[本編完結]彼氏がハーレムで困ってます

はな

文字の大きさ
上 下
41 / 51

40、監禁生活2

しおりを挟む
どうにか出ようとして大体3時間くらいがたった。

(ヤバい、することない…)

「雪!ただいま~」
「……帰らしてよ」
「フフフ!皆んな心配してたよ。雪の大好きな七瀬も必死に探し回ってるみたい」
「…」

慎二は手を洗って、俺にキスをした。俺は手で口を拭う。

「酷いな~…まぁ、いいか」
「最低」
「そうやって反抗してるわりには、オムライス食べたんだね?美味しかった?」
「……うん」
「フフ、良かった」

(話題を逸らされた…どうしよう、とにかく今は何時かとか聞きたい)

「ねぇ、携帯返してよ」
「ダメ」
「…母さんたちが心配する」
「うん、なんか捜索願いだしたらしいよ」

慎二を睨んで、頬を叩いた。すると、嬉しそうに笑って俺にまたキスをした。

「帰してくれたら、慎二とまた友達になってあげる。でもこのまま監禁するなら自殺するから」
「フフ、そんなに俺が嫌なの?でもさ、雪はここから逃げられないし自殺もできないよ」
「は?」
「今日から、ずっと俺がここにいるから」

おかしなことを言ったと思ったら慎二は続けた。

「学校も行かないし、女の子のところにも行かない。雪とずっと一緒」
「い、いや…亮、助けて」
「フフ、七瀬が知ったら驚くだろうね」

そう言って慎二は俺を押し倒した。






抵抗したが、中出しをされて俺の体は疲れ果てていた。

「雪、おいで」
「……」

慎二の言葉を無視して、そそくさと床に座る。

「はぁ…雪」

低い声で呼ばれる。俺はビクッとなって、そっと慎二を振り返った。
すると、真顔でこっちへ来いと手招きしている。

「…っ」
「フフ、偉いね」

膝に座らされて、服に手を入れられそうになる。

「も、もう無理だから…」

切羽詰まった声でそう言うと、慎二は手を止めて耳を触り始めた。

「雪」
「…んっ」
「愛してるよ」

(嘘ついてるくせに…早く亮に会いたい)

慎二はまるで壊れ物を扱うように優しく俺をベッドに下ろした。

「今日はもう寝ようか?」
「……」
「おいで」

ベッドで手を広げて待つ慎二の方に向かって歩く。

「フフ」

少し離れたところに寝転がると、慎二に抱き寄せられた。

(…あったかい)

「おやすみ」

そう言って頬にキスをされた。なんだか、今日はよく眠れそうだ…

(大嫌いな人に抱きしめられて、よく眠れるとは本当にとんだ皮肉だな…)

そう思いながら、眠った。






朝、隣には亮ではなく慎二がいた。

(夢で亮が出てきたのでまさかと思ったけど…流石に違うか)

「んっ…雪」

俺は起きてぼーっとしていたら、慎二も起きた。
慎二は起き上がると、真っ先に俺の名前を呼んだ。

「…おはよ」
「起きて雪がいるって最高…」
「…」

起きて早々俺を抱きしめてキスをしてくる。
慎二を払いのけて、俺は台所で水を飲んだ。

「雪、朝ごはん食べる?」

慎二は冷蔵庫から色々取り出して台所につく。

「ゆっくりしてていいよ」
「いや、手伝う」
「本当?じゃあ、野菜切って」
「うん」

亮のお世話をしていたから、随分と家事は得意になった。

(亮…大丈夫かな?カップ麺ばっか食べてないといいんだけど)

俺は帰った時を想像して少し微笑む。

「できた?」
「うん」
「じゃあ、これ見てて」
「うん」

慎二はテキパキと作業をする。

(こういうところはカッコいいんだけどなぁ)

「…いただきます」
「いただきます!」

2人で手を合わせて向かい合って食べるのは久しぶりだ。
少し楽しいと感じてしまうのは監禁されていたからだろうか?

「雪、今日は何する?」
「帰る」
「それ以外ね、何か買ってきてあげようか?パズルとか」

やっぱり帰す気はないらしい。仕方ないので俺は買ってきてもらうことにした。



「あ、雨降ってきた」

慎二は傘を持たずに行ったけど大丈夫だろうか?

(いやいや、仮にも監禁されてるんだぞ。気を張り詰めなきゃ)


数十分してから、帰ってきた慎二はビチョビチョだった。

「大丈夫?」
「心配してくれてるの?フフ、ありがとう」「ち、違う…けど、風邪引いたりしたら大変だし」
「…雪は優しいね」

俺は持っていたタオルを渡してあげると、慎二は素直に受け取ってくれた。

「はいこれ、パズル」
「ありがとう…」

その後、お風呂に入った慎二にバレないようにそっとドアを確認する。

(鍵は…閉まってるね)

パズルは思っていたより難しかった。

「うーん…」
「できた?」
「…ううん」

すると、隣に座って一緒にやろうとする。

「…あ、これじゃない?」
「本当だ…」

みるみるうちにパズルが完成した。

「うわぁ、すごいね」
「フフ、ありがとう」

慎二は俺の頭を優しく撫でた。俺は気持ち悪くなってきた。

(亮…)

きっと来てくれるはずだよね…






しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

代わりでいいから

氷魚彰人
BL
親に裏切られ、一人で生きていこうと決めた青年『護』の隣に引っ越してきたのは強面のおっさん『岩間』だった。 不定期に岩間に晩御飯を誘われるようになり、何時からかそれが護の楽しみとなっていくが……。 ハピエンですがちょっと暗い内容ですので、苦手な方、コメディ系の明るいお話しをお求めの方はお気を付け下さいませ。 他サイトに投稿した「隣のお節介」をタイトルを変え、手直ししたものになります。

いとしの生徒会長さま

もりひろ
BL
大好きな親友と楽しい高校生活を送るため、急きょアメリカから帰国した俺だけど、編入した学園は、とんでもなく変わっていた……! しかも、生徒会長になれとか言われるし。冗談じゃねえっつの!

もしかして俺の人生って詰んでるかもしれない

バナナ男さん
BL
唯一の仇名が《 根暗の根本君 》である地味男である< 根本 源 >には、まるで王子様の様なキラキラ幼馴染< 空野 翔 >がいる。 ある日、そんな幼馴染と仲良くなりたいカースト上位女子に呼び出され、金魚のフンと言われてしまい、改めて自分の立ち位置というモノを冷静に考えたが……あれ?なんか俺達っておかしくない?? イケメンヤンデレ男子✕地味な平凡男子のちょっとした日常の一コマ話です。

【完結】I adore you

ひつじのめい
BL
幼馴染みの蒼はルックスはモテる要素しかないのに、性格まで良くて羨ましく思いながらも夏樹は蒼の事を1番の友達だと思っていた。 そんな時、夏樹に彼女が出来た事が引き金となり2人の関係に変化が訪れる。 ※小説家になろうさんでも公開しているものを修正しています。

たまにはゆっくり、歩きませんか?

隠岐 旅雨
BL
大手IT企業でシステムエンジニアとして働く榊(さかき)は、一時的に都内本社から埼玉県にある支社のプロジェクトへの応援増員として参加することになった。その最初の通勤の電車の中で、つり革につかまって半分眠った状態のままの男子高校生が倒れ込んでくるのを何とか支え抱きとめる。 よく見ると高校生は自分の出身高校の後輩であることがわかり、また翌日の同時刻にもたまたま同じ電車で遭遇したことから、日々の通勤通学をともにすることになる。 世間話をともにするくらいの仲ではあったが、徐々に互いの距離は縮まっていき、週末には映画を観に行く約束をする。が……

夢では溺愛騎士、現実ではただのクラスメイト

春音優月
BL
真面目でおとなしい性格の藤村歩夢は、武士と呼ばれているクラスメイトの大谷虎太郎に密かに片想いしている。 クラスではほとんど会話も交わさないのに、なぜか毎晩歩夢の夢に出てくる虎太郎。しかも夢の中での虎太郎は、歩夢を守る騎士で恋人だった。 夢では溺愛騎士、現実ではただのクラスメイト。夢と現実が交錯する片想いの行方は――。 2024.02.23〜02.27 イラスト:かもねさま

泣き虫な俺と泣かせたいお前

ことわ子
BL
大学生の八次直生(やつぎすなお)と伊場凛乃介(いばりんのすけ)は幼馴染で腐れ縁。 アパートも隣同士で同じ大学に通っている。 直生にはある秘密があり、嫌々ながらも凛乃介を頼る日々を送っていた。 そんなある日、直生は凛乃介のある現場に遭遇する。

俺の好きな男は、幸せを運ぶ天使でした

たっこ
BL
【加筆修正済】  7話完結の短編です。  中学からの親友で、半年だけ恋人だった琢磨。  二度と合わないつもりで別れたのに、突然六年ぶりに会いに来た。 「優、迎えに来たぞ」  でも俺は、お前の手を取ることは出来ないんだ。絶対に。  

処理中です...