[本編完結]彼氏がハーレムで困ってます

はな

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6、放課後

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「ここです!」
「おぉ!オシャレだね」

俺と亮は放課後、早速パンケーキのお店に来ていた。
外観が凄く素敵で多分俺1人だったら入れなかったと思う。

「いらっしゃいませ、何名様でしょうか?」
「2名です」
「こちらへどうぞ」

七瀬は慣れたように歩いて席に座った。
俺と言ったらなんだか異世界に来たかのような雰囲気に包まれていた。

「雪、早くきて」
「あ、うん!」

メニューを開くとどれも美味しそうなパンケーキがたくさんある。
生クリームにチョコレート、カスタードやらとにかく沢山。

「見てるだけで美味しそう…」
「フフ、どれにするの?俺のオススメはこれかな」
「じゃあそれで!」
「OK…あ、すみません!」

七瀬はまたしても、慣れた手つきでお店の人を呼ぶ。
なんだか、それだけでものすごく様になっている。

「あ、亮くーん!」
「あれ?瑞稀ちゃん!なんでここに?」
「バイト!ここ亮くんが教えてくれたし来てくれると思ってた!」

亮の友達?みたいな人が来てオーダーを取ってくれる。

「それじゃ、また今度遊ぼ~」
「うん、バイト頑張れ」

亮は友達がいなくなって少し疲れた顔をした。

「なんか、ごめんね」
「ううん!可愛い子だね?亮の彼女?」
「違う!その、友達だよ!ただの」

食い気味に答えられて一瞬ビクッとする。

「そっか!そういば亮って彼女とかいるの?」
「いない!」

またしても食い気味だ。

「そうなんだ?モテるのにね」
「え?俺が?」
「うん、毎日呼び出されてるじゃん」
「あー…まぁね。でも好きな人がいるから」
「え?!誰?うちのクラス?」

なんということだ!全く気がつかなかった!
亮は恥ずかしそうに小声で答える。

「うちのクラス…」
「え!誰?」
「い、言わないよ!」
「いいじゃん!教えて?」

ふざけて上目遣いで可愛くおねだりする。すると、亮はいきなり顔を赤くした。

(え、怒ったのかな?そんなに嫌だった?)

「り、亮?怒った?」
「え?!怒ってないよ!全然!雪がその…」
「俺が?…」

亮はなんだか焦っている。ずっとなんか、ブツブツ言っている。

「雪が…その、可愛くて」
「か、可愛いは言うの禁止って言った!」
「ごめん!上目遣いが可愛くて…」
「俺の上目遣いなんて需要なさすぎでしょ」
「あるよ!俺にある!」

なんだか、さっきまでのカッコイイ亮が台無しだ。

「怒ってないなら良かった!で、誰?」
「え、あの…」
「特徴とかさ、あとは名前の頭文字とか」
「えっと…頭文字はS」
「へー!俺と一緒じゃん…うーん」

Sっていっぱい、いるんだよね…

「あ、斉藤さん?」
「ノーコメントで」
「えー?じゃあ鈴木さん!」
「ノーコメント」
「うーん…杉本さん?」
「ノーコメント」

いつもは表情豊かなくせに今日は真顔だ。

(知りたい!亮の好きな人…可愛いだろうな)

「じゃあなんで好きになったの?」
「え、うーん…顔もあるし、あと性格かな?優しいところとか、食べる時の顔が可愛い!
あと、行儀が良いのと…猫を触ってる所を見て惚れた。それで、ようやくその子と仲良くなれて最高」
「うわ、長文だね~!好きすぎでしょ!」

聞いててこっちが恥ずかしくなる。恋バナをしていると、パンケーキが運ばれてきた。

「うわぁ!美味しそう…いただきまーす!」
「どうぞ」

生クリームがたっぷり乗ったパンケーキを一口食べるとフワフワで甘くてもう幸せだった。

「美味しい~!うわ!亮のも美味しそう!一口ちょうだい」
「いいよ、はい」

あーんしてもらうと、亮のも凄く美味しくてほっぺが落ちそうだ。
俺もお礼に分けてあげると亮は「今までで、1番美味しい」と言った。

「味って変わるの?」
「変わるよ!雪と食べると全部美味しくなる!」
「なにそれ、フフ」

亮はまた顔を赤くした。やっぱりなんだか、今日は亮がおかしい。
その間に俺はどんどん食べる。亮はさっきのまま固まってしまった。

「ふぅ、ご馳走様でした!…亮?」
「へ?」
「大丈夫?」
「うん!雪が可愛くて固まってた」

亮の俺が可愛いと言うのはなにかのジョークだろうか?

「その可愛いっていうのやめて!」
「うんうん、可愛い」 
「だーかーらー!」

亮は俺の方を見て「可愛いよ」と言う。正面から言われたのと、顔面の破壊力から俺はあやうく死ぬとこだった。

「可愛くないもん」
「フフ、その顔も可愛い」

そう言ってほっぺをつんつんされる。俺は仕返しに亮のパンケーキを半分くらい食べてやった。

「ふー!美味しかったね」
「でしょ?また一緒に来ようね?」
「うん!」

次の約束もできて気分は最高!お店を出たらそこには慎二がいた。

(完全に油断した!あれって立花さんだよね?)

「うぅ…」
「雪?帰らないの?」
「帰る、けど…」
「?」
「慎二が、いる」
「え?」

ここからが本番だったようだ……





















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