7 / 40
第一章 第二幕 魔法騎士学院
七話 入学の義
しおりを挟む
魔法騎士学院とは、魔法と騎士の心得を教わる学び舎。
俺は今、そこに立っていた。
沢山の入学生が広場に並び学院長の挨拶を待っていた。
すると、若い白いスーツに身を包む背の高い男性が壇上に上がった。
「えー、まずは入学おめでとう。俺は学院長のアザール。この度は――っと、堅苦しい挨拶はやめだ」
そう言うと、スーツのボタンを一段開け机に手を付いた。
「いいか、ここに入れたという事は少なからずお前らは優秀という事。ここで学んでそれを活かして、お前らみんなに国立魔法騎士を目指してほしい。
だが……弱い者はいらない。
訓練はお前らが思ってるより厳しいだろう。嫌になった奴は去ればいい。そんな奴は国立魔法騎士なんかにはなれない。
辞めていく奴らは沢山いる。だが覚えててほしい。人生はそんなに甘くない。ここで這い上がれない奴は卒業してもすぐに死ぬ。いつでも自分に厳しくあれ。
以上だ」
役目を終えたようにアザール学院長が壇の下に降りると、すぐに校舎の中に入って行った。
そして別な男性が俺たちを案内してくれた。
「ここにクラスが書かれた用紙がある。それぞれはこの用紙に従い指定のクラスに入るように。それでは」
それだけ言うと、先生方は足を揃えて校舎の中へ入って行った。
周りを見ると、知り合い同士で入学した人もいるようで楽しそうに喋っている姿も見える。
残念ながら俺は一人だが。
その中には女性もいる。
割合的には半々といった所だろうか。
その時、俺は背中が下からぞわぞわとなるものを感じた。
慌てて辺りを見渡した。
――誰か、見てる?!
「ジィィィ――」
なんと学院の草むらに隠れていたのはガローナだった。
な、なんでいるの?
帰ったんじゃないの?
俺はキョロキョロと挙動不審に首を回すと、猛ダッシュでガローナの元へ近づいた。
「ガローナ、なんでいるの?」
「私はエデン坊ちゃまの護衛です。いつでもどこでもご一緒ですよ」
瞳をうるうるとさせながら両手を握っている。
「いや、俺は三年間ここに住むんだしガローナは集落に帰っていいよ」
「ガーン! エ、エデン坊ちゃま……私の事お嫌いですか?」
ガローナはあからさまに落ち込んだ表情をしながらそう尋ねてきた。
「い、いや……嫌いではないけど」
とりあえずその服どうにかしてほしい、というのが俺の願いだったり。
「では好きなのですね?」
ガローナは再び瞳をキラキラさせ、両手を握る。
「いや、それは――」
俺が全てを喋り終える前にガローナは続けた。
「わかりました!」
「……へ?」
「エデン坊ちゃまの言う通り集落に帰りますね。迷惑はかけたくありませんから」
心を撫でおろす。
このままこの学院をうろちょろされてちゃ、逆に目立つしな。その格好だし……。
「では坊ちゃま、またお会いしましょう」
「うん、またな」
そう言ってガローナは草むらの奥にもの凄い早さで消えて行った。
俺は今、そこに立っていた。
沢山の入学生が広場に並び学院長の挨拶を待っていた。
すると、若い白いスーツに身を包む背の高い男性が壇上に上がった。
「えー、まずは入学おめでとう。俺は学院長のアザール。この度は――っと、堅苦しい挨拶はやめだ」
そう言うと、スーツのボタンを一段開け机に手を付いた。
「いいか、ここに入れたという事は少なからずお前らは優秀という事。ここで学んでそれを活かして、お前らみんなに国立魔法騎士を目指してほしい。
だが……弱い者はいらない。
訓練はお前らが思ってるより厳しいだろう。嫌になった奴は去ればいい。そんな奴は国立魔法騎士なんかにはなれない。
辞めていく奴らは沢山いる。だが覚えててほしい。人生はそんなに甘くない。ここで這い上がれない奴は卒業してもすぐに死ぬ。いつでも自分に厳しくあれ。
以上だ」
役目を終えたようにアザール学院長が壇の下に降りると、すぐに校舎の中に入って行った。
そして別な男性が俺たちを案内してくれた。
「ここにクラスが書かれた用紙がある。それぞれはこの用紙に従い指定のクラスに入るように。それでは」
それだけ言うと、先生方は足を揃えて校舎の中へ入って行った。
周りを見ると、知り合い同士で入学した人もいるようで楽しそうに喋っている姿も見える。
残念ながら俺は一人だが。
その中には女性もいる。
割合的には半々といった所だろうか。
その時、俺は背中が下からぞわぞわとなるものを感じた。
慌てて辺りを見渡した。
――誰か、見てる?!
「ジィィィ――」
なんと学院の草むらに隠れていたのはガローナだった。
な、なんでいるの?
帰ったんじゃないの?
俺はキョロキョロと挙動不審に首を回すと、猛ダッシュでガローナの元へ近づいた。
「ガローナ、なんでいるの?」
「私はエデン坊ちゃまの護衛です。いつでもどこでもご一緒ですよ」
瞳をうるうるとさせながら両手を握っている。
「いや、俺は三年間ここに住むんだしガローナは集落に帰っていいよ」
「ガーン! エ、エデン坊ちゃま……私の事お嫌いですか?」
ガローナはあからさまに落ち込んだ表情をしながらそう尋ねてきた。
「い、いや……嫌いではないけど」
とりあえずその服どうにかしてほしい、というのが俺の願いだったり。
「では好きなのですね?」
ガローナは再び瞳をキラキラさせ、両手を握る。
「いや、それは――」
俺が全てを喋り終える前にガローナは続けた。
「わかりました!」
「……へ?」
「エデン坊ちゃまの言う通り集落に帰りますね。迷惑はかけたくありませんから」
心を撫でおろす。
このままこの学院をうろちょろされてちゃ、逆に目立つしな。その格好だし……。
「では坊ちゃま、またお会いしましょう」
「うん、またな」
そう言ってガローナは草むらの奥にもの凄い早さで消えて行った。
0
お気に入りに追加
43
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
スキルスティール〜悪い奴から根こそぎ奪って何が悪い!能無しと追放されるも実はチート持ちだった!
KeyBow
ファンタジー
日常のありふれた生活が一変!古本屋で何気に手に取り開けた本のタイトルは【猿でも分かるスキルスティール取得法】
変な本だと感じつい見てしまう。そこにはこう有った。
【アホが見ーる馬のけーつ♪
スキルスティールをやるから魔王を倒してこい!まお頑張れや 】
はっ!?と思うとお城の中に。城の誰かに召喚されたが、無能者として暗殺者をけしかけられたりする。
出会った猫耳ツインズがぺったんこだけど可愛すぎるんですが!エルフの美女が恋人に?何故かヒューマンの恋人ができません!
行き当たりばったりで異世界ライフを満喫していく。自重って何?という物語。
悪人からは遠慮なくスキルをいただきまーーーす!ざまぁっす!
一癖も二癖もある仲間と歩む珍道中!
性奴隷を飼ったのに
お小遣い月3万
ファンタジー
10年前に俺は日本から異世界に転移して来た。
異世界に転移して来たばかりの頃、辿り着いた冒険者ギルドで勇者認定されて、魔王を討伐したら家族の元に帰れるのかな、っと思って必死になって魔王を討伐したけど、日本には帰れなかった。
異世界に来てから10年の月日が流れてしまった。俺は魔王討伐の報酬として特別公爵になっていた。ちなみに領地も貰っている。
自分の領地では奴隷は禁止していた。
奴隷を売買している商人がいるというタレコミがあって、俺は出向いた。
そして1人の奴隷少女と出会った。
彼女は、お風呂にも入れられていなくて、道路に落ちている軍手のように汚かった。
彼女は幼いエルフだった。
それに魔力が使えないように処理されていた。
そんな彼女を故郷に帰すためにエルフの村へ連れて行った。
でもエルフの村は魔力が使えない少女を引き取ってくれなかった。それどころか魔力が無いエルフは処分する掟になっているらしい。
俺の所有物であるなら彼女は処分しない、と村長が言うから俺はエルフの女の子を飼うことになった。
孤児になった魔力も無いエルフの女の子。年齢は14歳。
エルフの女の子を見捨てるなんて出来なかった。だから、この世界で彼女が生きていけるように育成することに決めた。
※エルフの少女以外にもヒロインは登場する予定でございます。
※帰る場所を無くした女の子が、美しくて強い女性に成長する物語です。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
スキル喰らい(スキルイーター)がヤバすぎた 他人のスキルを食らって底辺から最強に駆け上がる
けんたん
ファンタジー
レイ・ユーグナイト 貴族の三男で産まれたおれは、12の成人の儀を受けたら家を出ないと行けなかった だが俺には誰にも言ってない秘密があった 前世の記憶があることだ
俺は10才になったら現代知識と貴族の子供が受ける継承の義で受け継ぐであろうスキルでスローライフの夢をみる
だが本来受け継ぐであろう親のスキルを何一つ受け継ぐことなく能無しとされひどい扱いを受けることになる だが実はスキルは受け継がなかったが俺にだけ見えるユニークスキル スキル喰らいで俺は密かに強くなり 俺に対してひどい扱いをしたやつを見返すことを心に誓った
ヒューマンテイム ~人間を奴隷化するスキルを使って、俺は王妃の体を手に入れる~
三浦裕
ファンタジー
【ヒューマンテイム】
人間を洗脳し、意のままに操るスキル。
非常に希少なスキルで、使い手は史上3人程度しか存在しない。
「ヒューマンテイムの力を使えば、俺はどんな人間だって意のままに操れる。あの美しい王妃に、ベッドで腰を振らせる事だって」
禁断のスキル【ヒューマンテイム】の力に目覚めた少年リュートは、その力を立身出世のために悪用する。
商人を操って富を得たり、
領主を操って権力を手にしたり、
貴族の女を操って、次々子を産ませたり。
リュートの最終目標は『王妃の胎に子種を仕込み、自らの子孫を王にする事』
王家に近づくためには、出世を重ねて国の英雄にまで上り詰める必要がある。
邪悪なスキルで王家乗っ取りを目指すリュートの、ダーク成り上がり譚!
分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活
SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。
クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。
これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる