19 / 20
19、もうクリスマスかぁ
しおりを挟む
「うー、寒い」
「手袋をしてこないからだろう、ほら貸してやる」
「ありがとう!」
季節はもうすっかり冬。肌寒い季節になってきた。
俺はロイ様から手袋を貸してもらって手を温める。
「おつかいも終わったし帰るか」
「えー、もう帰るの?」
「どこか寄るのか?」
今日はクリスマスイブ。俺たち2人はクリスマスケーキを買ってこいと外に追い出されてしまった。
「うーん…あ!イルミネーション見に行こう!」
「イルミネーション?」
「うん!あっち」
キラキラとライトアップされたイルミネーションを2人で見に行く。
「綺麗…」
「そうだな…玲?」
「えへへ、なんだか恋人みたいじゃない?」
恋人繋ぎをしてロイ様に見せてみる。しかし、ロイ様は手をほどいてポケットに手をつっこんでしまった。
「俺には好きな人がいるからな」
「…俺のこと好きかもしれないとか言ってたくせに」
「かもしれないだからな」
行き場を失った手をそっと下に降ろした。ロイ様はやっぱりユリンのことを好きでいたままだった。
「ロイ」
「今度はなんだ?」
「大好き、付き合って」
直球に伝えてみるが、ロイ様は特に表情を変えずに俺の告白を断った。
「俺と付き合ったらユリンみたいに不安にさせないのに…」
「そうだな、ユリンは今頃きっともう誰かに惹かれてしまっているかもな」
「なら…」
「だが、まだ諦めてはいない。必ず帰ってユリンに想いを伝えるんだ」
ロイ様は笑みをこぼしながら俺にそう言った。
ずるい男だよ。こちとら、貴方が好きなのに…
「じゃあ、もしもユリンが別の人と結婚していたら?」
「そうだな…俺は諦めるしかないな」
「そしたら、またこっちに来て俺も付き合おうね」
「それはないな」
なんで即答なんだ…と頬を膨らませる。
「ロイはいいの?俺が別の人と付き合っても」
「…」
そう問うとロイ様はしばらく黙ってしまった。
「嫌、かもしれない」
「え?…」
「なんだか、嫌だ」
俺はその言葉を聞いて、悔しいけどすごく嬉しかった。きっと、まだ勝機はあるかもしれない。
「それって…俺のこと、好きってことじゃん」
「そんなこと、ないはずなんだが」
「フフ!そっかぁ、俺のこと好きなんだ」
「す、好きではない!」
俺はその言葉すら照れ隠しにしか聞こえない。ロイ様の腕に抱きついて、スリスリと甘える。
ロイ様にそんなにも想われていたとは…嬉しすぎ。
「は、離れろ!」
「えー?もっとくっついて欲しいって?」
「ち、違う!そんなこと言ってない!」
「えへへ!またまた~!」
俺はロイ様のほっぺをツンツンする。顔を赤くして俺を離そうとするロイ様。
俺は心の中でガッツポーズをしたのだった。
家に帰ってからクリスマスパーティーを始める。
「メリークリスマス、はいプレゼント」
「プレゼント?俺は用意していないのだが…」
「いいの!受け取って」
俺はロイ様にプレゼントをあげた。袋のの中身は万年筆。
最近、よく手紙を書いているみたいだからせっかくなのでと思い買ってみたのだ。
ロイ様は万年筆を手に取る。俺は喜んでくれるか不安だった。
「ど、どう?」
「玲…ありがとう」
なんか泣いている?のか分からないが抱きしめられたので俺もロイ様の背中に手を回した。
「えへへ、嬉しい?」
「もちろんだ、大切にする」
ロイ様は優しく微笑んだ。喜んでもらえたので俺は大満足だ。
「俺からも何かあげられれば良かったんだが…」
「じゃあ、明日はロイのこと独占していい?」
「それくらいなら…」
「本当?じゃあ、明日は2人でどっか行こっか」
デートの約束を取り付けられて最高だった。
「じゃあ、そろそろ寝よっか」
「それもそうだな」
「ロイ、大好き」
「…そうか」
もう否定も肯定もされなくなってしまった。一回、手を引くのもありかもしれない。
「おやすみ」
俺はいつものようにロイ様に抱きつかずに、背を向けて寝ることにした。
「れ、玲?」
「ん?」
「何か怒っているのか?」
「え?」
俺は後ろを振り返ると、不安げな表情を浮かべたロイ様がいた。
「いつもは、抱きついて眠るのに…」
「そうだけど、今日はいいかなって」
あからさまに動揺するロイ様。
「な、何か怒らさせてしまったなら謝ろう」
「え?怒ってないけど…」
「では」
なんだかんだ言って、寝る時はロイ様とくっついていた。
俺はわざと気づかないフリをする。
「どうしたの?」
「分かってやってるんだろう?」
「なんのこと?」
あまりにも、悲しそうな顔をするロイ様に耐えきれずに少しだけ近づいた。
「フフ、俺とくっついて寝たいの?」
「べ、別にそうではないが…」
「じゃあ、もういい?」
「あ、おい」
後ろからぎゅっと無理矢理抱きしめられた。俺よりも大きくて角張っている手に安心感を覚える。
「やっぱりくっついて寝たかったんじゃん」
「…」
「素直じゃないね」
そう言いながらも俺はロイ様の手を握るのだった。
「手袋をしてこないからだろう、ほら貸してやる」
「ありがとう!」
季節はもうすっかり冬。肌寒い季節になってきた。
俺はロイ様から手袋を貸してもらって手を温める。
「おつかいも終わったし帰るか」
「えー、もう帰るの?」
「どこか寄るのか?」
今日はクリスマスイブ。俺たち2人はクリスマスケーキを買ってこいと外に追い出されてしまった。
「うーん…あ!イルミネーション見に行こう!」
「イルミネーション?」
「うん!あっち」
キラキラとライトアップされたイルミネーションを2人で見に行く。
「綺麗…」
「そうだな…玲?」
「えへへ、なんだか恋人みたいじゃない?」
恋人繋ぎをしてロイ様に見せてみる。しかし、ロイ様は手をほどいてポケットに手をつっこんでしまった。
「俺には好きな人がいるからな」
「…俺のこと好きかもしれないとか言ってたくせに」
「かもしれないだからな」
行き場を失った手をそっと下に降ろした。ロイ様はやっぱりユリンのことを好きでいたままだった。
「ロイ」
「今度はなんだ?」
「大好き、付き合って」
直球に伝えてみるが、ロイ様は特に表情を変えずに俺の告白を断った。
「俺と付き合ったらユリンみたいに不安にさせないのに…」
「そうだな、ユリンは今頃きっともう誰かに惹かれてしまっているかもな」
「なら…」
「だが、まだ諦めてはいない。必ず帰ってユリンに想いを伝えるんだ」
ロイ様は笑みをこぼしながら俺にそう言った。
ずるい男だよ。こちとら、貴方が好きなのに…
「じゃあ、もしもユリンが別の人と結婚していたら?」
「そうだな…俺は諦めるしかないな」
「そしたら、またこっちに来て俺も付き合おうね」
「それはないな」
なんで即答なんだ…と頬を膨らませる。
「ロイはいいの?俺が別の人と付き合っても」
「…」
そう問うとロイ様はしばらく黙ってしまった。
「嫌、かもしれない」
「え?…」
「なんだか、嫌だ」
俺はその言葉を聞いて、悔しいけどすごく嬉しかった。きっと、まだ勝機はあるかもしれない。
「それって…俺のこと、好きってことじゃん」
「そんなこと、ないはずなんだが」
「フフ!そっかぁ、俺のこと好きなんだ」
「す、好きではない!」
俺はその言葉すら照れ隠しにしか聞こえない。ロイ様の腕に抱きついて、スリスリと甘える。
ロイ様にそんなにも想われていたとは…嬉しすぎ。
「は、離れろ!」
「えー?もっとくっついて欲しいって?」
「ち、違う!そんなこと言ってない!」
「えへへ!またまた~!」
俺はロイ様のほっぺをツンツンする。顔を赤くして俺を離そうとするロイ様。
俺は心の中でガッツポーズをしたのだった。
家に帰ってからクリスマスパーティーを始める。
「メリークリスマス、はいプレゼント」
「プレゼント?俺は用意していないのだが…」
「いいの!受け取って」
俺はロイ様にプレゼントをあげた。袋のの中身は万年筆。
最近、よく手紙を書いているみたいだからせっかくなのでと思い買ってみたのだ。
ロイ様は万年筆を手に取る。俺は喜んでくれるか不安だった。
「ど、どう?」
「玲…ありがとう」
なんか泣いている?のか分からないが抱きしめられたので俺もロイ様の背中に手を回した。
「えへへ、嬉しい?」
「もちろんだ、大切にする」
ロイ様は優しく微笑んだ。喜んでもらえたので俺は大満足だ。
「俺からも何かあげられれば良かったんだが…」
「じゃあ、明日はロイのこと独占していい?」
「それくらいなら…」
「本当?じゃあ、明日は2人でどっか行こっか」
デートの約束を取り付けられて最高だった。
「じゃあ、そろそろ寝よっか」
「それもそうだな」
「ロイ、大好き」
「…そうか」
もう否定も肯定もされなくなってしまった。一回、手を引くのもありかもしれない。
「おやすみ」
俺はいつものようにロイ様に抱きつかずに、背を向けて寝ることにした。
「れ、玲?」
「ん?」
「何か怒っているのか?」
「え?」
俺は後ろを振り返ると、不安げな表情を浮かべたロイ様がいた。
「いつもは、抱きついて眠るのに…」
「そうだけど、今日はいいかなって」
あからさまに動揺するロイ様。
「な、何か怒らさせてしまったなら謝ろう」
「え?怒ってないけど…」
「では」
なんだかんだ言って、寝る時はロイ様とくっついていた。
俺はわざと気づかないフリをする。
「どうしたの?」
「分かってやってるんだろう?」
「なんのこと?」
あまりにも、悲しそうな顔をするロイ様に耐えきれずに少しだけ近づいた。
「フフ、俺とくっついて寝たいの?」
「べ、別にそうではないが…」
「じゃあ、もういい?」
「あ、おい」
後ろからぎゅっと無理矢理抱きしめられた。俺よりも大きくて角張っている手に安心感を覚える。
「やっぱりくっついて寝たかったんじゃん」
「…」
「素直じゃないね」
そう言いながらも俺はロイ様の手を握るのだった。
0
お気に入りに追加
36
あなたにおすすめの小説


嫌われ者の僕が学園を去る話
おこげ茶
BL
嫌われ者の男の子が学園を去って生活していく話です。
一旦ものすごく不幸にしたかったのですがあんまなってないかもです…。
最終的にはハピエンの予定です。
Rは書けるかわからなくて入れるか迷っているので今のところなしにしておきます。
↓↓↓
微妙なやつのタイトルに※つけておくので苦手な方は自衛お願いします。
設定ガバガバです。なんでも許せる方向け。
不定期更新です。(目標週1)
勝手もわかっていない超初心者が書いた拙い文章ですが、楽しんでいただければ幸いです。
誤字などがありましたらふわふわ言葉で教えて欲しいです。爆速で修正します。

【完結】I adore you
ひつじのめい
BL
幼馴染みの蒼はルックスはモテる要素しかないのに、性格まで良くて羨ましく思いながらも夏樹は蒼の事を1番の友達だと思っていた。
そんな時、夏樹に彼女が出来た事が引き金となり2人の関係に変化が訪れる。
※小説家になろうさんでも公開しているものを修正しています。


鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。

とある冒険者達の話
灯倉日鈴(合歓鈴)
BL
平凡な魔法使いのハーシュと、美形天才剣士のサンフォードは幼馴染。
ある日、ハーシュは冒険者パーティから追放されることになって……。
ほのぼの執着な短いお話です。

義兄の愛が重すぎて、悪役令息できないのですが…!
ずー子
BL
戦争に負けた貴族の子息であるレイナードは、人質として異国のアドラー家に送り込まれる。彼の使命は内情を探り、敗戦国として奪われたものを取り返すこと。アドラー家が更なる力を付けないように監視を託されたレイナード。まずは好かれようと努力した結果は実を結び、新しい家族から絶大な信頼を得て、特に気難しいと言われている長男ヴィルヘルムからは「右腕」と言われるように。だけど、内心罪悪感が募る日々。正直「もう楽になりたい」と思っているのに。
「安心しろ。結婚なんかしない。僕が一番大切なのはお前だよ」
なんだか義兄の様子がおかしいのですが…?
このままじゃ、スパイも悪役令息も出来そうにないよ!
ファンタジーラブコメBLです。
平日毎日更新を目標に頑張ってます。応援や感想頂けると励みになります♡
【登場人物】
攻→ヴィルヘルム
完璧超人。真面目で自信家。良き跡継ぎ、良き兄、良き息子であろうとし続ける、実直な男だが、興味関心がない相手にはどこまでも無関心で辛辣。当初は異国の使者だと思っていたレイナードを警戒していたが…
受→レイナード
和平交渉の一環で異国のアドラー家に人質として出された。主人公。立ち位置をよく理解しており、計算せずとも人から好かれる。常に兄を立てて陰で支える立場にいる。課せられた使命と現状に悩みつつある上に、義兄の様子もおかしくて、いろんな意味で気苦労の絶えない。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる