[本編完結]彼氏がハーレムで困ってます

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33、浮気(慎二視点)

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雪が告白された。誰かは言ってないけど多分、七瀬だろう。

「断ったの?」
「ううん、断りきれてなくて…」

(まぁ、そうだろうね…)

雪は不安そうな顔をして俺を見つめた。

「断んないの?」
「俺はその、断りたいけど…慎二はどうしてほしい?」

(そうきたか…まぁ、どうせ断るんだろうな)

どうせなら雪の悲しい顔でも見ようかな、なんて考えた。
チラッと雪を見ると、上目遣いで期待したような顔をした。

「別に、どっちでもいいよ」

そう言った途端に、雪は目を見開いて絶望していた。その顔が可愛くて仕方ない。

好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き

「そっか、分かった」

目を伏せて、少しだけ寂しげな表情をした。

「ごめん高橋から呼ばれてるから、もう行くね」

そう言うと雪はもっと、悲しそうな顔をして俺見た。
行かないでとでも思っているのだろうか?

俺が高橋達を優先するのは、雪が悲しむ顔が見たいからというのと、女子達のことが気になるから。

自分でもクズだと思うが、今まで女の子と触れ合わなかったため、高橋達からおねだりされると、どうにも断れない。

でも、雪は俺に愛想を尽かすことはない。別に浮気してるわけでもない。
だから高橋達を優先しているのだ。

(今も、俺のこと考えているのかな?…)

そう思うとニヤけてしまう。

「…慎二くん?」
「え?」
「早く行きましょう」
「あ、うん」

その時はまだ、雪の気持ちに気づけていなかった。




その後、雪に呼ばれた。告白されたと言われて大体1週間くらい。

「…この後、予定があるんだけど」

俺は面倒くさそうに言った。すると、雪は思い切ったように俺の目を見た。

「別れよう」
「え?」
「告白受けることにしたんだ」

そう言って走り去ってしまった。俺は数分、そこに突っ立っていた。

(嘘だ…嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ!!)

「おかしい!だって、俺のことが好きだったのに!なんで、七瀬なんか…嫌だ」

俺は雪を追いかけた。公園の近くでキスをしていた。

「すき♡…」 
「俺も大好き」

目の前が真っ黒になる。その後、2人は手を繋いで歩いて行った。
嘘だよね?だって…雪は俺が好きなんだよな?大好きって言ってたのに

俺は家に帰ってすぐに、何も考えられなくなった。

「兄貴?ご飯できたってよ」
「…いらない」
「は?なんで……あ、雪兄と喧嘩したんだね?昔もそうだったよな、雪兄と喧嘩すると飯はいらないって」
「…」
「雪兄って兄貴みたいな不器用な奴によく優しくしてくれたよな。俺、雪兄と付き合いたいなぁ」

健斗は俺と雪が付き合ってたことを知らない。そして、別れを告げられて別のやつと付き合ったことも。

「健斗には無理だな」
「兄貴にも無理そうだけどね」
「…うるさい」

健斗は部屋から出て行った。

「雪…寂しかったのかな」

そうだ…雪は俺に構ってもらえなくて寂しくて七瀬と付き合ったのかもしれない。

「そうか…じゃあ、今までの分ちゃんと甘やかしてあげなきゃね」





とりあえず、雪を呼び出した。

「…何」
「あのさ、別れるって認めてないから」
「え?」

俺は雪の首筋を撫でた。すると、面白いほどにビクビクする。

「やめて!」
「え…」

雪は俺を睨んで、手を振り払う。今までなら、俺が手を離すと寂しそうにするくせに。

「な、んで?…」
「ん?!」

俺は雪にキスをした。すると、必死に抵抗するので腕を抑えて無理矢理、キスをした。

「んぅ♡んちゅ♡…いや!俺は亮と付き合ってるの」

知ってるよ、俺と別れてすぐにキスしてたもんね。

「…別れるって認めないから」
「は?…」
「もう行っていいよ」

雪は急いで教室に戻っていくのを見て俺もついて行く。
雪はどうやら、保健室に行ってしまったようだ。

「…」
「慎二」
「あ、立花」
「今日…一緒にここ行きたい」

そう言ってショッピングモールの写真を見せてくる。

「あー…ごめんね、今日は無理なんだ」
「そっか…分かった」

確かに、女の子も大事だ。でも…雪が取られてしまったのなら話は別だ。
雪を取り戻してから、また女の子達と遊べばいい。

「ねぇ、ちょっといい?」
「え?…行けるの?」
「ううん、皆んなを集めてきてくれない?」

俺は女子達に七瀬を惚れさせるように言った。

「雪とまた親友になれたら、皆んなと遊べるからさ」
「それなら」
「やるしかないわね」
「…うん」

それから、俺は雪をストーカーした。



「フフ、楽しかった」
「俺といた時よりも?」
「え?あ…」

俺は雪を家に連れて行ったが、嬉しそうじゃない。むしろ、怒っているようだ。
その後、仕方なく送ってあげた。

「あーあ…浮気かぁ、困ったな」











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