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第一章 第二幕 魔法騎士学院

十一話 訓練の成果

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 ◇ ◇ ◇

「そう、自分の中で魔力を循環させる感覚だよ」


 俺はガローナに訓練を付けてもらっていた。


「――ん」


 俺は最大限に集中力を引き出し、感覚を研ぎ澄ました。

 魔力を循環させるイメージ。
 魔力を循環。
 魔力を――


「――今だ!」


 ――ぼふ。


 またダメだ。
 魔力が暴発した。
 俺の頭上に溜まった魔力は、一気に発射されようとして耐え切れずに暴発したんだ。
 これをコントロール出来れば俺も一人前。

 全魔法を一気に発射できるようになるはず。

 誰に教わったわけじゃないが、全魔法を使える俺はラッキーだ。

 転生した時からきっと俺は優秀なんだ。
 そこまで魔力をコントロールするには、相当時間をかけなければ無理らしい。
 でも俺はやる。
 俺にはそこまで時間がない。

 魔法騎士学院の入学の義までにはマスターしておきたいんだ。
 入学してからも色々と大変らしいからな。


「集中――集中――」


 俺は掌に魔力を集め、それを一つずつゆっくりと頭上に集めていく。
 炎の魔力、水の魔力、風の魔力、闇の魔力、光の魔力。
 その全てを順番に一か所へ誘導する。

 そのコントロールが難しい。

 目を閉じて集中する。


「エデン坊ちゃま!」


 俺はガローナのその声に咄嗟に目を開く。


「どうした? ガローナ……ッ?!」


 するとガローナは、俺の前に立ち自分の特技である"換装かんそう"を披露して見せた。


「はぁ――ガローナ! 邪魔しないでくれ」


 おかげで集中力が切れて、魔力の流れがぐちゃぐちゃだ。
 後少しで出来そうだったのに、せっかく集めてた魔力も消えてしまった。

 どうしてくれるんだ、と言わんばかりにガローナを睨んだ。


「エ、エデン坊ちゃま。そんなに怒らないで下さい。シワが増えますよ……あはは」


 そう言いながらも衣装を次々と変え、換装を見せつけるガローナ。


「ほら、エデン坊ちゃま。この衣装は私のお気に入りなんです。可愛いでしょう?」


 その衣装は頭にうさ耳を付けて、真っ白いピチっとした服の胸の所がハート型に穴の開いた服。
 そのハート型の枠が薄ピンク色にかたどられていた。
 そしてふわっとしたスカートに、ガーターベルトのようなものを見に付けている。

 ガローナはこれ見よがしにくるりと回り、自分の姿を見せびらかしている。

 後ろを向いてお尻を突き出して顔だけ振り返り、ウインクをしながら口を開く。


「エデン坊ちゃまの心をわしづかみ! うふ」


 俺はもう怒るとかじゃなく、呆れていた。
 かける言葉もなく、俺は再び魔力を溜め始めると、ガローナはそれを中断するかのように俺の手を掴んだ。


「エデン坊ちゃま……私に興味ないですか?」
「……え?」
「エデン坊ちゃまは昔から何かに集中すると出来るまでやり続ける。少しも私を見てくれません」
「ガローナ……」
「ちょっとは私の事も見て下さい!」


 ガローナがそんな事を思っていたなんて気づかなかった。
 ただふざけたイタズラかと……。
 昔の事は知らないけど、ガローナの気持ちは嬉しい。

 でも俺は訓練に集中したい。

 そう伝えるとガローナは元の衣装に換装し、優しい笑顔を向けた。


「わかりました。もう邪魔はしません」


 そして俺たちは訓練を続けた。

 本音を言うと、ガローナにちょこちょこ換装されて、衣装に着替えられていたら俺の心臓が持たん。
 ガローナは露出激しい服しか換装しないから、童貞の俺にはちょいキツイんだよ。

 なんて言えるはずもなく、俺の思考がバレなきゃいいなと思うだけだった。
 最低だな……俺。



「――キタキタキタ!」


 俺は全ての属性の魔力を頭上に溜めると、それを一気に目の前の木に放出した。


 ――ドガッ!

 するとその属性の色が集まり綺麗な輝きを放った。
 目の前の木には大きな穴が開き、そのまま向こうに倒れた。


「――よし。やったぞ」
「エデン坊ちゃま! すごいです」


 ガローナは俺に抱き着き、共に喜んでくれた。

 そして俺はその後、何度も練習した。
 もっと早く、もっと瞬時に魔力を溜められるように……と。


「もう一度――」


 ◇ ◇ ◇





「一斉発射!」
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