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僕は今まで我慢していた悲しみが溢れてきた。涙が止まらない。
「っ…」
「俺の方が泣きたいくらいだよ」
「ご、ごめん」
「……そうやって媚びてるわけ?気持ち悪い」
隼人はそれでも、僕に酷いことをたくさん言ってきます。
止めたいのに、また傷付いては泣いての繰り返し。
「…最悪、はやく出てってくれないかな」
きっと、僕のせいなんです。きっと、何かしちゃったんだ。
「今から柚月ちゃん呼ぶから出てって」
「え…でも」
「いいから、出てかないと別れるよ」
「嫌だ!」
「なら、分かるよな?」
「…うん」
僕は財布と携帯だけ持って、外に出ました。泊まるところはないです。アテは智紀君くらいでしょうか。
「…寒いなぁ」
薄着を着てきたのは間違えでした。人気の少ないところを歩いていると急に視界が真っ暗になりました。
次の瞬間、意識がなくなります。
「え?」
「あ、おはよう」
「どうして…」
「ずっと、会いたかったんだよ。最初は見てるだけだったんだ。でも、喋りたくなって、触れたくなって…」
「ゆ、祐希?…どうして」
目の前にいたのは祐希でした。僕は手足を鎖で繋がれていました。
「これ、外してよ…」
「どうして?ずっと一緒だよ」
「でも、僕には恋人が…」
すると、祐希は僕の言葉が終わる前に口付けをされた。
「んぅ…」
「フフ、気持ちいい?」
「や、やめて!」
「…あんな奴のどこがいいんだよ」
ぎゅうっと抱きしめられて、その暖かさに戸惑ってしまいます。
「祐希…」
「玲はずっと苦しめられてただろう?!俺なら、絶対に玲以外を見ることはない。毎日、好きだって言うし玲のためならなんでもする。人を殺すこともね」
「そんなこと、しなくていいよ。確かに、隼人は酷いこと言うし僕以外の人を好きになっちゃうけどそれでも…好きだから」
「…なんで」
僕は意味がわからないという顔をした祐希の手を握りました。
ビクッとして、それから少しだけ怯えるような素振りを見せた。
「祐希がそこまで僕のこと好きだったんだね。でも、僕のことをどうやって知ったの?」
「えへへ、最初は公園で見かけたんだ。笑顔が可愛くて可愛くて…それで、跡をつけて家を特定して、学校も特定した。それで、中学が同じになれた。高校は流石に離れたけど…大学でやっと同じになれた」
「え、えぇ」
なんだか、サラッとヤバいこと言ってるし…
「でも、ビックリだなぁ…まさか、僕のこと好きな人がいるとは」
「いるに決まってるじゃん!フフ、玲は可愛いから」
「か、可愛い?」
「うん」
さも、当たり前かのように言う祐希に僕は少しだけ嬉しくてついつい微笑んでしまいます。
「か、可愛い~」
「え?あ、うひゃっ」
「玲、可愛いよ」
耳を触られて、そばで囁かれる。
「んっ…」
「可愛い」
「も、もうやめて…」
「あ,その顔可愛いね」
可愛いなんて、あまり言われないものだから恥ずかしくなってしまいます。
隼人にも、愛されていた時にしか言われてません。
「愛してるよ」
「あ…」
ずっと、言われたかった言葉。どれだけ、尽くしても、どれだけ頑張っても隼人はもう僕を見ることはなかった。
(どうせ、隼人も僕がいない方がいいよね…)
「祐希…ずっと、愛してくれる?」
「何…言ってんの?」
「っ」
やっぱり…重いよね。
「当たり前でしょ?俺はずっと玲を愛すよ…フフ、顔赤いね」
「だって…よく、そんなに恥ずかしいセリフ言えるよね」
「恥ずかしくないよ。玲が大好き」
「んっ…」
優しく口付けされて、そのまま僕は祐希に身を任せたのでした。
その後、僕は大学をやめて祐希と一緒に大きいお屋敷に引っ越しました。
祐希は実は超がつくほどのお金持ちだったのです。
「玲、ただいま」
「祐希、おかえり~」
「今日の料理は何だ?」
「今日は祐希の好きな春巻きだよ」
「本当?やった」
2人でご飯を食べて、2人でお風呂に入って、2人で寝る。
僕が隼人とできなかったことを祐希は沢山してくれました。
「…祐希、大好き」
「俺も。だから、どこにもいかないでね?」
僕の足には鎖がついていて、屋敷のドアの付近までしか伸びません。
たまに、庭に出ることもあるけど、その時は厳重に扉がしまって監視されています。
「行かない、祐希とずっと一緒にいる…」
「か、可愛いすぎる!!おいで、玲」
「うん!」
祐希と甘いキスをして、今日も一日充実していたなと感じます。
もう、隼人なんか僕の頭には存在していませんでした。
(執着されてるなぁ…でも、愛してるしいっか!)
そう思いながら、愛しい祐希と今日も一緒に寝るのでした…
「っ…」
「俺の方が泣きたいくらいだよ」
「ご、ごめん」
「……そうやって媚びてるわけ?気持ち悪い」
隼人はそれでも、僕に酷いことをたくさん言ってきます。
止めたいのに、また傷付いては泣いての繰り返し。
「…最悪、はやく出てってくれないかな」
きっと、僕のせいなんです。きっと、何かしちゃったんだ。
「今から柚月ちゃん呼ぶから出てって」
「え…でも」
「いいから、出てかないと別れるよ」
「嫌だ!」
「なら、分かるよな?」
「…うん」
僕は財布と携帯だけ持って、外に出ました。泊まるところはないです。アテは智紀君くらいでしょうか。
「…寒いなぁ」
薄着を着てきたのは間違えでした。人気の少ないところを歩いていると急に視界が真っ暗になりました。
次の瞬間、意識がなくなります。
「え?」
「あ、おはよう」
「どうして…」
「ずっと、会いたかったんだよ。最初は見てるだけだったんだ。でも、喋りたくなって、触れたくなって…」
「ゆ、祐希?…どうして」
目の前にいたのは祐希でした。僕は手足を鎖で繋がれていました。
「これ、外してよ…」
「どうして?ずっと一緒だよ」
「でも、僕には恋人が…」
すると、祐希は僕の言葉が終わる前に口付けをされた。
「んぅ…」
「フフ、気持ちいい?」
「や、やめて!」
「…あんな奴のどこがいいんだよ」
ぎゅうっと抱きしめられて、その暖かさに戸惑ってしまいます。
「祐希…」
「玲はずっと苦しめられてただろう?!俺なら、絶対に玲以外を見ることはない。毎日、好きだって言うし玲のためならなんでもする。人を殺すこともね」
「そんなこと、しなくていいよ。確かに、隼人は酷いこと言うし僕以外の人を好きになっちゃうけどそれでも…好きだから」
「…なんで」
僕は意味がわからないという顔をした祐希の手を握りました。
ビクッとして、それから少しだけ怯えるような素振りを見せた。
「祐希がそこまで僕のこと好きだったんだね。でも、僕のことをどうやって知ったの?」
「えへへ、最初は公園で見かけたんだ。笑顔が可愛くて可愛くて…それで、跡をつけて家を特定して、学校も特定した。それで、中学が同じになれた。高校は流石に離れたけど…大学でやっと同じになれた」
「え、えぇ」
なんだか、サラッとヤバいこと言ってるし…
「でも、ビックリだなぁ…まさか、僕のこと好きな人がいるとは」
「いるに決まってるじゃん!フフ、玲は可愛いから」
「か、可愛い?」
「うん」
さも、当たり前かのように言う祐希に僕は少しだけ嬉しくてついつい微笑んでしまいます。
「か、可愛い~」
「え?あ、うひゃっ」
「玲、可愛いよ」
耳を触られて、そばで囁かれる。
「んっ…」
「可愛い」
「も、もうやめて…」
「あ,その顔可愛いね」
可愛いなんて、あまり言われないものだから恥ずかしくなってしまいます。
隼人にも、愛されていた時にしか言われてません。
「愛してるよ」
「あ…」
ずっと、言われたかった言葉。どれだけ、尽くしても、どれだけ頑張っても隼人はもう僕を見ることはなかった。
(どうせ、隼人も僕がいない方がいいよね…)
「祐希…ずっと、愛してくれる?」
「何…言ってんの?」
「っ」
やっぱり…重いよね。
「当たり前でしょ?俺はずっと玲を愛すよ…フフ、顔赤いね」
「だって…よく、そんなに恥ずかしいセリフ言えるよね」
「恥ずかしくないよ。玲が大好き」
「んっ…」
優しく口付けされて、そのまま僕は祐希に身を任せたのでした。
その後、僕は大学をやめて祐希と一緒に大きいお屋敷に引っ越しました。
祐希は実は超がつくほどのお金持ちだったのです。
「玲、ただいま」
「祐希、おかえり~」
「今日の料理は何だ?」
「今日は祐希の好きな春巻きだよ」
「本当?やった」
2人でご飯を食べて、2人でお風呂に入って、2人で寝る。
僕が隼人とできなかったことを祐希は沢山してくれました。
「…祐希、大好き」
「俺も。だから、どこにもいかないでね?」
僕の足には鎖がついていて、屋敷のドアの付近までしか伸びません。
たまに、庭に出ることもあるけど、その時は厳重に扉がしまって監視されています。
「行かない、祐希とずっと一緒にいる…」
「か、可愛いすぎる!!おいで、玲」
「うん!」
祐希と甘いキスをして、今日も一日充実していたなと感じます。
もう、隼人なんか僕の頭には存在していませんでした。
(執着されてるなぁ…でも、愛してるしいっか!)
そう思いながら、愛しい祐希と今日も一緒に寝るのでした…
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