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「肇、おかえり」
「ただいま~!あー、疲れた」
ダランと俺の肩にもたれかける肇の頭を撫でてあげる。
「今日もなんか面倒くさい客が来てさぁ…」
「そうなの?お疲れ様」
「はるちゃーん!!俺には、はるちゃんだけだよ!」
「フフ、本当?嬉しい」
肇の顔が近づく。キスされるのだと察し目を閉じた瞬間、甘い香りがした。
この匂いは苦手だ。それでも、キスはしたいから我慢してキスを受け入れる。
「ん、可愛い」
「えへへ、本当?」
「もちろん!」
「やった」
「あー!可愛い!」
キツイ香りに抱きしめられる。
「手洗ってきて」
「はーい」
肇が洗面所に行くのを見つめてから深呼吸する。
「今日は少し帰ってくるの早かったね」
「うん!はるちゃんに会いたかったから」
その言葉にキュンとしてしまう。嬉しくて、肇に抱きついた。
すると、肇が抱き返してくれる。
「今度また、肇のお店に行きたい」
「えー…うーん、ダメとは言わないけど」
「嫌?」
「はるちゃん可愛いから狙われちゃうよ」
「狙われないよ!」
むっとしながらも肇が自分のことを心配してくれてるのが嬉しくて悪い気はしない。
肇に膝枕してあげながら甘やかしていると電話がかかってきた。
「誰だろ」
携帯をみると敦の名前があった。
「もしもし?」
『あ、晴人?』
「何かあったの?」
『あのさ、本当にハジメさんと別れないの?』
「え?何急に…別れないよ」
急に電話がかかってきたと思ったらなんだかくだらないことみたいだ。俺が切ろうとすると敦が変なことを言い出した。
『ハジメさんは……客とだけじゃなくて色んな人と遊んでるんだぞ』
「え?」
『確かにお客さんもそういうことはしてるけどそれでも、お店をサボってナンパで捕まえた女の子をラブホに連れ込んだり色々としてるんだぞ?!』
「な、なにそれ…」
敦の声が急に遠ざかる。俺は思わず電話を切ってしまった。
「はるちゃん?」
肇が俺の名前を呼んだ。ハッとしてから肇の顔を見つめた。
「誰からだったの?」
「えっと、友達!…なんか明日、一緒にどこか行かないって」
咄嗟に嘘をついてしまった。肇は疑う様子もなくリビングへと戻っていってしまった。
俺は少しだけ考えようとしたがやっぱりやめた。
「これで…いいんだ」
考えないようにすればするほど、頭の中には電話の内容でいっぱいになった。
いや、分かっていたんだ。肇は俺なんかよりも可愛くて柔らかい女の子の方が好きだと言うこと。
本当はホストなんてやめてほしい。何回か遠回しにそう伝えたことがあった。
それでも、曖昧にされてはぐらかされるのが毎回のことだ。
台所で料理をしていると、肇が帰ってきた。
「ただいまー!」
と、元気な声が聞こえる。
「はるちゃーん!今日のご飯は?」
「おかえり。今日はね、鮭の塩焼きです。手伝ってくれる?」
「もっちろん!」
こうしている間も肇に対してなんだか複雑な気持ちでいっぱいだった。
いつものキツイ香りに、首筋には赤い斑点がいくつもある。
これも、本当に必要なことなのだろうか?
「もうすぐクリスマスだね」
「あ、そういえばそうだね。はるちゃん、どっか行きたい?」
「え?うん…でも、クリスマスはお店でしょ?」
「まぁね。でも、はるちゃんとの時間も大切だよ?」
あぁ、やっぱり好き。なんで、こんなに好きなんだろう。
隣で野菜を切ってくれていた肇は手を止めて、俺にキスをした。
「どうしたい?」
「…じ、じゃあイルミネーション。見に行きたい」
そう言うと肇はニコッと笑って「了解」と言った。
こういうところが好きなんだよなー…
敦には悪いけど、俺はもう少しだけ肇といようと思ったのだった。
「ただいま~!あー、疲れた」
ダランと俺の肩にもたれかける肇の頭を撫でてあげる。
「今日もなんか面倒くさい客が来てさぁ…」
「そうなの?お疲れ様」
「はるちゃーん!!俺には、はるちゃんだけだよ!」
「フフ、本当?嬉しい」
肇の顔が近づく。キスされるのだと察し目を閉じた瞬間、甘い香りがした。
この匂いは苦手だ。それでも、キスはしたいから我慢してキスを受け入れる。
「ん、可愛い」
「えへへ、本当?」
「もちろん!」
「やった」
「あー!可愛い!」
キツイ香りに抱きしめられる。
「手洗ってきて」
「はーい」
肇が洗面所に行くのを見つめてから深呼吸する。
「今日は少し帰ってくるの早かったね」
「うん!はるちゃんに会いたかったから」
その言葉にキュンとしてしまう。嬉しくて、肇に抱きついた。
すると、肇が抱き返してくれる。
「今度また、肇のお店に行きたい」
「えー…うーん、ダメとは言わないけど」
「嫌?」
「はるちゃん可愛いから狙われちゃうよ」
「狙われないよ!」
むっとしながらも肇が自分のことを心配してくれてるのが嬉しくて悪い気はしない。
肇に膝枕してあげながら甘やかしていると電話がかかってきた。
「誰だろ」
携帯をみると敦の名前があった。
「もしもし?」
『あ、晴人?』
「何かあったの?」
『あのさ、本当にハジメさんと別れないの?』
「え?何急に…別れないよ」
急に電話がかかってきたと思ったらなんだかくだらないことみたいだ。俺が切ろうとすると敦が変なことを言い出した。
『ハジメさんは……客とだけじゃなくて色んな人と遊んでるんだぞ』
「え?」
『確かにお客さんもそういうことはしてるけどそれでも、お店をサボってナンパで捕まえた女の子をラブホに連れ込んだり色々としてるんだぞ?!』
「な、なにそれ…」
敦の声が急に遠ざかる。俺は思わず電話を切ってしまった。
「はるちゃん?」
肇が俺の名前を呼んだ。ハッとしてから肇の顔を見つめた。
「誰からだったの?」
「えっと、友達!…なんか明日、一緒にどこか行かないって」
咄嗟に嘘をついてしまった。肇は疑う様子もなくリビングへと戻っていってしまった。
俺は少しだけ考えようとしたがやっぱりやめた。
「これで…いいんだ」
考えないようにすればするほど、頭の中には電話の内容でいっぱいになった。
いや、分かっていたんだ。肇は俺なんかよりも可愛くて柔らかい女の子の方が好きだと言うこと。
本当はホストなんてやめてほしい。何回か遠回しにそう伝えたことがあった。
それでも、曖昧にされてはぐらかされるのが毎回のことだ。
台所で料理をしていると、肇が帰ってきた。
「ただいまー!」
と、元気な声が聞こえる。
「はるちゃーん!今日のご飯は?」
「おかえり。今日はね、鮭の塩焼きです。手伝ってくれる?」
「もっちろん!」
こうしている間も肇に対してなんだか複雑な気持ちでいっぱいだった。
いつものキツイ香りに、首筋には赤い斑点がいくつもある。
これも、本当に必要なことなのだろうか?
「もうすぐクリスマスだね」
「あ、そういえばそうだね。はるちゃん、どっか行きたい?」
「え?うん…でも、クリスマスはお店でしょ?」
「まぁね。でも、はるちゃんとの時間も大切だよ?」
あぁ、やっぱり好き。なんで、こんなに好きなんだろう。
隣で野菜を切ってくれていた肇は手を止めて、俺にキスをした。
「どうしたい?」
「…じ、じゃあイルミネーション。見に行きたい」
そう言うと肇はニコッと笑って「了解」と言った。
こういうところが好きなんだよなー…
敦には悪いけど、俺はもう少しだけ肇といようと思ったのだった。
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