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「隼人、待ってよ」
「…着いてこないでよ」
僕が隼人について行こうとすると隼人は、僕を突き放します。
「隼人、もしかしてナイフとか持ってる?」
「…何で知ってるの」
「危ないからダメ!ほら、渡して」
「玲も僕の邪魔をするんだ…」
目がグルグルになっています。こうなると、隼人は早口で僕を捲し立てます。
「死ね死ね死ね死ね!玲なんて嫌い!嫌い!梨花と僕は結ばれるんだ!玲なんて死ねばいい!」
分かっています。一時的なものです。思ってもいないはずだと分かっているんです。
でも
やっぱり、悲しいです。
「僕は好き。大好き」
ぎゅっと抱きつくと、隼人は持っていたナイフを落としました。
僕はそのナイフを拾ってポケットに入れておきます。
そのまま、歩いて行くとアパートにつきました。
ピーンポーン
「…」
そうすると、隼人はインターホンを連打します。
「コラコラ、迷惑でしょうが」
「…うるさいなぁ」
「あ」
すると、すぐに梨花ちゃんの彼氏が出てきた。
「なんですか?」
「梨花…梨花はどこです?」
「ちょ、隼人」
「梨花は旅行です。友達とハワイに」
「僕がいるにもかかわらず…」
また物騒なことを言ってるなぁと思いながら僕は隼人を連れて帰ろうとします。
「隼人、もう帰ろう?」
「…」
「ちょっと待ってください」
彼氏さんに手を掴まれてしまいます。隼人は足を止めずに帰ってしまいます。
「あ、隼人!」
すると、家に入れられてしまう。
「あの…もう帰りたいんですけど」
「ん、お茶持ってくる」
「いや、いらないです…」
僕は内心、隼人のことしか考えられませんでした。
(何かしてないかな?大丈夫かな?)
「あの人って梨花の友達?」
「特に何の関係もないですよ。隼人の片思いです」
「ストーカー…ですね」
「はい、でも多分あと1週間くらいで冷めると思います。いつもそうなので」
隼人の今まで好きだった人を思い浮かべる。
「あなたは?」
「えへへ…これが実は恋人なんです」
「は?!でも、あいつは梨花のことが好きで…」
「はい、でも付き合ってるんです」
「…早く別れろよ、そんな人」
急に距離を縮めてきましたね。僕は少しだけ睨んでみます。
「別に、僕が好きなので」
「あんたも変だな」
「失礼ですね。自覚してますよ」
すると、急に目から涙が出てきました。
「え、ちょ…泣くなよ」
「泣いてないです…」
すると、彼は僕の背中をさすってくれました。
「あんた何歳?」
「……21」
「年上かよ」
「え?!年下なの?」
年下に泣いてるところを見られ、あまつさえ慰められるとは…恥ずかしすぎる。
「もう帰る…」
「ゆっくりしてったらいいのに」
「隼人が…何してるか分からないから」
「まぁ、そうだけど…今日くらい、いいんじゃね?ほら、ココア」
あったかくて、甘い。僕の心がどんどん満たされていきます。
「ありがとう…」
「どういたしまして」
その後、ココアを飲み干して僕は帰りました。ついでに、彼氏さんと連絡先を交換してしまいました!
急いで家に帰ると隼人が電気もつけずに部屋の隅にいました。
「隼人?大丈夫?」
「…」
「ごめんね、帰りが遅くなっちゃって」
「…黙れ!うるさい!」
僕が隼人に近づくと勢いよく蹴られてしまいます。僕は急いで帰ったので体力もなくすぐに倒れてしまいます。
「あ…ごめんね」
「うるさい!うるさいうるさいうるさいうるさい!」
そこから、ずっと罵倒です。僕以外の人じゃ受け止められないだろうな…
「玲なんか嫌いだ!…しね!」
「僕は隼人が好き」
なんとか笑顔で落ち着かせようと、ぎゅっと抱きつこうとしますが、すぐに蹴飛ばされてしまいます。
「痛い!痛いよ、隼人…」
「うるさい!死ね死ね死ね死ね死ね!!」
隼人はどんどんヒートアップしていきます。僕はどうにか落ち着かせられないかと考えを巡らせるのですが、蹴られて思考が追いつきません。
「落ち着いて、隼人…お願い」
「…うるさい」
「い、痛いよ」
髪の毛を掴まれてしまいます。すると、いきなり離されて僕は尻餅をついてしまいました。
「大丈夫?ほら、おいで」
「……」
無言で近づいてきます。僕は痛む体を抑えて、隼人に抱きついて頭を撫でてあげます。
数分して隼人はリビングで本を読み始めました。
「よし、じゃあ夕飯つくるか…」
台所に行き、料理をします。今日はハンバーグ。隼人の大好きなものの一つです!
「はい、どうぞ」
「…」
「えへへ」
「キモい」
「だってさ、今日は上手くいったんだもん!どう?美味しい?」
あまり、期待はしてないけど少しだけ気になって聞いてみます。
「マズイ」
「そっか~、残念」
そう言っておきながらも、食べる手を止めない隼人を見ながら僕は思わず笑みが溢れてしまいます。
「…」
すると、いきなり隼人が水をかけてきました。
「うひゃ!」
「その顔、キモいから洗ってきたら?」
「…ご、ごめん」
僕は仕方なく洗面所に行きます。僕もこの平凡な顔が大嫌いです。
「隼人…」
「…」
「大好き」
「死ね」
予想通りの返事に僕は笑みを溢したのでした。
「…着いてこないでよ」
僕が隼人について行こうとすると隼人は、僕を突き放します。
「隼人、もしかしてナイフとか持ってる?」
「…何で知ってるの」
「危ないからダメ!ほら、渡して」
「玲も僕の邪魔をするんだ…」
目がグルグルになっています。こうなると、隼人は早口で僕を捲し立てます。
「死ね死ね死ね死ね!玲なんて嫌い!嫌い!梨花と僕は結ばれるんだ!玲なんて死ねばいい!」
分かっています。一時的なものです。思ってもいないはずだと分かっているんです。
でも
やっぱり、悲しいです。
「僕は好き。大好き」
ぎゅっと抱きつくと、隼人は持っていたナイフを落としました。
僕はそのナイフを拾ってポケットに入れておきます。
そのまま、歩いて行くとアパートにつきました。
ピーンポーン
「…」
そうすると、隼人はインターホンを連打します。
「コラコラ、迷惑でしょうが」
「…うるさいなぁ」
「あ」
すると、すぐに梨花ちゃんの彼氏が出てきた。
「なんですか?」
「梨花…梨花はどこです?」
「ちょ、隼人」
「梨花は旅行です。友達とハワイに」
「僕がいるにもかかわらず…」
また物騒なことを言ってるなぁと思いながら僕は隼人を連れて帰ろうとします。
「隼人、もう帰ろう?」
「…」
「ちょっと待ってください」
彼氏さんに手を掴まれてしまいます。隼人は足を止めずに帰ってしまいます。
「あ、隼人!」
すると、家に入れられてしまう。
「あの…もう帰りたいんですけど」
「ん、お茶持ってくる」
「いや、いらないです…」
僕は内心、隼人のことしか考えられませんでした。
(何かしてないかな?大丈夫かな?)
「あの人って梨花の友達?」
「特に何の関係もないですよ。隼人の片思いです」
「ストーカー…ですね」
「はい、でも多分あと1週間くらいで冷めると思います。いつもそうなので」
隼人の今まで好きだった人を思い浮かべる。
「あなたは?」
「えへへ…これが実は恋人なんです」
「は?!でも、あいつは梨花のことが好きで…」
「はい、でも付き合ってるんです」
「…早く別れろよ、そんな人」
急に距離を縮めてきましたね。僕は少しだけ睨んでみます。
「別に、僕が好きなので」
「あんたも変だな」
「失礼ですね。自覚してますよ」
すると、急に目から涙が出てきました。
「え、ちょ…泣くなよ」
「泣いてないです…」
すると、彼は僕の背中をさすってくれました。
「あんた何歳?」
「……21」
「年上かよ」
「え?!年下なの?」
年下に泣いてるところを見られ、あまつさえ慰められるとは…恥ずかしすぎる。
「もう帰る…」
「ゆっくりしてったらいいのに」
「隼人が…何してるか分からないから」
「まぁ、そうだけど…今日くらい、いいんじゃね?ほら、ココア」
あったかくて、甘い。僕の心がどんどん満たされていきます。
「ありがとう…」
「どういたしまして」
その後、ココアを飲み干して僕は帰りました。ついでに、彼氏さんと連絡先を交換してしまいました!
急いで家に帰ると隼人が電気もつけずに部屋の隅にいました。
「隼人?大丈夫?」
「…」
「ごめんね、帰りが遅くなっちゃって」
「…黙れ!うるさい!」
僕が隼人に近づくと勢いよく蹴られてしまいます。僕は急いで帰ったので体力もなくすぐに倒れてしまいます。
「あ…ごめんね」
「うるさい!うるさいうるさいうるさいうるさい!」
そこから、ずっと罵倒です。僕以外の人じゃ受け止められないだろうな…
「玲なんか嫌いだ!…しね!」
「僕は隼人が好き」
なんとか笑顔で落ち着かせようと、ぎゅっと抱きつこうとしますが、すぐに蹴飛ばされてしまいます。
「痛い!痛いよ、隼人…」
「うるさい!死ね死ね死ね死ね死ね!!」
隼人はどんどんヒートアップしていきます。僕はどうにか落ち着かせられないかと考えを巡らせるのですが、蹴られて思考が追いつきません。
「落ち着いて、隼人…お願い」
「…うるさい」
「い、痛いよ」
髪の毛を掴まれてしまいます。すると、いきなり離されて僕は尻餅をついてしまいました。
「大丈夫?ほら、おいで」
「……」
無言で近づいてきます。僕は痛む体を抑えて、隼人に抱きついて頭を撫でてあげます。
数分して隼人はリビングで本を読み始めました。
「よし、じゃあ夕飯つくるか…」
台所に行き、料理をします。今日はハンバーグ。隼人の大好きなものの一つです!
「はい、どうぞ」
「…」
「えへへ」
「キモい」
「だってさ、今日は上手くいったんだもん!どう?美味しい?」
あまり、期待はしてないけど少しだけ気になって聞いてみます。
「マズイ」
「そっか~、残念」
そう言っておきながらも、食べる手を止めない隼人を見ながら僕は思わず笑みが溢れてしまいます。
「…」
すると、いきなり隼人が水をかけてきました。
「うひゃ!」
「その顔、キモいから洗ってきたら?」
「…ご、ごめん」
僕は仕方なく洗面所に行きます。僕もこの平凡な顔が大嫌いです。
「隼人…」
「…」
「大好き」
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