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第一章 第三幕 サバイバル
四十話 サバイバル終了
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「それで十六歳になった私は、この魔法騎士学院に通う事になった」
そんな事があったのか。
でもニカの話を聞く限り、そんな村もあるんだな。
日本じゃ考えらんないよな。
子供を生け贄にするなんて。
その場で逃げ出したニカの勇気も凄いよな。
『――サバイバル終了。生徒のみなさんは元の広場に集まって下さい』
そんなアナウンスが聞こえてきた。
「やっと終わりましたね」
「ふぅ――」
「早く行こう」
俺たちは後片付けをしてアザール学院長が言っていた、元の広場に戻る事にした。
そして――
そこに戻ると驚くべき光景が俺たちの目に入ってきた。
「――え?」
「これ……だけ?」
「ずいぶん減りましたね」
そこに並んでいたのは、ボロボロの服を着た生徒数名だった。
一組から四組までわずか数名。
他のみんなはどうしたのだろうか。
あの屈強な戦士と噂されていたクラスですら、数名しか残っていなかった。
「今年はこれだけか」
そうボソッと呟くアザール学院長の言葉が耳に入ってきた。
「どういう事ですか?」
とっさに俺はそう問う。
返ってきたアザール学院長の言葉はあまりにも予想していなかった事実だった。
「サバイバルとはそういうもんだ。他のクラスはおおかたほとんどが戦死したかリタイアしたんだろうよ」
「でもなぜ?」
「お前らはそうでもなかっただろうが、他のクラスは大変だったんだろうよ。お前らも襲撃にあっただろ? そんくらい食料に困っていたんだろ。このサバイバルをどう生き抜くかで決まるんだ」
そう言うとアザール学院長は一息つき背を向けた。
「決まるって何が……」
イシャールがそう言うと、アザール学院長は顔だけ振り向いて口を動かした。
「国立魔法騎士になれるか……だ」
俺たちは固唾を呑んだ。
国立魔法騎士になるってのは、そんなに大変な事なのか?
何人もの死を乗り越えないとなれない職なのか?
俺はますます興味が湧いた。
というか、こんなにも大変な職になってみたいと、心からそう思った。
アザール学院長は檀上に上るといつもの如く挨拶を始めた。
「生き残った奴ら、まずはおめでとう。これを生き抜いたお前らは国立魔法騎士になる為の一歩を踏み出した」
え、まだ一歩なの?
てっきりもう十歩くらい歩いてるかと。
「いいか、ここまで来たお前らはこれから先もやっていけるだろう」
アザール学院長は一息置くと再び話始めた。
「それにしても減ったな……これからはクラスを合同とする」
合同って……ひとまとめって事か?
「一つのクラスで協力してこの学院を卒業してくれ。まだこれからも人数は減るだろう。今年は何人卒業できるか楽しみだ」
そう言うと大口開けて笑い檀上から降りていった。
何人卒業できるかって……これからも減っていくのか?
これ以上減らしてどうするんだよ。
本当に俺たちを卒業させる気あるのかよ?
そんな思いを胸に俺たちはこの島を後にした。
そんな事があったのか。
でもニカの話を聞く限り、そんな村もあるんだな。
日本じゃ考えらんないよな。
子供を生け贄にするなんて。
その場で逃げ出したニカの勇気も凄いよな。
『――サバイバル終了。生徒のみなさんは元の広場に集まって下さい』
そんなアナウンスが聞こえてきた。
「やっと終わりましたね」
「ふぅ――」
「早く行こう」
俺たちは後片付けをしてアザール学院長が言っていた、元の広場に戻る事にした。
そして――
そこに戻ると驚くべき光景が俺たちの目に入ってきた。
「――え?」
「これ……だけ?」
「ずいぶん減りましたね」
そこに並んでいたのは、ボロボロの服を着た生徒数名だった。
一組から四組までわずか数名。
他のみんなはどうしたのだろうか。
あの屈強な戦士と噂されていたクラスですら、数名しか残っていなかった。
「今年はこれだけか」
そうボソッと呟くアザール学院長の言葉が耳に入ってきた。
「どういう事ですか?」
とっさに俺はそう問う。
返ってきたアザール学院長の言葉はあまりにも予想していなかった事実だった。
「サバイバルとはそういうもんだ。他のクラスはおおかたほとんどが戦死したかリタイアしたんだろうよ」
「でもなぜ?」
「お前らはそうでもなかっただろうが、他のクラスは大変だったんだろうよ。お前らも襲撃にあっただろ? そんくらい食料に困っていたんだろ。このサバイバルをどう生き抜くかで決まるんだ」
そう言うとアザール学院長は一息つき背を向けた。
「決まるって何が……」
イシャールがそう言うと、アザール学院長は顔だけ振り向いて口を動かした。
「国立魔法騎士になれるか……だ」
俺たちは固唾を呑んだ。
国立魔法騎士になるってのは、そんなに大変な事なのか?
何人もの死を乗り越えないとなれない職なのか?
俺はますます興味が湧いた。
というか、こんなにも大変な職になってみたいと、心からそう思った。
アザール学院長は檀上に上るといつもの如く挨拶を始めた。
「生き残った奴ら、まずはおめでとう。これを生き抜いたお前らは国立魔法騎士になる為の一歩を踏み出した」
え、まだ一歩なの?
てっきりもう十歩くらい歩いてるかと。
「いいか、ここまで来たお前らはこれから先もやっていけるだろう」
アザール学院長は一息置くと再び話始めた。
「それにしても減ったな……これからはクラスを合同とする」
合同って……ひとまとめって事か?
「一つのクラスで協力してこの学院を卒業してくれ。まだこれからも人数は減るだろう。今年は何人卒業できるか楽しみだ」
そう言うと大口開けて笑い檀上から降りていった。
何人卒業できるかって……これからも減っていくのか?
これ以上減らしてどうするんだよ。
本当に俺たちを卒業させる気あるのかよ?
そんな思いを胸に俺たちはこの島を後にした。
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