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第一章 第二幕 魔法騎士学院

八話 ガローナの策略

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 よし、俺もクラスに向かうか。
 ふと時計を見る。


「やばっ! もう授業始まってるかな」


 俺は慌てて渡された用紙に目を通す。


「アザールクラス……って、え?」


 アザール学院長が自ら授業をするの?
 俺は驚いた拍子にその用紙を落としてしまった。


「あっ……」


 風に吹かれる用紙を追いかける。


「――はい。落ちましたよ」





 ◇ ◇ ◇

 ――と、見せかけて。
 エデンお坊ちゃまに言われて、そう易々と帰る私ではないわ。

 三年間、エデンお坊ちゃまを陰からお守りする。
 それが私の役目なんだから!

 よし、戻ろう。



 ――サササササ。



 私は忍者のように……草むらを駆け抜けエデンお坊ちゃまを目で追った。

 あ……エデンお坊ちゃまはどこに?!

 見失わないように双眼鏡片手に探す。

 あ、いたわ。
 ――むむ! エデンお坊ちゃまが女の人と!
 しかも巨乳。

 あれはおっとり美少女だわ。
 私も負けてはいられない!

 自分の胸をわしづかみ確認する。

 うん、大丈夫。負けてないわ。

 あっ! 手を握って?!
 なんだか楽しそうに話しているわ。

 エデンお坊ちゃま……。

 ◇ ◇ ◇





 俺と同じ生徒だろう。
 紫色の緩く三つ編みにしたメガネをかけた女の子が、その落とした用紙を拾ってくれた。
 笑顔が素敵な女の子だ。
 ……ちなみに巨乳。


「あ、ありがとう」


 お礼を言うとニコっと微笑み更に続けた。


「私はユーミルと言います」
「あ、俺は……エ、エデン」
「うふ。よろしくお願いします。クラス、同じですね」


 そう言って、俺の用紙を指さして自分のと照らし合わせた。
 ユーミルの用紙にもアザールクラスと書いていた。


「あはは……よろしく」


 俺たちはクラスが一緒という事もあって、クラスまで一緒に行く事になった。

 何話せばいいんだろう。
 女慣れしていない俺は、道中特に話す事もなくクラスに着いてしまった。


「それじゃ、また」


 ユミールはニコっと笑うと用紙に書かれている自分の席に着いた。

 せっかく初めての友達が出来たと思ったのに……。
 こりゃ嫌われたな。

 ガックリと首を落とし、俺も自分の席に着いた。

 すると――


「うふふ。奇遇ですね」


 それは本当に奇遇だった。
 隣の席は女の子。しかもユミールだった。

 これは……!
 まだチャンスはある。

 ここで話しかけなかったら男じゃない。

 俺だけ独りぼっちになるのは御免だ。


「本当だ、奇遇だね。これはもう運命かも☆」


 俺は柄にもなくちょっと明るめに言ってみた。


「ふふ。面白い方ですね」


 さらっと流されてしまった。
 もうダメだ。



 俺の学校生活は最悪のスタートとなった。
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