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11、祐希視点 後編
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玲の元恋人に会うことにした。どうやら、玲のことを探しているみたいだ。
「本当に行くの?」
「フフ、安心して?すぐ帰ってくるからね」
玲はそのことについて、あまり賛成してくれなかったがやっぱり不安だしね。
「…いい子で待っててね」
「うん!大好きだよ」
「俺も」
行ってきますのちゅーをして、大学へと向かった。
案の定、そいつは玲のことを聞き回っているみたいだ。
玲は友達もいなかったし無駄な事だ。
「なんでだよ…意味がわからない」
「ハハ、可哀想。玲を捨てたと思ったら捨てられちゃったんだね」
バッと振り返ったその顔は痛々しいほどやつれていた。
その姿についつい笑みが溢れてしまう。
「…誰」
「まぁ、それはおいといて少し時間がある?」
「…」
カフェに入って早速、玲の居場所を聞かれた。ニヤリと笑って写真を見せる。
本当は、あんまり見せたくなかったんだけどね。
「フフ、可愛いでしょ」
写真を見て、すぐに帰りたくなった。今頃、俺の帰りを待ち侘びているんだろうなぁ…
「玲は…いまどこにいるんだよ」
俺は目の前の憎たらしい奴の声に耳を塞ぎたくなる。
「俺の家」
「…玲とどういう関係だ?」
「恋人だよ、恋人」
「嘘つくな、玲が僕以外を見るわけないだろ」
その言葉に思わず笑ってしまう。本当にコイツは馬鹿だ。
玲もどうして、こんな奴に惹かれたんだろう。
「嘘なんかついてないよ?フフ、玲はね幸せだって言ってるよ、隼人くん。君のこと忘れちゃうくらいにね」
そう、これが現実。玲は俺を選んだ。
「残念だったね、玲はもう俺にしか興味がないみたいだからね」
「嘘だ…」
「嘘じゃないよ、君さぁ玲になんて言ったか覚えてる?『玲なんか好きにならなければ良かった』って言ったみたいだね」
「なんで、知ってるんだよ」
玲のことならなんでも知ってるに決まってるだろう。
「玲はさぁ、君が愛してくれるって馬鹿みたいに信じてたんだよ?それなのに、あんな酷いこと言われたらそりゃ百年の恋も冷めちゃうよな?」
「…」
「まぁ、玲は今幸せですよってことだけ言いにきたんだよ。だから、安心してね」
そろそろ帰ろう、きっと玲が寂しがっている。俺は席を立ち上がって千円を机に置いて帰った。
あいつはどうやら、かなりショックを受けているみたい。
「玲」
「あ、祐希!おかえり」
「ただいま」
「もう!帰ってくるの遅い!ずっと待ってたんだよ」
「ごめんね~!ほら、おいで」
ハグをしてから、キスをする。舌を入れるととろけた顔で俺を見つめる。
「あいつは君のことを探しているみたいだよ」
「え…」
「すっかりやつれていて、君のことを色々聞いてまわっているらしい」
「…そっか」
口に出して後悔した。その言葉を聞いて玲は心配しながらもどこか嬉しそうな顔をした。もう、完全に吹っ切れたと思っていたのに。
「玲…」
「ん?」
今日、散々あいつにマウント取ったけど本当はすごく不安だった。
今のあいつのことを話したら玲はまたあいつのところに戻ってしまうのではないかと。
案の定、玲はあいつが玲を探してると聞いて嬉しそうにした。
「もし、あいつにまた会えるってなったらどうする?」
これは賭けだ。もちろん、あいつに会わせる気はないし玲があいつを好きだとしても俺はここで一生を玲と過ごす。
「うーん…どうもしないかな」
「え?」
「会えるとしても、会いたくないし。それに、そんなことしたら祐希が寂しくなっちゃうでしょ?」
ニコッと笑って俺にキスをしてくれる。その姿に、目から涙が溢れてきた。
玲はオロオロしてから、優しく背中をさすってくれる。
「…まだ、あいつのこと好きなんじゃないの?」
「何言ってんの?好きじゃないよ!フフ、今は祐希が一番!」
「でも!さっき、あいつのこと話した時…嬉しそうだった」
「え?」
そう言うと玲はフフと可愛らしく笑った。
「違うよ。隼人が僕の今を知ったらきっと、もっと悔しがるだろうなって!だって、こんなに素敵な彼氏ができたんだもん」
「っ」
その言葉にまた涙が出てくる。俺は玲を勘違いしていたみたいだ。
その後、玲の美味しい手料理を食べて2人でゆっくり過ごしたのだった。
夢を見た。あいつと玲が再開してまた付き合う夢。俺はそれを昔のようにひっそりと見ている。
「隼人、大好き」
「俺もだよ。おいで」
玲はあいつに引き寄せられてキスをされる。その表情は恋する乙女のような可愛らしい顔だった。
それを見て、俺は勃ってしまう。俺がここにいるのはバレていないようだ。
俺は玲とあいつがキスをしていることも、玲が俺の存在を知らないこともすべてが嫌だった。
妙にリアルなその夢に早く終わって欲しいと願うばかりだ。
「…玲、気づいて。俺どうすればいいの?また、昔みたいになるのは嫌だ!玲!玲!」
その時、玲がこちらを振り返ってくれそうな時に俺は目が覚めた。
「…夢?」
隣には玲がスヤスヤと眠っている。何か、うなされているようだ。
「隼人…」
「は?」
嘘だ…そんなことない!
俺は思わず玲に問い詰めるようにして起こす。
「玲?起きてよ玲!」
「え?…どうか、したの?」
俺は強引に玲にキスをした。寝ぼけている玲の口の中に舌を入れて、濃厚なキスをする。銀の糸が2人の口から引いていく。
色っぽい顔に今日みた悪夢がフラッシュバグした。
「んっ…ちょ、なに?」
「今日、寝言であいつの名前呼んでた。なんで?!」
「最近、隼人の夢を見るからかも。ごめんね、不安にさせちゃった」
そんな偶然ありえるのだろうか?いや、今はそんなことどうでもいい。
玲は俺の頭を優しく撫でてくれる。
「おやすみ…玲」
「おやすみ祐希、愛してるよ」
あの悪夢がただの夢で終わってくれーーーそう願うのだった。
「本当に行くの?」
「フフ、安心して?すぐ帰ってくるからね」
玲はそのことについて、あまり賛成してくれなかったがやっぱり不安だしね。
「…いい子で待っててね」
「うん!大好きだよ」
「俺も」
行ってきますのちゅーをして、大学へと向かった。
案の定、そいつは玲のことを聞き回っているみたいだ。
玲は友達もいなかったし無駄な事だ。
「なんでだよ…意味がわからない」
「ハハ、可哀想。玲を捨てたと思ったら捨てられちゃったんだね」
バッと振り返ったその顔は痛々しいほどやつれていた。
その姿についつい笑みが溢れてしまう。
「…誰」
「まぁ、それはおいといて少し時間がある?」
「…」
カフェに入って早速、玲の居場所を聞かれた。ニヤリと笑って写真を見せる。
本当は、あんまり見せたくなかったんだけどね。
「フフ、可愛いでしょ」
写真を見て、すぐに帰りたくなった。今頃、俺の帰りを待ち侘びているんだろうなぁ…
「玲は…いまどこにいるんだよ」
俺は目の前の憎たらしい奴の声に耳を塞ぎたくなる。
「俺の家」
「…玲とどういう関係だ?」
「恋人だよ、恋人」
「嘘つくな、玲が僕以外を見るわけないだろ」
その言葉に思わず笑ってしまう。本当にコイツは馬鹿だ。
玲もどうして、こんな奴に惹かれたんだろう。
「嘘なんかついてないよ?フフ、玲はね幸せだって言ってるよ、隼人くん。君のこと忘れちゃうくらいにね」
そう、これが現実。玲は俺を選んだ。
「残念だったね、玲はもう俺にしか興味がないみたいだからね」
「嘘だ…」
「嘘じゃないよ、君さぁ玲になんて言ったか覚えてる?『玲なんか好きにならなければ良かった』って言ったみたいだね」
「なんで、知ってるんだよ」
玲のことならなんでも知ってるに決まってるだろう。
「玲はさぁ、君が愛してくれるって馬鹿みたいに信じてたんだよ?それなのに、あんな酷いこと言われたらそりゃ百年の恋も冷めちゃうよな?」
「…」
「まぁ、玲は今幸せですよってことだけ言いにきたんだよ。だから、安心してね」
そろそろ帰ろう、きっと玲が寂しがっている。俺は席を立ち上がって千円を机に置いて帰った。
あいつはどうやら、かなりショックを受けているみたい。
「玲」
「あ、祐希!おかえり」
「ただいま」
「もう!帰ってくるの遅い!ずっと待ってたんだよ」
「ごめんね~!ほら、おいで」
ハグをしてから、キスをする。舌を入れるととろけた顔で俺を見つめる。
「あいつは君のことを探しているみたいだよ」
「え…」
「すっかりやつれていて、君のことを色々聞いてまわっているらしい」
「…そっか」
口に出して後悔した。その言葉を聞いて玲は心配しながらもどこか嬉しそうな顔をした。もう、完全に吹っ切れたと思っていたのに。
「玲…」
「ん?」
今日、散々あいつにマウント取ったけど本当はすごく不安だった。
今のあいつのことを話したら玲はまたあいつのところに戻ってしまうのではないかと。
案の定、玲はあいつが玲を探してると聞いて嬉しそうにした。
「もし、あいつにまた会えるってなったらどうする?」
これは賭けだ。もちろん、あいつに会わせる気はないし玲があいつを好きだとしても俺はここで一生を玲と過ごす。
「うーん…どうもしないかな」
「え?」
「会えるとしても、会いたくないし。それに、そんなことしたら祐希が寂しくなっちゃうでしょ?」
ニコッと笑って俺にキスをしてくれる。その姿に、目から涙が溢れてきた。
玲はオロオロしてから、優しく背中をさすってくれる。
「…まだ、あいつのこと好きなんじゃないの?」
「何言ってんの?好きじゃないよ!フフ、今は祐希が一番!」
「でも!さっき、あいつのこと話した時…嬉しそうだった」
「え?」
そう言うと玲はフフと可愛らしく笑った。
「違うよ。隼人が僕の今を知ったらきっと、もっと悔しがるだろうなって!だって、こんなに素敵な彼氏ができたんだもん」
「っ」
その言葉にまた涙が出てくる。俺は玲を勘違いしていたみたいだ。
その後、玲の美味しい手料理を食べて2人でゆっくり過ごしたのだった。
夢を見た。あいつと玲が再開してまた付き合う夢。俺はそれを昔のようにひっそりと見ている。
「隼人、大好き」
「俺もだよ。おいで」
玲はあいつに引き寄せられてキスをされる。その表情は恋する乙女のような可愛らしい顔だった。
それを見て、俺は勃ってしまう。俺がここにいるのはバレていないようだ。
俺は玲とあいつがキスをしていることも、玲が俺の存在を知らないこともすべてが嫌だった。
妙にリアルなその夢に早く終わって欲しいと願うばかりだ。
「…玲、気づいて。俺どうすればいいの?また、昔みたいになるのは嫌だ!玲!玲!」
その時、玲がこちらを振り返ってくれそうな時に俺は目が覚めた。
「…夢?」
隣には玲がスヤスヤと眠っている。何か、うなされているようだ。
「隼人…」
「は?」
嘘だ…そんなことない!
俺は思わず玲に問い詰めるようにして起こす。
「玲?起きてよ玲!」
「え?…どうか、したの?」
俺は強引に玲にキスをした。寝ぼけている玲の口の中に舌を入れて、濃厚なキスをする。銀の糸が2人の口から引いていく。
色っぽい顔に今日みた悪夢がフラッシュバグした。
「んっ…ちょ、なに?」
「今日、寝言であいつの名前呼んでた。なんで?!」
「最近、隼人の夢を見るからかも。ごめんね、不安にさせちゃった」
そんな偶然ありえるのだろうか?いや、今はそんなことどうでもいい。
玲は俺の頭を優しく撫でてくれる。
「おやすみ…玲」
「おやすみ祐希、愛してるよ」
あの悪夢がただの夢で終わってくれーーーそう願うのだった。
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感想ありがとうございます!そうですね…玲はこのまま隼人といると、しんどそうですよね😞幸せになれるよう頑張ってほしいです☺️