[本編完結]彼氏がハーレムで困ってます

はな

文字の大きさ
上 下
25 / 51

24、同好会

しおりを挟む

ピーンポーン

「はーい…あ」

ドアを開けたらクラスのマドンナ高橋さんと中村さん、山田先輩がいた。

「ちょっと」
「は、はい」
「来なさいよ」

こうして俺は慎二同好会というのの集会に無理矢理、連れてかれてしまった。

「さぁ、今日はお客様が来ておりますわよ」

俺は席に座らせられた。

「…報告会の前に、このお方の紹介をさせてもらいますね」

皆んなの前に立たされた。

(慎二同行会なんてものがあったとは…)

「このお方は佐藤雪!慎二の親友。幼稚園からの幼馴染です」
「ずるーい!私も幼馴染になりたかった~!」
「親友にしては構ってもらってないんじゃない?」

くすくすと笑う声がする。

(ナニコレコワスギル…ハヤクカエリタイ)

「私たちがアピールをしようと思うと大体この方がいらっしゃる!私はおかしいと思い調べました。すると、凄いことが分かりました」
「何?早く言ってよ~!」

(まさか、恋人ってことがバレた?リンチされるかも…)

「この人は…慎二のことが好きなんです!」
「な、何だと?!男も虜にする慎二…流石」
「私たちと同じってわけね」
「そうなんです!ということで、貴方をこの会に誘おうと思っています!」

なんか、勝手に事が進んでる?

「さぁ、入りましょう!ここに入ったら貴方の邪魔をすることもないし、お互いに協力し合って慎二さんにアピールができますよ!」

(確かに、邪魔されてばっかだったもんね…)

でも俺は断った。俺たちは付き合ってるわけだし、アピールとか協力とかも必要ない。

「別にいいです」
「……そうですか、残念です」
「あーあ、断っちゃったね」
「……」

すると、俺の服をはさみで切り裂かれる。

「え、ちょ!やめて!」
「……」

俺は必死で抵抗するものの、数に敵わない。

「嫌!」
「…慎二さんに見せましょうか?今の顔」

カシャという音がした。すると、高橋さんが俺の携帯を持っていた。

「やめてよ!」
「…フフ、残念」

送信ボタンを目の前で押された。俺の顔は酷く怯えていて、目が潤んでいる。
まさに、犯されているような写真。

「うーん、そうね」

俺はもう抵抗をやめた。すると、男の人がやってきた。

「っ!助けて!お願い…助けて」
「ふーん…意外と可愛いじゃん」

俺の顔を掴んで、ジロッと見られる。

「…助けて」
「ヘンリー」
「はいはい、分かってるって」

ヘンリーと呼ばれた男に手を掴まれる。

「じゃあ、送ってあげるね。お家どこ?」
「え…あの」
「ちょっと貴方!何やってるのよ!」
「ん?家まで送ってあげるの」

ニヤリと笑うその人に俺は何故だか既視感を覚えた。

「あの…もしかして、健斗くん?」
「正解!雪兄大丈夫だった?」
「な、なんで?…」
「たまたま、雪兄が連れてかれてくの見たからさ。怪我してない?あ!ここ血が出てる」

ハサミのせいか胸から血が出ている。健斗くんはハンカチで傷を塞いでくれる。

「ありがとう。健斗くん…」
「ううん、雪兄が無事で良かった」
「にしても、その格好すごいね」

健斗くんは髪をオールバックにしてサングラスをかけている。

「うん。急いだから雑な変装だけどね」
「フフ」

そのまま送ってもらった。健斗くんは最後まで優しくしてくれた。

「はい、これ」
「あ!俺の携帯…どうやって?」
「油断してる間にね」
「健斗くん!本当にありがとう!」

すると、健斗くんが俺の頬にキスをした。

「へ?!」
「今度、ご褒美期待してるよ」

それじゃと言って健斗くんは帰ってしまった。俺はキスの意味を考えていた。
昔も、よくキスされた。

「あ!メッセージ取り消さなきゃ!」

写真を取り消そうとすると電話がかかってきた。

『雪?!大丈夫?今、学校にいるよね?何かされてない?』
「だ、大丈夫…健斗くんが助けてくれたから」
『健斗?…チッ、とにかく今どこ?』
「家にいる」
『行くから』

そう言われて電話が切れてしまった。慎二は怒ってるような心配してるような。
とりあえず、心配してくれた事が伝わって、嬉しかった。

ピーンポーン

数分もたたないうちにインターホンがなった。

「慎二!速かったね」
「走ったからね」

慎二は汗をかきながら、息を荒くした。

「入って」
「お邪魔します」

俺の部屋に行くと、慎二は俺の体を隅々まで見た。

「ここ、怪我してるじゃん」
「ハサミで服切られた時かな?」
「…誰にやられたの?」

くると思っていた。多分、本当のことを言っても信じてもらえない。
それどころか、俺が嫌われてしまうだろう。

「その…男の人」
「どんな見た目だった?何歳くらい?声は?」
「見た目は…お、オールバックにサングラスをかけてて、えっと」

思わず、健斗くんの変装していた時の見た目を言ってしまった。

「あんまり、覚えてないしもう大丈夫。心配してくれてありがとう」
「…雪」
「うわっ」

ぎゅっと抱きつかれて、頭を肩にぐりぐりと擦りつける。

「無事で良かった…」

慎二は俺にキスをした。いつもより、甘いキスに俺は少しだけ、あの同好会に感謝したのであった。




しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

告白ゲーム

茉莉花 香乃
BL
自転車にまたがり校門を抜け帰路に着く。最初の交差点で止まった時、教室の自分の机にぶら下がる空の弁当箱のイメージが頭に浮かぶ。「やばい。明日、弁当作ってもらえない」自転車を反転して、もう一度教室をめざす。教室の中には五人の男子がいた。入り辛い。扉の前で中を窺っていると、何やら悪巧みをしているのを聞いてしまった 他サイトにも公開しています

代わりでいいから

氷魚彰人
BL
親に裏切られ、一人で生きていこうと決めた青年『護』の隣に引っ越してきたのは強面のおっさん『岩間』だった。 不定期に岩間に晩御飯を誘われるようになり、何時からかそれが護の楽しみとなっていくが……。 ハピエンですがちょっと暗い内容ですので、苦手な方、コメディ系の明るいお話しをお求めの方はお気を付け下さいませ。 他サイトに投稿した「隣のお節介」をタイトルを変え、手直ししたものになります。

いとしの生徒会長さま

もりひろ
BL
大好きな親友と楽しい高校生活を送るため、急きょアメリカから帰国した俺だけど、編入した学園は、とんでもなく変わっていた……! しかも、生徒会長になれとか言われるし。冗談じゃねえっつの!

もしかして俺の人生って詰んでるかもしれない

バナナ男さん
BL
唯一の仇名が《 根暗の根本君 》である地味男である< 根本 源 >には、まるで王子様の様なキラキラ幼馴染< 空野 翔 >がいる。 ある日、そんな幼馴染と仲良くなりたいカースト上位女子に呼び出され、金魚のフンと言われてしまい、改めて自分の立ち位置というモノを冷静に考えたが……あれ?なんか俺達っておかしくない?? イケメンヤンデレ男子✕地味な平凡男子のちょっとした日常の一コマ話です。

【完結】I adore you

ひつじのめい
BL
幼馴染みの蒼はルックスはモテる要素しかないのに、性格まで良くて羨ましく思いながらも夏樹は蒼の事を1番の友達だと思っていた。 そんな時、夏樹に彼女が出来た事が引き金となり2人の関係に変化が訪れる。 ※小説家になろうさんでも公開しているものを修正しています。

たまにはゆっくり、歩きませんか?

隠岐 旅雨
BL
大手IT企業でシステムエンジニアとして働く榊(さかき)は、一時的に都内本社から埼玉県にある支社のプロジェクトへの応援増員として参加することになった。その最初の通勤の電車の中で、つり革につかまって半分眠った状態のままの男子高校生が倒れ込んでくるのを何とか支え抱きとめる。 よく見ると高校生は自分の出身高校の後輩であることがわかり、また翌日の同時刻にもたまたま同じ電車で遭遇したことから、日々の通勤通学をともにすることになる。 世間話をともにするくらいの仲ではあったが、徐々に互いの距離は縮まっていき、週末には映画を観に行く約束をする。が……

夢では溺愛騎士、現実ではただのクラスメイト

春音優月
BL
真面目でおとなしい性格の藤村歩夢は、武士と呼ばれているクラスメイトの大谷虎太郎に密かに片想いしている。 クラスではほとんど会話も交わさないのに、なぜか毎晩歩夢の夢に出てくる虎太郎。しかも夢の中での虎太郎は、歩夢を守る騎士で恋人だった。 夢では溺愛騎士、現実ではただのクラスメイト。夢と現実が交錯する片想いの行方は――。 2024.02.23〜02.27 イラスト:かもねさま

泣き虫な俺と泣かせたいお前

ことわ子
BL
大学生の八次直生(やつぎすなお)と伊場凛乃介(いばりんのすけ)は幼馴染で腐れ縁。 アパートも隣同士で同じ大学に通っている。 直生にはある秘密があり、嫌々ながらも凛乃介を頼る日々を送っていた。 そんなある日、直生は凛乃介のある現場に遭遇する。

処理中です...