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第一章 第二幕 魔法騎士学院

十六話 ガロウチームvsホノカチーム

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「お前ら真剣にやれよ~じゃあ、よぉい、始め!」


 ガロウチームはガタイのいい男四人衆。
 魔法はあまり使いそうにない。
 剣と拳のみで立ち向かうスタイルのようだ。

 ホノカチームは美女揃いの女四人組。
 こっちは近接というより魔法よりのようだ。
 四人の内二人は、小型の剣を右手に持ち小回りの利く小盾を左手に持っている。
 残りの二人は魔法特化で両手杖を手に、開始早々魔法陣を足元に描き詠唱を始めた。

 俺やイシャールと違って長い。
 いや、自慢するわけじゃないが完璧に詠唱するには相当時間がかかるみたいだ。


「カッカッカ! 魔法だ! お前ら、最初に魔法を潰しちまえ!」


 リーダーのガロウがチームメンバーにそう叫ぶ。
 するとチームメンバーは雄たけびをあげ、後方の詠唱をしている女に狙いを定める。


「ワァァァ!」


 斧を片手に振り上げる。


「させないわ!」
「ホノカ、二人を守るわよ」
「えぇ」


 前衛のホノカとカホノは息を合わせて、向かって来るウッタとロキの攻撃を交わして反撃する。
 斧を振り上げ勢いよく向かってくる男二人の攻撃を、魔法を使い動きを止めると反撃し、みねうちに一発入れる。

 ホノカとカホノの息はピッタリだ。


「我に時空宵ときよいの神の力を
 一時の時空ときを操る力を
 青空そら通力つうりょくを集めたまえ
 汝を魅了し汝に幻惑をせたまえ――プワール!」
「我らに幸運の女神の加護を
 汝の心髄しんずいを打ち砕く加護を与えたまえ――チャンスアタック!」


 赤髪のカホノがプワールで相手を幻惑に包み込むと、ホノカは補助魔法を唱えた。
 ホノカの補助魔法、チャンスアタックは確か必ず弱点攻撃になるという効果だったはず。

 魔法の知識のほとんどが俺の中に残ってるんだよな。
 ここに来た時に全ての知識を手に入れたらしい。

 二人の動きが止まるとホノカとカホノは、同時に二人を切りつけた。
 そして二人の反撃を食らったウッタとロキは、幻惑が解けると共に気絶しその場に倒れた。


「ウッタ! ロキ! くそ……」


 悔しそうに大きな剣を担ぐのはジャンだ。
 ジャンはその見た目とは裏腹に、もの凄い速さで後方の二人に向かって走った。


「潰してやる。女だが……悪ぃな」


 そう言ってジャンは、ホノカとカホノのガードをひょいと交わして抜けた。


「そんな――?!」

《紅蓮の加護を与えし精霊イノフワールよ――》


 ホノカがジャンを追うように振り向くが既に遅かった。

 後方で詠唱を続けているチエに向かい、その大きな剣を一気に振り下ろした。


「――食らえ!」

《我に偉大なる魔力を与えたまえ――》


 チエの小さな体に大剣がヒットすると、連鎖反応のようにその剣から爆発し、チエはその場に倒れた。


「よし、一人やった……ぞ」

《汝を紅蓮の海で焼き尽くせ――》


 すると隣で長らく詠唱していた猫目のチャチャが、ジャンに向かった魔法を放った。


「――フレア!」


 長い長い詠唱が終わると上方に溜めた魔力が一気に放たれ、ジャン目掛けて飛んでいった。


 ――ぼふ。


 ジャンに命中した炎系魔法のフレアは、その体を黒焦げにしジャンはその場で動かなくなった。


「――ジャン!」


 残りはガロウのみ。
 女性陣は一人やられたとは言え、ガロウチームは残り一人だ。
 これは勝負あり……か?

 そう思った時!


「ウォォォ!」


 ガロウは怒り狂ったように燃え盛り、その大きな矛に炎をまとわせると、力いっぱい振り回し女性陣へ突っ込んだ。


「キャッ――」


 すると女性陣は一人、また一人とその炎の矛に巻き込まれ、逃げる隙もなく吹き飛ばされた。


「後、一人……ウォォォ!」


 残りはチャチャのみだ。
 さっきまで劣勢だったガロウだが、形勢逆転だ。

 ガロウはもの凄い勢いでチャチャを巻き込もうとする。
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