[本編完結]彼氏がハーレムで困ってます

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42、ハーレム(高橋さん視点)

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私には好きな人がいる。西山慎二君って言って優しくてクールでとっても素敵な人なの!

「慎二くん!」
「あ、高橋」
「偶然ね?何してたの?」
「雪と遊びに来てたんだよ、ね?」
「うん……」

慎二君には親友がいるみたいなんだけど、その子ったらいつも慎二君の隣にいるの。

(またあの子ね…)

「ねぇ、慎二くん!私も一緒に遊びたいわ」
「え?まぁ、いいけど」
「慎二?!き、今日は…2人で」

何が言おうとしているようだけど、まぁいいわ。
やっぱり、隣は私が相応しいわね!フフ、あの子の顔面白いわ!

「それじゃ、高橋送ってくからまたね」
「うん…またね」
「行きましょう」

同好会のみんなと協力してなんとか、慎二君の隣を奪うことに成功した私たち。



「慎二くーん!」
「あ、皆んな。じゃあ、またね」
「…分かった」

私たちが呼べば、慎二君はすぐに来てくれて優先してくれる。

「あの子といつも一緒よね?」
「うん、幼馴染だからね」
「ふーん…」

ただの幼馴染には見えないけどね…
同好会で一回、あの子を報告会に呼んだのだけれど、どうやらあの子も慎二くんが好きなようだ。

「…ゴミは排除しなきゃね」

それから、2人で遊ぶときに皆んなで突入にしたり、慎二君の家にお泊まりに行ったりね!

すると、あの子は七瀬というこれまた、クラスのイケメンと仲良くなっていた。

「亮」
「あ、雪おはよう」

慎二くんはあの2人が話しているのを見てるときすごく怖い顔をする。

「雪は俺のものなのに…」
「え…」

ぼそっと聞こえたセリフに耳を疑う。俺のもの?あの子のこと嫌いじゃなかったの?
おかしい、どうして…


着実に距離を縮めていたのに、いつの間にか慎二くんはあの子に執着するようになった。
だけど、あの子は慎二くんを避けるようになった。

そうなると、慎二くんは私たちに対しても適当な扱いになった。

「慎二くん、大丈夫?」
「…大丈夫」
「これ、よかったら食べてよ」
「いや、いい…」

だけど、慎二くんはその訳を話してくれた。


「雪とまた親友になれたら皆んなと遊べるからさ」

それなら、やるしかないよね。また、あの日常に戻るために…





私たちは七瀬君を惚れされるために色々努力した。
七瀬くんのタイプを聞いてそれに合わせてみたり、わざと胸をアピールしてみたり。

でも、七瀬くんは振り向いてはくれずにあの子のことばっかり見ている。
あの子も、七瀬くんが戻ってくると、2人の世界を作り上げた。


「…もう、いいよ。色仕掛けはやめよう」
「ごめんなさい…」

しょぼんとしている私たちには目をくれずに慎二くんは、一人で何かやっている。

「慎二くん?なにやってるの?」
「……もう出てって」
「え!…そんな!」
「いいから、皆んな出てけよ」

同好会は解散した。でも、まだ数人は慎二くんことが好きだった。もちろん私もね、





次の日、黒板に七瀬くんとあの子がキスをしている写真が貼られていた。
2人はクラスから猛バッシングを受けた。
七瀬くんはクラスの人気者だし、あの子が無理矢理っていう噂がだったの。

「俺から雪に告白したんだ!」

七瀬くんはあの子を必死に庇っていたわ。それはもう必死にね。
それで、ある日あの子と七瀬くんが皆んなの前でキスをしたの。

七瀬くんがあの子を好きだって分からせるためにね。

「お、おい!何やってんだよ?男同士でキスとか…」
「気持ち悪い…」

みんなは七瀬くんにも軽蔑の目を向けた。でも、七瀬くんはそれに応じることなく皆んなを睨んだ。

「うるせぇな、外野は黙ってろよ」

あまりにも迫力がすごくて、皆んなは黙ってしまった。
でも、すぐにいつものような七瀬くんに戻った。

みんなは怖がっていたけど、私は違ったと思う。

(カッコいいわ!世間からなんて言われようとも自分の愛を貫く!最高ね)

私はもう、慎二くんのことなんてどうでも良かった。



だけど、あの子はいなくなった。その翌日に慎二もいなくなった。

七瀬くんは生気を失ってしまった。クラスメイトも七瀬くんを慰めたのだけれど、やっぱりダメだった。

「七瀬くん、大丈夫?倒れそうよ?」

私も七瀬くんをよく気にかけていた。

「……」
「あっ…」

でも、やっぱり七瀬くんは元気になることはなかった。
2人がいなくなって、1週間…2週間とたった。

「…雪」

もう、どうすることもできなかった。クラスの雰囲気も最悪だった。

そんな時に、あの子が帰ってきたと言うのを聞いた。

「良かったな!七瀬」
「良かったね~」

七瀬くんはいつもより、喜んでいるように見えた。


次の日、七瀬くんはあの子と登校してきた。
私は慎二があの子に何かしたことが分かっていたから近寄らなかった。

「雪~、大好き」
「えへへ、俺もだよ」

先日とは打って変わっていつもの七瀬くんに戻っていた。

(チャンスね!行きましょう)

「「「「亮くーん(亮…)!」」」」

(え?!ちょっとなんで貴方たちが?!)

見事に同好会の皆んなと声がカブったのだった。
見つめ合う私たち。いつの間にか七瀬くんはいなくなっていた。

「「「「…」」」」

(今回はあきらめましょう。他にもいい人がいるはずよ!)



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