に、ミリの血液が一瞬で沸騰して頭に昇る。
 
「左腕を出せ! 袖をまくって見せろ。」
 
 マサシのLASの襟首を掴み、喰い付くような激しさでミリが怒鳴る。
 
「左、腕?」
 
「いいから、腕を見せろ!」
 
 そう言って、ミリはマサシの顔に銃口を向けた。
 バイオチップからの強制介入でフリーハンドながら手動操縦を続けるブラソンは、そんなミリを横目で見て呆れていた。
 この女案外凶暴だぞ。
 
「うわ、待てって。落ち着け、な。左腕だろ。」
 
 マサシはスーツの内肘のジッパーを開き、左腕を捲り上げて見せた。
 そこには、すぐには文字とは分からないような意匠であったが、確かに漢字で「正司」と書いてあった。
 
「読んでみろ。お前の名前だ。」
 
「そうだよ、俺の名前だ。漢字で『マサ・・・シ』・・・」

 マサシが何かに気づいたように目を見開いた。
 

 
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