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番外編
ifルート 健斗編 『もしも慎二が先に雪に別れを告げていたら』
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※今回も亮が出てくると亮エンドになるので出てきません
慎二に別れを告げられた。あっけないものだった。
『ごめん』
その一言を放って走っていってしまった。なんだか、ようやく付き合っていた実感が湧いてくる。
(別れたく、なかったな…)
俺は泣くことも、慎二を追いかけることも問い詰めることもできなかった。
最後まで、俺は選ばれなかったのだ。
「…呆気なかったな」
俺は今日も寄り道をした。猫ちゃんのところに行くが今日はいないみたい。
とにかく誰かに慰めてほしい気分だった。
「あれ?雪兄?」
「え……あ、健斗くん」
「どうしたの?元気ないみたいだね?」
優しくしてくれる健斗くんに俺は少しだけ泣きそうになった。
「実は、失恋しちゃった」
「え,好きな人いたの?!」
「うん…付き合ってたんだけどね」
「そんな!雪兄みたいな彼氏いたら最高なのに?」
「フフ、本当?ありがとう」
健斗くんは俺を励まそうと、家に誘ってくれた。けど、そこで慎二と会ったらものすごく気まづいし悲しくなるので断った。
その次の日のことだった。健斗くんが俺の学校の前で誰かを待っていた。
「え、何あのイケメン!」
「中学生かな?可愛い~」
「誰か待ってるのかな?」
女子がきゃあと騒いでるいるのを横目に俺は帰ろうとしていた。
「雪兄!」
「へ?」
「待ってたよ!今日、なんか予定とかある?」
「と、特にないけど…」
「本当?!じゃあ、ちょっと付き合ってよ!」
「え?あ!」
なんとお目当ての人は俺だったらしい。てっきり、慎二を待っているのだと思っていた。
「け、健斗くん?なんでうちの学校に?」
「雪兄を励ましたかったのと、会いたくなったから」
健斗くんは俺の手を引いて街中を歩き回った。途中でクレープとかアイスとか食べたりして、すごく楽しかった。
すっかり、空は暗くなった。家に連絡してもうしばらく健斗くんといることにした。
「あのさ、雪兄」
「フフ、何?」
「俺ね…その」
健斗くんは少しだけ、顔を赤らめながらも俺のことを真っ直ぐに見つめてきた。
「雪兄のことが…好きなんだ」
「っ!…その、好きっていうのはどういう好き?」
「恋愛として好き。雪兄と付き合ってデートしてイチャイチャしたい」
(素直すぎてこっちが恥ずかしくなってくるよ)
「その…俺なんかでいいの?」
「雪兄と付き合うくらいだったら自殺してるよ!」
あまりにも焦ったように言うので思わず笑ってしまう。健斗くんは、そんな俺を見て拗ねている。
俺よりも身長が高いくせに、子供っぽいところがギャップ萌えってやつなのだろうか?
「健斗くん。俺はまだ返事ができないです」
「…そうだよね、失恋した途端に告られるとか驚くよね!でも!俺、雪兄のこと諦めないから!」
健斗くんは笑顔に戻って、俺を抱きしめた。
「送ってくよ」
「いいよ、俺だって男だし」
「何言ってんの?雪兄は男だけど可愛いし、襲われちゃうかも」
「そう?じゃあ、送ってもらおうかな!」
家について俺は健斗くんに飲み物とお菓子を渡した。
「はいこれ、今日はありがとうね」
「そ、そんな!俺の方が付き合わせちゃったんだし…」
「いいの!気をつけて帰ってね」
俺は健斗くんの背中が見えなくなるまで手を振ってから、家に戻った。
なんだか、久しぶりに沢山笑った。
「…慎二はどう思うかな?嫉妬してくれるかな?」
もう別れたくせに、まだ慎二のことを考えてしまう。だって、ずっと好きだったんだ。
「…健斗くんは赦してくれる?」
「雪兄!」
「雪兄!会いにきたよー」
「雪兄、図書館で一緒に勉強しようー」
「フフ、可愛いなぁ」
「泊まっていい?」
健斗くんはそれから、毎日俺のところに来ている。
でも、今日は健斗くんの家に来ていた。慎二は今日は帰ってこないらしいのでお邪魔することにした。
「雪兄…可愛い」
「うぅ、可愛いって言うのやめてって言ったじゃんか」
「なんで?可愛いんだもん」
「こんな平凡な男に可愛いなんてどうかしてるよ…」
そう言いながらも内心は嬉しくて、健斗くんに甘えるように抱きつく。
俺は何度か返事しようと思って健斗くんを呼び出したのだが、毎回心の準備ができていないとか言われてはぐらかされてる。
「ねぇ、健斗くん」
「ん?」
「…好き」
「へ?!」
「健斗くんが好きなの」
俺は健斗くんの肩に手を置いて、唇を近づけた。そのまま、俺と健斗くんの唇がくっつく。
それだけ。舌をいれるわけでも、押し倒されるわけもない。
でも、何故かそれだけで恥ずかしくなってくる。
「健斗くんは俺のこと…もう好きじゃない?」
「そんなわけない!大好きだよ」
「本当?フフ、俺も。健斗くんに返事しようと思ったらいつもはぐらかされちゃうんだもん」
「ご、ごめん…振られると思ってたから」
健斗くんは凄く嬉しそうに笑って、僕にまたキスをした。
今度は、少しだけエッチなキス。
「んぅ♡…んっ♡」
「雪兄…可愛い」
「雪って呼んでよ」
「ゆ、雪!」
「ん?なぁに?」
「愛してるよ」
俺は健斗くんに抱きついた。
「俺も」
「あー!可愛い!」
健斗にキスをされながら幸せな気持ちを噛み締めていた。
慎二に別れを告げられた。あっけないものだった。
『ごめん』
その一言を放って走っていってしまった。なんだか、ようやく付き合っていた実感が湧いてくる。
(別れたく、なかったな…)
俺は泣くことも、慎二を追いかけることも問い詰めることもできなかった。
最後まで、俺は選ばれなかったのだ。
「…呆気なかったな」
俺は今日も寄り道をした。猫ちゃんのところに行くが今日はいないみたい。
とにかく誰かに慰めてほしい気分だった。
「あれ?雪兄?」
「え……あ、健斗くん」
「どうしたの?元気ないみたいだね?」
優しくしてくれる健斗くんに俺は少しだけ泣きそうになった。
「実は、失恋しちゃった」
「え,好きな人いたの?!」
「うん…付き合ってたんだけどね」
「そんな!雪兄みたいな彼氏いたら最高なのに?」
「フフ、本当?ありがとう」
健斗くんは俺を励まそうと、家に誘ってくれた。けど、そこで慎二と会ったらものすごく気まづいし悲しくなるので断った。
その次の日のことだった。健斗くんが俺の学校の前で誰かを待っていた。
「え、何あのイケメン!」
「中学生かな?可愛い~」
「誰か待ってるのかな?」
女子がきゃあと騒いでるいるのを横目に俺は帰ろうとしていた。
「雪兄!」
「へ?」
「待ってたよ!今日、なんか予定とかある?」
「と、特にないけど…」
「本当?!じゃあ、ちょっと付き合ってよ!」
「え?あ!」
なんとお目当ての人は俺だったらしい。てっきり、慎二を待っているのだと思っていた。
「け、健斗くん?なんでうちの学校に?」
「雪兄を励ましたかったのと、会いたくなったから」
健斗くんは俺の手を引いて街中を歩き回った。途中でクレープとかアイスとか食べたりして、すごく楽しかった。
すっかり、空は暗くなった。家に連絡してもうしばらく健斗くんといることにした。
「あのさ、雪兄」
「フフ、何?」
「俺ね…その」
健斗くんは少しだけ、顔を赤らめながらも俺のことを真っ直ぐに見つめてきた。
「雪兄のことが…好きなんだ」
「っ!…その、好きっていうのはどういう好き?」
「恋愛として好き。雪兄と付き合ってデートしてイチャイチャしたい」
(素直すぎてこっちが恥ずかしくなってくるよ)
「その…俺なんかでいいの?」
「雪兄と付き合うくらいだったら自殺してるよ!」
あまりにも焦ったように言うので思わず笑ってしまう。健斗くんは、そんな俺を見て拗ねている。
俺よりも身長が高いくせに、子供っぽいところがギャップ萌えってやつなのだろうか?
「健斗くん。俺はまだ返事ができないです」
「…そうだよね、失恋した途端に告られるとか驚くよね!でも!俺、雪兄のこと諦めないから!」
健斗くんは笑顔に戻って、俺を抱きしめた。
「送ってくよ」
「いいよ、俺だって男だし」
「何言ってんの?雪兄は男だけど可愛いし、襲われちゃうかも」
「そう?じゃあ、送ってもらおうかな!」
家について俺は健斗くんに飲み物とお菓子を渡した。
「はいこれ、今日はありがとうね」
「そ、そんな!俺の方が付き合わせちゃったんだし…」
「いいの!気をつけて帰ってね」
俺は健斗くんの背中が見えなくなるまで手を振ってから、家に戻った。
なんだか、久しぶりに沢山笑った。
「…慎二はどう思うかな?嫉妬してくれるかな?」
もう別れたくせに、まだ慎二のことを考えてしまう。だって、ずっと好きだったんだ。
「…健斗くんは赦してくれる?」
「雪兄!」
「雪兄!会いにきたよー」
「雪兄、図書館で一緒に勉強しようー」
「フフ、可愛いなぁ」
「泊まっていい?」
健斗くんはそれから、毎日俺のところに来ている。
でも、今日は健斗くんの家に来ていた。慎二は今日は帰ってこないらしいのでお邪魔することにした。
「雪兄…可愛い」
「うぅ、可愛いって言うのやめてって言ったじゃんか」
「なんで?可愛いんだもん」
「こんな平凡な男に可愛いなんてどうかしてるよ…」
そう言いながらも内心は嬉しくて、健斗くんに甘えるように抱きつく。
俺は何度か返事しようと思って健斗くんを呼び出したのだが、毎回心の準備ができていないとか言われてはぐらかされてる。
「ねぇ、健斗くん」
「ん?」
「…好き」
「へ?!」
「健斗くんが好きなの」
俺は健斗くんの肩に手を置いて、唇を近づけた。そのまま、俺と健斗くんの唇がくっつく。
それだけ。舌をいれるわけでも、押し倒されるわけもない。
でも、何故かそれだけで恥ずかしくなってくる。
「健斗くんは俺のこと…もう好きじゃない?」
「そんなわけない!大好きだよ」
「本当?フフ、俺も。健斗くんに返事しようと思ったらいつもはぐらかされちゃうんだもん」
「ご、ごめん…振られると思ってたから」
健斗くんは凄く嬉しそうに笑って、僕にまたキスをした。
今度は、少しだけエッチなキス。
「んぅ♡…んっ♡」
「雪兄…可愛い」
「雪って呼んでよ」
「ゆ、雪!」
「ん?なぁに?」
「愛してるよ」
俺は健斗くんに抱きついた。
「俺も」
「あー!可愛い!」
健斗にキスをされながら幸せな気持ちを噛み締めていた。
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