推しが我が家にきたんですけどドッキリですか?

はな

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13、ロイ様は俺とユリンどっちがすきなの?!

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「や、ヤバい…終わらない」

俺は絶賛、宿題と戦っていた。7月には終わらそうと思っていたのだが後回しにした結果、最終日に宿題をするハメになった。

ストーカーに監禁されていたのに、この仕打ちはどうかと思う。
でも、ストーカーは逮捕されて一安心できた。

「玲、羊羹を買ってきたぞ」
「食べるー!」

ロイ様も随分とこの国に慣れてきたようだ。今では和食大好き人間になっている。

「フフ!この国の菓子は実に美味いな!ユリンにも食べさせてやりたい…きっと美味しそうに食べるだろうな」

やっぱりロイ様はユリンのことを諦めていなかった。
最近はずっとユリンのことを考えているよう。

「じゃあ、俺は勉強頑張る!」
「あぁ、頑張れよ」

黙々と机に向かってペンを走らせる。しばらく、集中しているとインターホンが鳴った。

ロイ様が相手をしてくれているようだ。

「玲、晴人が来ているぞ」
「え?」

下に降りると晴人が待っていた。

「晴人?何かあった?…あ、とりあえず上がって」

俺は晴人を部屋に招いた。何か話があるようだ。

「玲がいる…」
「そりゃいるよ、ここは俺ん家だもん」

やっぱりあの時のことをまだ引きずってるらしい。
たったの3日いなかっただけなのに。

「もうどこにも行かないで…」
「え?」

後ろからハグをされる。それはあまりにも、幼馴染の距離感とは思えない、恋人同士がするような優しいハグだった。

「もうー、宿題が捗らないじゃん」
「別に…どうでもいい」
「俺はよくなーい!!ほら、離れて!…まったく」

仕方ないので後ろに晴人がいる状態で宿題をした。
1時間くらいが経った。

俺はしばらく休憩をすることにした。

「玲…行かないで」
「はぁ?トイレ行かなかったら漏れるじゃん」
「いいよ…漏らしても」
「しないよ!ほーら!どいてってば」
「嫌だ…」

グググと力を入れて晴人を引き離そうとするが頑なに離さない。

「玲、宿題は終わったのか?」
「あ!ロイ!助けて!晴人が離してくれないの~!」
「晴人?…ほら、玲が嫌がっているぞ?」
「嫌だ」

俺は最終手段に出ることにした。

「晴人?離してくれないならもう一緒に寝ないからね?」
「えっ…」

少し躊躇う晴人。手の力が緩むのを見計らって俺は晴人の腕から抜け出した。

「それで宿題は終わったのか?」
「うーん…まぁまぁかな?」
「そうか?今から一緒に出かけようと思っていたのだが」
「行く!待ってて、すぐ準備するね!」

俺は晴人を押し除けて洋服に着替える。ロイ様とお出かけ!つまりはデート!

「行こう!」
「あぁ」

そう言ってロイについて行った。そこは、ただのスーパーだった。



「え?スーパー?」
「あぁ。今日は少し荷物が多くなりそうだったからな」

俺は荷物持ちですか…あー、そうですか。そりゃそうですよね。

むすっと拗ねている俺を横目にロイ様はテキパキと母さんから頼まれている食材をカゴの中に入れていく。

その姿はゲームでプレイしたロイ様には全然見えない。

「うーん…こっちの方がお得だな」
「フフ」
「ん?どうかしたのか?」
「なんか、異世界から来た貴族には思えないなぁって」
「そうか?」

ロイ様は少し首を傾げる。その動作はやっぱりかっこいい。

「まぁ、いいや!ほら、次は何を買うの?」



買い物が終わり俺は荷物持ちの役割を果たしている。

「…ロイ、少しだけ寄り道したい」
「ダメだ、前みたいなことがあったらどうするんだ?」
「ちぇっ、ケチな男」
「ケチで結構。玲がまた攫われたら俺は…」

どうしてそんな悲しそうな顔をするのだろう…俺のことなんて好きじゃないんじゃないの?

「じゃあ、公園に行こう?」
「公園?」
「うん!公園」

近くにある、公園のベンチに座って缶ジュースを奢ってあげる。

「ねぇ、ロイ」
「何だ?」
「俺ね、ストーカーに監禁されてた時にずっとロイのこと考えてたの。母さんでも父さんでもなくてロイのことをね。それで、助けてきてくれた時にすごく嬉しかったの」

ロイ様は黙って俺の話を聞いてくれる。

「えへへ、なんというかその…ロイが好きってこと!伝えたいなぁって思ったから」
「俺は玲が好きなのだろうか?」
「え?」
「玲といるといつも凄く楽しい。一緒にいると安心できる。ユリンといる時と似たような思いだ」
「そ、それって…」
「だが、ユリンのことが好きだ。それだけはわかる。しかし、玲が悲しい顔をしていると凄く辛い」

ロイ様は俺の目を真っ直ぐと見てくる。エメラルドグリーンの目がとても綺麗だ。

「好きだとは言い切れないかなぁ…好きだったら凄く嬉しいけどね」
「そうか」

俺はジュースを飲み切ってゴミ箱に捨てた。
そのまま俺たちは家に帰った。


ロイは俺のことを好きだったらいいな、と密かに願うのだった。








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