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15、晴人が立派に育っててお母さん嬉しい…
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学校が始まって、1週間が経った。
「晴人、おはよう」
「おはよ…」
いつものような日常に戻り、俺は一安心していた。
「あー…今日、1時間目が数学かよ。ダルすぎる」
「宿題やってきたの?」
「ヤバい!やってない!晴人~…お願い」
「…いいよ」
「ありがとう!」
晴人から宿題を渡してもらって、写していると急に頭を撫でられた。
「ん?何?」
「…なんでもない」
「えー?何?怖いんだけど」
相変わらずの無表情で何を考えているか読み取れない。
「よし!写し終わった!ありがとう」
「うん…」
「そうだ!今日さ、帰りにゲーセン寄ってこ」
「…分かった」
数学の授業は案の定、先生の話はまったく頭に入らずに意識は寝ていた。
そんなこんなで、お昼休みになった。
「晴人、昼飯行こ」
「ん…」
いつものように、人気のない場所で2人でお弁当を広げる。
人気のない場所なのは、晴人が人といると緊張してしまうから。
「あ、卵焼きじゃん」
「食べる?」
「うん、頂戴」
「はい」
あーんと卵焼きを食べさせてもらう。おばさんの作った甘い卵焼きは俺の舌にマッチしている。
俺も、自分の弁当に入っているおかずを晴人に食べさせる。
こんなところを他の人に見られたら間違いなく、揶揄われる。
「ん、美味い…」
「そりゃ俺の自信作だもんね!」
「最近、料理してるんだっけ?」
「うん!お菓子作りにもハマってるんだ」
ロイ様と一緒に週末にクッキーをつくってお茶会を開いているのだ。
「へー、食べてみたい」
「いいよ!土曜日、家くる?」
「うん」
「あれ?でも晴人って甘いもの苦手じゃなかったっけ?」
「いや、そんなことない!」
食い気味に答える晴人に少しビックリする。
「え?いやでも…」
「好きだから!玲の作ったお菓子…食べたい」
恥ずかしそうに言う晴人に今度は笑ってしまう。晴人ってば俺のこと好きすぎでしょ、なんて思いながら甘さ控えめのクッキーでも作ってあげようと思うのであった。
放課後、晴人と一緒にゲーセンに向かった。
「これ可愛いー!」
「女子かよ」
「いやいや可愛いじゃん!見てこれ!」
俺はUFOキャッチャーの中にいる、マスコットキャラを指さした。
「あ!あれやろう!」
「…うん」
俺は晴人の手を引いて、色んなとこを連れ回す。
「ちょっと、トイレ…」
「あ、いってらっしゃい」
トイレに行っている晴人を待って、しばらくするとぬいぐるみを片手に戻ってきた。
「え?何それ?」
「あげる…」
「え?ちょ、これって」
「さっき、欲しいって言ってたから」
それは、俺がさっき可愛いとはしゃいでいたぬいぐるみだった。
「いいの?…」
「うん」
「っ~!ありがとう!」
あぁ、なんていい子に育ったんだろうか…お母さん涙が出ちゃう!
「フフ!これ、部屋に飾ろー!ありがとうね」
「何回言うの…」
「えー?だって嬉しいんだもん!にしても、よく取れたね?」
「1発でいけるよ、あんなの」
いやいや、いけませんよ普通の人なら…まぁ、普通の人ならね!俺の幼馴染はすごいからね~!
「晴人は流石だね!」
「そんなことない…」
と、照れたように言う晴人をもっと褒める。
「今日…一緒に寝たい」
「もちろん!」
今日は、晴人の甘やかしデーだな。なんて思いながら2人で帰る。
そろそろ来る頃だろうと思い布団を床に出して、晴人を待つ。
「今日は晴人が来るのか?」
「うん、ロイは1人で寂しいかもね」
「そ、そんなことはないぞ!」
「本当?布団に潜り込んできてもいいんだよ?」
ニヤニヤと笑いながらロイ様をおちょくっていると晴人が部屋に来た。
「あ、やっと来た。今日は遅かったね」
「うん…ちょっと、勉強してた」
「偉いね~!じゃあ、寝ようか」
明かりを消して、晴人とくっついて寝る。
「おやすみ…」
「おやすみなさい」
今夜も抱かれるようにして、晴人と眠った。
「あんた、玲のこと好きなの?」
俺の幼馴染は腕の中でスヤスヤと可愛く眠っている。
机には今日あげたぬいぐるみが飾ってある。
「…分からない」
俺はイラッとした。玲に好かれているのに、分からないだと?
「晴人は…玲が好きなのか?」
「好き。大好きだ…玲のためならなんだってする」
「そう、だったのか」
とぼけやがって…どうせ知ってたくせに。夏祭りの時、俺は玲がこいつに好きだと言ったことを知っている。
「玲は、こんな俺にも優しく接してくれて…いつも笑顔でいてくれる。俺といる時が一番楽しいとも言ってくれた。だから、お前みたいな奴に取られるわけにはいかないんだよ」
俺は言葉がどんどん溢れてくる。あいつは黙ったまんまだ。
「晴人…」
「なんだよ」
「玲は渡さない」
「はぁ?!」
「…なんでか分からないが渡したくない」
俺は1発殴ってやろうと思ったが、玲の顔を見てやめた。
「それは宣戦布告と受け取っていいんだな?」
「…勝手にしろ」
俺は眠る玲のおでこに口付けをした。
(絶対、渡さないから)
「晴人、おはよう」
「おはよ…」
いつものような日常に戻り、俺は一安心していた。
「あー…今日、1時間目が数学かよ。ダルすぎる」
「宿題やってきたの?」
「ヤバい!やってない!晴人~…お願い」
「…いいよ」
「ありがとう!」
晴人から宿題を渡してもらって、写していると急に頭を撫でられた。
「ん?何?」
「…なんでもない」
「えー?何?怖いんだけど」
相変わらずの無表情で何を考えているか読み取れない。
「よし!写し終わった!ありがとう」
「うん…」
「そうだ!今日さ、帰りにゲーセン寄ってこ」
「…分かった」
数学の授業は案の定、先生の話はまったく頭に入らずに意識は寝ていた。
そんなこんなで、お昼休みになった。
「晴人、昼飯行こ」
「ん…」
いつものように、人気のない場所で2人でお弁当を広げる。
人気のない場所なのは、晴人が人といると緊張してしまうから。
「あ、卵焼きじゃん」
「食べる?」
「うん、頂戴」
「はい」
あーんと卵焼きを食べさせてもらう。おばさんの作った甘い卵焼きは俺の舌にマッチしている。
俺も、自分の弁当に入っているおかずを晴人に食べさせる。
こんなところを他の人に見られたら間違いなく、揶揄われる。
「ん、美味い…」
「そりゃ俺の自信作だもんね!」
「最近、料理してるんだっけ?」
「うん!お菓子作りにもハマってるんだ」
ロイ様と一緒に週末にクッキーをつくってお茶会を開いているのだ。
「へー、食べてみたい」
「いいよ!土曜日、家くる?」
「うん」
「あれ?でも晴人って甘いもの苦手じゃなかったっけ?」
「いや、そんなことない!」
食い気味に答える晴人に少しビックリする。
「え?いやでも…」
「好きだから!玲の作ったお菓子…食べたい」
恥ずかしそうに言う晴人に今度は笑ってしまう。晴人ってば俺のこと好きすぎでしょ、なんて思いながら甘さ控えめのクッキーでも作ってあげようと思うのであった。
放課後、晴人と一緒にゲーセンに向かった。
「これ可愛いー!」
「女子かよ」
「いやいや可愛いじゃん!見てこれ!」
俺はUFOキャッチャーの中にいる、マスコットキャラを指さした。
「あ!あれやろう!」
「…うん」
俺は晴人の手を引いて、色んなとこを連れ回す。
「ちょっと、トイレ…」
「あ、いってらっしゃい」
トイレに行っている晴人を待って、しばらくするとぬいぐるみを片手に戻ってきた。
「え?何それ?」
「あげる…」
「え?ちょ、これって」
「さっき、欲しいって言ってたから」
それは、俺がさっき可愛いとはしゃいでいたぬいぐるみだった。
「いいの?…」
「うん」
「っ~!ありがとう!」
あぁ、なんていい子に育ったんだろうか…お母さん涙が出ちゃう!
「フフ!これ、部屋に飾ろー!ありがとうね」
「何回言うの…」
「えー?だって嬉しいんだもん!にしても、よく取れたね?」
「1発でいけるよ、あんなの」
いやいや、いけませんよ普通の人なら…まぁ、普通の人ならね!俺の幼馴染はすごいからね~!
「晴人は流石だね!」
「そんなことない…」
と、照れたように言う晴人をもっと褒める。
「今日…一緒に寝たい」
「もちろん!」
今日は、晴人の甘やかしデーだな。なんて思いながら2人で帰る。
そろそろ来る頃だろうと思い布団を床に出して、晴人を待つ。
「今日は晴人が来るのか?」
「うん、ロイは1人で寂しいかもね」
「そ、そんなことはないぞ!」
「本当?布団に潜り込んできてもいいんだよ?」
ニヤニヤと笑いながらロイ様をおちょくっていると晴人が部屋に来た。
「あ、やっと来た。今日は遅かったね」
「うん…ちょっと、勉強してた」
「偉いね~!じゃあ、寝ようか」
明かりを消して、晴人とくっついて寝る。
「おやすみ…」
「おやすみなさい」
今夜も抱かれるようにして、晴人と眠った。
「あんた、玲のこと好きなの?」
俺の幼馴染は腕の中でスヤスヤと可愛く眠っている。
机には今日あげたぬいぐるみが飾ってある。
「…分からない」
俺はイラッとした。玲に好かれているのに、分からないだと?
「晴人は…玲が好きなのか?」
「好き。大好きだ…玲のためならなんだってする」
「そう、だったのか」
とぼけやがって…どうせ知ってたくせに。夏祭りの時、俺は玲がこいつに好きだと言ったことを知っている。
「玲は、こんな俺にも優しく接してくれて…いつも笑顔でいてくれる。俺といる時が一番楽しいとも言ってくれた。だから、お前みたいな奴に取られるわけにはいかないんだよ」
俺は言葉がどんどん溢れてくる。あいつは黙ったまんまだ。
「晴人…」
「なんだよ」
「玲は渡さない」
「はぁ?!」
「…なんでか分からないが渡したくない」
俺は1発殴ってやろうと思ったが、玲の顔を見てやめた。
「それは宣戦布告と受け取っていいんだな?」
「…勝手にしろ」
俺は眠る玲のおでこに口付けをした。
(絶対、渡さないから)
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