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12、やっぱりロイ様が一番!!
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「玲、おいで」
「嫌…」
「どうしたの?機嫌悪いの?」
ストーカーに監禁されて3日たった。逃げることもできずに俺は閉じ込められたままだった。
「外に出たい」
「だーめ!」
ストーカーは俺の頬を撫でる。そして、優しく髪を触られる。
その感触に気持ち悪さを覚えた。
「…」
「あー!可愛い~」
「んっ…」
すぐさまキスをされる。抵抗するのもだんだんと諦めてきている。
本当はロイ様にファーストキスをあげるつもりだった。なのに…こんな奴に奪われてしまった。
「その格好も慣れてきたかな?恥ずかしがらなくなったね」
今はストーカーの服に下は何も履いていない。というか履かせてくれない。
「別に…恥ずかしがったらお前が喜ぶから嫌なだけ」
と、わざと怒らせるようなことを言ってみる。
それでも、ストーカーはニコニコと笑って俺を抱きしめる。
「可愛い~!いじけてるの?フフ、大好き」
ねっとりとした言い方に鳥肌が立つ。とにかく、こいつから離れたい。
「じゃあ、そろそろ寝ようね」
こいつと寝るのも慣れてしまった。こいつの手は酷く冷たい。
頬を撫でられる時もひんやりとした感触が頬に伝わる。
まるで死人に愛されているみたいだ。
そして、俺はこいつのことを少しだけ知った。
こいつはすぐに隙を見せる。
それで俺が逃げようとするのを見て楽しむ。
「じゃあ、部屋で待っていてね」
「うん」
こいつは仕事に行っている。何をしているのかはよく分からないが多分危ない仕事なんだろう。
年齢は多分、20代前半。
「帰りたいな…」
その時だった。ガシャン!という音がして急いで下へ行く。
「玲!」
「あ…ロイ!」
そこには、大好きなロイ様がいた。ロイ様は窓を突き破って入ってきたのかまわりには破片がたくさん落ちている。
「大丈夫か?!」
「俺は大丈夫…でもどうして」
「それは置いといて早く逃げよう」
「うん!!」
俺とロイ様で外へ出る。久しぶりに出た外に俺は感動した。だが、いつまで経ってもダラダラしてられない。
ロイ様に連れられて、俺はしばらく森の中を歩いた。
「ロイ、助けてくれてありがとう」
「当たり前だ。玲がいなくなったら…困る」
「え?それって…」
どういう意味と聞こうとした時だった。前から車が走ってきた。
「あっ…どうして」
「フフ、GPSだよ。玲が家の中から出たから急いで来たんだ!さぁ、戻ろう?俺たちの家にね」
「残念だが玲は渡せない。どいてくれ」
俺はロイ様の後ろに隠れてストーカーの顔色を伺う。
みるみる内に不機嫌になっていくストーカー。
「玲?帰ろう?」
「…嫌」
「なんで?痛いこともしないし、怖いこともしないよ?」
俺はじりじりと迫ってくるストーカーに恐怖を覚えた。
それでもロイ様は俺を守るように前に立つ。
「邪魔、どいて」
「どかない!さぁ、行くぞ」
「え?あっ!」
ロイ様はストーカーの攻撃を避けて、隙を見計らった。
俺の手を引っ張って車に乗せる。
一瞬のことすぎて俺もストーカーも追いつけなかった。
そのまま、車でこの森を抜けて行った。
「車の運転できるんだ?」
「あぁ、本で覚えた」
「本で?!す、すご」
「暇だったからな」
すごく、安心した。ストーカーはもう追って来れないだろう。
「直に警察が来るだろう。もう安心しろ」
「っ!…うん」
そのまま、2時間くらい車で走ってようやく見慣れた風景が蘇る。
「玲!」
「母さん!父さん!」
「良かった…本当に無事で良かった」
ぎゅうっとハグされて涙が溢れてくる。ずっと不安で仕方なかった。
一生あそこにいるのではないかと思っていた。
その後、警察から色々聞かれて俺はストーカーの特徴やその他諸々を話した。
「ロイ、もう寝よっか」
「久しぶりに玲と寝るな」
「うん!」
隣で抱きしめてくれるのはやっぱりロイ様が一番しっくりくる。
俺は嬉しくて、ロイの背中に手を回した。
すると、ロイは優しく俺の頭を撫でてくれる。
「おやすみ」
「おやすみなさい、ロイ」
もう夏が終わる。長いようで短かい。俺は多分この夏の出来事は忘れることはないと思う。
翌日、久しぶりに晴人にも会った。
「無事だったんだな…心配した」
「ごめんね、晴人は寂しがり屋だもんね」
「今日は一緒に寝よう…?」
「もちろんだよ!来る時に連絡してね?」
晴人は心配しすぎて夜眠れなかったらしく、目の下に隈ができていた。
そんなに心配してくれていたとは思わなかったのでその話を晴人の両親から聞いた時驚いてしまった。
晴人は相変わらず、ツンとした態度だが俺に甘えるように近くに寄ってくる。
俺はそんな晴人に少し笑ってしまうのだった。
「嫌…」
「どうしたの?機嫌悪いの?」
ストーカーに監禁されて3日たった。逃げることもできずに俺は閉じ込められたままだった。
「外に出たい」
「だーめ!」
ストーカーは俺の頬を撫でる。そして、優しく髪を触られる。
その感触に気持ち悪さを覚えた。
「…」
「あー!可愛い~」
「んっ…」
すぐさまキスをされる。抵抗するのもだんだんと諦めてきている。
本当はロイ様にファーストキスをあげるつもりだった。なのに…こんな奴に奪われてしまった。
「その格好も慣れてきたかな?恥ずかしがらなくなったね」
今はストーカーの服に下は何も履いていない。というか履かせてくれない。
「別に…恥ずかしがったらお前が喜ぶから嫌なだけ」
と、わざと怒らせるようなことを言ってみる。
それでも、ストーカーはニコニコと笑って俺を抱きしめる。
「可愛い~!いじけてるの?フフ、大好き」
ねっとりとした言い方に鳥肌が立つ。とにかく、こいつから離れたい。
「じゃあ、そろそろ寝ようね」
こいつと寝るのも慣れてしまった。こいつの手は酷く冷たい。
頬を撫でられる時もひんやりとした感触が頬に伝わる。
まるで死人に愛されているみたいだ。
そして、俺はこいつのことを少しだけ知った。
こいつはすぐに隙を見せる。
それで俺が逃げようとするのを見て楽しむ。
「じゃあ、部屋で待っていてね」
「うん」
こいつは仕事に行っている。何をしているのかはよく分からないが多分危ない仕事なんだろう。
年齢は多分、20代前半。
「帰りたいな…」
その時だった。ガシャン!という音がして急いで下へ行く。
「玲!」
「あ…ロイ!」
そこには、大好きなロイ様がいた。ロイ様は窓を突き破って入ってきたのかまわりには破片がたくさん落ちている。
「大丈夫か?!」
「俺は大丈夫…でもどうして」
「それは置いといて早く逃げよう」
「うん!!」
俺とロイ様で外へ出る。久しぶりに出た外に俺は感動した。だが、いつまで経ってもダラダラしてられない。
ロイ様に連れられて、俺はしばらく森の中を歩いた。
「ロイ、助けてくれてありがとう」
「当たり前だ。玲がいなくなったら…困る」
「え?それって…」
どういう意味と聞こうとした時だった。前から車が走ってきた。
「あっ…どうして」
「フフ、GPSだよ。玲が家の中から出たから急いで来たんだ!さぁ、戻ろう?俺たちの家にね」
「残念だが玲は渡せない。どいてくれ」
俺はロイ様の後ろに隠れてストーカーの顔色を伺う。
みるみる内に不機嫌になっていくストーカー。
「玲?帰ろう?」
「…嫌」
「なんで?痛いこともしないし、怖いこともしないよ?」
俺はじりじりと迫ってくるストーカーに恐怖を覚えた。
それでもロイ様は俺を守るように前に立つ。
「邪魔、どいて」
「どかない!さぁ、行くぞ」
「え?あっ!」
ロイ様はストーカーの攻撃を避けて、隙を見計らった。
俺の手を引っ張って車に乗せる。
一瞬のことすぎて俺もストーカーも追いつけなかった。
そのまま、車でこの森を抜けて行った。
「車の運転できるんだ?」
「あぁ、本で覚えた」
「本で?!す、すご」
「暇だったからな」
すごく、安心した。ストーカーはもう追って来れないだろう。
「直に警察が来るだろう。もう安心しろ」
「っ!…うん」
そのまま、2時間くらい車で走ってようやく見慣れた風景が蘇る。
「玲!」
「母さん!父さん!」
「良かった…本当に無事で良かった」
ぎゅうっとハグされて涙が溢れてくる。ずっと不安で仕方なかった。
一生あそこにいるのではないかと思っていた。
その後、警察から色々聞かれて俺はストーカーの特徴やその他諸々を話した。
「ロイ、もう寝よっか」
「久しぶりに玲と寝るな」
「うん!」
隣で抱きしめてくれるのはやっぱりロイ様が一番しっくりくる。
俺は嬉しくて、ロイの背中に手を回した。
すると、ロイは優しく俺の頭を撫でてくれる。
「おやすみ」
「おやすみなさい、ロイ」
もう夏が終わる。長いようで短かい。俺は多分この夏の出来事は忘れることはないと思う。
翌日、久しぶりに晴人にも会った。
「無事だったんだな…心配した」
「ごめんね、晴人は寂しがり屋だもんね」
「今日は一緒に寝よう…?」
「もちろんだよ!来る時に連絡してね?」
晴人は心配しすぎて夜眠れなかったらしく、目の下に隈ができていた。
そんなに心配してくれていたとは思わなかったのでその話を晴人の両親から聞いた時驚いてしまった。
晴人は相変わらず、ツンとした態度だが俺に甘えるように近くに寄ってくる。
俺はそんな晴人に少し笑ってしまうのだった。
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