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第一章 第三幕 サバイバル

二十五話 ニカの身体能力

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 ――パシュッ!


 おぉぉぉ! 木が切れてる。どんどん切れる!
 なんだか楽しくなってきた。


「じゃあ俺が木を高速で切り倒してカットするから、イシャールは木材をみんなの所に運んでくれ」


 ここは分担だ。
 俺は猛スピードで大量の木を切り倒していった。


「彼の者に駿馬の如き力を与えたまえ――スピード!」


 おー早い早い! イシャールの魔法で更に早く木材にしていく俺。
 これなら今日中に一生分の木材を集められそうだな。
 いや、一生分は言い過ぎたか。


「二人ともすごいです。私も頑張ります」


 そう言ってユミールはどこぞで拾った料理ナベを用意した。
 そしてチャチャに火魔法を使ってもらい焚き火を炊いた。
 その上に料理ナベを置くと、そこら中に捨ててある魔物の死体を聖魔法で綺麗にすると、瞬く間に魔物を料理用にカットした。

 どういう仕組みかはわからないが、ニカが狩った魔物が大量に落ちている。
 いや、置いていると言った方が正しいのか?
 イノシシやら鹿やらオオカミやら兎やら……次々と拠点に投げられてくる。
 同じ場所に積まれていった魔物の死体は、崩れ落ちながら広がっていく。


「これ、全部ニカ一人で?」


 仕事が一区切りついた俺は、積まれた魔物を見てそう言う。
 ユミールは苦笑いをしてそれを料理していく。


 するとニカがもの凄いスピードで戻ってくると、息切れひとつせずに口を開いた。


「食材……足りる?」


 ニカの身体能力は一体どうなっているんだ……。
 そう思いつつも返事をする。


「さすがに十分だろ。ニカは休んで。疲れたでしょ?」
「別に疲れてない」


 恐れ入ったな。
 さすがにこの量の魔物を一度に狩って疲れてないなんて、俺なら嘘でも言わないな。

 そして俺たち木材班は着々と小屋を作り上げていた。
 小屋と言ってもそんなに立派なもんじゃない。

 イシャールの時魔法で木材を運び、イシャールの時魔法で木材を並べただけだからな。
 つまり俺は何もしていない!

 威張れる事じゃないが。

 とにかくこれで簡易小屋のようなものが出来た。
 女子と男子で別々の小屋を作ったから安心だな。
 そんなに離れていないから、何かあってもすぐに助けられるし。



「よし、みんな揃ったな」


 テーブルとイスを設置して食卓を作った。
 そして俺たちはそれを囲う。


「「「「「いただきます」」」」」






 最初は戸惑ったし苦労したけど、こうして俺たちのサバイバル生活初日は無事幕を閉じた。
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