推しが我が家にきたんですけどドッキリですか?

はな

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3、友達認定されちゃった

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「ここが図書館か…俺の世界とは随分違うな」
「フフ、行きましょう」

俺たちは図書館で神話や、魔術のような本を探すがどれも、異世界のことについてのことなどは書かれていない。

「うーん…どこにも書いてないですねぇ」
「どうするんだ?」
「図書館は諦めましょう。他にもなにか手掛かりがあるかもしれません!」
「そうだな、諦めずに頑張ろう!」
「はい!」

少し小腹が空いたので、近くのファミレスに入った。

「ロイ様は、どれにしますか?」
「よ、よく分からない…玲のオススメでいいよ」
「ぐふっ!ロイしゃまから名前で呼んでもらえる日がくるとは…ありがたや、ありがたや」
「き、急にどうしたんだ?」

ハッ!として、俺は顔を真っ赤にした。恥ずかしくて、モジモジしながらメニューの一番人気のパフェを指差す。

「こ、これが一番美味しいのでこれにしましょう」
「あぁ」
「じゃあ、そこにあるボタン押してください」
「これか?」

呼び出しボタンを押して、店員さんにパフェを二つ頼んだ。


数分して、届いたパフェはものすごくキラキラしている。
ロイ様もなんだか、目を輝かせている。その姿を見た俺はすかさず、パフェではなくロイ様を連写していた。

「んっ!これ美味いな」
「ほ、本当ですか?良かったです…」
「どうしてそんなによそよそしいんだ?昨日までは、楽に接してくれたではないか?」
「き、昨日は…その」
「俺のこと、嫌いになったか?」
「そんなことないです!」

ロイ様は悲しそうな顔をしていた。なんということだ!!!推しを悲しませるとかオタク失格ではないか!!

「…ろ、ロイ!」
「え?」
「これから、敬語も使わないし、ロイって呼ぶね!」
「っ!…あぁ!」

今日一番の笑顔だ…ロイ様が尊すぎる。


パフェを食べ終えて家に帰る途中のことだった。

「あれ?玲?」
「へ?」

名前を呼ばれて振り返ると、そこには晴人がいた。

「は、晴人」
「その人は?」
「あー…えっと」

ロイは晴人に笑顔を向けて自己紹介をした。

「俺の名前はロイ・テッド、よろしくな」
「……黒木晴人、あんた玲とどういう関係?」
「え?どういう?そうだな…友達だな」

ロイ様から友達認定されてしまった?!?!嬉しすぎます~!!!!

「ふーん」
「じゃあ、そういうことだから。またね」
「…」

晴人は何か言いたげな目をしていたが、いつもどおり微笑んで手を振ってくれた。

「晴人は怜の友達か?」
「うん、そうだよ。幼馴染なんだけど、とにかく甘えん坊で困っちゃうよ」

え?今、ロイ様と話せてる?変な口調になってない?

「そうなのか?全然、そんな風には見えなかったが…」
「甘えてくる時もあんな感じだからね」
「仲がいいみたいだな」
「そう?ロイにはいないの?幼馴染」
「いるにはいるが…」

ゲームでは少ししか出てこなかったロイ様の幼馴染。平民の子で、ロイ様はこっそり抜け出して一緒に遊んでいたという。

「もう今では、嫌われているようだ」
「っ」

そう、ロイ様と幼馴染の子は喧嘩して以来仲直りができていない状態だ。
しかし、ゲーム本編では仲直りをして元通り仲良くなったが、まさか予想外のことが起きてしまった。

「大丈夫だよ、きっと仲直りできると思うよ」
「本当だろうか?」
「うん!帰ったら謝ってみたらきっと仲直りできる!そのために、帰る方法を探そう」
「もちろんだ!」

ロイ様は元気よく、そう言った。そんなロイ様に俺は尊死するところだった。






家に帰ってから、ロイ様は部屋にいてもらって俺がご飯を届ける。

「玲?入るわよ」
「え?!」

ガチャという音がした時、もう時すでに遅し。母親にバッチリ見られてしまった。

「だ、だ、誰?!あんたの友達?!」
「そ、そう!しばらく、家に泊めてあげたいんだよ!」 
「そういうことはもっと早く言いなさいよ!にしても、どこの国の人?」
「俺の国か?俺の国は「アメリカ!アメリカだよね?」え、いや違う」

母さんは特に気にすることもなく、受け入れてくれた。
そのおかげで、コソコソご飯を食べることもなくなったので良かったと思う。



「じゃあ、俺は床で寝るからベットで寝て」
「だが…いいのか?」
「いいのいいの、ロイはベットの方が使いやすいだろうし、俺も寝れればどこでもいいから」

ロイ様の誘いを断って俺は布団で寝た。夜中、何か物音がした。その音で目が覚めて起き上がる。

すると、晴人が来ていた。

「は、晴人?!」
「玲…」
「今日来るって聞いてないよ?!」
「ごめん…勝手に来た。窓空いてたし」
「どうしたの?」

晴人は俺の布団に潜り込んできた。なんとなく、意図が理解できてしまったので俺は怒ることもなく受け入れた。

「おやすみ」
「うん…」

晴人に抱かれながら、俺は眠りについたのだった。




「ん……ふわぁ」

朝、目が覚めるとロイ様と晴人は寝ていた。もう6時半だ。

「あ、今日学校じゃん…」
 
ロイ様は連れて行けないし、どうするかなぁ…隣にいる晴人を起こしながら今日も大変な1日になりそうだなぁと少し楽観視していたのだった。




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