[本編完結]彼氏がハーレムで困ってます

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13、水族館

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朝、横を見ると慎二がいた。眠っているところを見るのは久しぶりだ。

(ほっぺツンツンしてやろ)

起きるかなとイタズラしていると、慎二は途中で耐えきれなくなったように笑った。

「お、起きてたらなら言ってよ」
「フフ、雪が可愛くて…ハハ」

俺は慎二をポカポカと殴る。

「んっ♡」
「許して?ね?」
「うん…許してあげる」

慎二は俺の頭を撫でる。そして、ほっぺにキスをした。
顔が熱くなるのがわかる。

「慎二~!おはよ!」
「ん、おはよ」
「おはよ……」

(そうだった、2人きりじゃなかった)

すぐに顔も元通り。どうせ、今日は2人でいられないだろし、早めに帰るか…

「朝ごはんは何?」
「うーん、目玉焼きとスクランブルエッグどっちがいい?」
「スクランブルエッグ!」
「卵焼き!」

俺は黙っていると、慎二が近づいて俺に聞いてきて皆んなの視線が刺さる。

「雪は?」
「俺は…久しぶりに慎二のスクランブルエッグ食べたい…」
「分かった、じゃあスクランブルエッグに決まり!」
「なんでよ~!私は卵焼きがよかったのに」 

皆んなに文句を言われる。俺は胃が痛くなった。
そもそも、俺は女の子と話すのも苦手だし昔一回、酷いことされたからあまり関わりたくないのだ。

「…ねぇ」
「え、あ…な、何?」
「貴方さ、慎二とどういう関係?」
「どういう関係?」
「友達なの?それとも、慎二のこと好きなの?」

イライラしたように答えられる。周りの女の子も俺は睨んでいる。

「友達…だよ」
「あっそ、で?好きなの?」
「す、好きじゃない。ただの幼馴染だよ」

頑張って笑いながら答えるが、女の子達は睨みながら話を続ける。

「本当に?嘘ついてないわよね?」
「本当だよ」

めちゃくちゃ嘘だけどね。友達でもないし、好きだし全部嘘だ。

「皆んな、できたよ」

そういうと、さっきまで怖い顔だったのが一瞬で可愛くなった。

俺たちは席に着いて食べ始める。慎二の隣は独占されて、慎二の目の前も取られた。
俺は1番遠い席になってしまった。

「今日は何しますか?」
「私、動物園に行きたい!」
「水族館とかでもいいかも」
「…行きたい」
「慎二も行くよね?」
「…はぁ、分かったよ」

俺は蚊帳の外。1人寂しくスクランブルエッグを食べる。
懐かしい味part 2。

俺がぼんやりしていると、誰かの携帯のバイブ音がした。

「え?だれ?」
「私じゃないよ」
「私でもない」
「…私も、違う」
「俺のでもないよ」

俺は自分の携帯がなってることに気づいた。

「ご、ごめん」

廊下に出て電話に出る。相手は亮だった。

「もしもし?」
『あ、もしもし?あのさ、今日空いてる?」
「え?まぁ、うん」

亮は少し喜んで、俺に言った。

『今日さ、デートしに行こ』
「デート?」
『うん、水族館のチケット取れたんだ!ね?』
「いいけど、俺と行っていいの?他にも友達とか」
『雪が良いから誘ってるんでしょ?じゃあ、10時に駅前で集合ね』

電話を切って、俺は一息つく。

(水族館か…フフ、楽しみだな)

「誰からだったの?」
「うわっ!」

急に声をかけられてビックリした。慎二は真顔で俺に尋ねた。

「えっと、亮から…水族館に行かない?って」
「…行くの?」
「うん、今日は暇だったし。後片付けしたら帰るね」

俺は自分の食器を片付けて、洗い物を手伝った。
帰る準備をしていると、突然後ろから誰かにハグをされる。

「慎二?」
「……行くの?」
「うん、もう行こうかな?お泊まり楽しかったよ、ありがとうね」
「うん…」

俺は玄関から出ようとして止められた。

「俺も、水族館行きたい」
「え?」
「一緒に行っていい?」
「無理だよ、2人で行く約束だしね。また今度」
「…分かった」

俺は最後に、慎二にキスをした。すると、もっと激しいのが帰ってきた。

「んぅ♡もう、行くから!またね」
「うん」

今度こそ帰って、水族館の準備をする。



「亮!お待たせ」
「ううん、待ってないよ。行こっか」
「うん!」

電車に乗って水族館まで行く。ここは結構有名な所で、デートスポットとして人気があるらしい。

「あ、チケットは?」
「これ、福引で当たったんだ。ペアチケット」
「へぇ、凄いね。俺福引で当たったこと一回もないや」
「フフ、雪は運が弱そうだよね」
「それは!…まあ、そうかも?」

俺たちは水族館をめぐって、お昼になった。

「お腹すいたね」
「どこで食べようか?」
「水族館の中って何があるの?」
「一応、食堂があるみたい」

食堂に行くと、人がたくさんいた。なんとか席を確保して、注文をしに行く。
亮が注文しに行って俺は1人で席に座っていた。
すると、急に視界が塞がった。

「うわっ!な、何?亮?」
「…」
「やめてよ~、ビックリしたじゃんー

だが、手は離れない。流石に亮はこんなことしないか。なんて、思っているとやっと手が離れた。

「あ…慎二」
「来ちゃった、みんなと一緒に」







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