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「ねぇ、隼人!今日は早く帰ってきてね?」
「…頑張るよ」
「うん!待ってるね」
僕は隼人にお弁当を渡しました。玄関でお見送りして、僕も大学に行く準備をします。
帰ってきてとは言ったものの、隼人は帰ってこない気がします。
「…僕に魅力がないのかな?」
そんなことを考えてしまっては、落ち込んでいます。
(前までいっぱい愛してくれたのに…)
大学に行くと、隼人を見つけました。走って駆け寄ると、隼人は嫌そうな顔をします。
「今度はどの人?」
「…あの子だよ、可愛いでしょ」
そう言って指差したのはロングの清楚な子でした。隼人のタイプは静かでおとなしい子らしいです。
恋人の前で堂々と他の女の子に可愛いだなんて言えるのはどうかと思います。
「今日さ、デートとかしない?記念日だし!」
「は?なんで記念日にデートすんの?」
「と、特別な日だし隼人といたいなぁって」
「…あのさ、別れようよ」
隼人の言葉に僕は目を見開きました。僕はその言葉の意味を理解してどんどん、顔が青ざめていきます。
「な、なんで…」
「鬱陶しいし、記念日とかウザいんだよね」
「えっ!じ、じゃあ!デートも行かなくていいし、早く帰ってこなくても…いいから」
僕は溢れる涙を拭いながら隼人に抱きつきいた。
「別れたくない…」
そう言うと隼人は溜息をついて、僕を引き剥がしました。
「分かったよ…」
「っ、うん」
なんとか、別れることを阻止できたはいいものの少し傷ついていました。
恋人というのは、こういうものなのでしょうか?
僕は帰りにケーキを買って家に帰ります。携帯を開くと隼人から一言。
『今日、飲み会あるから帰らない』
とだけ。帰ってこないとは分かっていたけれど、やっぱり涙が出てきました。
「…ケーキは冷蔵庫に入れとこう」
僕は、また前と同じような生活に戻ってしまいました。
その日はもう、何もする気が起きずにそのままベットで寝てしまいました。
翌朝、目が覚めて隼人の寝室を見に行きました。隼人はぐっすり眠っているよう。
僕は、台所についてご飯を作ります。
「ん…」
「隼人、おはよう!寝癖ついてるよ?フフ」
「…触んないで」
「あ、ごめんね…」
手を叩かれて僕は手を引っ込める。朝は皆んな機嫌が悪いものだよね、と自分を説得して器にご飯を盛る。
「隼人、できたよ」
「…ん」
「今日のお弁当はね、隼人の好きな唐揚げ入ってるからね」
「…」
(僕のことが好きだった時は凄く喜んでくれたのになぁ…)
泣きそうになるのを堪えて笑顔で、僕も食卓につく。
「今日の夜はケーキもあるから…その」
(今日は帰ってきて欲しいなんて言ったら嫌われるかな?)
「は、隼人の好きなハンバーグもつくるし」
「何?早く帰ってきて欲しいの?」
「ち、違う…」
隼人は、冷たい目で僕を見つめて言葉を放ちました。
「そういうのウザいって言ったよね?」
「ごめんなさい…」
「…もういらない」
そう言ってご飯を残して、準備を始めます。
「は、隼人!お弁当…」
「いらない」
そう言って家を出た。そんな隼人を見て僕は床に倒れ込むように座った。
僕はなんとか、笑顔をつくろうとする。
「また、愛してくれるはず…」
隼人に愛を囁いてもらえたんだ。ご飯を美味しいって言ってもらえて、いつもより早く帰ってきてくれて、エッチだって甘くて優しくて……でも
「もう、僕はいらないんだ」
僕は隼人に依存していたんです。愛を囁いてくれたから、優しくしてくれたから…
(隼人ばかりといてはダメだ!友だちを作ろう!)
周りを見ると、グループみたいなのができているようです。僕は話しかけようと思ったけど勇気が出ません。
「このままじゃ、ダメだ!」
心を奮い立たせて、声をかけてみる。
「あ、あの…」
「そういえばさ、彼女とはどうなの?」
「え?別れた」
「マジかよ!」
僕の声はかき消されてしまったようです。その後も話しかけてみたんですけど空気と化してしまいました。
「やっぱり無理だよ…」
「何が?」
「うひゃ!」
ベンチで反省会をしていると、急に後ろから声をかけられて振り返ると、イケメンがいる。
「アンタ、めっちゃ無視されてたよね」
「え、見てたの?」
恥ずかしい…あんな情けないところを見られていたとは。
「友達つくりたいの?」
「うん…そう」
「じゃあ、俺が友達になってあげるよ」
「え?!い、いいの?」
「うん、よろしくね」
友達なんて智紀くん以来です。
「俺は浅見祐希」
「あ、えっと春山玲です」
「敬語じゃなくていいよ、タメだし」
「え?同い年なの?」
「うん、講義でよく見かけるし」
僕は記憶を辿ってみるが、こんなイケメンいた覚えがないですね。
「じゃあ、よろしく玲!」
「う、うん!よろしく祐希」
友達ができてウキウキで家に帰ります。
(なんだか、今日は何でも出来そう)
家にいても落ち着かないのでとりあえず、夕飯を作ろうとしたのだが、作りすぎてしまったようです。
食卓がハンバーグで埋め尽くされています。すると、隼人が帰ってきました。
「おかえり!」
「……」
「もうご飯できてるから、手洗ってきて」
「…ん」
隼人がリビングにくると、驚いた声を出した。
「作りすぎでしょ…」
「ごめんね、冷蔵庫にもまだ入ってるから、明日のお昼もハンバーグかな」
「……最悪」
僕はなんとか、笑ってごめんねと謝ります。
「…マジで、玲なんか好きにならなければ良かった」
その一言を聞いた途端、僕はもう耐えられなかったのでした。
「…頑張るよ」
「うん!待ってるね」
僕は隼人にお弁当を渡しました。玄関でお見送りして、僕も大学に行く準備をします。
帰ってきてとは言ったものの、隼人は帰ってこない気がします。
「…僕に魅力がないのかな?」
そんなことを考えてしまっては、落ち込んでいます。
(前までいっぱい愛してくれたのに…)
大学に行くと、隼人を見つけました。走って駆け寄ると、隼人は嫌そうな顔をします。
「今度はどの人?」
「…あの子だよ、可愛いでしょ」
そう言って指差したのはロングの清楚な子でした。隼人のタイプは静かでおとなしい子らしいです。
恋人の前で堂々と他の女の子に可愛いだなんて言えるのはどうかと思います。
「今日さ、デートとかしない?記念日だし!」
「は?なんで記念日にデートすんの?」
「と、特別な日だし隼人といたいなぁって」
「…あのさ、別れようよ」
隼人の言葉に僕は目を見開きました。僕はその言葉の意味を理解してどんどん、顔が青ざめていきます。
「な、なんで…」
「鬱陶しいし、記念日とかウザいんだよね」
「えっ!じ、じゃあ!デートも行かなくていいし、早く帰ってこなくても…いいから」
僕は溢れる涙を拭いながら隼人に抱きつきいた。
「別れたくない…」
そう言うと隼人は溜息をついて、僕を引き剥がしました。
「分かったよ…」
「っ、うん」
なんとか、別れることを阻止できたはいいものの少し傷ついていました。
恋人というのは、こういうものなのでしょうか?
僕は帰りにケーキを買って家に帰ります。携帯を開くと隼人から一言。
『今日、飲み会あるから帰らない』
とだけ。帰ってこないとは分かっていたけれど、やっぱり涙が出てきました。
「…ケーキは冷蔵庫に入れとこう」
僕は、また前と同じような生活に戻ってしまいました。
その日はもう、何もする気が起きずにそのままベットで寝てしまいました。
翌朝、目が覚めて隼人の寝室を見に行きました。隼人はぐっすり眠っているよう。
僕は、台所についてご飯を作ります。
「ん…」
「隼人、おはよう!寝癖ついてるよ?フフ」
「…触んないで」
「あ、ごめんね…」
手を叩かれて僕は手を引っ込める。朝は皆んな機嫌が悪いものだよね、と自分を説得して器にご飯を盛る。
「隼人、できたよ」
「…ん」
「今日のお弁当はね、隼人の好きな唐揚げ入ってるからね」
「…」
(僕のことが好きだった時は凄く喜んでくれたのになぁ…)
泣きそうになるのを堪えて笑顔で、僕も食卓につく。
「今日の夜はケーキもあるから…その」
(今日は帰ってきて欲しいなんて言ったら嫌われるかな?)
「は、隼人の好きなハンバーグもつくるし」
「何?早く帰ってきて欲しいの?」
「ち、違う…」
隼人は、冷たい目で僕を見つめて言葉を放ちました。
「そういうのウザいって言ったよね?」
「ごめんなさい…」
「…もういらない」
そう言ってご飯を残して、準備を始めます。
「は、隼人!お弁当…」
「いらない」
そう言って家を出た。そんな隼人を見て僕は床に倒れ込むように座った。
僕はなんとか、笑顔をつくろうとする。
「また、愛してくれるはず…」
隼人に愛を囁いてもらえたんだ。ご飯を美味しいって言ってもらえて、いつもより早く帰ってきてくれて、エッチだって甘くて優しくて……でも
「もう、僕はいらないんだ」
僕は隼人に依存していたんです。愛を囁いてくれたから、優しくしてくれたから…
(隼人ばかりといてはダメだ!友だちを作ろう!)
周りを見ると、グループみたいなのができているようです。僕は話しかけようと思ったけど勇気が出ません。
「このままじゃ、ダメだ!」
心を奮い立たせて、声をかけてみる。
「あ、あの…」
「そういえばさ、彼女とはどうなの?」
「え?別れた」
「マジかよ!」
僕の声はかき消されてしまったようです。その後も話しかけてみたんですけど空気と化してしまいました。
「やっぱり無理だよ…」
「何が?」
「うひゃ!」
ベンチで反省会をしていると、急に後ろから声をかけられて振り返ると、イケメンがいる。
「アンタ、めっちゃ無視されてたよね」
「え、見てたの?」
恥ずかしい…あんな情けないところを見られていたとは。
「友達つくりたいの?」
「うん…そう」
「じゃあ、俺が友達になってあげるよ」
「え?!い、いいの?」
「うん、よろしくね」
友達なんて智紀くん以来です。
「俺は浅見祐希」
「あ、えっと春山玲です」
「敬語じゃなくていいよ、タメだし」
「え?同い年なの?」
「うん、講義でよく見かけるし」
僕は記憶を辿ってみるが、こんなイケメンいた覚えがないですね。
「じゃあ、よろしく玲!」
「う、うん!よろしく祐希」
友達ができてウキウキで家に帰ります。
(なんだか、今日は何でも出来そう)
家にいても落ち着かないのでとりあえず、夕飯を作ろうとしたのだが、作りすぎてしまったようです。
食卓がハンバーグで埋め尽くされています。すると、隼人が帰ってきました。
「おかえり!」
「……」
「もうご飯できてるから、手洗ってきて」
「…ん」
隼人がリビングにくると、驚いた声を出した。
「作りすぎでしょ…」
「ごめんね、冷蔵庫にもまだ入ってるから、明日のお昼もハンバーグかな」
「……最悪」
僕はなんとか、笑ってごめんねと謝ります。
「…マジで、玲なんか好きにならなければ良かった」
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